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人生を棒に振らないために絶対に知っておきたい「14歳からのお金の使い方」

プレジデントオンライン / 2021年5月13日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/F3al2

やりたいことが見つからない。将来がなんとなく不安。なぜ勉強するのか分からない。若者が抱きやすいそうした悩みを解決するにはどうすればいいか。投資家の藤野英人さんは「お金との上手な付き合い方を知ることで、解決の糸口がつかめる」という——。

※本稿は、藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

■人間の本音は“売るもの”ではなく、“買うもの”に表れる

「お金を使う」という経験、君も数え切れないほどしてきたはずです。では、お金を使うと何が起こるでしょう?

財布の中身が減る。正解。

欲しいものが手に入る。それも正解。

他にはありますか?

もっと大事なことがあります。

それは、「未来を創る」ということ。そんな大げさなことをしているつもりはないぞ、とびっくりしましたか?

いや、たしかにこれは事実なのです。お金を使う、すなわち「買う」という行為には必ずその人の“意思”が伴います。

例えば君がお母さんかお父さんにお願いして、新しい靴を買ってもらったとします。

「どこに買いに行く?」と聞かれて、お気に入りのメーカーの靴が置いてある駅前の靴屋さんがいいと伝えて、連れて行ってもらった。

そこにズラリと並ぶたくさんの商品の中に、お目当ての靴を発見。少し前に、あこがれのスポーツ選手が履いているのを見たばかり。お店の一番目立つところにある最新モデルではないけれど、とにかくデザインがかっこいい。

しかも、部活で仲のいい友達もこれの色違いを買うと言っていたから、おそろいになって盛り上がりそうだ。お父さんから「一番新しいやつじゃなくていいのか?」と聞かれたけれど、「これがいい」と言って買ってもらった。

この一連の買い物を振り返ってもわかるとおり、1足の靴を買うに至るまでには、明確な君の意思が何度も働いています。

藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)
藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)

どこで買うか? 何を買うか? お店やメーカーがイチオシのものを選ぶとは限らないでしょう。君なりのこだわりがどんどん出てくるはずです。

それも一生懸命頑張ってこだわりを引っ張り出しているわけでもなく、勝手に出てくる感覚だと思います。

なぜなら、「買う」という行為には、ナチュラルにその人の本音を引き出す魔法があるからです。

ある人は言いました。「人間の本音は“売るもの”ではなく、“買うもの”に表れる」と。たしかに、会社で働いている大人たちが自社で売っている商品のすべてを本気で好きかは疑わしいけれど、自分のお金で買うものに関しては「欲しいから買っている」という事実は揺るぎないはずです。

■千円札は、未来をつくる投票券

いくら細かい上司でも、「君は今日からランチにからあげ弁当を買ってはいけない。週に3日は焼きそばを買いなさい」なんて買うものまで強制することはないでしょう。

コンビニに立ち寄って、何気なく手にしたそのペットボトル。それが君自身の“意思”そのものです。好きなものは買うが、嫌いなものは買わない。ピュアな「好き嫌い」が表れる行動、それが買い物なのです。

買い物は一番身近で簡単な「生き方の主張」なのです。

そして、誰かの消費は誰かの売り上げになる。間接的にその会社を応援し、結果的にその会社の成長につながる。

つまり、「未来の風景を変える」という結果に少なからず影響しています。

君の街にあるかもしれないユニクロやマクドナルドも、自然と地面から生えたわけではありません。

国が「そこに建てなさい」と指示してできたわけでもありません。

僕ら消費者が選び、買い、着て、食べる行動によって、そのお店を応援してきたから、そこにあるのです。

君が手にしている千円札は、“未来をつくる投票券”です。

大げさに感じるかもしれないけれど、事実としてそう。

国や地方自治体の選挙で投票できるのは18歳からだけれど、14歳の君だって、実はとっくに投票活動をしているのです。

「こんな未来になったらいいな」と描くイメージがあったとしたら、そのイメージに近づきそうな商品やサービスを選ぶようにしてください。

1日1回の買い物でも、1年で365回。10年で3650回。君が大人になって、結婚して、子どもを育てるまでには、何万回と買い物をしているでしょう。その積み重ねのすべてが「未来への投票」です。

また、たとえお金を使わなくても、SNSで「いいね」を押すだけでも、その企業の応援になります。

君はもう立派に、社会を動かす市民になっているのだから、堂々と自分がつくりたい未来に向けて投票をしてほしいと思います。

■誰でも社会を変えられる「3つの力」

ここまでに何度かお伝えしてきたように、買うことに「年齢制限」はありません。

僕たちは誰でも等しく、社会を変えられる力を3つ持っています。

1つ目は、選挙。男性も女性もそのほかの性別の人も、お金を持っている人もそうでもない人も、誰でも等しく1人1票。政治家を決める権利を持っています。

2つ目は、消費。これまでお話ししてきたように、買う行動を通じて、「好き・嫌い」の意思表示ができます。

3つ目は、投資。投資は何もギャンブルではなく、株式市場を通じて、応援したい会社を選んで成長を見守る行動です。後で僕の仕事を説明するときに詳しく話すけれど、投資も個人が社会を変えられる行動の一つです。

さてこの3つのうち、選挙は一定の年齢規定があるけれど、消費と投資は0歳からいつでも始められます(子どもも、保護者が未成年の子どもの名義で口座を開設するなどして投資に参加することはできます)。とりわけ、消費は誰でも気軽に今すぐできる行動です。

つまり、14歳の君は、すでに社会を変える行動ができるし、これまでずっとやってきた、ということ。君がこれまで自分で選んで買ってきたものすべてが君の意思表示の集合体です。部屋の中にあるもの、全部がそうです。

老若男女すべての人にとって、「何を買うか」に意思は宿るのです。

自分たちの「消費」が「社会の景色」を決めていく
イラストレーション=須山奈津希

■「今の世の中がくそつまらないのは、自分たちの消費の結果」

そして、ここから先がさらに重要なのですが、その意思は確実に未来に影響します。

最近、僕が会ってお話しした人で、ヤマザキOKコンピュータ、通称ヤマコンさんという1988年生まれの投資家がいます。

彼は社会問題について書いて発信する文筆家であり、バンド活動やグラフィックアートの活動もするアーティストでもある。

彼は『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』(タバブックス)という本の中で、「今の世の中がくそつまらなく見えるのは、自分たちの消費の結果でしかない」と言っています。

大量消費前提で同じようなものが街に溢れていて、つまらないと批判する。でも、その街の風景をつくったのは、それを買っている自分たちではないか?

ヤマコンさんの投げかけは、実に的を射ています。お金は「使って終わるもの」ではなく、むしろ「使うことから始まるもの」なのです。

なんだか、オオゴトのように感じてしまったかもしれませんが、別に気負う必要はありません。

君はこれまでと同じように、好きなものを買い続ければいい。

ただし、そこにちょっとだけ「意思をめぐらす」という意識を持ってほしいのです。

それが本当に欲しいのか? なぜあっちじゃなくてこっちなのか? 考えてからレジに持っていく。「なんとなく買う」のではなく、ちゃんと自分で決めて買う。その行動を繰り返すだけで、君が好きな未来が近づいていきます。

■自分の意思で決められるものは、思っていたよりも多い

現金ではなく、電子マネーで買い物をすることが多いのなら、時々「履歴」をチェックしてみるのもおすすめです。

この1カ月間で自分が買ったものを振り返ってみると、案外、「あれ? なんでこんなもの買ったんだっけ?」と無意識の行動が見えてきたりもします。

そして、そのうち感じると思います。

自分の周りの生活のうち、自分の意思で決められるものは、思っていたよりも多いのかもしれないと。

食べるもの、着るもの、学校に持っていくもの。元手となるお金を自分で稼ぐことはまだできないかもしれないけれど、「何を買うかを選ぶ」という意思決定に参加できるチャンスはたくさんあります。

君の部屋にあるものと友達の部屋にあるものが全然違うように、人の数だけ、選択の方法は違う。

自分の人生と未来を自分自身で決めるという場面が、日常には無数にあるということです。

今その場面に立っていると気づいたら、君の意思をめぐらせてみましょう。

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藤野 英人(ふじの・ひでと)
レオス・キャピタルワークス 会長兼社長・最高投資責任者
1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師。一般社団法人投資信託協会理事。

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(レオス・キャピタルワークス 会長兼社長・最高投資責任者 藤野 英人)

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