輸入車に乗りたいなら「ディーゼルのSUV」を選ぶべきシンプルな理由

プレジデントオンライン / 2020年11月8日 9時15分

BMW X1 2015年モデル xDrive18d xLine

■高額の輸入車は「金融商品と同じ」と考えたほうがいい

やはり中古より新車が欲しい。でも車種にこだわりはなく、手元の資金もさほど潤沢ではないから低コストが最優先。買えるなら輸入車のほうがカッコいいけど、やっぱり高いだろうし——。こんなイメージを持っている人は少なくないだろう。それでは具体的にどうすればいいのか。

大手車用品メーカーで10年以上クレーム対応を務め、大手自動車メーカーの開発アドバイザーを務める平塚俊樹氏が言う。

「高額の輸入車は、いわば金融商品。投資や節税対策が購入目的で、売り手もフィナンシャル・プランナーのような感覚で売っているんです。法人や個人事業主以外は買わないほうがいい」(平塚氏、以下同)。

やはり一般庶民には高嶺の花か。そう思いきや、早合点をしてはいけない。

■ただし「全長5メートル未満」の輸入車ならアリ

順番に述べていこう。まず、金融商品としての輸入車もあれば、個人が買ってもいい輸入車も当然あって、その境界線は車そのもののサイズにある。

「日本国内で走る個人向きの輸入車は、『全長5メートル未満』というのが通説です。例えばBMWなら1から7まであるシリーズのうち、1~3まで。ベンツならA、B、C、E、SクラスのうちA~Cまで。投資より国内で乗るほうを優先するなら、このサイズが適当」

そのサイズの輸入車と国産車、どちらを選ぶかというと「やはり、故障の少ない国産車、中でも世界展開しているグローバルモデルをお勧めします。下取り価格が安定的ですから」。

先の記事(「3年ぶりの異変」ヤリスクロスの爆売れでわかった本当に賢い車の買い方)でも触れた通り、「新車は査定を見て買うもの」が持論の平塚氏。査定額が高ければ低額でローンが組めるうえ、短期間での買い替えも容易だからだ。

■輸入車であっても、トヨタ車と同じ部品が使われている

「実際によく見ていると、新車は査定のいいものしか売れていません。消費者はやはり賢い。現時点でいえるのは、SUVは海外で人気のあるグローバルモデルの日本車がいい。小型・軽自動車もやはり日本車が高査定、高品質でおすすめです」

ただ、輸入車に未練がある人なら、国産車と査定額で競うことができる、故障の少ない輸入車を選べばよい、という理屈も成り立つ。日本車と比べて故障が多いイメージが強いのだが、実は、かつてとは様変わりして、日本車並みに故障の少ない輸入車は少なくないのだ。

「輸入車で査定がいいのはディーゼル車です。国産車にない加速力や静かさといった乗り味が素晴らしくて、高速道路でもまったく疲れません。壊れにくくなったのには理由があって、国産と競合できるような輸入車は、日本製の部品が多用されているんですよ」

BMW、ボルボなどの車体に、トヨタ系のデンソーやアイシン精機といった日本の自動車部品メーカーの部品が使われるようになったことで、故障が減って長持ち度が格段に増したのだという。

「こうした仕様は、日本向けが主です。トヨタはディーゼル車を出していませんが、言ってみればディーゼルエンジンを積んだトヨタ車ですね(笑)」

見た目もカッコよくて走りが快適、しかも故障が少ないから、高査定・低額のローンで買える……というわけだ。

■月7万円台のままで「BMW X2」の新車に乗り換えられた

「BMWの1シリーズのディーゼル車なんか、査定がメッチャ跳ね上がっていて、今やトヨタファン、というか壊れない車を求めている人にとって垂涎のモデルです。私が560万円で購入した1シリーズの「X1 xDrive18d xLine」は、2年8カ月乗って走行距離8000キロ。査定が430万円だから、560万円の76%でした」

5年の残額設定ローンで月7万円台。トヨタの高級クロスオーバーSUV「ハリアー」と同程度だったが、頭金30万円でおつりがきて、「X2 xDrive20i MスポーツX」にステップアップ。月々の支払いも同額で乗り換えしたという。

BMW X2 2018年モデル xDrive20i M-Sport X
BMW X2 2018年モデル xDrive20i M-Sport X

「考えてみれば、BMWのかっちりした車体にアイシンの6速AT、四駆だしリッター17キロは走る。ほんとに夢の車だと思いました」

■トヨタが国内でディーゼル車を出さない本当の理由

好機を見過ごすまいと、今年からアウディもこの国内のディーゼル輸入車市場に参入。実際、国産のセダンは輸入車に押されていて、現在は「瀕死の状態」だという。

「コロナ禍があったとはいえ、クラウンは前年比3分の1しか売れていないし、他もカローラ以外に目立って売れている国産セダンはありません。カムリ、アコードなど海外でも売れているグローバルモデルでないと、生き残りが難しい状況です」

トヨタ カムリ ハイブリッド 2017年モデル
トヨタ カムリ ハイブリッド 2017年モデル

ならば、トヨタはディーゼル車のセダンを出せばいいじゃないか、と考えるのが普通だが、平塚氏によればトヨタは国内ではディーゼル車を出さない、という。

「理由はディーラーの都合です。扱う車種が多過ぎるので、整備をガソリン車に絞りたいから。そもそもディーゼル車は、メンテナンスが大変なんです。トヨタは国内メーカーの中では例外的に、メーカー本体より販売店のほうが強い。何か不備があると、販売店の整備士が勝手に直してしまうか、そうでない時はメーカーに乗り込んで開発をシメに行くから怖い(笑)。マツダのディーゼル車は、整備士たちの頑張りが下支えしているようなものです」

■「中古でいいからベンツを」という人は3年落ちを選べ

もっとも、ディーゼルの輸入車の優位がいつまで続くかは未知数だ。2024年のユーロ6規制による厳しい排気ガス規制、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止するカリフォルニア規制等々、年々厳しくなる環境規制がディーゼル車のネックになる。

「ディーゼルはいきなり生産縮小になる可能性もあります。今は売れてないクラウンが後継車のミライに継承されて、FCVやハイブリッドの国産セダンの復活が、近年また見られるかもしれません。また、これまでは低かったハイブリッド車の査定が、徐々に上がってきています。例えば、ハイブリッドしかないカムリは今、かなりの高査定です。日本勢の巻き返しに期待しています」

ちなみに、「新車といわず、中古でいいからベンツを」という人は、ガソリン車の低査定を逆手に取れば、3年落ちならミニバンと大差ない価格で購入できる。

「最新型に乗れるし、2年のディーラー保証がつく。今のベンツは3年、4年落ちでも新車と変わらないくらいピカピカですからね。本当の富裕層は、税金対策のために余ったお金で4年落ちのベンツを買います。ベンツやBMWは6年でモデルチェンジするので、2年乗って減価償却して売っ払うわけです」

■あの不倫現場に在庫の無い新型の「BMW X6」があった謎

では今、ディーゼル輸入車の中からお得な車種をピックアップするには、どんな買い方を心がければよいのだろうか。

「買い換えを前提にした新車購入を考えると、ガソリン車の輸入車は査定が低くて国産にはかないません。しかし、輸入車のディーラーは本国からいろんな車種の売り込みを命じられていますから、当然ガソリン車も売らなきゃならない。すると、一見さんにはこうしたお得なディーゼルではなく、ガソリン車を勧められる可能性があります。そうすると買い替え時もずっとガソリン車。だから、輸入車の購入はいかにディーラーと仲良くなるかがカギ。常連さんから紹介してもらうのもいいでしょう」

最近、不倫の現場を撮られて話題となった著名人が乗っていたのは、BMWの6シリーズの新型だった。

BMW X6
BMW X6

「6シリーズはディーラーも売る相手を選びます。メチャクチャもてる車だし、査定は下がりません。買えないけど(苦笑)。輸入車はコネの世界。彼自身が車に相当詳しいか、詳しい知り合いがいるんだと思います。でないと、在庫の無い新型のX6なんて買えない」

手堅く故障の少ない国産車オンリーかと思いきや、同じ文脈で手を出せる輸入車もあるとは。知っていれば、あるいは身近に詳しい人がいれば、新車選びの選択肢がぐんと広がる。車の買い方とその考え方、なかなか奥深いものである。

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西川 修一(にしかわ・しゅういち)
プレジデント編集部
1966年、神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業。生命保険会社勤務、週刊誌・業界紙記者を経てプレジデント編集部に。

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(プレジデント編集部 西川 修一)

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