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「糖尿病、脳梗塞、動脈硬化」1日3食しっかり食べる人ほどリスクが高いワケ

プレジデントオンライン / 2021年2月20日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

病気にならないためにはどうすればいいのか。『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)を出した生活習慣病の専門医、青木厚氏は「そもそも一日3食しっかり食べることが間違いだ。1日16時間、何も食べない時間を設けることが大切だ」という――。

■一日3食では、内臓は十分に休むことができない

食事のあと、食べものが消化されるまで、胃の中に滞在する時間は平均2~3時間、脂肪分の多いものだと4~5時間ほどと言われています。小腸は、胃から送られてきた消化物を5~8時間かけて分解して、水分と栄養分の8割を吸収します。そして大腸が、小腸で吸収されなかった水分を15~20時間かけて吸収します。

このように、私たちが食べ物を口に入れたあと、胃腸は何時間も働き続けます。

一日3回、食事をとると、朝食から昼食までの間隔は4~5時間、昼食から夕食まで6~7時間程度となります。つまり、前の食事で食べたものが、まだ胃や小腸に残っているうちに、次の食べものが運ばれてきてしまうことになるのです。

これでは、胃腸は休むひまがありません。どんどん疲弊していきます。くわえて、年齢を重ねると、消化液の分泌も悪くなり、胃腸の働きが鈍くなるため、ますます消化に時間がかかるようになり、胃腸も疲れやすくなります。

私たちは、ほとんど常識として、健康な体をつくるためには一日3食しっかり食べなければならないと教わってきましたが、実は、「一日3回の食事」は、内蔵を休ませず、体にダメージを与えていたのです。

■「胸やけ」「胃もたれ」「食欲不振」は、胃が疲れているサイン

「一日3食」を続けていると、胃腸が疲れて、消化機能が衰えると、体にさまざまな不調が現れます。

消化機能が衰えると、まず、食事から十分な栄養分を摂ることができなくなります。一日3食きちんと食べているにもかかわらず、エネルギー不足になってしまうのです。そうすると、疲れやすくなったり、体がだるくなったり、肌や髪のコンディションが悪くなったりします。

また、「胸やけ」「胃もたれ」「食欲不振」が起きやすくなります。胸やけは、食道と胃の間の筋力が落ちて、胃の入口部分の締まりが悪くなり、胃液が食道に逆流することで起こります。消化に時間がかかり、食べものがいつまでも胃に残っていると、胃もたれが起こります。胃の消化機能が落ちてしまったら、食欲もなくなります。

「最近、胸やけや胃もたれになることが多くなった」「昔に比べて食欲が落ちた」という人は、胃が疲れている可能性が高いです。

腹痛のある女性
写真=iStock.com/krisanapong detraphiphat
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/krisanapong detraphiphat

なお、胸やけや胃もたれ、食欲不振の頻度があまりにも多い場合、長引く場合は、胃炎など何らかの病気になっているおそれがありますから、いちど病院を受診することをおすすめします。

■腸内環境の悪化は、全身にダメージを与える

腸が疲れ、働きが鈍くなると、食べ物が消化しきれずに残ります。それらはやがて腐敗し、腸内でアンモニアなどの有害物質を発生させます。

腸の中には、

善玉菌…消化を助け健康を維持する働きをする
悪玉菌…腸内を腐敗させ病気の原因を作る
日和見菌…体が弱ると悪玉菌に変わる

といった腸内細菌がいます。

健康なときは善玉菌が優勢です。しかし、腸の働きが鈍くなり、老廃物や有害物質などがたまって腸内環境が悪化すると、悪玉菌が優勢になります。そして、腸の働きがますます鈍くなるという悪循環に陥り、便秘や下痢などが起きやすくなります。

さらに、腸で発生した有害物質は、血液に乗って全身にまわります。このせいで、肌荒れがひどくなったり、体臭がきつくなったりします。ときには、がんなどの病気になったりすることもあるのです。

一方、腸には、体内に侵入しようとする異物(ウイルスや毒素など)を排除し、体を守るという「免疫機能」も備わっています。腸の機能が衰え、腸内環境が悪くなると、免疫力が低下してしまいます。すると、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなる、アレルギーが悪化する、がんが発生する、といったことも起こりやすくなります。

■胃腸だけじゃない、「肝臓」も疲れてしまう

一日3度の食事によって疲れてしまうのは、肝臓も同じです。いや、肝臓の疲れは、胃腸以上と言ってもよいかもしれません。

肝臓は、腎臓とともに「沈黙の臓器」と呼ばれ、ふだん、その存在が意識されることはほとんどありません。お酒を飲みすぎたときや、人間ドックで肝臓の数値に異常が出たりしたとき以外、肝臓の具合を気にすることは、あまりないのではないでしょうか。

ところが、肝臓は実に働き者です。食後、体に入ってきた栄養を、体内で必要なエネルギーに変えたり、余分なエネルギーを蓄えたり、食べものに含まれていたアルコールやアンモニアなどの毒素を処理したり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁を作ったり……。

肝臓は、さまざまな役割を一手に担っています。そのため、食事の間隔が短く、次から次へと食べものが入ってくると、肝臓はフル回転で働かなければならず、どんどん疲弊していきます。

疲れにより肝臓の機能が衰えると、本来肝臓で解毒されるはずの毒素や老廃物が体内に残ったり、作られるエネルギーの量が減ったりするため、体が疲れやすくなります。また、肝炎や脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなど、肝臓自体の病気や障害が引き起こされたりするおそれも出てきます。

■一日3食のもうひとつのデメリット——「食べすぎ」

一日3食の弊害としては、ほかに、「食べすぎを招きやすい」ことが挙げられます。決まった時間に食事をとることで、食べすぎに気づきにくくなってしまうのです。

たとえば、「前の食事でたっぷり食べたから、今は体がエネルギーをあまり必要としていない」というときもあるでしょう。この場合、空腹を感じるまで待ってから次の食事をとればよいのですが、決まった時間に食べることが習慣化していると、「今、空腹かどうか」「体がエネルギーを必要としているか」といったこととは関係なく食事をとるため、結果的に「食べすぎる」ことが多いのです。

しかも、胃には伸縮性があり、食べた量に合わせて膨らんでいきます。ふだんから慢性的に食べすぎている人の場合、「胃が膨らんでいる状態」が当たり前になっていて、「本来、体が必要としている量」以上の食べものも、どんどん受け入れてしまいます。そのため、よほど無理に食べものを詰め込まない限り、食べすぎていることに気づきにくいのです。

太った腹を気にする男性
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

■食べすぎは、DNAや細胞を傷つける

みなさんもご存じのとおり、食べすぎは、体にさまざまな影響をもたらします。食べる量が多ければ、消化するのに時間とエネルギーが必要になり、どうしても胃腸や肝臓などに負担がかかります。

また、食べすぎは、体内の活性酸素を増やします。活性酸素が必要以上に増えると、体の細胞が酸化されたり傷つけられたりするため、がんや糖尿病といった生活習慣病や脳疾患などにかかりやすくなり、細胞の老化も進んでしまいます。

「食べすぎる人」のほとんどは、ご飯や麺類、パン、甘いものなどの「糖質」の多いものや、肉、油などの「脂質」の多いものを摂りすぎています。糖質や脂質を過剰に摂れば、血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えます。そして、それらが血管壁に付着して、血管が狭くなってしまいます。

糖質の多いものを食べすぎると、血糖値が高くなり、当然、糖尿病になるリスクも増加します。

健康診断で指摘されるLDLコレステロール値
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide

■脂肪細胞は無限に増大していく

食べすぎの弊害として、忘れてはならないのが、「内臓脂肪」です。食べものによって得られた糖質や脂質は、脳や筋肉、内臓などが働く際のエネルギー源や細胞の材料として使われます。

使い切れずに余った分は、いずれエネルギーとして使用するため、まず筋肉や肝臓に蓄蓄えられますが、筋肉や肝臓の貯蔵スペースには限りがあり、あまりたくさん蓄えることができません。すると体は、筋肉や肝臓にも入りきらなかった余分なエネルギーを、おそるべき方法で蓄えようとします。エネルギーを中性脂肪に変え、脂肪細胞に蓄えてしまうのです。

脂肪細胞は柔軟性が高く、中性脂肪を取り込んで、元の数倍の大きさにまで膨れ上がることができます。このように、無限に容量を増やすことができるのは、人体の中では脂肪細胞だけです。

肥大化した脂肪細胞からは「TNF-α」や「IL-6」などの「悪玉ホルモン」が分泌されるようになり、糖尿病や高血圧、慢性的な炎症状態を引き起こしてがんになるリスクも高まります。

■胃腸を休ませ、食べすぎを防ぐシンプルな方法

このように、一日3食の食生活、そして食べすぎは、体に大小さまざまな悪影響を与えます。どうすれば、これを防ぐことができるのでしょうか。それは、「ものを食べない時間(空腹の時間)を作ること」です。

空腹の時間を作ると、まず、内蔵がしっかりと休むことができます。最後にものを食べてから10時間ほど経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなるため、脂肪が分解されエネルギーとして使われるようになります。

そして、16時間を超えると、体に備わっている「オートファジー」という仕組みが働き始めます。細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作り替えられることをオートファジーといい、細胞が飢餓状態や低酸素状態になると活発化すると言われています。オートファジーによって、古くなったり壊れたりした細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を遅らせることもできるのです。

■16時間の空腹で体をリセットする

空腹の時間を作ることで、

・内臓の疲れがとれて、内臓機能が高まり、免疫力もアップ。
・血糖値が下がり、インスリンの適切な分泌が促され、血管障害が改善。
・脂肪が分解され、肥満が引き起こすさまざまな問題が改善。
・細胞が生まれ変わり、体の不調の改善や老化の進行を食い止める。

といった「体のリセット効果」が期待できます。

めんどうなカロリー計算はいっさい必要ありません。空腹の時間以外は、何を食べていただいてもかまいません。オートファジーの仕組みを活かすためには、16時間以上の空腹の時間が必要ですが、睡眠時間を上手に組み込めば、ムリなく実行できるでしょう。毎日続けるのが大変ならば、週末だけ実行していただくだけでも、リセット効果は得られるはずです。

青木厚『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)
青木厚『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)

私たちは、「食べる」という行為を、つい「食べものを口に入れること」「食べものがのどを通過したら、終わり」ととらえてしまいがちです。しかし、のどを通り過ぎたあと、体の中では各臓器が一生懸命働いているということを、忘れてはいけません。

体にとってはむしろ、食べものがのどを通過してからが、「食事」の本番です。そして、人間に休息が必要であるのと同様、内臓にも休憩時間が必要なのです。16時間の「ものを食べない時間」を作って、胃腸や肝臓を休ませてあげましょう。

『「空腹」こそ最強のクスリ』には、生活スタイルに合わせてムリなく空腹時間を作るヒントなどをもっと具体的に紹介しています。みなさんもぜひ、「空腹」という最高のクスリで、病気知らず、老化知らずの体を手に入れてください。

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青木 厚(あおき・あつし)
医学博士
あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病が専門。著書『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)がある。

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(医学博士 青木 厚)

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