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カリスマ家庭教師が「小学生を30分間集中させる」ために使う手口

プレジデントオンライン / 2020年11月16日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

リモートワークをしていると、終業よりも前に子供が帰宅する。子供の勉強の面倒を見ながら親が仕事をすることはできるのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康氏は「仕事に集中しなければならない時は、子供に簡単な問題を渡すといい。じっくり考える勉強は一人では続かないからだ」という——。

■リモートワーク中、15時には子供が帰ってくる

緊急事態宣言が解除され、子供たちが学校へ通うようになっても、親はリモートワークで家にいるという家庭も多いだろう。会社に出勤していればその間は仕事に集中できるけど、リモートワークだと15時過ぎには子供が帰って来てしまう。すると途端に家の中が戦場になる。

塾があるのに、まだ宿題が終わっていない。
帰って来るなりゲームを始める。
テレビを見ながらダラダラと宿題をやっている。

など、これまで見えなかったことが丸見えになり、「なんで宿題が終わっていないの⁉」「いつまでゲームをしているの?」「ダラダラ勉強していないの!」と怒りを爆発せずにはいられなくなる。

また、きちんと勉強に向かっていても、「どうしてこんな問題がさっさと解けないの?」「もっとたくさん勉強しないと、合格できないよ」と小言を言いたくなってしまう。どちらにしても親子が一緒にいることでマイナスになってしまうのだ。

子供の勉強を見てあげたいけれど、自分も仕事をしなければならない。リモートワークでこのジレンマに陥っている親は少なくない。なかには日中は子供の世話を中心にし、深夜に仕事をする人もいるが、それは親の負担が大きすぎる。であれば、親も子もストレスなく過ごせる環境を整えるほうがいい。ただ、子供の年齢や性格によって、その対策は変わってくる。

■仕事に集中したいときは「ちょっとがんばれば何とかできる質量」を渡して離れる

例えば比較的おとなしい性格で、自分で勉強ができる子なら、親と同じテーブルで勉強をやらせてもいいだろう。そういう子は親が隣で仕事をしていても、自分がやるべきことを淡々とやることができるからだ。でも、そういう子はごくわずか。ほとんどの子は親に言われないと勉強を始められないし、親の目がないとすぐにさぼってしまう。

だが、親も今どうしても仕事をしなければならないという状況がある。そんなときは、わが子から離れることだ。その際、何かをやっておくように指示を出しておくといいだろう。ただし、こういうときは子どもが「ちょっとがんばれば何とかできそう」と思える質量の学習を渡しておく。例えば計算問題10問を10分ずつ3枚やらせれば、30分確保できる。その間に親は仕事に集中できる。

ところが、難しい問題や考える問題を与えてしまうと、「わからなーい!」と親のそばに寄ってくるか、やるのを止めてしまう。子供が無理なくできるものをやらせるのがポイントだ。

じっくり考える勉強は、親の目や気配を感じ取れる安心した状態でないと、集中力の続かない子供が多い。そういう子供は、親がそばにいる場所でやらせたほうがうまくいく。

計算問題のようなスピーディーな学習とじっくり考えるスローな学習をうまく使い分けると、親子に無理は生じない。むしろ、勉強には2種類のタイプがあることを実感しやすくなる。実はこれはとても大切なことで、頭の使い方を変えることは、入試の時間配分にも大きく影響を与える。

■夫婦でリモートワークなら、母親だけに任せない

中学受験は子供がまだ小学生で幼いため、親のサポートが必要だ。一般的には母親がそのサポートを担っているケースが多い。だが、近年は共働き家庭が多く、母親も忙しい。夫婦共にリモートワークなのに、父親は部屋にこもって仕事をし、母親は家事と子供の勉強のサポートに追われる。そんな不公平に不満を募らせる母親は多い。そのストレスで子供にあたり、受験勉強がうまくいっていない家庭もある。

中学受験に両親が熱心過ぎるのも子供には負担だが、夫婦共にリモートワークであれば、これまであまり受験勉強に介入していなかったお父さんも、わが子の勉強を気にかけてあげてほしい。ただ、気をつけるべきことがある。

子供のできていないところばかりに目を向けてしまうと、かえってうまくいかなくなる。気になること、言いたいことはたくさんあるとは思うが、そこは言葉を選んでほしい。子供に何か伝えたいときは、「こんなんじゃ合格できないぞ!」とダメ出しをするのではなく、「もう少しこうしたら、もっと良くなるんじゃないかな」とアドバイスをする。そうやって、言葉を言い換えて伝えることが大事だ。

親が感情的になってしまうと、中学受験はうまくいかない。どうしても抑えきれないというのなら、子供の勉強にはできる限り関わらず、家事を手伝い、母親のねぎらい役に徹したほうがいい。

■コロナは「親が仕事をする姿」を見せるチャンス

コロナは私たちの生活を大きく変えた。1年前、自分が家で仕事をしている姿を想像できただろうか? コロナでできなくなったこと、思うようにいかなくなったことは誰にでもあるだろう。だが、コロナのおかげで良かったこともある。それは、親の働く姿を見せられるようになったことだ。

子供たちと一緒に在宅で仕事をする父親
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

今の子供たちは自分の親が社会でどのように仕事をしているか見る機会があまりない。今までは家に帰って来てダラダラしているお父さん、ママ友とおしゃべりばかりしているお母さんしか見ていないという子供もいるだろう。

親がリモートワークになったことで、「お父さんがあんなに真剣に話しているのを初めてみた!」「お母さんがバリバリ働いていてカッコイイ!」など、家庭とは違う一面を見ることができた。これは、子供にとってはとても貴重な体験だ。

■親の仕事のやり方は、子供の行動に染みつく

子供は親の姿を見て行動を学ぶ。親が仕事に集中している姿を見て、集中するとはこういうことなんだな。親が会議をしているところをチラ見しながら、こういうふうに話を進めていけばいいんだな、こういうふうに物事を捉えればいいんだな、こういう言い方があるんだなと、親の姿を通して学ぶことができる。

だが、いいことばかりでもない。親の行動や言葉遣いは、良くも悪くも子供に影響を与える。親がアタフタと仕事をしていると、子供は「一生懸命」=「アタフタ」と勘違いする。親が部下をどなりつけたり、ねちねちと文句を言っていたりすると、子供もそれをまねるようになる。親の仕事のやり方が、子供の行動に影響を与えてしまうのだ。

だから、ここは見られたくないなというときは、見せないというものアリだと思う。でも、親の行動や言葉遣いが、家庭の教育力に直結するということを実感できるよい機会であることは確かだ。

新しい生活スタイルにいまだ慣れないという人も多いだろう。親子で過ごす時間が増えたことによるメリットも多いことを知っておいてほしい。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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(プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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