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堀江貴文が「ランチでは5000円のうな丼を食え」と言うワケ

プレジデントオンライン / 2021年5月3日 9時15分

実業家の堀江貴文氏 - 写真提供=小学館集英社プロダクション

これからの時代に生き残れるのはどんな人か。実業家の堀江貴文氏は「それは安定した仕事を与えられた人でも、お金持ちでもない。働かなくてもいい世界で、自分なりのモチベーションを持ち、何かの行動を起こせる人だ」という――。

※本稿は、堀江貴文『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)の一部を再編集したものです。

■食事と飲酒を楽しむのはリターンのいい投資

学生時代に起業して以降、食事や飲酒には、お金を惜しまなかった。多少の資産を持つようになっても、もっぱら美味しいお酒と料理を味わうのにお金を使っている。

酒食に浪費をいとわないのは、純粋に美味しいものが好きだから。

そして、人生を楽しくする投資として、リターンがよいのだ。

食は文化であり、料理の成り立ちを遡っていくと、文化や歴史を学ぶことができる。例えば中国で料理技術が発展したのは、中国皇帝の顕示欲が背景となっているとか。日本での発酵食品の発達は、湿度の高い国土で保存の利く料理をつくりだす必要があったからなど、料理と文化・歴史は密接に関わっている。

美味しいものを突きつめていけば、歴オタの道に通じるのだ。

美食の経験を通して、僕はワインや日本酒など各国のお酒の歴史や蘊蓄を、ずいぶん学べた。これらは後に小説を書くのにも役立てられた。

■「グルメ好き」で幅広い人間関係を得てきた

酒食にお金を費やすことで一番得られるものは、幅広い人間関係だ。

美食の場には、経済界や放送業界、芸能界などさまざまな分野の成功者が集まっている。彼らとの新鮮で刺激的な会話も、ご馳走だ。

グルメ好きは、分野の垣根を越える。仕事しているだけでは出会えない各界の著名人やタレント、インフルエンサーと知り合えるのも面白い。僕は社会に出てから、毎晩のように彼らと酒席を囲み、魅力的な情報を教えてもらい、しばしばビジネスプランの熱いディスカッションを交わしている。

コロナパニック以降は酒席の機会は多少減ったけれど、基本的に僕と食事の場に同席するのは、感染しにくい行動様式を心がけている人たちだ。お店も感染対策のしっかり整った店しか選ばない。以前とあまり変わらず、美味しい食事を楽しんでいる。

食事の場では、新しい発想が生まれ、新事業を立ち上げるきっかけになることも多い。TERIYAKIアプリや、HIUでの日本酒製造などは、酒食にお金を投じた長年の経験の賜物だ。

■「ランチでは5000円のうな丼を食え」と言う理由

「起業するためにお金を貯めています!」と言って、食事は500円ランチか、吉牛やマクドナルドで済ませている若者がいる。500円ランチもファストフードも別に不味くはないが、起業家を目指すというなら、あまり推奨できる姿勢ではない。

美食には、お金を惜しんではダメだ! ご飯への出費からは、投じた以上の機会創出と、知識を満たすリターンが得られる。

安くてそこそこ腹を満たせるひとりメシを続けていると、その回数分、ライフステージを上げるチャンスを失っている。安いメシで腹を膨らませているビジネスパーソンに、良質な人脈が築けるとは思えない。

僕は、ランチではうな丼を食え! と言っている。それもチェーン店の1000円程度のうな丼ではなく、浅草や日本橋など老舗店のうな丼を食べてほしい。ひとりで5000円以上するが、その金額分の情報の獲得と、学習の代金だ。

5000円のうな丼を食べる、それ自体が情報のシャワーだ。

このご時世に、なぜ5000円もの値段がついているのか? 味を維持する方法は? 経営がどう回っているのか? 知れば有益な情報が丼いっぱいに詰まっている。

高額のランチは、外食産業の構造を考えるのに格好の機会だ。舌を通して考えるので、思考はより深まり、学びの質も上がるだろう。

美食を楽しむには、健康であることも大事だ。体調のバロメーターとしても、役に立つ。食事への出費は、ただの贅沢ではない。投資としてもいいことずくめなのだ。

写真=iStock.com/pik32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pik32

■「僕たちは、働かなくてもいい」

これからの時代、生き残れるのは、安定した仕事を与えられた人でも、お金持ちでもない。働かなくてもいい世界で、自分なりのモチベーションを持ち、何かの行動を起こせる人が、生き残れるのだ。

僕たちは、働かなくてもいい。やりたいことを、やる勇気だけだ!

そのように僕が主張しても、「お金がないのだから、嫌々でも働かないことにはどうにもなりません」と反論する人は、とても多いだろう。

まず「財が足りない」という意識が、問題だ。それを解いていくのが先決だ。

資本主義社会において長年、経済の指標となってきたのは国内総生産=GDPだ。この数値は、国家の運営に役立てようという意図で設計された指標だ。産業革命以降の資本主義国家の経済発展に、物差しとしては役立った。

だが近年は役目を終えつつある。GDPは、国民が働いた成果を、すべてお金の価値に還元して算出されている。しかしテクノロジーの進化により、「働く」の定義が曖昧になってきた。そんな時代に、信頼できる指標になりえるのだろうか?

例えば、好きなことを公開して広告収入を得ているYouTuberは「楽しみを共有する」という、無形の財を生んでいる。SHOWROOMなど配信アプリでライブ活動を頑張っているアイドルやタレント、趣味や旅行先の写真をアップして稼いでいるインスタグラマーも同じだ。

■「財」の根本的な性質が変わりつつある

かつては、お金にはならなかったボランティア活動も、クラウドファンディングを通じて金銭的な支援がなされるようになった。家事や子育て、「困っている人を助けるのが好き!」という人への報酬も、NPO法人などからの支援で支払われる仕組みが整ってきた。彼らのようなボランティアが創出している財を、旧来のGDPの枠組みに入れるのは難しいだろう。

堀江貴文『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)
堀江貴文『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)

ひと昔前まで、GDPに組みこまれている仕事とは言えなかった遊びや趣味が、仕事に成りかわり始めている。逆に従来的な仕事よりも、はるかに儲かる場合も少なくない。このように財の根本的な性質は、変わってきているのだ。

辛い労働を手放し、好きなことだけで食べていくのは不可能だという古い常識は、テクノロジーの進化によって、様変わりした。

仕事に隷属する労働者根性にしがみついていたいなら結構だけど、その生き方は財を獲得するための正しい情報と思考が足りない証拠だ。

■日本は儲けまくり、稼ぎ倒している国だ

「財が足りない」と嘆く人は、どこに財があるのか気づいていないだけだと思う。

筋のいい情報と俯瞰的な視点を正しく身につけていれば、尽きることのない財はあなたのすぐ近くにある、と気づける。

長引く不景気で、みんなが貧しくなっているとか、経済先進国の地位が急落したとか、ネガティブな情報にばかり目を向けてはいけない。

IMF(国際通貨基金)の調査によると、日本のGDPは1980年から右肩上がりを続けていて、ほとんど下落していないのだ。近年のGDPは名目で550兆円を超えている。30年余りで、倍以上の増額だ。こんなに儲けまくり、稼ぎ倒している国に暮らしていて「財が足りない」と嘆いているのは、ブラックユーモアでしかないだろう。

世の中に、富は有り余っている。財は足りていないどころか増える一方で、これからどう分配していくか? と、シンクタンクなどの研究機関で考えられているのが実状だ。これからは放っておいてもAIやロボットが、人を食べさせてくれる。多くの労働は減っていき、人の自由な時間はますます増える。好きなことばかりをしてはいけない、ではなくて、好きなことしかやることがない! という時代になるのだ。

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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。

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(実業家 堀江 貴文)

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