貧乏、低学歴、病気がち…それでも松下幸之助が"経営の神様"になれたワケ
プレジデントオンライン / 2021年4月15日 9時15分
※本稿は、本田健『「うまくいく」考え方 新しい時代で幸せになる5つの法則』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■直感は幸せへと導く案内役
あなたは「直感」を信じるタイプですか?
直感というと、なんの根拠もない、単なるカンだと思う人もいるかもしれません。でも、わたしがこれまでに会った強運の持ち主は、みんな直感の力を信じていました。
たしかに、直感が正しいとする科学的根拠を示すのは難しいかもしれません。ですが、これまでの経験から、直感こそが幸せへと導く案内役だとわたしは考えています。
なにかをやろうと思ったときに、心がワクワクしたり、体がゾクゾクしたり、高揚感が生じるのは、「YES」のサインです。要するに、なんだかとても楽しくなってくる感じですね。これが、直感からのサインです。こんなとき、わたしはなるべくすぐに直感にしたがって行動してきました。
逆に、嫌な気分になったり、不安になったり、イライラしたり、気分が下がったりするのは、「止まれ」のサイン。そんなときは、無理に動かないようにしてきました。
つまり、直感は自分の心の奥深いところにある、「あなたについてすべてを知る部分(理性では知ることができないものも含む)」からの、重要なシグナルです。
直感はあなたのためだけに働く、あなたを幸せにするための「内なる声」。これを使わない手はありません。
直感を上手に使うためには、前提として自分の直感を信頼する必要があります。「人生に素晴らしいことが起きる」と信じて身をゆだねる勇気も必要です。小さな直感から行動へ移す練習をしていけば、どんどん慣れて決断力がついていきます。
直感にしたがって大胆に行動していれば、面白い「偶然という名の必然」が次々に起こっていきます。
なにが大事かは、心と体がちゃんと知っているのです。面白い人生を生きたければ、面白そうなことに心を開くことです。そこから、なにかがはじまるでしょう。
■宿命に翻弄されてはいけない
人生をかたちづくるものとして、「宿命」と「運命」があります。このふたつは、似ているようでいて異なります。
宿命は、「生まれたときすでに決まっているもの」です。そして、運命は、「自由に決められるもの」を指します。
宿命は、自分の力を超えた、いかんともしがたい力です。あなたが自分の望む方向へ向かおうとしても、たえずもとの場所へ引き戻そうとする強力な力。災害や事故、病気など、宿命に翻弄されてきた人もいるかもしれません。
わたしたちは、知らないうちに宿命の力に影響されて生きています。しかし、自分の宿命を知ったうえで、その力に翻弄されずに、自分の道を切り開いて生きることもできます。
それが、自分の運命を、自分で選び取る生き方です。
たとえば、象徴的な人物として、ヘレン・ケラーが挙げられるでしょう。
彼女は1歳7カ月のとき、高熱によって突然視覚、聴覚、言葉を失った状態になります。それが彼女の過酷な宿命でした。しかし彼女は、自分の運命を主体的に選ぶ生き方により、最終的には、時代を超えて世界中の障害や貧困に苦しむ人たちの希望になりました。
彼女はこう述べています。
「自分の障害に感謝している。それによって、自分と自分の仕事を、そして神を見つけることができたのだから」
大事なのは、悪い出来事が起きるたびに、それを宿命だとあきらめずに、「またひとつ厄落としができた」と考えられるかどうか。そう考えられると、宿命に翻弄されず、自分の運命を切り開く生き方ができます。
宿命と運命の境界線は、自分で引くことができるのです。
■悲しい過去を「運のいい過去」に変える
あなたには、つらく、悲しい、忘れられない過去がありますか?
「家が貧しくて、塾や習い事に行かせてもらえなかった」
「事故にあって仕事を失い、人生の歯車がおかしくなった」
「夫が長いあいだ不倫をしていた……」
多かれ少なかれ、人は過去に起きた悲しい出来事を引きずりながら、いまという時間を生きています。
実際に起きた過去は、もう誰にも変えられません。だからこそ、いつまでも心に重くのしかかり、現在のあなたを縛り続けるわけです。
しかし、過去に起きた事実は変えられなくても、その出来事に対する解釈なら変えられます。
パナソニック株式会社の創業者・松下幸之助さんは、「病気がちで、家が貧しく、学歴もなかったから成功できた」と語りました。
ふつうに考えれば、それは「うまくいかない理由」でしょう。
でも彼は、病気がちだったから、人にお願いするしかなく(それが日本初の事業部制を生みました)、貧しかったから、多少のことでへこたれない人間になり、学歴がなかったから、生涯学び続ける姿勢を持てたといいました。
このように、本人の意識次第では、つらく悲しい過去を、現在と未来の幸せに変えることができるのです。悲しい過去のなかに、自分だけの幸せの種を見つけられれば、自分の過去と折り合いをつけられます。
「あの体験があったから、わたしはいま、こんなに強く生きているのだ」
このように、悲しい過去を前向きにとらえ直すと、「運のいい過去」へと変えていけます。
その瞬間から、幸せに生きることができるのです。
■「うまくいく感覚」をつかめば悪循環は抜け出せる
人生には、なにをやってもうまくいかない時期があります。そんなときは、焦って行動したり、あれもこれもと手を出したりするのではなく、「これは人生の休み期間なんだ」と考えて、ゆっくりと自分の未来を考える時間にしましょう。いわば、「人生の中休み」を取るのです。
そのとき、ぜひ自分の運がよかったときのことを、思い出してみてください。
いつの出来事でも構いません。子どものときに最高に楽しかったこと、大人になって幸せを感じて過ごしていたとき。そんな時期について思い出すだけで、そのときの感覚が心のなかに蘇(よみがえ)ってきて、なんともいえない温かい気持ちになれるはずです。
そして、ぜひそのエネルギーを、いまの自分のなかに取り入れてみてください。
運のいい人たちに囲まれていると、自分の運まで上がっていくものですが、わたしにとってもっとも身近な存在は、「運がよかったときの自分」です。
たとえ、まわりに運がいい人がいなくても、過去の自分はいつもあなたのなかにいます。運がよかったときのことをたくさん思い出し、そのときの心地よさを味わって、ポジティブなエネルギーをたくさん自分に取り入れてください。
そんなふうに過ごしていれば、少しずつあなたは自信を回復していきます。
そして、運は間違いなく好転していきます。
あなたに必要なのは、「うまくいく感覚」です。これは、「ノリ」といってもいいでしょう。
なにをやるにも、「なんだかうまくいきそうな気がする」という予感のようなものが大切です。その予感は、あなただけでなく、まわりの多くの人を巻き込んでいくことでしょう。
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作家
神戸生まれ。経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」。著書に『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)などがある。
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(作家 本田 健)
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