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EXILEのトレーナーが「やる気が出ないときは尻を鍛えろ」と断言するワケ

プレジデントオンライン / 2021年1月26日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/comzeal

安定したパフォーマンスを生み出す身体とはどんなものか。EXILEなどのフィジカルトレーナーを務める吉田輝幸氏は「見落とされがちなお尻の筋肉を鍛えることが重要だ。好成績を維持するアスリートは大きくて柔らかいお尻をしている」と説く——。

※本稿は、吉田輝幸『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

■ドーパミン効果で「挑戦する脳」に

リーダーのマインドで思考し、臆せず挑戦する力を養うトレーニングは、過負荷の原則を存分に生かせる筋トレが最適です。「もう無理だ!」と思ってからのあと2回。筋トレは、その追い込みこそが意味を成します。前回と同じ回数で諦めてしまっては、そこまで頑張った分は、筋力アップとしては効果ナシとなってしまいます。

とはいえ、筋トレ経験のある方ならわかるでしょうが、実際のところは「無理だ」と思ってからの追い込みも、意外とクリアしてきたのではないでしょうか。

このとき感じる「できた!」という達成感は、脳内でノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンのホルモンの分泌を促します。これらは「三大神経伝達物質」と呼ばれますが、ノルアドレナリンが不快感を避ける役割を担い、セロトニンが心の安定や調整を行うのに対して、ドーパミンは、大量に分泌されるとやる気や意欲が高まります。脳内の「側坐核」という部位がドーパミンで刺激されると、モチベーションが上がるとされているのです(ノルアドレナリンとセロトニンには、ドーパミンがモチベーションに作用するのを補助する役割もあります)。

■「10回×1セット」の小さな挑戦でもいい

限界まで追い込んで体力を使い果たしながらも、言いようのない爽快感を覚えたことのある人もいるでしょう。この爽快感も、ドーパミンの働きによるものです。

これらの快感を伴って生まれるモチベーションは、過負荷の原則に沿って「常に追い込み続けること」への挑戦を後押ししてくれます。「今日は3セットできたから、明日はもう1セット」といった具合に負荷を上げながら、着実に達成していくプロセスは、成功体験の積み重ねとなり自分への自信にもつながります。さらに、ドーパミンは新たなものへの探究心や動機づけのスイッチにもなってくれます。

このように、ドーパミンは挑戦力を養うにはいいことずくめです。しかも「10回×1セット」といった小さな挑戦でも、達成感を味わえば分泌されます。レジスタンス・トレーニングで「挑戦→達成」のサイクルを習慣化すれば、未知なる世界への挑戦でも、厭わず向かえる肉体と脳が育めるのです。

■トレーニングは「大きな筋肉から」が鉄則

筋トレは、「大きな筋肉から小さな筋肉へ」の順序で行うのが基本です。

吉田輝幸『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』(幻冬舎)
吉田輝幸『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』(幻冬舎)

筋肉の大きさと、使うエネルギー量は比例しています。大きな筋肉を動かすには大きなエネルギーが必要になるため、仮に小さな筋肉からトレーニングをはじめてしまうと、大きな筋肉を鍛えるときには十分なエネルギーが残っていない可能性があるからです。

また、大きな筋肉のトレーニングは、複数の関節や筋肉を使うことが多く、大きな筋肉のトレーニングからはじめれば、間接的に小さな筋肉も鍛えることになります。ダイエットの点からも、大きな筋肉を優先的に鍛えることは、基礎代謝のアップにつながります。

日常のさまざまな動作も、大きな筋肉を使って動くのが原則です。

人間の筋肉は、身体の中心部にあるものが大きくて、手足の指など末端にいくほど細く小さくなっています。ですから本来は高い棚の上のものを取るときも、腕ではなく背中を使って腕を動かすのが正しい動作です。歩いたり走ったりする際にも、股関節を動かして歩くのが本来の動作で、中心から外側へと動きを伝えて動かします。

私は以前からこれを、企業経営にたとえています。

全身の筋肉のなかでも身体の中央にあって、太い幹の役割をする体幹が、経営トップ。特に、腹筋が社長です。そこから末端にいくほど、部長、課長と役職や権限が下がっていきます。経営では、トップが明確な意思決定を下して経営責任も負い、末端が必要以上の権限を持ったり、能力を大幅に超える仕事を強いられたりすることはありません。

■腹筋が「社長」ならお尻は身体の「副社長」

ところが身体の使い方となると、多くの人が逆をやっています。腕や足首など末端だけを酷使して、中心の大きな筋肉を使えていないのです。

これではまるで、経験の少ない若手社員に膨大な仕事を押しつけたり、週3回出勤のアルバイトに重要案件を任せたりしているようなもの。オーバーワークの若手社員が急に倒れたりするように、身体もその部位のケガや機能不全を招きます。若手社員やアルバイト任せにしていては周りが手を焼くように、身体でも、中心の不十分な動きをカバーしていた末端の部位にもトラブルが生じたりします。

末端ではなく、本来使うべき中心の大きな部位には、体幹のほかに腿の前面(大腿四頭筋)やふくらはぎ(下腿三頭筋)、腿の裏(ハムストリングス)などの筋肉があります。なかでも今回、集中的に鍛えて欲しいのはお尻の筋肉です。

お尻の筋肉は、股関節と相関関係にあって、歩く、走る、止まる、骨盤を使って腰をひねりながら脚を蹴り出すなど、大きな筋肉の中でも複雑で重要な役割を担います。企業でいえば、お尻は副社長にあたるのです。社長である腹筋とトップ争いをするくらい、実は大事な筋肉です。

地面を歩く力の起点となっているのがお尻の筋肉です。そして社長が腹筋で、肩甲骨は専務取締役。企業では経営陣のブレが会社全体に影響するように、人間の身体でも、土台となる筋肉が使われていない状態では、ほかの部分を鍛えようとしても、ケガをしたり肩こりや腰痛、膝痛などのトラブルが出やすくなります。

でも、社長であるお腹とともに副社長のお尻もしっかり鍛えておけば、腕や脚など末端が肩代わりしていた負担がなくなるので、全身バランスよく鍛えやすくなります。

■アスリートすらお尻の使い方は忘れがち

実は、メジャーリーガーをはじめとするトップアスリートのトレーニングに携わるなかで、私が彼らの身体で特にチェックするのもお尻です。ここの筋肉が正しく使えているかどうかが、パフォーマンスに大きく影響するからです。

心身のコンディションがよく好成績を維持しているアスリートは、お尻から腿の付け根の筋肉が発達して張りがあり、ある程度の大きさがありますが、末端の足先にかけてはスッと細く締まっています。

ところが、副社長のポジションにありながら、お尻は身体の後ろにあるため意識しづらく、ますます使わなくなっています。身体の深部で腿やお尻に覆われている股関節も、膝や肘、肩などと違って意識しづらい関節です。

アスリートでさえ、シーズン中、私のトレーニングを受けずにいると、

「お尻ってどうやって力を入れるんだっけ?」

と正しい使い方を忘れてしまうこともあるほどです。

■挑戦力を高めるためにはお尻を鍛えよう

筋肉は、使わないと硬くなり、劣化したゴムのように切れたり裂けたりしやすくなります。アスリートの良好なコンディションはお尻に如実に表れますが、衰えもすぐわかります。副社長であるお尻にグッと力が込められないと、末端のアルバイトに頼って腿裏の筋肉で走ったりしてしまうため、肉離れなどの故障を起こしがちになります。股関節も、使わずにいると可動域が狭くなり、股関節が硬いと腰痛や膝痛のもとになります。

でも、トレーニングで鍛えれば、機能は必ず改善します。筋肉は新品のチューブのようなハリと弾力を取り戻し、こわばった股関節も、筋トレやストレッチで柔軟性は向上できます。

そこで、ここでは「挑戦力」を高めるトレーニングとしてお尻の筋トレを紹介します。お尻を引き締めたり、筋肉をつけてある程度大きくしたりするには股関節を使えることも欠かせないため、どちらにも効果的なメニューが中心です。このトレーニングはお尻の筋肉のなかでもおもに大臀筋と中臀筋を鍛えます。

挑戦力トレーニング①
出所=『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』
「動画でチェック!」
挑戦力トレーニング②
出所=『6つの力を養い、理想の働き方を叶えるトレーニング』
「動画でチェック!」

■立って歩く動作ひとつでもお尻を使っている

大臀筋は、腿の外側の付け根から背骨に向かってお尻全体を斜めに覆う筋肉で、腿裏の筋肉(ハムストリングス)と連動しています。つまり歩く、走る、椅子から立ち上がるなど、おもに下半身を使う動作でパワーを担う筋肉です。さらに、全身を大きく曲げたり伸ばしたり、ただ真っ直ぐ立ったりするだけでも、股関節とともに機能しています。日常動作のあらゆるシーンに関わる重要な筋肉が大臀筋です。

人間は二足歩行の生き物ですから、サルなどと比べても、この大臀筋が大きく発達しています。このことからも、立って、歩くという動作ひとつとってもお尻を使ってするものなのだとわかります。背骨に向かってお尻全体を覆い、支える筋肉ですから、お尻を引き締めたい人はもちろん、筋肉をつけて大きくしたい人にもこの大臀筋のトレーニングが欠かせません。

■“中臀筋”を鍛えて左右に揺れない体を作る

中臀筋は、お尻の側面上部を走る筋肉で、おもに股関節を横に広げる動作に関わります。大臀筋が身体をかがめたり伸ばしたり歩いたりという、身体の曲げ伸ばしや脚の前後の動きを担うのに対して、中臀筋は左右の動きに関わるイメージです。

中臀筋には横方向の身体の動きのストッパーの役割もあるため、片足で立ったり階段を上り下りしたりする際に、ブレを正して安定させます。街を歩いていると高齢者の方が身体を左右に揺らしながら歩いているのを目にしますが、これは中臀筋の筋力低下が原因の場合があります。若い人でも、歩いたり走ったりするときにお尻が左右に揺れてしまうというのは、中臀筋が衰えているからかもしれません。

■「意識の原則」でお尻のリーダーシップを目覚めさせる

トレーニングは、目的や意味を理解したうえで意識的に行うと、その効果が高まります。これは「意識の原則」といって、過負荷の原則とともに重要なトレーニングの原則の一つです。そのトレーニングでどんな機能が向上し、どこが鍛えられるのか理解しながら取り組むと、効果が表れやすいのです。

日頃意識しづらいお尻の筋肉を過負荷の原則で追い込むときには、身体の中心を使うことの大切さや、「お尻は身体の副社長」なのだと思い出してください。さらに、自分自身が持つべきリーダーのマインドにも目を向けましょう。

「挑戦力」に直結する「やる気」や「モチベーション」を上げるには、三大神経伝達物質のドーパミンが鍵を握る話をしました。ドーパミンは、目標を達成できたことに満足したり、「もう現状維持でいいか」と自分を甘やかしたりした途端、脳から分泌されなくなることもあるといいます。逆に、現状に満足することなく、より高い目標を設定すると、ドーパミンは再び脳から分泌され、モチベーションも一層高まるそうです。トレーニングは回数や頻度など、目に見える目標設定がしやすいものの代表格です。クリアしたときの達成感を存分に味わって、挑戦の勇気につなげてください。

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吉田 輝幸(よしだ・てるゆき)
フィジカルトレーナー
1975年生まれ。2009年に株式会社PCPを設立し、EXILEをはじめLDH所属アーティストのフィジカルトレーナーとしても活躍。アスリート指導、一流ビジネスパーソンのサポートもしつつ、トレーナー育成のプロジェクトなども進め活動の場を広げている。著書に『DVD EXILEフィジカルトレーナーが教える1日3分! 体幹トレーニング』(西東社)、『腹筋を割る技術』(幻冬舎新書)などがある。

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(フィジカルトレーナー 吉田 輝幸)

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