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「エリート同士の結婚だけど…」ハイスペ夫を選んだ女性が離婚を悩むワケ

プレジデントオンライン / 2021年5月5日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

どんな人と結婚すれば幸せになれるのか。夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は「学歴や年収が高くても問題だらけの人はいる。いわゆる“ハイスペック夫”と結婚した女性たちが離婚の相談に来るケースは珍しくない」という――。

■「好条件」な男性と結婚すれば幸せなのか

高学歴で高収入、頭の回転が速く、人望も厚い……といった、いくつもの好条件を携えた、いわゆる「ハイスペック」な男性との結婚を望む女性は少なくない。

ところが、一見ハイスペックに思えても、「本物」はほんのひと握りだ。見せかけだけの「ハイスペ夫」と結婚し、結婚後の生活で苦労している女性の例を紹介しよう。

■「エリート同士の結婚」だったはずなのに…

【CASE1】「ハイスペック×浮気夫」との関係修復に悩む妻

Rさんは30代の女性。2年前に生まれた長男の子育てをしながら、結婚前から勤務する外資系の企業で「ワーママ」として働いている。大学時代の友人の紹介で知り合い、4年前に結婚した2歳年上の夫は経営者。商社マンだった彼の父親の赴任先である外国で育ったため、グローバルな視点を生かした経営を得意とし、若くして独立起業。時の運も手伝ってビジネスで一躍成功した「ハイスペ夫」だ。ふたりの結婚が決まった時、お互いの友人や家族は、いわゆる“エリート同士の結婚”を心から祝福したという。

Rさんの夫に変化が見られはじめたのは、ふたりに待望の第一子が誕生し、Rさんが職場に復帰した頃からだった。「実家の母親やベビーシッターの手を借りながら、家事と育児、仕事のすべてをこなそうと奮闘していたこともあって、疲れ果てて夫の帰りを待てずに寝てしまう毎日。夫が何時に帰宅したかわからないし、出張と偽って外泊されていても疑う余裕すらなかった」とRさんは振り返る。

■離婚したくない、完璧な人生に傷をつけたくない

「ハイスペ夫」の浮気が発覚したきっかけは、友人からの連絡だった。「ダンナさん、キレイな人と腕を組んで歩いていたよ。いい雰囲気だったけれど、大丈夫?」とRさんのLINEにメッセージが入ったのだ。

その晩、Rさんがとった行動は、夫と話し合うことではなく、夫の携帯電話を盗み見て、浮気をたしかめることだった。「“完璧な妻”だと思い込んでいた私が、まさか浮気されているなんて認めたくなかった」。

夫の携帯電話に残されていたのは、「忙しくて料理も手抜き」「育児に夢中でオレは無視されている」など、浮気相手の女性にこぼすRさんへの不満だった。それに対し、浮気相手の女性は「私だったら、あなたのことをもっと大切にするのに」などと、いちいち丁寧に夫をいたわる返信をし続けていたという。

「ふたりの絆が深いことを知ってショックでした。でも、私は離婚したくない。ここまで完璧に頑張ってきた私の人生や、“エリート同士の結婚”に傷をつけたくないんです」

Rさんは現在、夫には浮気を知ったことを打ち明けないまま、夫と浮気相手への制裁を検討中だという。

結婚指輪
写真=iStock.com/Brittany Partain
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Brittany Partain

■大学卒業と同時に結婚、専業主婦として娘を育ててきた

【CASE2】「ハイスペック×DV夫」から離婚を切り出された妻

「離婚を言い渡されました」と相談に訪れたYさんは、中学生の娘を持つ40代の専業主婦。6歳年上の夫は、有名大学を卒業後、大手の銀行で働いた後に代々続く実家の問屋を継承している、自称「ハイスペック夫」だ。

ふたりが知り合ったのは、Yさんが20歳の時。「箱入り娘」として大切に育てられたYさんと会った瞬間、「今どきまだこんなに清純そうな“お嬢さん”がいたのか」と感激した夫はYさんにその場でプロポーズしたとのこと。「実際、ずっと女子校で育った私は、初めて付き合う男性が主人でした」というYさんは、大学の卒業を待って結婚。以来、専業主婦のかたわら、一人娘を育ててきた。

■私は「男の子を産む機械」だと思われていた

「オマエは社会の厳しさを知らなさすぎる」「オレが教育してやらなければダメだ」などという理由のもと、夫のDVがはじまったのは結婚後、しばらくしてからだったという。

「もともとノンビリした性格の私は、食事の支度も遅く、子育ても器用にできなかった。だから、『夫がイライラして私に暴力をふるうのも仕方ない』とあきらめてしまっていた部分もあります」

部屋の床に座り込んでいる悲痛な感情の女性
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kieferpix

Yさんが40代になり、年齢的にも2人目の子どもを出産できる可能性が少なくなってくると、夫のDVはより激しくなっていった。そして、Yさんは夫から心ない言葉を言われたのだった。

「子どもを連れて、出ていってほしい。そもそもオレの家族は、オマエとの結婚に反対していた。これからはおふくろが気に入ったオンナと再婚し、男の子を産ませて家を継がせたい」

Yさんは夫の言葉に、これまで受けたどの暴力より傷ついたという。「私を“人間”ではなく、夫のために働き、男の子を産む“機械”だと思っていたのかもしれません。でも、『一度結婚したら添い遂げなくては』という思いもあって、離婚するかどうか悩んでいます」

■「医師の妻」を狙って妊娠したものの…

【CASE3】「ハイスペック×ケチ夫」との再婚を後悔する妻

誰もがうらやむ結婚をしたにもかかわらず、後悔している女性もいる。Eさんは20代で結婚し、子どもを1人産んだものの、相手の浮気が原因で離婚。シングルマザーとしてパートで働きはじめて1年後、マッチングアプリで出会った年下の男性と知り合って半年後に「授かり婚」をした。

友人やまわりの人には「医師と再婚することになった」と告げたため、「子連れ再婚でハイスペックな夫を手に入れるなんて」と“ハイスペ再婚”をうらやましがられたという。ところが、実は男性はまだ研修医。年収も、パートで働くEさんと変わらないほどだった。それでも、「いつかは“医師の妻”になってセレブ生活ができると信じ、妊娠という既成事実をつくって彼と結婚することを望んだんです」と振り返る。

■「収入が低い」と言っても信じてもらえない

ところが、いざ結婚してみると、結婚前に想像していたセレブ生活からはほど遠いことがわかった。

「私は子育てと妊娠して体調が不安定になったこともあって、それほど働けなくなり収入が激減。研修医1年目の夫の収入は、聞かされていたより驚くほど少なくて、すぐに家賃の低いところに引っ越さなくてはならなかった」

夫はもともとケチな性分だったせいか、結婚後は食事で訪れるレストランや、子どもを預けてふたりの時間を楽しむためのホテルのランクも露骨に下がった。Eさんが「こんなはずではなかった」と嘆いたところ、夫からは「医師になっても、それは僕が稼いだお金。Eが自由に使えるお金は自分で稼いでね」と冷たく伝えられたという。

高級なレストランのテーブルに並んだワイングラス
写真=iStock.com/Sinenkiy
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sinenkiy

「まわりからうらやましがられるたびに、『夫は全然ハイスペックじゃないよ』と事実を話しても、『贅沢な悩みだね』と一蹴されるばかりです」と再婚を後悔しているとのこと。「『私たちとはもう住む世界が違うね』と昔からのシンママ友たちとも距離を置かれ、孤独を感じる毎日です」

■成功を積み上げてきた男たちが抱く「万能感」

ハイスペック夫に多く見られる特徴として、「万能感」を抱いていることも挙げられる。成功を積み上げてきたからこそ、「努力次第でなんでも手に入る」「自分ならどんなことでもできる」という思いをしがちだ。

ところが、こういった自信はビジネスでは成功するかもしれないが、生涯を共にするパートナーの心をつかむための武器にはならない。「経済力や地位の高さがあれば、浮気も亭主関白という暴力も男の甲斐性のうち」という思い込みは、通じないことを自覚すべきだろう。「ハイスペックだから気前がいい」とは限らないことも肝に銘じておきたい。

「ハイスペック」は魅力のひとつだが、条件のよさだけにこだわっても、あなたの理想通りの結婚生活が営めるとは限らないのだ。

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岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。

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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)

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