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洗濯のプロが伝授「絶対に臭わない部屋干しのための3つの必要条件」

プレジデントオンライン / 2020年12月25日 9時15分

部屋干しのイヤな臭いを避けるにはどうすればいいか。『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)を出した「洗濯ブラザーズ」の茂木康之氏は「部屋干しでイヤな臭いがするのは、干し方と洗い方に問題があるから。干し方については、3つの必要条件を満たせば臭わない」という――。

※本稿は、洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■服を長持ちさせるには、部屋干しがオススメ

洗濯が終わった後、いかにキレイに仕上げるか。効率よく乾かすか。

そんな視点で、ボクらのノウハウをお伝えします。

じつは、クリーニング屋で人件費がかかるのは、この仕上げの部分です。その手間をいかに少なくしてクオリティを上げるか、というのは業界の課題であり、そこにコンサルティングとして切り込んだのがボクたちの父親でした。そのノウハウは、ご家庭での悩みの解決にも通じています。

いきなりですが、みなさんが最も間違っていること、それは、「青空の下で洗濯物を干す」ことです。今日から、これはやめましょう。晴れた日に屋外で干すと、衣類は紫外線にガンガンさらされます。直射日光が肌によくないのと同じで、服にとってもとても危険な行為なのです。

とくに濃い色のものは紫外線にめっぽう弱く、これを続けていると色があせてしまいます。部屋の中でも日当たりがいいところで干すなら、衣類を裏返しておいたほうがいいです。部屋干しすると、季節によっては花粉やPM2.5などの有害物質から衣類を守ることができて、一石二鳥です。

え? 部屋干しの臭いが気になる?

大丈夫。乾燥のメカニズムを知れば、部屋干しのイヤな臭いは発生しませんから。

■部屋干しのイヤな臭いは、キレイに洗えていない証拠

洗濯ブラザーズ式の洗い方なら臭いはしません! 部屋干しのイヤな臭い。それは干し方と洗い方に問題があります。ボクらが「いい洗い」かどうかを判断するとき、目で見える汚れがそのまま残っているのは論外として、部屋干しで臭いがするかどうかがバロメーターになります。

室内に洗濯物を干している女性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

臭いの元となるモラクセラ菌は、しっかり洗えていれば殺菌できます。ところが、なんとなく洗濯機を回しているだけでは、モラクセラ菌は分解されず、流れ落ちてくれません。

なので、洗い方についてはこれまでの連載①②のポイントを守って、干し方についてはこれから述べる方法を使って、この菌を退治しましょう。

■生乾き臭の原因菌は皮脂と水分をエサに増殖する

モラクセラ菌などの雑菌は、衣類に残っている汚れをエサにして増殖します。汚れとは、具体的には皮脂のことです。これを蓄積させないために、とにかくまめに洗濯することが、大切です。モラクセラ菌などの雑菌には、もうひとつ大好物があります。水分です。

洗濯物を通気性のいい洗濯カゴに入れるのは、少しでも湿気をためないためです。

湿気がこもる洗濯カゴや、ましてや洗濯機の中に入れておくと、モラクセラ菌などの雑菌がどんどん元気になってしまいます。ということは、洗ったあとも当然、衣類に水分があるのですから、落としきれなかったモラクセラ菌などの雑菌がどんどん増えていくことになります。それを防ぐには、なるべく短時間で乾かすこと。早く乾かすほど、臭いの発生は抑えられます。

これからお伝えする通りに干していただくと、乾燥時間はこれまでより半分くらいに短くなります。目標タイムは5時間以内。部屋の環境を整えれば簡単です。

■「目標タイムは5時間以内」部屋干しに欠かせない3要素

水分のあるところで、モラクセラ菌などの雑菌は増殖します。それを防ぐためには、洗濯後5時間以内で乾かすのが理想といわれています。そのために、いちばん大切なことは部屋の環境です。

「湿度」と「温度」、それに「風」。この3要素が大切になります。

まず、湿度は40%以内であること。あとで詳しく説明しますが、この環境を人工的につくります。

温度は、人が快適に感じるくらいが洗濯物にとってもベストです。夏場のエアコンは27℃くらい、冬なら20℃くらいに設定していると思いますが、その温度が最も早く乾きます。

そこに、適度な風を送れば完ぺきです。これもサーキュレーターや扇風機の力を借ります。

以上が備わっていれば、バスタオルや厚めのスウェットなど、ふつうは乾くまでに6~7時間かかるところを、3~4時間に短縮できます。それだけモラクセラ菌の発生リスクが抑えられて、部屋干し臭が出なくなるのです。

■除湿機とサーキュレーターで乾燥時間を一気に短縮できる

湿度、温度、風。理想的な部屋干しの環境をどのように整えるか、その方法を述べていきます。エアコンは温度管理もできますし、乾燥した風で空気中の湿度も下がり、風の流れができるので、洗濯物が乾きやすくなります。

ただ、湿度については、これだけでは不充分です。プラスで除湿機を使えば、ぐっと乾燥時間が短くなります。たとえば、1レーン(約90センチ幅)の洗濯物を干すときに除湿機を使うと、タンクに2リットルも水がたまるのです。空気中からこれだけの水分を除くのは、エアコンだけでは無理があります。

除湿機を持っていなければ、これは買って損のない投資です。さらに、風を送るためのサーキュレーターや扇風機があれば完ぺきです。除湿機はさまざまなメーカーから出ていますが、空調製品に特化したメーカーの空気清浄機(除湿機能付き)は、やはりパワーがあります。

部屋干しの洗濯物と扇風機
写真=iStock.com/ahirao_photo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ahirao_photo

最近では、除湿機にサーキュレーターを搭載した衣類乾燥除湿機も販売されています。除湿しながら風を送れる、まさに部屋干しのための理想のアイテムです。除湿機も扇風機も持っていなければ、これを1台購入してみるのも便利だと思います。

ちょっと裏ワザですが、布団乾燥機を持っている人は、それも使えます。少ない洗濯物を乾かしたいときに、布団乾燥機の熱風を洗濯物に当てるのです。水分は空気の温度が高いほど早く蒸発するので、あっという間に乾いてくれます。ただし、生地が傷みやすいので、デリケート素材を乾かすのに使うのは避けておいたほうがいいでしょう。

■広い部屋より、狭い部屋の方が乾きやすい

広い部屋のほうが、空気が循環して早く乾くような気がするかもしれませんが、じつは、狭い部屋のほうが部屋干しに適しています。

理由は単純です。狭い部屋のほうが、効率的に湿度を下げやすいからです。部屋の面積が広いと、それだけ湿度を下げるのが大変になります。つまり、部屋干しに最適な環境とは、なるべく狭い部屋で、エアコンと除湿機、サーキュレーターを使うこと。

ちょうどいい部屋がなければ、お風呂場に干すという手もあります。

浴室乾燥機が付いていればベストですが、なくても換気扇はどこの家でも付いています。換気扇をずっと回しておくだけでも湿気が除かれ、乾きやすくなります。そこに除湿機とサーキュレーターを置けば完ぺきです。

ちょっと注意が必要なのは、お風呂場はそもそも湿度が高く、黒カビの発生源でもあります。

エアコンもしばらく使わないと、中が結構、カビています。カビの温床から、胞子が風に乗って空気中にばらまかれ、洗濯物に付着すると、臭いはもちろん、黒ずみの原因になります。お風呂場の乾燥機・換気扇、エアコンのメンテナンスをきちんとしましょう。

ついでに言うと、洗濯物を干す部屋の臭いも結構、付着するものです。キッチンやダイニングとつながっている部屋は、なるべく部屋干しに使わないほうが賢明です。

■空気が通りやすいように、「こぶし1個」は間隔をあけて干す

ピンチハンガーに干すときも、ハンガーラックや突っ張り棒などに干すときも、衣類と衣類の間隔を、こぶし1個分以上あけます。この幅が近すぎて、洗濯物がギュウギュウ詰めのような状態になっていると、せっかく湿度、温度、風の理想的な環境をつくっても、空気の流れが滞って効果が半減してしまいます。

とにかく、衣類が空気に触れる表面積をなるべく広げることがポイントです。ポケットのあるものは裏返して、ポケット部分も空気に触れさせます。パーカーなどのフードは、ハンガーを2本使って広げれば、パーカーの裏側も空気にさらせます。

タオルも2本のハンガーを使って、コの字形になるように干しましょう。そのほうが空気に触れる部分が大きくなります。

■洗濯物はなるべく高い位置で干す

理科で習いましたが、温かい空気は上のほうにたまります。逆に、冷たい空気は下に落ちていきます。洗濯物から出た湿気は、冷たい空気のある、部屋の低い位置にたまっていきます。

というわけで、なるべく温かい空気があって、湿気がたまりにくい、高い位置に干したほうが乾きの効率はよくなります。なるべく上に、上に、干すようにしましょう。

腰くらいの高さの物干しで乾かすより、大人の背より高いくらいのハンガーラックに吊るしたほうがよく乾きますし、それより高い位置に取り付けた突っ張り棒を使えばもっといいというわけです。障子やふすまなどの上にある「かもい」にハンガーをひっかけてもいいでしょう。

洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)
洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)

クリーニング屋では、洗った物を天井に近い位置に吊り下げています。知り合いのスタイリストさんは、自宅の屋上に出る階段を上りきったスペース(階段室)に干しているそうです。さすが、よくわかっているな、と思いました。

同じ理屈で、服の乾きにくい部分は、なるべく上にして干すのがポイントです。靴下の厚いリブの部分や、デニムのポケットなどは内側を裏返して外に出して干します。こんなちょっとしたことで乾く時間が大きく変わりますから、ぜひやってみてください。

今回は、部屋干しのコツについてお話しました。部屋干し臭を防ぐには、洗濯槽をきれいにすることも大切です。湿気の多い春夏は臭い菌が繁殖しやすいので、月に1回は洗濯槽を洗浄しましょう。秋冬は3カ月に1回で大丈夫です。

お気に入りの服をキレイに洗えるだけでなく、傷めず長持ちさせることができます。全3回でご紹介したボクたちの洗濯術で、毎日の洗濯を楽しんでくださいね。

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洗濯ブラザーズ(せんたくぶらざーず)
茂木貴史(長男)、茂木康之(次男)、今井良(三男)の3人で結成し、毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う。キレイに洗えるだけではなく、同時に服を傷めず長持ちさせられるのが、洗濯ブラザーズ式・洗濯術の特徴。全国の百貨店、セレクトショップなどでイベントやセミナー、講演を行うなど、毎日の洗濯が、「嫌いな家事」から「好きな家事」になるように、洗濯の楽しさを伝える活動をしている。初の著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)は6万部突破のベストセラー。公式サイト、オリジナル洗剤オンラインショップ

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(洗濯ブラザーズ)

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