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妻に頼みごとをされたときに絶対に言ってはいけない"あるひと言"

プレジデントオンライン / 2021年5月17日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

妻から頼みごとをされたとき、夫が「あるひと言」を付け足すことで、怒りを買ってしまうことがある。家事研究家の佐光紀子さんは「『あとでやるよ』などの曖昧な答え方をする人がいる。職場でそんな答え方をするかを考えてみてほしい」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、佐光紀子『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか:妻と夫の溝を埋める54のヒント』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。

■なぜ妻は「あとで」「ちょっと待って」にキレるのか

「妻に家事を頼まれたときに、「あとでやる」とか「ちょっと待って」って言うと、妻はキレだすんですよ。僕は、やらないとは言っていません。あとでちゃんとやるからちょっと待ってと言っているのに、どうして妻はキレるんでしょう? キレる妻にどう対処したらいいですか?」

以前、夫婦参加型の家事シェア講座のフリートークで、30代と思しき男性からこんな質問が出た。

「ある、ある」という共感が男性陣側から伝わってくる。一方で、思わず、「何言っているのよ」と言わんばかりのムっとした顔になる女性陣。それぞれの言い分がヒシヒシと伝わってくる、一瞬、部屋に緊張を走らせた質問だった。

確かに彼は「やらないとは言っていない」。いや、「やる」と言っている。だから、「少し待てよ」という気持ちはわからなくはない。しかし、彼の言う「あとで」や「ちょっと待って」の「ちょっと」というのは、一体どれくらいなのだろうか。

5分後なのか、30分後なのか。あるいは「風呂に入って、夕飯を食べて、TVを観た後」なのか。それが「あとで」や「ちょっと」という言葉からは伝わってこない。実はそこに大きな問題がある。

■「あとでやる」では答えになっていない

これが、仕事の現場でのやりとりだったら、どうだろうか。自分が仕事を頼む側だったとしよう。

怒り
写真=iStock.com/tuaindeed
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tuaindeed

「得意先に電話をかけてアポイントメントをとっておいてほしい」と頼んだら、後輩が「あとでやります」と答えたとする。頼んだ側はどう思うだろうか? 「すぐにやってくれそうだ」と感じるだろうか? むしろ、「そのあとっていうの、いつだよ」とは思わないだろうか?

それが、スマホを見ながら、顔も上げずに「ちょっと待ってください」と言われた日には、「お前やる気あるの?」とさえ思うのではないか。もしかしたら、「じゃあ、いい。こっちでやるから」と引き取ってしまった方が早いかもしれない、という思いが頭をかすめることもあるだろう。

いずれにせよ、「あとで」という言葉には、「すぐにやってくれるだろう」「ちゃんとやってくれそうだ」とは思えない、「やります」を先送りしているだけという印象が拭えない。ましてや、「あとで」と言いながら、目の前で後輩が延々とスマホをいじり続けたら……「いつになったらやるんだよ」とイライラする自分の姿も、想像に難くない。

では、一体後輩がどう答えれば、「やってくれそうだ」と思えるだろう。

「電話一本かけたらやります」「○○が終わってからでもいいですか?」「今から出なくちゃいけないので、明日でも間に合いますか?」といった返事だったらどうだろう。相手の状況と、明確なお尻が見える返答があれば、頼んだ側は納得する。たとえ、それが「今すぐやります」ではなく、もしかしたら、今日はできない、という返事であったとしても。

■「いつやるのか」を具体的に伝えるべき

夫婦の会話でも、状況は同じだ。頼んだ側の妻は、夫のいつだかはっきりしない「あとでやる」に、「私がやった方が早いかもしれない」という思いを抱く。

そしてやる気のなさを感じ取る。だとすれば、妻への答えも先送り感満載の「あとで」や「ちょっと待って」を封印して、なるべく具体的な方がよい。

「このニュースが終わったらやるよ」「着替えたらやるから、ちょっと待って」などと、具体的な時間の枠を提示するのだ。

そうすることで、妻としては、自分でやってしまった方が早いのか、あてにしてもよいのかの判断がつく。実は、これが非常に重要なのだ。彼女は、他の家事との兼ね合いで、今これを夫がやってくれなければ、自分でやってしまった方が早い、と考えている可能性が高い。

・やってくれればとてもありがたい。
・でもやってくれないなら、私がやる。
・一番迷惑なのは、だらだら先延ばしにされて、結局私があとでやらなければならなくなること。

彼女の頭の中ではこの三択がぐるぐる回っている。

「この番組が終わったらやるよ」と答えて、番組が終わるまで一時間も待てないと判断すれば、「じゃあ、私がやるよ」と彼女は言うかもしれない。そう答えるのは、頼んだことが喫緊の課題だからだ。

そこで、「終わったらやるって言っているじゃないか」と言っても話にならない。それは「午前中に電話をしておきたい」と思って頼んだのに、「昼飯後にかけますね」と後輩に返されて、「じゃあ、自分でかけるわ」というのと同じだ。

そのときに、「昼飯後にかけるって言ってるじゃないですか」と声を荒げる後輩は……少なくとも電話をかけてほしいと依頼した先輩から見ると、アテにできない後輩だろう。

■「ピラフ“で”いい」「ピラフ“が”いい」の違いは大きい

仕事仲間の共働きの女性編集者は語る。「夫に頼んだご飯の後片付けは、待てて一時間。彼の「ちょっと」がいつまでなのかがわからないと、一日終わって疲れているときは特に待つ気にもなれない。まして、「今やろうと思っていた」なんて言われると、「絶対思ってないでしょ」っていう気持ちになる」。

こうしたコミュニケーションにおける配慮は、仕事の現場だけでなく、夫婦間でも必要だ。曖昧な表現を意識して避けることで回避できるもめ事は案外多いはずだ。

以下はTwitterで育児の話をしているtomeさんのツイートだ。

そして本日の夫。
私「ピラフと白いご飯どっちがいい?」夫「どっちでもいいよ」
私イラッ「どっちでもいいじゃなくて選んでよ」夫「じゃあピラフでいいよ」

出ましたーーーーーー!ピラフ「で」

食わんでよろし!

tomeさんのどちらがいいかという問いかけに、「ピラフがいい」と答えればことは穏やかに終わったはずだ。夫の答えに、妻は「ピラフを食べたい」という夫の前向きな気持ちを感じて、気分良く調理に取りかかっただろう。ところが、これを「ピラフでいい」と言ってしまうと、事態が一転する。

発言している側は、さしたる悪意もなく、軽い気持ちで言っているに違いない。しかし、「が」と「で」の違いは天国と地獄ほど大きい。というのも、「でいい」という言葉の裏に、「簡単なものを選んであげてるでしょ」「妥協してあげたよ」というネガティブなニュアンスを感じる人が非常に多いからだ。

■「~でいい」と言えるメニューなどない

思わず主婦が白目になってしまう日常の瞬間を「白目カルタ」としてインスタグラムで発信し続けている白目みさえさんは言う。

旦那よ。じっくり解説してさしあげるから耳の穴をかっぽじってよく聞きなさい。

・初心者っぽい=簡単ではない
(例)野菜炒め、カレー、炒飯
佐光紀子『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか:妻と夫の溝を埋める54のヒント』(平凡社新書)
佐光紀子『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか:妻と夫の溝を埋める54のヒント』(平凡社新書)

手順こそ簡単ですが、これらは具が数種類必要で下準備が面倒。野菜は、洗う、皮むく、ええ感じの大きさに切る……をそれぞれしなければなりません。そして具材は子どもや旦那の好みを考慮して選別する必要があります。火が通る時間もバラバラなので順番に気をつけたりあらかじめチンしたり……。面倒なのです。

夫の側は、相手に配慮して「ピラフでいいよ」と言う。しかし、言われる側は、「人に作ってもらうくせに、簡単なものを選んでやったと言わんばかりで失礼だ」と感じる。白目さんは言う。

作らない側が「でいい」と言えるようなメニューなどないのです。

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佐光 紀子(さこう・のりこ)
家事研究家
1961年生まれ。東京都出身。1984年国際基督教大学卒業。2016年上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士前期課程修了(修士号取得)。繊維メーカーや証券会社で翻訳や調査に携わったあと、フリーの翻訳者に。翻訳をきっかけに、重曹や酢などの自然素材を使った家事に目覚め、研究を始める。著書に『キッチンの材料でおそうじするナチュラル・クリーニング』(ブロンズ新社)、『もう「女の家事」はやめなさい―「飯炊き女」返上が家族を救う』(さくら舎)、『家事のワンオペ脱出術』(エクスナレッジ)、『家事は8割捨てていい』(宝島社)、『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社新書)などがある。

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(家事研究家 佐光 紀子)

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