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人と一緒にいるだけで疲れる、イライラする…「繊細さん」が生きやすくなる3つのコツ

プレジデントオンライン / 2021年2月22日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

最近よく見聞きする“HSP(Highly Sensitive Person)”。繊細さんとも呼ばれて感受性の強い人を指しますが、病気ではないので治療法はありません。しかし精神科医の井上智介先生は、HSPかもしれないと思ったら病院を受診する意義はあると語ります。その理由とは——。

■感情の共鳴を強く感じるのがHSPの特徴

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字をとったもので、もともとはアーロン博士というアメリカの心理学者が提唱した、ひとつの気質の概念です。

HSPの人は、ささいな刺激をすぐに察知して、敏感に反応します。つまり“多感”で情動伝染しやすい人。情動伝染とは、音叉が振動して共鳴し合うように、人から人に感情がうつるという現象です。たとえば、別に面白くなくても、まわりが笑っていたら笑ってしまうといったこと。赤ちゃんもわかっていないのに、こっちが笑っていると笑いだすということがありますよね。あくびがうつるのも、情動伝染のひとつです。そういう共鳴を強く感じるのが、HSPの人の特徴です。

■誰かが怒られると自分も怒られた気分に

ですからHSPの人は職場でも家庭でも、相手の表情がすっと曇ったり、不機嫌になったりした瞬間を見逃しません。ある意味、空気が読めすぎるので、相手が不快な思いをしないように、いつも先回りして気を遣います。相手からすると、すごくいい人ですが、本人からすると疲れ切ってしまいます。

また共感性が高いゆえに、誰かがイライラしていると、自分もイライラしてきたり、そばで怒られている人がいたら、自分も怒られているように感じたりといったことが起こります。最近はメディアでもよく取り上げられることから、自分もHSPではないかと相談に見える方がけっこういますね。

■HSPに治療法はないが、背景に病気が隠れていることも

訴えとしては「空気を読みすぎて自分の意見が言えず、我慢ばっかりでしんどい」「怒られている人を見たら、自分が怒られているようで、苦しくて過呼吸のようになってしまう」……。HSP自体は、生まれ持った気質であり、病気ではないので、治療法はありません。

治療法がないとはいえ僕は、自分がHSPかなと思ったら病院に行く意義はあると思っています。というのはHSPの背景に、発達障害や不安障害といった病気が隠れていることがありますし、幼少期に親から受けた心の傷を抱えている人もいますから。病院に一度行ってみると、もしかすると何か見つかるかもしれません。

診断で何もなくて、それはHSPの特徴だね、となったら、どうすれば生きやすくなるかということを一緒に考えていくことになります。僕からのアドバイスとしては3つあります。

ヘルスケア
写真=iStock.com/Pornpak Khunatorn
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pornpak Khunatorn

■HSPの人が生きやすくなるコツ

(1)物理的な距離をとる

HSPの人は共感力が強いので、できるだけ周囲からの刺激を受け取らないようにすることが大事。そのためには、パーソナルスペース(人と快適に接する距離)を広くとること。相手が近寄ってきたら半歩下がったり、体の向きをひねって真正面にならないようにしたりします。イスに座るときも、距離をとったり、深く腰かけたりして物理的な距離をとりましょう。精神科のイスも基本的に90度で座ることが多いですが、HSPの人は、ふだんからジグザグに座るなど、真正面に座らない、パーソナルスペースに入って来られない工夫が必要になります。

(2)心理的な距離をとる

受け取る刺激を抑えるには、物理的な距離だけでなく、心理的な距離もとりましょう。たとえば職場で、向かいの人と机を挟んでいるなら、机の上にペンケースやコップなどを置いて、そこからこっちは自分の領域、向こうは相手の領域と分けて、何でもかんでも刺激が入ってくるのを避けます。また胸ポケットのペンやネックレス、社員カードを境界線にして、その場の雰囲気や空気に飲まれそうになったら、そこの部分で止めておく、ということを決めておくのもいいですね。

最近はコロナ禍の影響で、飛沫防止のアクリル板がよく使われていますが、アクリル板自体をバリアに見立てたり、目の前に相手がいてもスマホでWEB会議をしている感覚で見たり、そういった心の距離をうまくとれば、その場の雰囲気や空気に飲まれることもなく、自分のペースを守れます。

■どんな治療よりも大事なこと

(3)自分をいたわる

それだけいろいろな対処法を施しても、実際にHSPの人は、ふつうに生活していくだけで空気を読みすぎて、いい人であり続けたりするので、人一倍疲れます。ですから、やはり自分をいたわる、自分に愛情をかける、そういった時間をつくってほしいですね。反対にこれがないと、どんな方法をやってもダメというほど大切なことです。

自分をいたわるおすすめの方法は「自分に手紙を書く」ことです。たとえば「私はよくがんばって、まわりにも親切にしている……」と書いて、しんどいときに読み返す。そうすると気持ちが楽になります。こういった形で自分をケアすることは、HSPの人でなくても大事になってくるでしょうね。

■HSPの人は危機管理能力が高い

そんなふうに何かと大変そうなHSPの人ですが、悪いことばかりはありません。相手の気持ちを気遣えたり、いろんなものに感動しやすかったり、感性が豊かで、非常に情緒的。魅力的な人ですよね。

また先回りして考えられることは、危機管理能力の高さにつながっています。イケイケドンドンな人は何かが起こってから「エライことになったな」と考えますが、HSPの人は、事前にそうならないように考えられるので、トラブルを未然に防げる可能性が高いのです。

HSPの人は、そういったよさがたくさんあることを自分でも理解し、そのよさを生かしてほしいと思います。

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井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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(産業医・精神科医 井上 智介 構成=池田純子)

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