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「いまの会社に不満がある」という転職理由をポジティブに言い換える方法

プレジデントオンライン / 2021年4月5日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

転職活動を成功させるためにはどうすればいいのか。リンクトイン日本代表の村上臣氏は「自分の“タグ”を探すことから始めるといい。その過程で、自分の強みや適性に気づくことができる」という――。

※本稿は、村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■自分の市場価値を判断できる「スカウトメール」

納得のいく転職を実現し、我慢しない働き方を手に入れるには、まず自分の市場価値を正しく把握する必要があります。

そもそも求人マーケットは需要と供給の関係によって成立しています。

例えば、スカウト型の求人サイトに登録したり、転職サイトのスカウト機能を活用したりすれば、エージェントや採用企業からスカウトメールを受け取ることができます。

スカウトメールは自動送信されるものもあれば、転職サイトの担当者が直接送ってくるもの、さらには企業の採用担当者から送られてくるものもあります。形式によって内定率は異なりますが、いずれにしても自分の市場価値を判断するおおよそのバロメーターとなります。

スカウトの反応があまりに乏しい場合は、現業のポジションは求人マーケットの中であまり需要がないことがわかります。

大切なのは、市場という場を通じて、自分がどう見えるのかをチェックすることです。

方法としては、転職サイトに登録する以外にも、転職エージェントの担当者やキャリアコンサルタントに実際に会ってみるのもよいでしょう。

■「職務経歴書の更新」が年度末の恒例行事

実際に求人マーケットに自分の身を置いてみることで、市場の肌感がわかってきます。

私自身、20代の頃から自分の市場価値については強く意識していたこともあり、毎年の振り返りとして職務経歴書を更新する作業を行っていました。言ってみれば年度末の恒例行事のようなものです。

最新の職務経歴書を作っていれば、自分の市場価値に自覚的になるだけでなく、現実に転職の話がきたときに、すぐに応じられるという実利的なメリットもあります。

私の場合、常に転職したいと考えながら仕事をしていたわけではありませんが、「面白そうな話があれば、一度話を聞いてみたい」「もっと自分を活かせる職場があるのなら、転職もやぶさかではない」というスタンスで働き続けてきました。その中で、現実的に転職をする決断が何度か訪れたというわけです。

特に外資系企業で働く人は2~4年で次のステップを模索するケースが多いため、自分の市場価値や求人市場の動向に敏感です。常にアンテナを張って、次なる転職に備えているのです。

一方、私から見て、日本の会社で働く人には、継続的に自分の市場価値を確かめる機会が少ないようです。転職を真剣に考えてから慌てて行動に移すので、需要とズレたアピールをしてしまうリスクがあるのです。

■自分の“タグ”が分かれば、強みも見つかる

市場で通用する強みや適性を見つけることは、自分の“タグ”を明らかにすることに通じます。

「タグ(tag)」とは、「荷札」「付箋」といった意味の単語であり、ウェブの世界では情報を分類するための単語や短いフレーズなどを指します。読者の皆さんも「インスタグラムの投稿にタグ(ハッシュタグ)をつける」といった文脈で日常的に使っている言葉だと思います。

キャリアの文脈では、個人を想起させるためのフックとなるキーワードのようなものです。あなたのこれまでの経歴を考えていただき、たとえばポジションでいえば「法人営業」、業界で言えば「自動車業界」、経験で言えば「(顧客が)中小企業相手」、能力でいえば「コミュニケーション能力」、「誠実性」など、これらはすべてタグになります。

私の場合、もともと在籍していたヤフーからリンクトインに移籍する際の転職活動の中で、企業戦略やM&Aに携わっていた経験がユニークで希少なタグとなる事実に気づきました。これは思わぬ収穫でした。

エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)のコンサルタントから「エンジニアのバックグラウンドを持っていて、企業買収の経験があり、経営クラスのポジションにいる人は引きがある」と言われたのが特に印象に残っています。

組織 コマ
写真=iStock.com/busracavus
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/busracavus

外資系のファンドが日本企業の変革に取り組むとき、こういったポジションで仕事ができる人は希少性があり、重宝されるというのです。

自分では気づかないタグが市場で評価されることがある。それを改めて実感しました。

自分の強みは、案外、周りの人から見いだされることが多いのかもしれません。

■「ヤフー」→「マネーフォワード」に転職した元部下の話

私の身近では、ヤフー時代の元部下で、マネーフォワードに転職した人がいます。私の紹介がきっかけで転職したのです。

ちょうどマネーフォワードから「新しく研究所を作りたい。エッジの効いたテクノロジーに強くて、研究所を立ち上げるのにふさわしい人がいないか」という話を聞き、瞬間的に思いついたのがその人の名前でした。

その人はヤフージャパン研究所の立ち上げにも関わっており、長らく私と一緒に他企業との事業提携に関わっていた経験があります。そこで彼の強みが機能するのではないかと考え、紹介したわけです。

もともとその人は転職自体には興味がなかったようなのですが、実際に話を聞くと心引かれるものがあったようで、結局そのまま転職することになりました。

■タグの需要は検索で調べるのが一番

このように、強みや適性(つまりタグ)が明らかになり、それが市場の需要に合致すれば、何歳になっても望ましい転職は実現するのです。

自分の手持ちのタグ候補にどれだけの需要があるかを知るには、実際に検索してみるのがお勧めです。検索してヒットすれば、需要があると推測できます。逆に、ヒットしない場合はタグとして弱いということです。あるいは前述したように、転職エージェントなどからスカウトメールがどれだけ届くかが一つの目安となるでしょう。

どのタグに需要があるかは、時代とともに変化していきます。定期的に自分のタグが通用するのかをチェックしておく習慣が不可欠です。

■タグ付けで、転職理由を「ネガ→ポジ」変換する

中には、今の会社に不満がある、仕事がつまらない、上司がムカつくといった理由で転職を考えている人もいるでしょう。今の我慢する働き方から抜け出すために、転職という手段を活用する。その発想自体は間違ってはいません。

村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』(SBクリエイティブ)
村上臣『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』(SBクリエイティブ)

ただし、ネガティブなモチベーションだけではおそらく幸せな転職を実現するのは困難です。なぜなら、ネガティブなモチベーション以外に志望理由がない人を、会社は採用したいと思わないからです。

実は、自分のタグを認識するプロセスは、ネガティブなモチベーションをポジティブに変換する作業でもあります。

自分は何にストレスを感じているのかを把握し、どうすればそのストレスを解消できるのか。その答えの手がかりは、自分のタグを見つけ出す過程の中で見つかるはずです。

基本的には、自分のタグを活かせる仕事=充実できる楽しい仕事だからです。

自分のタグを明らかにする中で、人は自分の価値に気づきます。自分の価値を突き詰めていけば、ステップアップもできるし、大きな仕事もできるようになるのです。

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村上 臣(むらかみ・しん)
LinkedIn日本代表
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に現・ヤフーCEO 川邊健太郎らとともに有限会社電脳隊を設立。2000年にその後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴いヤフーに入社。2011年に一度ヤフーを退職。その後、孫正義が後継者育成のために始めた「ソフトバンクアカデミア」で、ヤフーの経営体制の問題点を指摘したことを機に、当時社長の宮坂学など新しい経営陣に口説かれ、2012年にヤフーへ出戻る。弱冠36歳でヤフーの執行役員兼CMOに就任。2017年11月、米国・人材系ビジネスの最前線企業・LinkedIn(リンクトイン)の日本代表に就任。複数のスタートアップ企業で戦略・技術顧問も務める。

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(LinkedIn日本代表 村上 臣)

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