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コロナ禍や米国大統領選後、新しい世界で生き抜くために役立つ「経済&マネー」本10選

プレジデントオンライン / 2020年11月21日 6時15分

経済評論家の山崎元さんに、今後の世界を知るための本を10冊選んでもらいました。投資やキャリアアップにぜひ役立ててください。

■マーケットと投資理論を総合的に学べるベストセラー

『ウォール街のランダム・ウォーカー』
バートン・マルキール著、井出正介訳●日本経済新聞出版社

インデックス投資のバイブルであると同時に、マーケットと投資理論の歴史を総合的に学ぶことができるマネー本の世界的ベストセラーだ。継続的に改訂版が出ている点も素晴らしく、現在の翻訳は原著第12版だ。特に、株式市場の歴史を解説した第1部が優れている。厳密には誤りではないかと思われる箇所もあるのだが、総合的に読み応えと情報量はこの本が随一だろう。お金の運用に取り組む人は、まず読んでおきたい一冊だ。

■趣味として個別株投資に取り組む人が読むべき古典

『ピーター・リンチの株で勝つ[新版]』
ピーター・リンチほか著、三原淳雄/土屋安衛訳●ダイヤモンド社

フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ社でマゼラン・ファンドの運用を成功させたファンドマネジャーである著者が書いた、株式投資の指南書。アマチュア投資家であっても、日々の生活の中から投資のヒントを見つけられるはずだと説く。趣味として個別株投資に取り組む人が、まず読んでみるべき古典だ。「株式投資をやってみたい!」と思う人が増えてくれるといい。個人的には、銘柄選択のヒントは豊富だが、分散投資の方法をもう少し解説すべきだと思う。

■経済書に知的刺激を求める人にお薦め

『RADICAL MARKETS 脱・私有財産の世紀』
エリック・A・ポズナー/E・グレン・ワイル著、安田洋祐監訳、遠藤真美訳
●東洋経済新報社

例えば、著者たちは、財産の私有権がある種の独占の弊害を持つことを指摘し、財産の私有権を制限したうえで、最も有効に資産を利用できる者が資産を使える独創的な取引ルールと税金の仕組みを提示する。マーケットメカニズムの利用には、財産の私有権と自由な取引のセットで成り立つ資本主義がベストだとの先入観を持ちがちだが、「まだ甘い」のだ。読むのに頭を使う本だが、経済書に知的刺激を求める人はぜひチャレンジしてほしい。

■AIと雇用など今日的なテーマをわかりやすく論考

『21 Lessons』
ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳●河出書房新社

AIと雇用の関係など、今日的なテーマを21個選んで『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で有名な歴史学者・哲学者の著者が、論考を展開する。例えばAIは労働者を搾取するのではなく存在意義を奪うので共産主義は解決にならない。クリアな議論なので、筋道を追いやすく、刺激になる。時にユーモアや皮肉がある。この本のいいところは、索引と参考文献が充実していることだ。参考文献は、新しい本や論文に出合う手掛かりになる。

■バフェットの右腕と呼ばれる男の含蓄ある言葉

『マンガーの投資術』
デビッド・クラーク著、林 康史監訳、石川由美子訳●日経BP社

世界一有名な投資家はウォーレン・バフェット氏だろう。世の中には多くの「バフェット本」があってマネー本の一ジャンルをなしているが、実はバフェットには「バフェットの右腕にして、左脳」とも呼ぶべき7歳年上のチャーリー・マンガーという頭脳明晰(めいせき)で勝ち気なビジネスパートナーがいる。本書はマンガー氏の言葉をコレクションした本で、投資と人生とバフェットのあれこれがわかる含蓄のある言葉が収録されている。

■本気でトレードに勝ちたいと思う人は必読

『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す』上
『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す』
上・下
エドワード・O・ソープ著、望月 衛訳●ダイヤモンド社

ソープ氏はブラックジャックの必勝法「カード・カウンティング」の考案で有名だが、実は「ブラック=ショールズ・モデル」もフィッシャー・ブラックより早く導いていた。しかし、論文で有名になることよりも、ヘッジファンドの運用に応用することを選んだ。おそらくはジョン・フォン・ノイマン級の数学の天才頭脳を、ギャンブルと投資の実践にささげた「ギャンブルの聖者」の自伝だ。トレードやギャンブルでもうけようと思う人の必読書。本気ならこのレベルを目指せ。

■なぜプロは結局インデックス運用に勝てないのか

『敗者のゲーム』
『敗者のゲーム』
チャールズ・エリス著、鹿毛雄二訳●日本経済新聞出版社

運用のプロであっても市場平均に連動する株価指数のインデックス運用には勝てないことを教えている本で、インデックス運用の一般向け解説書としては『ウォール街のランダム・ウォーカー』と双璧をなす。「プロの情報量や能力はすごいのだが、市場平均には勝てない」というストーリーで、皮肉の効いた味わいがある。結論部分に異議はないが、個人的には「プロのすごさ」が強調されすぎているように感じる面もある。

■有名経済学者の一般理論は、12章だけを読むべし

『雇用、利子、お金の一般理論』
『雇用、利子、お金の一般理論』
ジョン・メイナード・ケインズ著、山形浩生訳
●講談社学術文庫

大経済学者ケインズの「一般理論」だ。経済学者にとっても難解とされる本なのだが、投資における「長期の期待(長期の予想形成のこと)」を扱った第12章「だけ」を読むことを、勧めたい。他の箇所はむしろ「読んではいけない」。株式市場に関する有名な美人投票の比喩や、ベンチャー企業におけるアニマル・スピリットの概念などが登場して、何とも面白い。ケインズ自身が投資の熱心な実践者だったので文章が生きている。

■なぜインデックス投資をすると会社から自由になれるのか

『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』
『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』
ジェイエル・コリンズ著、小野一郎訳●ダイヤモンド社

「会社から自由になるためのお金を早くつくりなさい」と父親が娘に具体的な方法を教える。かいつまんで言うと、手取り所得の50%で暮らして、50%を投資に振り向けて、金融資産額の4%で暮らせるようになりなさい、という教えだ。所得一定、リターンゼロだと25年掛かる計算になるが、全額をインデックス運用に振り向けると、もっと短期間で達成できるはずだと説く。なぜそうするのかと、具体的なファンド名は本を読んでほしい。

■ノーベル賞受賞学者が教える行動経済学の王道

『ファスト&スロー』上
『ファスト&スロー』上・下
ダニエル・カーネマン著、村井章子訳●ハヤカワ文庫

ノーベル経済学賞を受賞した認知心理学・行動経済学者のダニエル・カーネマンが書いた、心理学・経済学の一般向け解説書。人がどのように意思決定を行い、そして間違えるのかをわかりやすく説明している。行動経済学の本は、どれを読んでも似た実例が出てきて少々飽きがくるので、余計な本を読まずに、「本家」であるカーネマン自らが書いた本書を読んでおくことをお勧めしたい。

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山崎 元(やまさき・はじめ)
経済評論家
専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。以降、野村投信ほか12回の転職を経て、現職。『山崎先生、将来、お金に困らない方法を教えてください!』(プレジデント社)など著書多数。

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(経済評論家 山崎 元 撮影=小林久井(近藤スタジオ))

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