山口揚平「他人と競争する時代は終わった」自分の"天才性"を見つけ、人生を変える3ステップ
プレジデントオンライン / 2021年5月22日 9時15分
※本稿は、山口揚平『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
■自分の天才性を発見する3つのステップ
第1回、第2回の記事で、令和のクリエーションの時代は、「強み」で他人と比較することから自分自身の中にある「天才性(個性)」を発見し、伸ばし、仕事を創造するように世の中が大きく変化しつつあることを指摘しました。
本稿では、自身の天才性を見つけ、それを活かしていくための手順(ジーニアスファインダー)を簡単に紹介していきます。
詳しい方法は拙著『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』に当たっていただくとして、大きな流れを押さえていただけたらと思います。
ジーニアスファインダーは、以下の3つステップで構成されています。
過去(記憶)を整理して幼少期に植え付けられた自己評価や偏見を洗い流すこと
STEP2 「天才性の抽出」
自分のコア(存在の本質)から輝き出る光である天才性を明らかにすること
STEP3 「再構築」
天才性に基づいた生活環境や仕事を作り直すこと
なお、天才性を発掘する際には、自分で行う方法と、他者から客観的なフィードバックを得ながら見つける方法があります。実際は、メンタリング(メンターと呼ばれる導き手が、マンツーマンの対話により、受け手側に気づきをもたらすプロセス)を行いながら個人の微細な天才性を発掘していくのですが、今回は、読者の方が自身でできる部分を中心に紹介したいと思います。
また、ジーニアスファインダーのサイトで新しい情報やより深い知識を得られるようサポートしますので、こちらもご参照ください。
3つのステップは、具体的には次のような方法で進めます。
■過去を棚卸して、固定観念や偏った自己評価から抜け出す
■ステップ1 人生の棚卸し(とげぬき)
最初のステップは、過去の人生の棚卸しをして、余計な記憶となっている固定観念や偏った自己評価を「とげぬき」するというものです。健康でいえばデトックス、クレンジング、大掃除ということになるでしょうか。
「とげ」は悪いものではありません。ただ可能性を阻害するだけです。人は、記憶や体験にしばられて価値観を形成していきます。その価値観に基づいて行動し、人生が方向づけられていきます。皆さんも(私自身も)過去の人生で起こったこと、原体験に自然に縛られています。そうやって社会と折り合いをつけてゆき、ストレスを減らしてきたのでしょう。
しかし、それらの記憶や体験がトラウマとなってあなたの天才性を覆い隠してしまっていることがあるかもしれません。
ですから、まずは物心ついた頃(5歳から現在に至るまで)に起こったこと(人生のイベント)、それに対する当時の感情、今思い起こしてみた時の感情などを洗い出してみましょう。沸き起こった欲望や妄想、持っていた偏見、強い怒りの感情や、後悔の念、消化されない憎悪、それらすべてを紙(シート)に書き出してみましょう。
■感情にとらわれず、ただ書き出す
念押ししたいのは、これらは決して「よくないもの」ではない、ということです。ただ単に自分の中に存在しているだけのもの。ですから、いたずらにこれらの感情にとらわれず、淡々と書き出せるといいですね。
それでも最初は「こんなことを感じていた自分が恥ずかしい」とか、「こんな感情は誰にも話せないよ!」と思うこともあるかもしれません。書き出すこと自体が苦しい時があると思います。その時は、無理せずにできる範囲で行ってください。もし苦しくなったら書いた紙は棄(す)ててしまってください。
これを続けていくと、徐々に少し本心・本音を書き出せるようになるかもしれません。そうなったらもうけもの。もうあなたの「とげ」は溶け出しています。あとは時間が、とらわれていた過去のあなたの考えをすっかりやさしく洗い流してくれるのを待つだけです。
その後、シートをもとにメンタリングを受けたり、仲間とワークショップなどを行ったりして、自分の棚卸ししたもの(のうち、外に出せるもの)をシェアしてフィードバックを受けると、より深く自分の固定観念や偏った自己評価への理解が進むと思います。
繰り返しになりますが、過去の事柄も感情も否定する必要はありません。良いも悪いもなく、「ただ存在しているだけ」なのです。
ですから、これらを評価することなく、「ふむふむ」と客観的にみつめていてください。それらをやさしく包み込んで溶解していくのです。
■自分だけの天才性(個性)を細かく、具体的に言語化する
■ステップ2 天才性の抽出
次のステップは、いよいよ「天才性の抽出」です。
これは丁寧に、できるだけ細かいレベルに落とし込む必要があります。たとえば、コミュニケーションが得意、努力家である、などのざっくりしたレベルではいけません。誰にでも通用するものなので、天才性を表すには十分ではありません。
天才性を言葉にする時には、(本質に迫るという意味で)抽象的であり、(他者とは違うという意味で)より微細であり、(実際の仕事や生活に応用できるという意味で)できるだけイメージがしやすい形にすることが必要です。
そのためには、自分の天才性について解像度を上げて考えてみます。それが行えてはじめてジーニアスファインダーがパワフルに機能します。
■「メンター」の存在が重要
この作業は、「自分は何々が得意だ」といった主観的な認知に加えて、他者からの客観的なフィードバックがあったほうがよいと思います。本来であれば、自分の天才性を正確に表すための語彙を持つプロのジーニアスファインダーのメンターをつけて伴走してもらいながら行うのが有効です。
拙著『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』の中では、少しでも多くの人に天才性に気づいてもらえるように、簡易的な分類ができる資料を用意しています。それらでも、自分の天才性が眠っている方向性はつかむことができるでしょう。
大事なことは、傾向や特徴を知ることではなく、本質を突き詰めることです。
■天才性に基づいて人生を再設計する
■ステップ3 生き方の再構築
ある程度、自分の天才性に肉薄することができたら、最後の局面では、天才性に基づいて人生を再設計する作業を行います。
具体的にはどのような仕事(職業)に就き、どういったライフスタイルをとるのか? を考えることになります。
この作業のポイントも、細かく解像度を上げて考えるということにあります。
仕事についていえば看護師やエンジニアになる、金融業を選ぶ、小売店で働くといった業種・業態レベルではありません。具体的な会社名を考えるだけでも物足りません。どんな業種や業態、会社でも通用する内容、つまり、自分のどういう特性を使って、どのようなスタンスでどんな組織でどんな機能を提供し、価値貢献をするのかまで考えます。
仕事だけでなくライフスタイルも同様で、誰とどこに住み、どういう環境が自分にとって快適かを考えるのです。
そして、大事なことはライフスタイルが先で、仕事(職業)が後ということです。これまでは仕事ありきで、生活や健康は二の次だという人も多かったことでしょう。しかし新しい時代では、まずライフスタイルを決めてから働き方を考えることが重要です。
■1~3のステップを何度も繰り返す
3つのステップについて述べてきましたが、大事なことは、この1~3のステップは順番に行うのでなく、行ったり来たりしながら何回も行う必要があるということです。
おそらく期間的には3カ月から半年、できれば2年ぐらい継続して行なうとよいでしょう。そして、自分でやりながらも友人や他者やメンターからもフィードバックを受けることです。あるいはワークショップを開いて楽しみながらやってみてください。
拙著『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』では、豊富な事例を出しながらさらに詳しく説明していきます。
自分の中に眠っている天才性を発見するジーニアスファインダーの方法論は、若い世代のみに適したものではありません。30歳、40歳、50歳前後の人生の「節目」にあるすべての人が対象です。
これまでのあり方に疑問を感じ、新しいアクションを起こしたいと願うすべての人に、ぜひ一度試していただきたいと願っています。
*ジーニアスファインダーは、ブルー・マーリン・パートナーズの登録商標です。
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事業家・思想家
早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は、貨幣論、情報化社会論。1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラミング事業をはじめとする複数の事業、会社を経営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。
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(事業家・思想家 山口 揚平)
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