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「クラウドにUPしました」仕事のメールが下手な人にありがちな文面

プレジデントオンライン / 2021年4月7日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/golubovy

仕事のメールを分かりやすく、上手な文章で書くにはどうしたらいいか。文章術のベストセラーを100冊読んだというライターの藤吉豊さん、小川真理子さんは「メールの内容が相手に理解されない原因の多くは、書いた文章をきちんと推敲していないことにある」と指摘する――。

■あなたのメール、ちゃんと伝わっていますか?

書き手はきちんと伝えたつもりなのに、読み手に理解されない。読み手からの印象が悪い。こういうことが、ビジネスでも、日常生活でも頻繁に起こっています。

その原因の多くは、書いた文章をきちんと「見直し」(推敲)していないことです。

本稿では、実際のメールやプレゼン資料を題材に、多くの人がつい、してしまいがちな文章の残念な失敗と、改善方法を見ていきます。

まずは、残念なビジネスメールの一例をご紹介します。

Before
《件名》与算資料の件
《差出人》宮本沙織
《宛先》小川真理子
☆☆株式会社小川様
お世話になっております。ABC商事の宮本です。先日の予算ですが、さきほどコンセンサスとれクラウドにUPしました
記載しているのが以前お話しした数値化の意味です。共有のためにお送りしますので返信不要です。
宮本

■「正確さ」こそ、文章の基本である

Beforeの文面は、時間がない中で書かれたものなのか、内容があいまいです。「読み手」に伝えるためには、次のような書き換え案が必要です。

●文章も「見た目」が大事/段落はこまめに変える
→改行や段落を増やし、読みやすくする。

●「正確さ」こそ、文章の基本
→件名の誤字を修正する。何の予算なのか明確にする。

2つのポイントを使って、先ほどのメールを以下のように書き直してみました。

After
《件名》予算資料の件
《差出人》宮本沙織
《宛先》小川真理子
☆☆株式会社小川様
お世話になっております。ABC商事の宮本です。
3月18日に口頭でご相談したA案件の予算について、弊社社内で合意が取れました。その資料を、情報共有のため、下記サーバーにアップしましたので、ご確認ください。
https:// ××× . △△△
先日説明不足だった「数値化」の意味も追記しております。なお、本メールは共有のためにお送りしましたので返信不要です。
宮本

■気持ちは伝わるけど…読みにくい「お礼のメール」

今度は、お礼のメールの例を見ていきましょう。

Before
《件名》昨日のお礼
《差出人》宮本沙織
《宛先》藤吉豊
藤吉さま
こんにちは。宮本です。
昨日はありがとうございました。文章を分かりやすく書くためには、1文を短くする事と文章の型を覚える事は大切とのお話、分かりやすかったです。私は少しずつでも、より多くの人に誤解なく分かりやすい文章を書くために、専門用語を使わないで物事を伝えることは重要ですが、実践していきたいと思っています。また、自分にとっての名文を、必ず、来週までに見つけておきます。また、しっかり身につくように誤解なく分かりやすい文章を書く秘訣を教えて下さい。
宮本

書きたいことがたくさんある場合には、とにかく「文章はシンプルに(1文を短く、ワンセンテンス・ワンメッセージに)」を意識しましょう。すると自然にわかりやすく、読みやすい文章に変わります。

付箋
写真=iStock.com/scyther5
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/scyther5

■文章も「見た目」を大事にしよう

文章はシンプルに
→1文が60文字以内になるように、文章を区切る。ワンセンテンス・ワンメッセージを意識する。
「分かりやすい」「分かりやすく」の頻出度を少なくする。

文章も「見た目」が大事
→「事」「下さい」「分かる」をひらがなにする。空白行を設ける。

主語と述語はワンセット
→主語と述語をかみ合わせる。

段落はこまめに変える
→内容の切れ目で改行をする。

「わかりにくい」と思ったら修飾語を見直す
→修飾語と被修飾語を近づける。

以上のことに気をつけながら、お礼のメールを書き換えるとこうなります。

After
《件名》昨日のお礼
《差出人》宮本沙織
《宛先》藤吉豊
藤吉さま
こんにちは。宮本です。
昨日は、文章をわかりやすく書くためのお話をありがとうございました。とくに、「1文を短くすること」と「文章の型を覚えること」の大切さが理解できました。
まずは、少しずつでも「専門用語を使わないで物事を伝える」ことを実践していきます。
また、来週までに必ず、「自分にとっての名文」を見つけておきます。来週も、誤解なくわかりやすい文章を書く秘訣を教えてください。しっかり身につけたいと思います。
宮本

■1枚のスライドに文字がぎちぎちと…

次は、ビジネスに欠かせないプレゼン資料です。

Before
・従来品の問題点:音声認識機能が弱く、日本語・英語など言語に関係なく、聞き取った文章に間違いが多いため、後で手入力で修正をし直さなければならず手間がかかる。
・顧客アンケートで不満な点はあるかと聞いたところ、「音声が正しく聞き取られない」という意見が圧倒的に多い結果に。
→音声認識機能に改良が必要
・新商品では新しいマイクを導入。
・新商品の特徴は、試作品で試した結果、音声認識の間違いが半減。外などうるさい環境でも使用可能。コスト面でも以前よりダウン。

この例ほど極端でなくても、1枚のスライドに情報を盛り込みすぎれば、伝わりにくくなります。

プレゼン資料は、通常の文章以上に「聞き手(=情報の受け取り手)」を強く意識することが大切です。見た目も内容も「シンプル」にすることがポイントです。また、図やグラフを用いれば、より効果的に伝えることができます。

■メール以上に情報量を削ぎ落としていく

文章はシンプルに
→プレゼン資料は、ワンスライド・ワンメッセージに。文章も短く、簡潔にまとめる。

文章も「見た目」が大事
→見る人を意識すると、伝わり方は変わる。

「わかりにくい」と思ったら修飾語を見直す
→ビジネスシーンでは、数字を積極的に使うなど、より具体的に表現する。

一例ですが、図やグラフを盛り込んだ例が以下となります。

After
出所=『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』
出所=『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』

■シナジー、プレゼンス…カタカナ語を多用していませんか

文章の中にカタカナ語が多いと読みにくくなります。

カタカナ語……カタカナで表記される語のこと。すでに日本の生活に根付いている外来語も含まれる。

意味のわからないカタカナ語が出てくると、読み進められなくなることもあります。また、カタカナ語は対応する日本語より1単語の文字数が多くなりがちです。

すでに日常でよく使われている外来語、「テレビ」「スーツ」などは別にして、それ以外のカタカナ語はできるだけ使わず、日本語に置き換えましょう。

×悪い例
コア・コンピタンスを明確にし、シナジーを創出して、プレゼンスを発揮しよう。

○良い例
独自の強みを明確にし、協働による相乗効果によって、影響力を高めよう。

「コア・コンピタンス」「シナジー」「プレゼンス」を日本語に変えたことで、すっきり読みやすくなりました。

専門書で、その業界では誰もが意味がわかっているカタカナ語であれば、使っても差し支えありません。一般の人が読む文章で、どうしてもカタカナ語を使いたい場合は、説明を入れるようにします。

■件名と最初の3行で要件をまとめよう

藤吉豊、小川真理子『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)
藤吉豊、小川真理子『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)

ビジネスメールは、移動中や打ち合わせのあいまなど、すき間時間に見ることが多いものです。人によっては、日々、大量のメールを処理する必要があります。受信者の時間を必要以上に奪わないためには、簡潔に要点が伝わるメールを送りましょう。

そのためには、「件名と最初の3行で要件がわかるように書く」ことです。

メンタリストDaiGoさんも『人を操る禁断の文章術』(かんき出版)の中で「ポイントとなるのは、最初の3行。ここに必要な情報を網羅すること」と書いています。

メールを書くときには、次の3点に気を付けます。

ビジネスメールを書くときの3つの注意点
①件名は具体的にして、読み飛ばされないようにする。
②あいさつ文以降の最初の2、3行で要件をまとめる。
③長い文章を書かない。

メールは上から読んでいきますので、最初に要件をまとめることが大切です。社内や、身近な人へのメールであれば、要件を箇条書きで伝えてもよいでしょう。

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藤吉 豊(ふじよし・ゆたか)
株式会社文道 代表取締役
有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて、自動車専門誌2誌の編集長を歴任。 2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。文化人、経営者、アスリート、グラビアアイドルなど、インタビュー実績は2000人以上。 2006年以降は、ビジネス書籍の編集協力に注力し、200冊以上の書籍のライティングに関わる。大学生や社会人に対して、執筆指導なども行なっている。

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小川 真理子(おがわ・まりこ)
株式会社文道 取締役
「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。日本女子大学文学部教育学科卒業。編集プロダクションにて、雑誌や企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。その後、フリーランスとして、大手広告代理店の関連会社にて企業のウェブサイトのコンテンツ制作に関わり、仕事の幅を広げる。 現在はビジネス書や実用書、企業をクライアントとするPR誌などの編集・執筆に携わる。子ども、市井の人、イケメン俳優、文化人など、インタビューの実績は数知れず。得意なジャンルは「生活」全般、自己啓発など。 自ら企画編集執筆に携わった本に『親が倒れたときに読む本』(枻出版社)がある。近年は、ライティング講座にも力を注ぐ。

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(株式会社文道 代表取締役 藤吉 豊、株式会社文道 取締役 小川 真理子)

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