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「努力する前にやってみるべき」自分の強みや得意を分析する"4つの質問"

プレジデントオンライン / 2021年1月29日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Panuwat Dangsungnoen

いくら努力を重ねても、自分自身の強みや得意を把握していなければムダになってしまう。スポーツメンタルコーチの鈴木颯人氏は「潜在能力を100%引き出すためには、自分自身に4つの質問を問いかけてみるといい」という——。

※本稿は、鈴木颯人『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■潜在能力を引き出すカギは「自分を正しく理解すること」

結果を出すアスリートの多くが、“強い思い込み”を持っています。それは裏を返せば、スポーツの世界では、強い思いがあってはじめて未来を切り拓けるということ。これはビジネスでも同じことが言えると思います。

かといって、誤った思い込みや世界観を持ってしまうと泥沼にはまり、余計な苦労をしてしまいます。その状態から脱するには、何よりもまず、自分を正しく理解すること。自分という人間をどう捉えているかで、行動や生き方は変わってきます。

心理学の世界的権威とされるキャロル・S・ドゥエック氏も、著書である『マインドセット「やればできる!」の研究』(今西康子訳、草思社)の中で、世界の捉え方によって、結果は大きく変わることを伝えています。

ある力士は、自分は突っ張りが得意だと思い込んでいました。突っ張りとは、平手で相手力士を突く技で、力士がよく用いる技です。

しかし、突っ張りを多用することで、相手にたやすくまわしを取られる場面が増えました。体格差のある力士が対戦相手のときや、パワー勝負の取組になれば負けないのですが、少しでも想定外のことが立合(取組開始の瞬間)で起きると、一転して劣勢に。体勢が前のめりになり、気合が空回りして勝てない取組が続きました。

■得意技すらも疑ってみる

そんな中、彼は自問自答をするようになりました。「自分の得意技は本当に突っ張りしかないのか」と。

鈴木颯人『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)
鈴木颯人『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)

そしてある取組をきっかけに、突っ張り相撲をやめる決心をしました。“技”にこだわるのではなく、“立合で相手の体を起こすこと”に意識を向けた結果、自分なりに勝つコツをつかんで白星を重ねるように。さらに、関取としてキャリアハイの成績を出すことができたのです。

このように、自分の得意なことの捉え方を見直し、行動することで、もたらされる結果が変わることは珍しいことではありません。

私のメンタルコーチングでも、自分の可能性を信じる勇気を持ってもらうことを大切にしています。これは努力と同じくらい、ときには努力以上に重要なことです。そしてそのためには、自分を正しく理解することが欠かせません。

思い込みを知り、自分という存在を正しく理解することで、潜在能力は一気に開花するのです。

■自分を掘り下げる4つの「セルフインタビュー」

自分のことを掘り下げると、新しい視点や可能性が見つかることも少なくありません。潜在能力を発揮するうえで、これは欠かせないプロセスです。

その代表的なものが、「自己分析」。就職活動のとき、経験したことのある人も多いと思います。過去の成功体験や、自分の考えを整理することによって、強みや弱み、自分が本当にやりたいことなどを知る作業です。

自己分析の質問だけで一冊作れてしまうくらい膨大な量があるため、ここでは潜在能力の発揮に欠かせない質問を4問だけ厳選しました。紙とペンを用意して、次の図の質問に答えてみてください。答え終わったら、各ステップに沿って分析していきましょう。

自分を知るためのセルフインタビュー
『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)より
ステップ1
図で答えた「短所」に対し、それがどうして短所だと思ったのか、自分なりに理由を考えてみる。
ステップ2
ステップ1で答えた理由をながめ、「本当にそれは正しいのかな?」「100%言い切れるのかな?」「それって思い込みじゃない?」「周囲の人全員がそう感じている?」と、さらに自問自答(セルフインタビュー)してみる。

■「自分が考える自分の短所=思い込み」に気付ける

セルフインタビューをすると、たとえば次のような展開になります。

Q あなたの短所は?
 ↓
A 自分に自信がないところ
 ↓
Q どうしてそう思うの?
 ↓
A 周りの人を見るとすごいと思ってしまうから
 ↓
Q 100%そう言い切れる?
 ↓
A すごい人も完全無欠ではない。自分が負けていないところもありそう

勘の良い人は気づいたかと思います。「自分が考える自分の短所=思い込み」である可能性が高いのです。ネガティブな思い込みがあると、本来できることも及び腰になりがち。十分実現できる能力があっても、その確率を自ら下げてしまいます。

ところが、先ほどのステップに沿って短所に向き合っていると、思い込みが変化することがあります。最後の回答のように、ポジティブな思い込みに変えられる可能性があるのです。

セルフインタビューを通して少しでも「それほど短所ではない」と思えたら、そこから先の行動は自ずと変わってくるはず。望む結果も得やすくなるでしょう。

では、1と2の長所や得意なことを問う質問は何のために答えてもらったのかというと、自信を持ってもらうためです。長所=前向きな思い込みは、何もしなくても良い結果につながりやすくなる傾向があります。ぜひ「強み」として伸ばしていきましょう。

■気になったことをノートに書き留める重要性

気になったことをノートに書き留めておくことも、自分を知り、潜在能力を発揮するうえでは有効です。

ノートに手書きすることによって、脳幹の網様体賦活系(もうようたいふかつけい、略称RAS)が刺激されるという報告があります。RASは「意識を向けているもの」を重要視して脳を働かせます。

つまり、ノートに書いた内容は無意識のうちに脳に刻み込まれるのです。そのうえ、その後も全自動でターゲットに意識を向け続けるという特徴があります。

この仕組みをうまく使うことで、最低限の努力で今までにない視点を得ることができます。新しいアイデアを思いつく可能性も大きく広がるでしょう。

■自分の気持ちを書くと内省が進む

では、具体的には何を書くといいのでしょうか。

それは「言葉」です。日常の中で心に留まった言葉があったときは、ノートにメモしておきましょう。人から言われたちょっとした言葉や、本を読んでいて目に留まった言葉、ネットサーフィンをしていて気になった言葉など、私たちの身の回りには、いろいろな言葉があふれています。

言葉をピックアップすることによって言葉に対する感度も上がりますし、見返すことによって勇気をもらったり、元気が出たりする効果もあります。

さらに、「自分の気持ちを書くこと」もおすすめです。イライラしたときやモヤモヤしたとき、心が落ち着かないとき、そのとき自分が感じたことなどを、思いつくまま書き留めます。書きながら心が静まることもあるなど、書き留めるという行為は、内省するうえでも効果的です。

このような行為を「ジャーナリング」と呼びます。「journal」は「日誌」「日記」の意味。ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれます。

イライラしたときやモヤモヤしたとき、「自分が感じたこと」や「気になった言葉」をノートに書く
『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)より

■ノートもペンもなんでもいい

ひたすら頭に浮かぶ内容を書き出すことで、思考や感情の整理ができたり、心を落ち着かせたりできます。

また、ノートは手書きさえできればどんなものでも構いません。筆記用具も鉛筆やペン、何でも大丈夫です。きれいな字でわかりやすくまとめなくてもOK。自分が無理なくできる方法で書き留めることが大切です。

そして週末や時間があるときに、書いたページをめくってみます。すると、「あのとき、こんなことを考えていたのか。そういえば、今、実現しているな」「あのときはこう思っていたけど、今思えばこういうふうに変わって良かったな」などと思えるのがジャーナリングの醍醐味でもあります。

構えず、「紙の上での瞑想」とでも思って気軽に取り組んでみることがポイントです。それがあなたの無意識の潜在能力を最大限に引き出し、結果的に良い方向へと導いてくれるはずです。

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鈴木 颯人(すずき・はやと)
スポーツメンタルコーチ
1983年、イギリス生まれの東京育ち。Re‐Departure合同会社代表社員。サッカー、水泳、柔道、サーフィン、競輪、卓球など、競技・プロアマ・有名無名を問わず、多くのアスリートのモチベーションを引き出すコーチングを行っている。

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(スポーツメンタルコーチ 鈴木 颯人)

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