どんなに相性の悪い人でも必ず喜んでくれる「ほめ方」の3つのルール

プレジデントオンライン / 2020年10月29日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/franckreporter

人間関係を築くのがうまい人は、他人をほめるのがうまい。それは媚びるのとは違う。相手が「認めてほしい」というところを確実にほめているのだ。どうすればいいのか。精神科医の西脇俊二氏は「人の個性は3種類に分けられる。タイプに応じてほめ方を変えたほうがいい」という——。

※本稿は、西脇俊二『繊細な人が快適に暮らすための習慣』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■人は必ず「自己重要感」を満たしてくれる相手を好きになる

私は精神科医という仕事柄、人とスムーズにコミュニケーションをとるための知恵やノウハウを尋ねられることがしばしばあります。繊細な方や引っ込み思案な方からの相談が多い項目ですが、実はこれには、どんな人にも有効ないい方法があります。

プライベートでも職場でも、人間関係を築くのがうまい人は、本稿で紹介するノウハウを自然にできていることが多いです。

もしあなたが繊細なタイプなら、すでに人の気持ちを思いやる習慣を持っているでしょう。しかしそれは「感情ベース」の習慣です。これに加えてもう一つ、「分析ベース」のワザも習得しましょう。

すなわち、「相手の自己重要感を満たす」というワザです。自己重要感とは、「大切にされている」と感じることです。肯定される、承認される、理解される、求められる、頼りにされる。これらはすべて「あなたは重要な存在です」と言われているということです。

■相手に大切にされたければまずは話を聞く

どんな人間も、これを欲します。自己重要感を満たしてくれる相手のことは、必ず好きになり、大切にします。つまり、相手の自己重要感を満たせば、相手から尊重されるのです。この関係性を増やしていけば、「皆から大切にされる人」になれます。

西脇俊二『繊細な人が快適に暮らすための習慣』(KADOKAWA)
西脇俊二『繊細な人が快適に暮らすための習慣』(KADOKAWA)

では、具体的にどのように接すればよいかというと、第一歩は、誰もが昔から実践しているものだと思います。「相手の話を聞く」というコミュニケーションです。

相手の言葉をさえぎらず、否定せず、考えを押し付けず、共感を込めて聞く。すでにおなじみの習慣だと思います。

しかしこれ以降は、分析ベースならではの視点が必要となってきます。この人は何をすれば、尊重されていると感じるのか。どんなところをどんな言葉でほめれば喜ぶのか。

相手を一人ひとり観察・分析して、ポイントを見極めなくてはいけません。

■相手が求めているものを提供するのも「立派な思いやり」

相手を気遣う人、思いやり深い人ほど、こうした分析的なアプローチを「相手を操作しているようで嫌だ」と感じるかもしれません。しかし、相手が求めているものを把握し、それに沿うことも立派な思いやりです。

しかも、分析的なアプローチをすると、「合うか合わないか」「好きか苦手か」といった感性の部分で向き合うよりも、誰に対しても行き届いたコミュニケーションができます。

その結果として相手がこちらを信頼してくれたら、相手が自身の良いところを前面に出して接してくれるようになります。つまり、苦手だと思っていた人でさえ、感じの良い人に変わるのです。そうすれば、こちらも相手を好きになれます。

「人に振り回されて疲れる気遣い」で消耗している人ほど、「距離が縮まって嬉しい気遣い」を始めることが必要なのです。

詳しく方法を説明しましょう。分析の目安として役立てていただきたいのが、「人間の3タイプ」です。

人の個性は、パーソナリティ重視タイプ・パフォーマンス重視タイプ・ブランド重視タイプの3種類に分けることができます。

この3通りの人々は、価値観が大きく違います。何を喜び、何を望み、何を言えば心を開くかも三者三様。じっくり見極めて、適切なコミュニケーションをとりましょう。

■相手を分析するのに役立つ「3タイプ」を把握しよう

以下、その3タイプの人となりを紹介します。

①パーソナリティ重視タイプ
◆ 人を見るとき、その能力やバックグラウンドよりも、「人柄」を重視する。
◆ モノに関しても、品質を重視する本物志向の人。
◆ 信頼・人脈・愛情といった、目に見えないものに価値を置く。高い買い物をする際は、「この人から買いたい」が強い動機になる。

②パフォーマンス重視タイプ
◆ ムダなく素早く結果に到達することを目指す。コストパフォーマンスを重視し、何事も数値に換算するが、「これ」と思ったことにはお金も時間もかける。
◆ 目に見えるモノや財産を重視し、それらを大きくしていくことに目的を置く。
◆ ライバルと切磋琢磨しながら成績や成果を伸ばしていくことに燃えるタイプ。

③ブランド重視タイプ
◆ 権力・権威・資格などに価値を見出し、大きな組織や高い地位を好む。
◆ ほめられるのが大好き。人前でほめられるとさらに嬉しく感じる。
◆ 束縛を嫌い、自分のコントロール下で権力をふるいたいという欲求がある。
◆ 一方で不安感が強く、安心できない状況では心のバランスを崩すことも。

3つの個性は、わかりやすく表面に出てこないことも多々あります。実は権威大好きなブランド重視タイプの人が、「そんな自分は嫌だ」と思ってパーソナリティ重視タイプ風に生きようとする、といったことが珍しくないからです。

従業員を評価するマネジャー
写真=iStock.com/alvarez
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それに、どれか1つのタイプだけでなく、複合的な特徴を持っていることも往々にしてあります。誰しも多かれ少なかれ本音と建前を使い分けますし、それをあまりに無意識に行っていて、自分で自分のタイプがわかっていない人もたくさんいます。

■3タイプの見分け方のヒント

それでも、普段のふるまいや言葉の端々から、ある程度の見分けはつきます。3タイプそれぞれの、言動の特徴をチェックしましょう。

①パーソナリティ重視タイプ
◆ 争いごとが嫌いで、基本的ににこやかで穏やか、周りへの気配りを欠かさない。
◆ 誰もしたがらないことを進んで行うことも多い。
◆ 一方で、信念に反することは断固受け容れない一面も。
◆ 納得しないと着手できないので、スタートが遅いのも特徴。

②パフォーマンス重視タイプ
◆ 相手の目をまっすぐ見て、真剣に話す。話し方は明快でムダがなく、ときには言いづらいようなことでもズバッと指摘する。
◆ 仕事熱心で、やるからには結果を出さないと満足しない。
◆ 稼いだお金は無駄遣いせず有効活用し、「自分への投資」にも熱心。

③ブランド重視タイプ
◆ 身振り手振りが大きい。ほめられるととても喜ぶ。
◆ 自分が心動いたことは熱心に話すが、人の長話は嫌い。
◆ 面倒くさいことはしたがらない。意味や価値を感じないことには不熱心。
◆ 物事を自分のペースで進めたがり、途中で口を出されると嫌がる。

■タイプ別の効果的な「ほめ方」

周囲の人々を観察して「この人は○○タイプかも」と見当がついたら、自己重要感を満たすコミュニケーションを実践に移しましょう。

3タイプがそれぞれ、どんなことで自己重要感を満たされるか把握し、あとは「喜ぶことをする」そして「嫌がることはしない」を徹底すれば万全です。

①パーソナリティ重視タイプ
◆ 人柄を賞賛するのが一番。「あなたの心配りが本当に嬉しい」といった言葉を、穏やかな口調で投げかけることで距離が縮まる。
◆ 話を聞き、共感する。「気持ちをわかってくれる人」には強い信頼を寄せる。逆に、不親切な人間は信用しないので、本人以外の周辺人物に対しても誠実な態度を取ることも大事。
◆ 仕事を任せたい後輩や部下なら「あなたしかいない」が殺し文句。ただし、その仕事の意義を相手が納得できるように説明することも不可欠。筋の通らないこと、誠実性に欠ける仕事を押し付けると信頼関係は崩壊する。

②パフォーマンス重視タイプ
◆ このタイプと話をするときは明確さが命。仕事と関係のないことを話す際も、まず結論を言い、そのあと理由や背景を端的に言う「ビジネスシーンでの話し方」をすると話が弾む。
◆ ほめるときは「デキる人」であることを指摘するのがコツ。良い結果を出したときには、見逃さず必ず言及したいところ。しかし、お世辞や大げさな誉め言葉は「裏がある」と取るので要注意。「この間の○○、さっそくいい効果を出してますね」など、事実を指摘するのが良い方法。

③ブランド重視タイプ
◆ ほめることが一番のコミュニケーション。人前で「すごい!」とほめればさらに良い。「あなたは何でもできるんですね」「こんなの見たことない」など、特別感を感じさせる言葉を投げかけると、相手にとってもこちらが特別な存在になる。
◆ 仕事を頼みたいときは、行動力とバイタリティを活かせる内容が向いている。面倒なことはしたがらないので避けたほうがベター。いったん任せたら本人の自由にさせることも大事。
◆ 逆に、こちらが頼まれた側なら、すぐにやること。もしやらない場合もすぐに断るのが鉄則。

以上のコミュニケーションを、最初は気の合う友人や身近な関係の人など「好きな人」から始めてみましょう。好きな相手が喜ぶことなら、進んでしたいと思えますね。

これでうまくいったら、少しずつ難易度を上げていきます。仲が良くも悪くもない知り合いや、用事以外で口をきいたことのない同僚、ちょっと怖そうな先輩、そして最後は苦手な人にも。

3つのタイプを意識して色々試してみるだけでも、これまでの関係性が大きく変わっていくでしょう。

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西脇 俊二(にしわき・しゅんじ)
精神科医
弘前大学医学部卒業。2009年よりハタイクリニック院長。2008年より金沢大学 薬学部 非常勤講師、2010年よりEuropean University Viadrina非常勤講師も務める。自身もアスペルガーであり、その苦労を乗り越えた経験を生かした著作も多い。テレビ出演のほか、ドラマ『僕の歩く道』『相棒』『グッド・ドクター』、映画『ATARU』等の医療監修でも活躍。

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(精神科医 西脇 俊二)

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