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「うどんよりパスタ、白米よりチャーハン」ダイエットに向く高カロリー主食の選び方

プレジデントオンライン / 2021年2月25日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yipengge

ダイエットを成功させるには、食事で何に気を付ければいいのか。分子整合栄養学に詳しい佐藤智春氏は「糖の吸収をコントロールし、血糖値の乱高下を防ぐことが大切だ。例えば、白米よりチャーハンを選んだほうがいい」という――。

※本稿は佐藤智春『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

■糖質がさまざまな不調の引き金になる

5大栄養素のひとつである「糖質」は、私たちの健康に不可欠な栄養素。

食べ物に含まれる糖質は、体内で消化、吸収されて、生命活動のエネルギー源になり、とくに脳が働くために重要なエネルギー源になります。

しかし、体に溜め込むことができない栄養素のため、体内で糖質が占める割合は、わずか1%なのです。

栄養医学に出会って、タンパク質の重要性の次にびっくりしたのが、糖質の摂りすぎは「悪」になるということでした。人体とは反対に、食物成分には糖質の割合が多い。そのことを知ってから、この20年、糖質制限を意識することが習慣になりました。

最近では、あちらこちらで糖質制限が叫ばれるようになってきました。糖質の摂りすぎで起こるさまざまな疾患が明らかになってきたからです。

たとえば、

・インスリンの過剰分泌で起こる、低血糖症状
・血糖値の乱高下で起こるメンタルダウンや精神神経症状
・体内のビタミン類を消耗させ、栄養素を欠乏させる
・ミネラル、とくにカルシウムが阻害され、骨や歯がもろくなる
・腸内細菌のバランスがわるくなる
・肥満、内臓脂肪、脂肪肝、糖尿病のリスクにつながる

まだまだ書ききれないほど、糖質が不調の引き金になるのですから、摂りすぎはほんとうに怖いのです。

■糖の摂取は血糖値の乱高下に直結する

ごはん、麺、パンやイモ類、果物、スイーツなど、糖質たっぷりの食べものは、美味しいですよね。おまけに、幸せを感じるので、コントロールするのは大変。しかもこのような食品は世の中にあふれています。糖質制限が取り沙汰されるようになったいまでも、頭を使う仕事やストレスがあるときには、甘いものを食べるのがよいと思い込んでいる人は多いでしょう。

たしかに、脳のエネルギーとして糖は必要です。ほかの栄養素はとても複雑な消化吸収を経て各器官に運ばれるのにくらべ、糖はブドウ糖として吸収され、脳にフリーパスで届けられます。だから、瞬時に元気になった気になるのです。しかし、これが血糖値の乱高下に直結するため、そのあとには大きな代償が待っているということを、ぜひ覚えておいてください。

■炭水化物のみの食事では集中力を持続できない

テレビのCMで、「おいしいものは、脂肪と糖でできている」というフレーズがありましたが、まさに……ねえ~と、思わず感心してしまいました。

白米
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

もし、その日の元気とパフォーマンスを途切れず発揮しようと思うなら、精製された炭水化物のみの食事や、甘いものは避けたほうがいいでしょう。

一気に上がった血糖値は、一気に下がる。食後すぐに眠たくなったり、いざ集中モードに入ると体がだるくなるなどの低血糖症状を引き起こします。

たとえば、昼食をうどん、ラーメンなどの麺だけランチや、丼ものランチなどにしたとき、デスクについた途端にあくびが出た経験はないでしょうか。

そして午後2時くらいには眠くてしかたなくなり、3時になると甘いものがほしくなり……というのは、典型的な低血糖症状のサインです。

このようなときは集中力が続かず、パフォーマンスも維持できません。

また、糖をエネルギーに変える過程で、脳の働きに欠かすことのできないビタミンB群も多量に代謝に使われてしまいますから、脳力を発揮したいときは、要注意です。

もちろん、一切甘いものを食べないということは難しいかもしれませんが、食べる前に、考える。甘いものを食べたくなったときほど、脳のために甘いものを避ける工夫をするとよいでしょう。

私は、厳しいようですが、「糖質のコントロールは脳力のコントロール」「空腹の一口でパフォーマンスの質が変わる」といっています。

忙しいとき、頭を使うとき、甘いものより、ナッツのような硬いものやキシリトールのガムなどが、おすすめです。

■糖質オフより、糖質チョイス

カロリー神話というものが、あります。たとえば、肥満の人も、糖尿病の人も、低カロリーの食事がいい、というもの。

もちろん、1日のカロリーが多すぎるのは問題ですが、いちばん重要なのは、「カロリーコントロール」より「血糖コントロール」です。

だからといって、なんでも糖質オフがいいかというと、そうともいいきれません。

私はかつて、炭水化物を一切摂らない10年間をすごしたことがありますが、そうすると体内のタンパク質がエネルギーとして使われるため、筋肉量がキープできなくなりました。そこから、「オフよりチョイス」と考えたのです。そもそも、水を抜いた食物中の成分は60%以上が糖質なので、あえて甘いものを摂らなくても充分な糖質は摂れるのです。お肉も野菜もよく嚙むと甘みが感じられますよね。

最近は、空前の糖質オフブームで、飲料水、アルコール、調味料をはじめ、食べものもいろいろ出ていますから、きっと多くの人が迷うだろうなと感じてきました。ここで伝えたいのは、糖の質のこだわりなのです。

■白ごはんより混ぜごはんや炊き込みごはん

簡単にいえば、急激に血糖値を上げない種類の糖を選ぶこと。

佐藤智春『その不調、栄養不足が原因です』(主婦の友社)
佐藤智春『その不調、栄養不足が原因です』(主婦の友社)

糖には糖鎖という分子の鎖があります。

飲料水に入っているブドウ糖果糖液糖、果物の果糖などは、とても吸収しやすい単糖類。白砂糖、ショ糖や牛乳の乳糖は、二糖類。玉ねぎ、ごぼう、母乳など、食物繊維を含み、腸内細菌を増やすのは小糖類。豆、小麦、米などは多糖類。

鎖の長い糖を選ぶのが智慧になります。そして、「量」や「摂り方」も鍵を握ります。

血糖値の上昇速度を表す数値を「GI値」と呼びますが、いちばん気をつけたいのは、そのGI値の高い食べものを空腹時にいきなり食べてしまうことです。

これは、ちょっとした工夫で避けることができます。

たとえば、精製された白いごはんは、そのままだとGI値が高いですが、雑穀米や胚芽米などを混ぜたり、ゴマやしらす干しをふりかけて食べるだけでコントロールができるのです。とても簡単でしょう。子どもたちや旦那さんの朝ごはんや、小腹がすいたときには、鮭や梅やシソを加えて混ぜごはんにしたり、きのこやタケノコなどの炊き込みごはんを多めにつくって、おにぎりにしておくと便利です。大切な人の脳力を上げるには、少しの智慧とひと手間をかけることがポイントです。

時間がないときは、卵かけごはんでもいいのです。お米のでんぷん質を卵がコーティングしてくれるので、血糖値の上昇も白米やトーストよりゆるやかです。

一度にたくさん食べるより、必要なときに必要な分だけ脳にゆっくり糖を届ける。

私の伝えたい糖質チョイスの考え方です。

【図表】糖質のおすすめチョイス表
出所=『男は食事で出世させなさい』

■なぜ「炭水化物は人類を滅ぼす」のか?

『炭水化物が人類を滅ぼす』(夏井睦著・光文社新書)のタイトルは、劇的でした。

確かに、世の中には糖質食品が氾濫し、便利、手軽、消化がよいといった感覚で「スイーツは別腹」といいながら、多くの人が過剰に糖質を摂っています。それも、キレる、急に倒れるなど、原因不明の症状が、無意識に食べている糖質と関係があるとは思っていないのです。

不調の原因がわからないといわれた相談者の方には、私は必ず5時間かけて血糖値を調べさせてもらいます。すると、糖分を摂った何時間後に具合の悪いタイミングが起こっているかが明確にわかります。

とくに若い子がお菓子を主食代わりにしているなどという話を聞くと、末は1億総低血糖時代かも、と不安になるくらいですから、この本を初めて目にしたときはうなずけました。

■糖質チョイスで子どもの集中力がアップする

前出のGI値の表でもおわかりいただけるように、甘いものだけではなく、お米やパン、うどんなどの「白い炭水化物」も、砂糖に次いで気をつけたい食材です。

「自分は甘党ではなく辛党だから、糖質は摂りすぎていない」と思っている人も、「隠れた砂糖」の摂りすぎは、とてもよくあること。

みりんや市販のタレ類、ケチャップ、ソース、コチュジャンなど、調味料にも糖質が潜んでいるのです。

たとえば、学習塾でセミナーや勉強をしているときに、机に1リットル入りのジュースと菓子パンがあったら、「あ、この子、セミナー中に寝るだろうな」と、すぐにわかります。

もしもお母さんに糖質チョイスの知識があったら、子どもたちの集中力はアップし、もっと本来の力が磨かれると案じてしまいます。

塾で学力を伸ばそうと思うなら、「食を考えて」と伝えたいです。栄養や健康より、便利、簡単、時短などを優先するなら、子どもに多くを期待しないことです。私は、たとえ10歳の子でも、カウンセリングの機会があれば真剣にデータの意味を伝え、自分がどうなりたいかをヒヤリングします。こちらが真剣に話すと、お子さんは自分で考えるようになります。

そういう私も、この栄養医学を知る前の生活では、日中は忙しすぎて食事をとれず、唯一の食事は夜の12時すぎ。ここぞとばかりに焼き肉や中華をお腹いっぱい食べたあと、家に帰れば甘いものがほしくなり、シュークリームやアイスクリームを食べていました。そんな生活を7年ほども続けていたのです。

その結果、思い通りに動ける体を失ってしまいました。

勉強することで、自分の不調の原因は暴食による糖質過多と思い当たりました。

気づくまでかなり遠回りをしてしまいましたが、自分の体験をサンプルにした栄養と健康の謎解きが、その後、他の人の体調の謎解きのヒントになっていったのは確かです。

■アルコールは「吸収のよい砂糖水」

よく質問されるアルコールについてですが、アルコールは、果物や炭水化物を発酵させたものなので「吸収のよい砂糖水」。おまけに、米や果物、芋など、元の原料が1グラム4キロカロリーなのに対して、発酵したお酒は、1グラム7キロカロリー。血糖も内臓肥満の引き金になるので気をつけてくださいね、とさらっといってしまいます。

しかし、アルコールは、少しなら「百薬の長」といわれ、まったく飲まない人より善玉コレステロールが高くなるともいわれています。

加えて、知っておくとよいのが、飲み会後の習慣。

飲みすぎはやっぱりダメなのですが、もっともダメな習慣が、締めのラーメンや、帰ってからのお茶づけ。なかには、お菓子が食べたくなったり、アイスクリームに手を出す人もいます。寝る前にとんでもなく糖質がほしくなるのは、典型的な低血糖症状と考えられます。糖質は、食べたらもっと食べたくなるので、食欲に任せていたら、肥満、糖尿病へまっしぐらです。

■「食べる順番」でウェイトコントロール

白い砂糖を使った加工品や、白い炭水化物など、GI値が高い食べものを摂りすぎないように気をつけることは、もちろん大切なポイントです。

佐藤智春『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)
佐藤智春『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)

それに加えて、血糖値の乱高下は「食べる順番」でかなりコンロトールできるということも、ぜひ知って、日々の食事に役立ててください。

そういえば、昔からコース料理では、まずは野菜を中心にした前菜が出てきますよね? そして、お肉やお魚など動物性タンパク質を中心にしたメインディッシュが出て、最後に軽くごはんや麺類を食べる。

これは、血糖値の乱高下を防ぐには、最高の順番なのです。

ですから、家での食事のときにも、どこかで外食をするときにも、野菜、タンパク質、炭水化物の順番で食べるようにすれば、それは立派な「糖質チョイス」の考え方になります。

応用として、焼き肉を食べるときは、まずはサラダやナムルなどの野菜をしっかり摂って、それからメインの焼き肉を食べ、ごはんや冷麺は最後に軽めに、というふうにすれば、バッチリです。

■うどんよりパスタ、白米よりチャーハン

血糖値を乱高下させない「糖質チョイス」のレシピは、ダイエットにも向いています。

さきほどもお話しした通り、お米でいえば、白米より雑穀米や玄米のほうが太りにくいですし、麺類でいえば、うどんよりそば、あるいはパスタのほうが、断然いい糖質チョイスで、ダイエット向きのメニューです。

そばは、アミノ酸のバランスもよく、糖質の代謝に関わる「ビタミンB群」に加え、血管の老化を防ぐ「ルチン」という栄養素も含んでいて、アンチエイジングにも効果的な、なかなかすぐれた食材です。江戸時代、お金持ちが主食を玄米から白米に変え、ビタミンB1欠乏で脚気が増えたことは有名ですが、そのとき、そばが活躍したのです。

他の麺類では、うどんや素麺よりも血糖値の上がり方がはるかにゆるやかな、パスタがいちばんおすすめです。

パスタの原料は、デュラム小麦を粗く挽いたセモリナという粉ですが、これには筋肉の材料となる小麦たんぱく質の「グルテン」が豊富に含まれています。多くのスポーツ選手が毎食パスタをチョイスするのは、そのためです。

そういうと、「パスタ料理はオリーブオイルも使うし、カロリーが高いから、あっさりした素麺やうどんのほうが太らないのでは?」といわれますが、カロリーよりも血糖コントロールを考えるといいでしょう。

オイルでコーティングされたパスタは、血糖値の吸収がゆるやか。カロリーは高くても、腹持ちがよいため、一見、低カロリーのかけうどんよりもウェイトコントロールに向いています。

同様に、白いごはんをそのまま食べるより、具だくさんのチャーハンやピラフにしたほうが血糖値がゆっくり上がるので、太りにくいといえます。

なぜ、カロリーよりもGI値がダイエットに重要かというと、糖質を過剰に摂取して血糖値が上がると、上がりすぎないように、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。そうすると、エネルギーとして使われなかったブドウ糖が中性脂肪に変わって血中に貯蔵されやすくなるのです。

この中性脂肪が内臓脂肪や脂肪肝の原因になるため、インスリンは別名「肥満ホルモン」とも呼ばれています。

中性脂肪が高いと脂質の摂りすぎとまちがう方が多いので、そうではなくて、糖質の摂りすぎだと正しく理解して、食事内容を切り替えてくださいね。

脳力も、体内の脂肪も、血糖をコントロールすることがビジネスシーンにおける出世の鍵になるでしょう。

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佐藤 智春(さとう・ちはる)
バイタルアナリスト®
分子整合栄養医学協会認定・分子整合栄養アドバイザー。バブル時代、スタイリストとして多忙をきわめ、体調をくずす。1995年より分子整合栄養学を金子雅俊氏に師事。その後、セルフメディケーションの提案をライフワークとする。キャリアアップを目ざす多くの女性に向け、ライフステージ・マネジメント®講座や企業の講演も行っている。著書に『卵を食べれば全部よくなる』(マガジンハウス)、『男は食事で出世させなさい』(ポプラ社)、『中高生の身長を伸ばす7つの習慣』『その不調、栄養不足が原因です』(ともに主婦の友社)などがある。

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(バイタルアナリスト® 佐藤 智春)

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