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「大人たちは決して教えてくれない」藤野英人が14歳の自分に伝えたい"人生の成功法則"

プレジデントオンライン / 2021年5月17日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JohnnyGreig

人生を面白く生きるには、自分が主人公になって生きることだ。しかし、困難に直面したら逃げてもいい。投資家の藤野英人さんが「14歳の自分に伝えたい『人生の極意』」を紹介する——。

※本稿は、藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

■君の選択が「人生」を彩っていく

14歳の君は今、体も心も苦しい状態にあって、「スランプ」の真っただ中にいますね。なんとなく体調がよくなくて、部活を途中で帰ってしまったり、勉強に集中できずに成績を落としてしまったり。親も君の様子を見て、とても心配している。

結果的に体調は15歳になったぐらいから少しずつ上向いていくのだけれど、それを知らない君は今、大きな不安に襲われている。

そんな君が少しでも前向きな気持ちを取り戻してくれたら。そんな思いで話をしていきます。

君はやがて大人になって、社会へと飛び出していく。

藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)
藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)

想像もできないような、たくさんの出会いが君を待っています。楽しい場面ばかりではなくて、今の君みたいに、迷ったり歯を食いしばったりする場面にもたくさん遭遇します。

でも、どんな場面でも忘れないでほしいのが、人生の主人公はたった一人、“君”しかいないということです。

親や、先生、上司、会社、世間……、いろんな人が君に言葉をかけ、その言葉が君の背中を押してくれたり、逆に君の足をすくませることもあると思う。

でもいつだって、君の人生の行き先を決められるのは君しかいないのだと、覚えていてほしいのです。

■「絶対に風雨をしのげる完璧な屋根」はない

何年か前に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)という本を出しました。この「投資家みたいに」という言葉に込めたのは“自分が主人公になって”という意味。

大切にしたい世界、価値観に対して噓をつかずに、自分の心が「そうだ、こっちだ」と躍る方向へと突き進んでいこう、というメッセージを伝えたかったのです。

何も、「リスクが高い、劇的な挑戦をしよう」と言っているわけではありません。僕は起業家という生き方が好きだけれど、万人に薦めているわけでもありません。

会社員として50年生きる人生でも「自分を主人公にして生きる」ことは可能です。組織の一員であるという強みを存分に活かして、夢中になってチャレンジするハイパーサラリーマンを、僕はたくさん知っています(僕は彼らを“サラリーマンの虎”と位置付け、「トラリーマン」と呼んでいます)。

一方で、会社に入った途端、まるで首輪をつけられた飼い犬のようになって、「どこかに所属する人生」に全身を委ねてしまう人も、残念ながら少なくありません。

所属する会社が元気で明るいうちはハッピーに過ごせるけれど、僕たちは今、変化が激しく、未来が不確定な時代に生きています。「絶対に風雨をしのげる完璧な屋根」なんて、どこにも見つからないのです。

超有名な大企業に入ったとしても、3年後にも同じ環境が維持されているかはわかりません。

成功が約束されている場所は存在せず、正解のないゲームが続く。「はい、正解です!」と教えてくれる人はいないのです。

こんな不確定な社会の中に飛び込むのは怖いかもしれないけれど、君は人生の主人公なのだから、どんなふうにだって物語を変えられます。

面白い漫画や小説には必ず魅力的な主人公がいるように、君の考え方や選択次第で、人生はいくらでも面白くできることを、どうか忘れないでほしいと思います。

■生きていることを死ぬまで楽しむ社長たちについて

僕の尊敬する人生の先輩である成毛眞さんは、マイクロソフト日本法人の社長を務めた後、たくさんの企業の経営にアドバイザーとして関わっています。

その成毛さんが、2020年10月25日にフェイスブックに投稿した「学生の諸君へ、(なにかがおかしいと感じているサラリーマンの諸君へ)」という文章に、僕は深く共感してSNSでシェアしたところ、多くの人から反響がありました。

ちょっと刺激的な内容かもしれませんが、ここに引用しますので、ぜひ読んでみてください。

いまボクが付き合っている連中の60%は社長たちだ。残りの40%は編集者、研究者、医者、芸者、勇者など、怪しい者業の面々だ。

その社長たちとは熱海の畳屋、江別の製麺屋、伊勢のクラフトビール屋、高山の瓦屋、気仙沼のセーター屋、赤坂の高級割烹屋、本郷の人間ドローン屋、番町のAI屋などなど、規模も業種もバラバラで、もちろん学歴もバラバラだが、いわゆる大企業サラリーマン社長はいない。

話をしていて、その社長たちはいつもクソ忙しく、体温が高く、多動性で、話題がとっちらかり、新しもの好きで、ケチくさく、いささか攻撃的で、ともかくバラッバラの個性で、生きていることを死ぬまで楽しむであろうと、感じるのだ。経験上、そのような属性の人が社長になったのではないと思う。社長という職種が人を変えるのだとつくづく思うのだ。

これからの学生は社長を目指すべきだと思う。40年も勤め上げて2年で交代する大企業の社長だけは論外だ。テクノロジースタートアップだけが有望な社長でない。家業があれば引き継いでガンガンやるべきだ。町中華の主人だって立派な社長だ。古い業種と思われているところにも面白い社長がたくさんいる。

中小企業といわれようが、輝くベンチャーと言われようが、たかがラーメン屋といわれようが、オタク農家といわれようが、不思議なことに社長たちはほぼ同じ属性であり、意外にも仲間意識があるということを学生は理解したほうがいい。大成功したベンチャー企業の社長は居酒屋の主人をリスペクトしているものだ。社長業という同じ職業の仲間だからだろう。それでもまだ、定年後にはつましく静かな余生の中で、過去のわずかな武勇伝にまどろむ高級サラリーマンを目指しますか。
(出典:「学生の諸君へ、(なにかがおかしいと感じているサラリーマンの諸君へ)」)

■人生を楽しむことで、お金がついてくる

ユーモアも交えながら、成毛さんが伝えようとしているのは、やはり“主人公として生きろ”というメッセージではないかと思います。

「生きていることを死ぬまで楽しむ」主人公になろう、と。人生を楽しむためには「お金」がたくさんあることが条件だと思われがちだけれど、そうとも限りません。

僕が出会ってきた起業家たちの中にも、一夜にして財産を失ったり、お金の面で悲惨な目に遭った経験を語る人は少なくありません。

でも、お金がなくなったからといって人生は終わらない。夢を語り、仲間を思い、前を向くことはできます。

彼・彼女たちは、どんなときでも、思い切り“主人公”を楽しんでいます。そして、“主人公になる権利”は、誰でも等しく、生まれたときから持っているのです。

レストランの外に立ってほほ笑むオーナー
写真=iStock.com/Ridofranz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ridofranz

お金があるから、人生を楽しめるのではない。

人生を楽しむことが先で、お金は後からついてくる。

これからも、君は君の人生の堂々たる主人公として、歩んでいってください。

■悩んだときには逃げるのが一番

それでも、人生には試練も度々起きます。

自分なりに精一杯頑張っているつもりなのに、足を引っ張られたり、裏切られたり。打ちのめされてどうしようもなくなってしまう事件が時々起きる。

元気なときには立ち向かう力が振り絞れるけれど、元気が出ないときだってありますね。

365日、最強の勇者で居続けられる人なんてどこにもいません。

そんなときは、逃げたっていい。逃げることが正解な場面もあります。

感覚としては、「ウォークアウェイ」。走り去る(ランナウェイ)ではなく、歩き去る。余計なことは言わず、その場をスッと立ち去っていく。

僕たちは、何事にも向き合う努力をするべきけれど、“立ち去る自由”も持っているのです。

有名な中国の思想家、孫子の戦術をまとめた「孫子の兵法」にも「三十六計逃げるに如かず」という言葉があります。つまり、「いろいろな戦法があるけれど、悩んだときには逃げるのが一番」という教えです。

14歳の君は、まだまだ大人に守られている立場で、だからこそ見えている世界がとても狭くて窮屈に感じて、イライラや不安が爆発しそうなときがあると思う。

どうしようもなくなったら、「逃げる」という選択肢を思い浮かべてほしい。

困難に全部立ち向かう必要なんてない。

あまり大っぴらに言わないだけで、周りの大人たちだって、しょっちゅう逃げているのだから。

■自ら逃げ出した烙印なき牛は、きっと笑っている

僕もそうです。いろいろ考えて解決策が浮かばないときは、向き合うことをやめてみる。すると誰かが現れて解決してくれることもあるし、時間が解決してくれることもある。人生は長いので、ちょっとくらい休んだって大丈夫です。

僕がレオス・キャピタルワークスという会社を創業する前、初めて作った会社の名前は、「マーベリック・コンサルティング・カンパニー」。「マーベリック」ってどういう意味かというと、「烙印を押されていない牛」という意味なんです。

アメリカでは、牛を牧場で飼うときには、お尻に熱い焼きごてをジューッと当てて火傷の印をつけるという風習があったそうです(今でも続いているのかは定かではありません)。牧場ごとに判別できる印をつけて、家畜として管理するためにそれをする。でも、中には拘束を振りほどいて逃げ出す牛もいるそうです。

自ら逃げ出した烙印なき牛、それがマーベリック。僕はその生き方に敬意を示したいと思います。柵を飛び越え、まだ見ぬ外の世界へと颯爽と逃げ出した牛。その表情はきっと笑っているんじゃないかなと、僕は想像しています。

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藤野 英人(ふじの・ひでと)
レオス・キャピタルワークス 会長兼社長・最高投資責任者
1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師。一般社団法人投資信託協会理事。

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(レオス・キャピタルワークス 会長兼社長・最高投資責任者 藤野 英人)

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