「歯が抜けるリスクも」歯科医が警鐘、50代で「噛む力」が急低下する人の意外な生活習慣

プレジデントオンライン / 2021年1月12日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JackF

固いものを食べるときに、思わず歯をかばってしまうことはないだろうか。歯を支える歯槽骨(しそうこつ)の新陳代謝の低下と、意外な生活習慣によって、50代になると急激に噛む力が低下するのだという。

■歯の土台危機は50代から一気に増加

平成元年から厚生労働省と日本歯科医師会が推奨している8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動を耳にしたことがある人は多いだろう。「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という取り組みだが、近年は「残された歯でしっかり噛めるか」も、オーラルケアの重要なテーマとして指摘されている。

歯科医師で宝田歯科院長の宝田恭子先生は「50代から歯の土台危機が始まる」と警鐘を鳴らす。歯の土台とは、歯を支えている歯ぐきと歯槽骨などからなる歯周組織のこと(図表1)。歯の土台が弱ると、噛む力を十分に発揮することが難しくなるばかりか、歯が抜けるリスクが高まるという。固い物を食べるときに、思わず歯をかばってしまうことはないだろうか。50歳以下であっても、それは歯の土台危機の始まりかもしれない。

歯の土台
資料提供=歯の土台ケア広報事務局

40代~70代を対象とした「歯の土台に関する実態調査」(※)によると、50代~70代の約3人に1人が、歯を支える力が低下し、歯が抜けてしまうリスクの高い状態(=歯の土台危機層)にあることが明らかになった。

※ライオン「40代~70代の歯の土台に関する実態調査」n=400

各世代の歯の土台危機への現状リスクを判別すると、「現状リスク大」に該当する人の割合は50代から一気に増加し、40代の2倍以上に。50代から歯の土台が弱り始める傾向にあることがわかる(図表2)。

具体的な症状としては、「固いものを食べるときに、思わず歯をかばってしまうことがある」と答えた人の割合は、40代で17.0%なのに対し、50代で33.0%と約2倍に増加している(図表3)。

歯の土台危機への「現状リスク度」
出典=ライオン「40代~70代の歯の土台に関する実態調査」より抜粋
「固いものを食べるとき、思わず歯をかばってしまうことがある」
出典=ライオン「40代~70代の歯の土台に関する実態調査」より抜粋

■自覚症状がなくても油断は禁物。歯の土台チェック!

以下のチェックリストを使って、自分の歯の土台を確認してみよう。
(監修:宝田恭子先生)

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歯の土台チェックリスト【症状編】あてはまる項目にチェックしよう!
□歯ぐきが下がってきた(歯が長く伸びてきた)
□歯並びが悪くなってきた
□歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなってきた
□固いものを食べるときに、思わず歯をかばってしまうことがある
チェック0個…現状リスク小
チェック1~2個…現状リスク中
チェック3~4個…現状リスク大

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「歯の土台危機が進行し、弱ってくると徐々に土台の骨(歯槽骨)が壊されて減ってしまいます。そのぶん、歯ぐきが下がり、以前より歯が長く見えるようになったり、歯をしっかり支えられなくなったりして、グラつきや歯並びの変化も出てきます。こうした変化により、食べ物が挟まりやすい、固いものが噛みづらいなどの自覚症状が表れてくるので注意が必要です」(宝田先生)

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歯の土台チェックリスト【生活習慣編】あてはまる項目にチェックしよう!
□甘いものなど間食をよくする
□ダラダラ飲んだり食べたりし続けることが多い
□晩酌・寝酒をよくする
□食後にウトウトしてしまう
□あまり噛まずに食べる、早食いだ
□野菜は嫌い、あまり食べない
□1日のうち、長時間スマホを見ている
□睡眠不足だ
チェック0個…悪化リスク小
チェック1~3個…悪化リスク中
チェック4~8個…悪化リスク大

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「間食やダラダラ飲食は、口内に食べ物のカスが残りやすく、菌の塊(プラーク)ができやすい状態になってしまいます。同じように、晩酌・寝酒や食後のウトウト習慣は歯磨きがおろそかになり、歯の土台に炎症を起こしてしまう可能性があります。さらに睡眠中の唾液の減少により、歯の土台に炎症が起きやすい状態になってしまいます。

あまり噛まない、野菜をあまり食べない人は、よく噛む機会が少なく、歯の土台への刺激が少なくなります。ほかにも、長時間のスマホにより普段から前傾姿勢(猫背)になってしまうと、正しい噛み合わせ位置がズレて噛む回数が少なくなりがちです。こうして咀嚼が減ると、歯槽骨の新陳代謝が促されずに、健康な歯の土台が維持できなくなる恐れがあります。ほかにも、睡眠不足は白血球の減少を招き、抵抗力を低下させて、歯の土台の炎症を悪化させるリスクとなります」(宝田先生)

前述の調査結果によると、【生活習慣編】の8つのチェック項目のうち、5つ(甘いものなど間食をよくする、ダラダラ飲んだり食べたりし続けることが多い、あまり噛まずに食べる・早食いだ、野菜は嫌い・あまり食べない、睡眠不足だ)において、50代は該当率がNo.1という結果になった。意外な生活習慣が、歯の土台の悪化リスクにつながっていることがわかる。こうした習慣を続けている人は、たとえ30代であっても要注意。歯の土台の悪化は、日々の習慣から始まると心得ておいたほうがいいだろう。

■歯の土台ケアの2本柱は「しっかり噛むこと」と「プラークコントロール」

歯の土台を守るセルフケアの方法を宝田先生に教えていただいた。基本は、毎日の食事でしっかり噛むことと、丁寧なオーラルケアだ。

【毎日の食事編】しっかり噛む食事法

歯を支える歯槽骨は、肌と同じように新陳代謝を繰り返している。加齢により歯槽骨の新陳代謝は衰えていくが、毎日の食事でしっかりと噛むことで、歯槽骨を形成する骨芽細胞の活性化が期待できる。

ポイント→固めに炊いた白米や玄米1口分を口に入れ、背筋をピンと伸ばしてできるだけゆっくり30回程度すりつぶすようにして噛んで食べる。一度箸を置くくらい時間をかけるのがコツ。

【オーラルケア編】しつこいくらい丁寧な歯磨きで汚れを落とす

歯周病菌による炎症によって生じる酸化ストレスは、歯の土台を弱らせる要因となる。歯周病菌の繁殖を予防するプラークコントロールは歯の土台ケアにも有効だ。

ポイント→歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先を斜めにあて、軽い力で小刻みに動かして1~2本ずつ磨く。歯ブラシが動かしやすいよう、口を少しだけ閉じること、汚れがひどい箇所は時間をかけて丁寧に磨くこと、舌で触れて確かめてツルツルになっていなければ磨き治すことが大切。また、歯ぐきと唇の折り返し部分と、歯と歯の間の歯肉を、中心に向かって指でなぞるようにしてマッサージすることも効果的(図表4)。

歯ぐきマッサージ
提供=宝田恭子先生

これらのセルフケアに加え、定期的に歯科医院を受診して、歯石を除去してもらうことも大切だという。

50代になってから慌てないよう、若い頃から歯と歯ぐきだけでなく、それを支える歯の土台ごとケアする意識を持って、今ある歯を守っていきたいものだ。

(中島 夕子)

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