「糖質を抑えたいが弁当は作りたくない」コンビニランチは何を選べばいいか

プレジデントオンライン / 2020年11月23日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chachamal

午後の睡魔と夕方の疲れから解放されるために重要なのは血糖値を安定させること。しかし、働いていると、どうしても外食で糖質の多い食事をしなければならないことや、どうしてもコンビニランチで済ませなければならないときがある。そんなときの正しい選び方、食べ方とは——。

※本稿は前野博之『成功する人ほどよく寝ている』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

■現代人に忘れ去られたブドウ糖以外のエネルギー源

人間が活動をするためにはエネルギーが必要になるのだが、食事をするときの注意点は、とにかく血糖値を安定させることである。

摂った糖質は消化されてブドウ糖になり、腸から吸収されてすぐにエネルギーとして使われる。脂質やタンパク質に比べてエネルギーに代わるまでの時間が短いので、エネルギー源として重宝され、白米やパンや麺類などの糖質が現代人の主食となっている。

しかし、精製された白米や白い小麦などの糖質を摂りすぎると、消化と吸収が速すぎるため血液中のブドウ糖(血糖)の量が急上昇し、血糖値の乱高下が起きて睡魔や低血糖症などを引き起こしてしまう。そのため、糖質を摂る量を抑えたほうがよいのだが、そうすると今度は生命活動のためのエネルギーが不足してしまうので、ブドウ糖以外のエネルギー源を確保する必要が出てくる。

それでは、ブドウ糖以外のエネルギー源とは何なのか? 実は、人間には主なエネルギー源がふたつあるのだ。ひとつは、これまでに説明してきたブドウ糖。そして、もうひとつのエネルギー源はケトン体だ。ケトン体は脂質を分解して肝臓で合成されるエネルギー源で、人類が700万年の長きにわたり使ってきたエネルギー源なのだが、糖質を主食とした現代人には忘れ去られてしまっているのだ。

■脂質なら63日分のエネルギーを備蓄できる

縄文時代前期の遺跡の調査からもわかるように、祖先の時代は何百万年も狩猟採集の生活を営んでおり、食事の内容は肉、魚、木の実などが由来のタンパク質と脂質が中心であった。糖質はほとんど摂っていなかったので、ケトン体を主なエネルギー源にしていたと考えられている。狩猟採集の生活では、獲物を捕獲できない日は食事が食べれないので、エネルギー源を体に備蓄しておく必要があり、備蓄エネルギーとして最適なのが脂質なのである。

体重70kg、体脂肪率20%の男性の場合のエネルギー備蓄量を計算すると、糖質の備蓄量は1800kcalで1日分にも足りない程度しか備蓄できないが、脂質はなんと12万6000kcalで、1日2000kcal消費しても、63日分にもなる。この脂質を肝臓でゆっくりケトン体に合成し、エネルギーを安定供給できれば、数日間食事が摂れなくても生きていくことができるのだ。

■ケトジェニックな体質をつくるまでの道のり

しかし、現代人はエネルギー源がブドウ糖に偏りすぎているので、ケトン体をエネルギーとして使う回路が衰えてしまっている。もし、安定供給できるケトン体をエネルギーにできれば、血糖値が低いレベルで安定するので、午後の眠気やだるさもなくなり、スッキリした脳で仕事をこなせるようになるだろう。このような、ケトン体が主なエネルギー源になる状態を「ケトジェニック」という。

ケトジェニックな食生活は高タンパク、高脂肪、低糖質なメニューが中心になる(後ほど詳しく紹介する)。ただ、あまりにも糖質に偏った食生活を送っていた人は、ケトン体を利用する回路が上手く回りだすまでに時間がかかる場合がある。そういう人は、いくらタンパク質を増やしても、いきなり糖質を0にするような極端な糖質制限をすると、エネルギーが不足し体調を崩してしまう。ケトジェニックに切り替える場合は、徐々に糖質を減らすようにしよう。

また、ケトン体が体内で増えると独特のケトン臭によって体臭が臭くなるとインターネット上で書かれているが、これもケトン体を利用する回路が回っていない状態で急激に極端な糖質制限を行った結果、エネルギーとして使い切れずに余ったケトン体が臭っているということなので、徐々に切り替えて体を順応させれば心配ないだろう。

■午後の睡魔と夕方の疲れから解放される

ケトジェニックな体が手に入れば、午後からの仕事のパフォーマンスを上げることも可能になるのだが、その場合に知っておいてほしい注意点がある。食事から糖質を減らしただけだと、脂肪だけでなく筋肉も減少してしまうのだ。

筋肉の量はキープしつつ、脂肪をエネルギーに変えるためには、しっかりとタンパク質を摂ることが重要なのである。理想的なケトジェニック状態の体を手に入れるために、肉、魚、卵、大豆を積極的に食べるようにしよう。こういった知識を持たず、ネットからの簡単な情報だけで糖質だけを減らした糖質制限ダイエットやケトジェニック・ダイエットなどに挑戦すると、体重は減るが、同時に筋肉も減ってしまい、基礎代謝量が下がるので最終的にリバウンドしてしまうのだ。

これらの注意点を考慮しながら自分の体調に合わせて糖質を減らし、ケトジェニックな体になると、午後の睡魔から解放され、夕方も疲れ知らずで仕事をこなせるようになり、さらに自分の体に溜まった脂肪をエネルギーに変えるので体脂肪が減少し、引き締まった体形になれるという、スーパービジネスパーソンに変身できるのだ。

■糖質が多い食事を余儀なくされたときは……

上司や取引先との会食では、やむを得ず糖質が多い食事を摂る場合もあるだろう。その場合、できるだけ血糖値を急上昇させない工夫が必要になる。そういったときに実践してほしいのが「会席食べ」だ。

前野博之『成功する人ほど良く寝ている』(講談社+α新書)
前野博之『成功する人ほどよく寝ている』(講談社+α新書)

これまで日本人は「三角食べ」を子どものころから教えられ、偏らずに食べることを美徳にしてきた。そのために、おかずを食べると必ず白米も食べてしまい、その習慣が、血糖値を急上昇させる要因のひとつとなっている。

それに対し、会席食べは会席料理のように、一皿ずつ食べていく方法で、順番は次のようになる。まず、おひたしやサラダをいただき、次に煮物や、肉、魚などのタンパク質のおかず、最後に白米を漬物などで少量食べる。

この順番だと、最初に食べた食物繊維が最後に食べる白米の吸収を緩やかにしてくれるので、血糖値の急上昇を抑えられるのだ。白米を食べる場合は、ぜひ試してほしい。麺類を食べる場合は、わかめ蕎麦にしたり、野菜ラーメンにしたり、繊維質を先に摂れるメニューを選ぼう。

ただ、女性の場合は1回で食べられる量が少ないので、先にサラダをしっかり食べてしまうと、それだけで満腹になり、タンパク質のおかずを十分食べられなくなってしまう。そういった人は、先にタンパク質のおかずを食べることをおすすめする。

■「コンビニランチ」は何を選ぶべきか

ケトジェニックな体を手に入れる食事は、基本的に高タンパク、高脂肪、低糖質なものを選ぶことになる。

極端に糖質を0にする必要はないが、揚げ物の衣やドレッシング、ソースなどにも糖質は含まれているので、知らないうちに食べていることが多い。そのため、ここでは糖質の多いメニューは表記していない。コンビニや外食で糖質制限する際に何を選ぶとよいかの目安にしてほしい。

おでん
写真=iStock.com/Chiemi Kumitanil
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コンビニでランチを購入する場合

コンビニで購入するものに関しては、缶詰などはオフィスや公園でのゴミ処理が面倒なので、容易に容器を捨てられるものを選んでいる。

サラダチキン、厚焼き玉子、チョリソー、冷ややっこセット、ゆで卵、サラダ類、から揚げ、フライドチキン、焼き鳥、味噌汁、わかめスープ、おでん(厚揚げ、大根、卵、こんにゃく、がんもどき)、低糖質パン、低糖質麵
飲食店でのランチの場合

・バイキング形式の店で、野菜、肉、魚を中心にチョイスする
・キャベツおかわり自由のとんかつ屋で、とんかつ単品とキャベツを山盛り食べる
・フライドチキンとコールスローサラダ(ポテトやビスケットは控える)
・ファミリーレストランなら、ビーフステーキ単品とサラダ(スープとパンは控える)
・中華なら、野菜炒めとから揚げ(ラーメンや焼きめし、ライスは控える)
・居酒屋なら、刺身定食や焼魚定食で(白米を3分の1くらいに減らしてもらう、冷ややっこを単品で足せたらgood)
・玄米は白米よりも血糖値の上昇が緩やかなので、定食のご飯に玄米を出してくれる店を選ぶようにする

■正しい間食、夕食、夜食の食べ方

間食

小腹が空いて、何かおやつを食べたいときは、ナッツがおすすめだ。間食で甘いお菓子を食べると、またもや血糖値の乱高下を起こし、夕方にはだるくて集中力が低下してしまう。

また仕事においてはドーパミン(脳内神経伝達物質)による集中力が重要になるため、ドーパミンの元となる栄養素を含むピーナッツやアーモンド、カシューナッツなどはビジネスパーソンにとって最高の間食になる。小魚アーモンドはカルシウムも摂れるのでおすすめだ。購入するときには、油で揚げていない、素焼きのナッツを選ぶようにしよう。

ただし、夜遅くにスマホで何かを検索すると、ドーパミンによって脳の集中力が高まり、時間が経つのを忘れて検索してしまうようになる(スマホ依存)。入眠を妨げる原因となるので、夜は脳をリラックスさせるため、入眠の90分前にはスマホの電源を切るようにしよう。

夕食

仕事帰りに居酒屋に誘われたら、サラダからスタートし、刺身、焼魚、肉料理、焼き鳥などタンパク質を中心に選ぶようにしよう。睡眠の質を上げるなら、焼きおにぎりやお茶漬け、締めのラーメンなどの糖質は控えたほうがよい。

お酒は、焼酎やウイスキーなど、糖質を含まない蒸留酒がおすすめだ。睡眠の質を考え、就寝3時間前には飲酒をやめるようにする。

自炊でも、サラダ→タンパク質のおかず→主食(少量の玄米)の順番で食べる「会席食べ」を忘れないようにしたい。

眠くなる理由のひとつに深部体温の低下があげられるが、牛すじ、豚足などコラーゲン豊富な食品や、たら、いか、たこ、ほたて、魚の皮などの魚介類に深部体温を下げるときに必要な栄養素が多く含まれるので、メニューを考える際の参考にしてもらいたい。

また、帰宅時間が遅くなり、食事を作る時間がとれず、スーパーやコンビニで食事を買って帰る場合は、焼き鳥、さば缶(味煮は甘いので水煮で)、ゆで卵、納豆などを選ぶとよいだろう。

夜食

就寝前にお腹が空いてたまらないときにも、タンパク質を中心に考え、卵を落としたわかめスープや、木綿豆腐の上に海藻をのせた冷ややっこ(冬は昆布だしの湯豆腐)などをおすすめする。

木綿豆腐や海藻類は血糖値を安定させるだけでなく、副腎疲労からの回復や、メラトニンの生成に必須のマグネシウムも多く含んでいるので、まさに一石二鳥のメニューになる。

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前野 博之(まえの・ひろゆき)
栄養睡眠カウンセラー協会 代表理事
1967年生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、大手電機メーカーに入社し、家電製品の開発を担当。睡眠時間が4~5時間というハードな毎日を続ける中で体調を崩し、健康の大切さを痛感。2005年に栄養学の資格を取得。プロスポーツ選手やモデルへのアドバイス、スポーツジムでのダイエットプログラム作成、病院での栄養指導を行うかたわら、栄養に関する講演を2500回以上行っている。この間、健康の維持には栄養の改善だけでなく睡眠も重要であるとのことから最新の睡眠学を学び、そこに栄養学を加えて独自の「睡眠改善メソッド」を構築、現在は栄養睡眠カウンセラーの育成を中心に活動中。

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(栄養睡眠カウンセラー協会 代表理事 前野 博之)

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