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「現役プロ家庭教師の経験則」勉強しない子には逆効果になる5つのNG言動

プレジデントオンライン / 2021年3月24日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

勉強をしない子供には、どう接すればいいのか。プロ家庭教師集団名門指導会の西村則康さんは「小学生の子供は、将来のために頑張り続けることはできない。イライラする時もあると思うが、じっと待つことが大事だ。特に避けてほしい『5つの言動』がある」という——。

■「遊んでばかりいたら、成績が下がるわよ!」はダメ

わが子には幸せな人生を歩んでほしい。親なら誰もがそう願うだろう。その選択肢の1つとして中学受験がある。だが、中学受験をするとなると、そのための準備として、4年生から塾通いが始まる。塾の勉強は難しいし、授業は生徒一人ひとりの理解度などおかまいなしにどんどん進んでいく。そして、家に帰れば大量の宿題が待ち構えている。中学受験の勉強が始まると、親はなんとか塾のカリキュラムについて行かせようと必死になる。今ここで頑張れば、将来きっと幸せになると信じて。

しかし、中学受験の勉強は、普通の小学生にとっては非常にハードなのものだ。精神的にまだ幼い小学生の子供は、「自分の将来のため」と常に頑張り続けることはできない。やる気を見せる日もあれば、まったくやりたがらないときもある。そこで、ある程度、親が伴走しながら進めていかなければならない。すると、なかなかやる気を見せないわが子にイライラして、つい余計な一言が出てしまう。だが、その一言が子供のやる気を奪う。小学生の親がやりがちな「5つの言動」を紹介しよう。

■【NG言動・1】「○○していたら、○○になる」

「遊んでばかりいたら、成績が下がるわよ!」
「そんな汚い字を書いていたら、先生が読んでくれないわよ!」

受験親なら誰もが言ってしまいがちな言葉だ。だが、こういう言い方をされて、親のアドバイスを素直に受け取る子はまずいない。はじめの○○は問題点であり、事実でもあるが、先に否定的な言葉を渡してしまうと、その後の○○は耳に入らなくなる。「そういうことをやってきた僕はもうダメなんだ……」と思ってしまい、あきらめモードになってしまうからだ。

実は、入試直前期になかなかやる気を見せないわが子に、「そんな勉強じゃあ、合格できないわよ!」と言ってしまう母親は非常に多い。本人は発破をかけているつもりかもしれないが、そういう言葉を投げられて、何クソ! と頑張る子はそうそういない。「どうせいまさらやっても……」と思わせてしまうだけで、かえってやる気をなくす。

だが、同じ伝えるにしても、言い方を少し工夫すれば、響くこともある。「○○したら、○○になれるんじゃない?」と成功を予感させる言葉を渡すのだ。

「あなたはここまでは理解できているみたいだから、ここだけ見直しておけば、合格点には届きそうじゃない?」

どうだろう。こういう言い方だったら、「頑張ってみようかな?」という気持ちにならないだろうか。

■【NG言動・2】「あなたは○○だから、○○しなければならない」

「あなたは字が汚いから、もっときれいに書かないと点がもらえないわよ」
「あなたはいつも雑だからミスが多いのよ。もっと丁寧にやりなさい」

解き方は理解しているのに、字が汚かったり、雑だったりするために、つまらないミスをしてしまう。親としてはガッカリなことを平気でしてしまうのが、小学生というもの。そこで、なんとか正そうとついこのような言葉を投げてしまいがちだが、これも逆効果だ。前半の○○は欠点の指摘、後半の○○は義務。こういう言い方をされると、自分は叱られているんだと思い込み、心を閉ざしてしまう。

だが、これを「あなたは○○だから、お母さんは○○してほしいな」とアイメッセージを加えると、相手の受け取り方も違ってくる。

「あなたは字が汚いから、計算ミスが多いわね。やり方は分かっているのに、計算ミスで×になるって悔しいでしょ? お母さんも悔しいからもうちょっと丁寧に字を書いてほしいな」

一生懸命勉強している少年
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

こういう言い方だと、アドバイスとして受け入れられるようになる。

また、言い方を変えてみるという手もある。

「あなたはいつもスピーディーだから、もう少し落ち着いて丁寧に書くといいと思うわ」

本心は「雑」と思っていても、「スピーディー」という言葉に言い換えると、長所のように感じるので、言われてもあまりイヤな気持ちにならないというのがポイントだ。同じ特徴を短所として伝えるのではなく、長所として伝えて気づかせる。ただ、とっさにはこういう気の利いた言葉が出てこないので、「短所→長所」の言い換えワード集をあらかじめ作っておくといいだろう。

■【NG言動・3】「ちゃんと覚えなさい!」

「ちゃんと覚えなさいと言ったのに、また忘れている!」

この言葉も中学受験家庭ではよく出る言葉だ。前に習ったことがあるのに、忘れてしまう。親としては歯がゆく感じるのだろう。中学受験に必要な学習範囲は膨大だ。塾では1回の授業で1つの単元を終わらせなければいけないので、次から次へと新しい単元を習う。すると、前に習った単元を忘れてしまう。でも、それを振り返る時間がなくて、分からないことがどんどん積み重なっていく。その不安を解消したいために、投げてしまうのがこの言葉だ。

だが、この「ちゃんと覚える」には注意が必要だ。特に算数について言う場合、丸暗記させようとしていることが伺える。しかし、算数は暗記して覚えるものではない。「なぜそうなるのか」「どういうときに使うものなのか」納得した理解を得ていないから、すぐに忘れてしまうのだ。まずは、納得感を持って理解させることが先決だ。

■「理科社会=暗記科目」ではない

理科と社会は暗記科目と言われているが、それは正確ではない。丸暗記ではすぐに忘れてしまう。「ちゃんと覚えなさい!」というやり方が通じるのは、社会の地図記号を覚えるといったごく一部の単純な知識に限られている。覚えたことを忘れないようにするには、「なぜそうなるのか」という理由や因果関係を把握しておくことだ。また、社会の歴史はつながりや流れをつかんでおくことも必要。でも何より、興味を持たせることが重要だ。子供は興味があれば自然と覚える。その吸収力は大人以上だと感じている。

実験室でビーカーを使用して実験する
写真=iStock.com/Narongrit Sritana
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Narongrit Sritana

「ちゃんと覚えなさい!」

この言葉が続くときは、丸暗記の勉強になってしまっている可能性が高い。近年の中学入試では、知識そのものを聞かれる問題はほぼ出ない。覚えた知識をベースに考えさせる思考系や記述系の問題がほとんどだ。そういう問題に対して、丸暗記は通用しない。「ちゃんと覚えなさい!」という言葉を投げたくなったら、勉強のやり方を見直すサインだ。丸暗記になっていないだろうか? ちゃんと頭を使って勉強しているだろうか? 振り返る必要がある。

■【NG言動・4】「頑張れ!」

受験には頑張りが必要だ。でも、「頑張れ!」と言われれば言われるほど、子供は自分が頑張っていないと責められているように感じてしまう。

そこにさらに追い打ちをかけて「頑張らないとダメよ」という母親がいる。こうなると、子供は「頑張っていない自分はダメなのだ」と、二重のダメージを受けることになる。

こういうときも言葉を換えたり、アイメッセージで伝えたりする方が効果的だ。例えば「頑張る」を「努力」に言い換えてみる。

「あなたはもっと努力ができる子だと思うんだけど」

こういう言い方にすると、子供のやる気が上がる。

または「お母さんはあなたにもっと努力をしてほしいと思っているの」とアイメッセージで伝えてみる。そうすれば、「頑張っていない」と責められているようには感じなくなる。

小学生でも5~6年生になると自我が芽生え始め、親の言うことに反発する子が出てくる。特に母親に叱られると、子供は反抗する。そうやって親子で気持ちのぶつけ合いをしていると、親子関係が悪くなってしまうこともある。反抗期が悪いわけではないが、できることなら受験勉強はおだやかな環境で進めていきたい。そのためには、否定語を肯定語に変えるのは有効だ。

■【NG言動・5】母親のイライラ

子供のやる気を奪ったり、プレッシャーを与えたりするのは、言葉だけではない。実は、母親の表情が、気づかないうちにマイナスのメッセージを伝えてしまっていることもある。長年、中学受験専門の家庭教師として、たくさんの家を訪問して感じているのは、母親がイライラしていたり、眉間にしわを寄せていたりしていると、子供の成績が伸び悩むということだ。

小学生の子供にとって、母親は一番の存在だ。反抗期が始まっている子でさえ、母親の愛情は一番安心感を与える。だからこそ、子供は母親の表情や気配に敏感だ。母親の後ろ姿を見ただけで、その日の気分が分かってしまうほど、母親をよく観察している。子供は自分の行動に対して、母親がニコニコしていたら、自分は認められた、肯定されたと感じる。逆に母親が不機嫌だったら、自分が否定されていると感じ不安になる。その不安が頑張ろうという気持ちを奪ってしまう。眉間にしわが寄っていたら要注意だ。

中学受験の勉強が始まると、親子の会話が勉強のことだけになりがちだ。勉強の話になると、つい嫌な言い方をしたり、顔の表情がきつくなったりするものだ。それによって、親子関係がギクシャクしてしまうと、中学受験はしんどいものになる。

振り返ってみてほしい。なぜ中学受験をさせたいと思ったのか。それはわが子には幸せな人生を歩んでほしいと思ったからではないだろうか。子供にとっての一番の幸せは家族の笑顔だ。とりわけ母親の笑顔で安心感を得ることができる。この安心感こそが、頑張る気持ちを育む。わが子に頑張ってほしいと望むのであれば、親は子供に安心感を与える言葉と表情を心がけてほしい。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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(プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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