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「東大合格者数40年連続1位」開成の校長が"あのクイズ王"に目をかけるワケ

プレジデントオンライン / 2021年5月28日 8時45分

撮影=プレジデントオンライン編集部

先行き不透明なこれからの時代を生き抜くためには、どんな力が求められるのか。親は子供に何をすればいいのか。『プレデントFamily』編集部が、難関大学合格実績の高い一貫校や、新機軸の校長にインタビューした――(前編/全2回)。

※本稿は、『プレデントFamily2021年春号』の一部を再編集したものです。

■開成高校の校長が落合陽一さんと伊沢拓司さんを推すワケ

これからの時代を生き抜いていくには、どんな力が必要なのか。そのために、家庭でやるべきことは何か。トップクラス校の校長に聞きました。十人十色の答えの中から、きっと各家庭に響く答えが見つかるのではないでしょうか。

各校長にお聞きしたのは、子育て世代の多くの親が悩む、下記の2つの質問。

Q1:これからの社会で必要になる力は何でしょうか?
Q2:その力を身につけさせるために、家庭教育でやってほしいことを教えてください。

■●開成中学校・高等学校校長 野水 勉さん

A1:異文化の背景を持った人、マイノリティー(社会的少数者)、社会的弱者等、さまざまな多様性を深く理解する力。

日本社会も、多様な背景を持った方たちが急速に増えてきており、否応なくグローバル化の時代を迎えています。海外に出かければ、なおさらです。また、ビジネスにおいても、アカデミック(学究)の世界においても、海外の人との親交や協力が、これまで以上に必要不可欠となります。高い外国語力とコミュニケーション力を身につけ、独創的な視点を持って国内外で活躍してもらいたい。そのためには、何よりも相手の立場に立って、相手の考えや気持ちを理解し、適切に発信する力が大切だと考えます。

A2:新聞を読み、現在日本で起こっていること、海外で起こっていることを知り、自分の頭で考え、自分の意見を持つようにしてほしい。

とくに、弱者への配慮の視点を大事にするようにしてもらいたいです。保護者の方は、大人の考えを押しつけず、お子さんの個性ある意見や知的好奇心を引き出すように、丁寧に話し相手になってください。知識を詰め込むだけの勉強では困ります。自分で意見を持たないと、人からの指示を待ってしか行動できない人になってしまいます。大人になる過程で、自分で考え、納得して、自立して行動することが求められるようになります。日本や世界がどのように動いているのか、自分で知る努力をし、意見を持つことが、自立と自覚をうながすことになります。

【学校が注目している卒業生】

落合陽一 メディアアーティスト

[推薦の理由]デジタルネイチャーという情報工学と物理空間を組み合わせた学術分野で世界的に優れた研究成果を積み上げる一方、エンジニアリングとアートを融合させたメディアアーティストとして奇抜なアート表現を創り出しています。

[在学中の様子]生徒の間でも強烈なキャラクターで知られる、音楽、美術等も含めて多才な人物で、平成の「ダ・ビンチ」と呼ばれていたそうです。

伊沢拓司 QuizKnock代表

[推薦の理由]クイズを生業(なりわい)とする新しい発想で、現在テレビで大活躍中。

[在学中の様子]中学1年生からクイズ研究会に所属し、すでに中学2年生の頃から学校内で目立っており、研究会の中ではGOD(神)としてあがめられていたとか。

■●武蔵高等学校中学校校長 杉山剛士さん

A1:「自ら調べ自ら考える力」、さらに「独創性と柔軟性」。

これからの社会は一言で言うと先行き不透明で正解のない時代。しかもグローバルなつながりの時代です。そうした時代を生きていくためには、まず「自ら調べ自ら考える力」が必要。武蔵では創立以来、この「自ら調べ自ら考える(自調自考)力」を大事にしてきました。さらに、その基盤の上に、前例にとらわれない「独創性」と自分とは異なる多様な他者を受け入れ協働していく「柔軟性」が必要。武蔵生の強みはまさにこの「独創的で柔軟な力」にあります。

A2:3つの「こう○心」(好奇心、向上心、公共心)を伸ばすこと。そして何よりも家庭を子供にとってホッとする場所にすること。

自調自考の精神や独創性・柔軟性は学校や地域の場で培われるので、家庭ではその力の基盤となる力を育ててください。まず「好奇心」。さまざまなことを知りたいと思うことが学びの基本。自然の中で遊んだり、図書館や博物館などを訪れたりすることも有効です。次に「向上心」。伸びようとする気持ちです。ただし人との比較はNG。「昨日の自分を超えていく」という思いが大切です。最後に「公共心」。人の痛みを知る、人の立場になって考える。いたるところに公共心を磨くチャンスはあるので、そのつど教えてやってください。

そして、最後に何といっても家庭は、夕食のときに子供がその日にあったことを自由にしゃべり、親がそれを黙って聞いていてやれるような「ホッ」とする場所であってほしいと思います。子育てには正解やノウハウがあるわけではありません。子供の幸せを願うのが親心で、それがあればどんな方法でも大丈夫。子育てを楽しみながら、ゆったりと構えてください。

【学校が注目している卒業生】

馬渕俊介 ビル&メリンダ・ゲイツ財団 シニアアドバイザー

[推薦の理由]JICA、マッキンゼー、世界銀行というユニークなキャリアを経て、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のシニアアドバイザーとして途上国支援のために活躍されています。「短い人生の太さと興奮度合いを決めるのは、抱く夢の大きさとその実現に向けた信念、行動力」だと語り、現在は地球規模でパンデミックに対応するための国際機関「独立パネル」に身を置き、新型コロナウイルス感染症の対策検証などを手がけながら、「地球上から理不尽な死をなくす」という大きな夢に向かって尽力されています。

[在学中の様子]勉学にも練習にも人一倍励む模範的な野球部員、純粋で仲間思い、思考力と洞察力に優れた努力家として印象深い生徒でした。「行ってみたい場所を調べて、想像上の旅行記を書きなさい」という地理の課題では、南米のアマゾンを旅する冒険心にかき立てられていました。

■●桜蔭中学校・高等学校校長 齊藤由紀子さん

A1:正解のない問題に判断を下すためのバランス感覚と忍耐力。

たとえ予測できない状況に置かれても、私たちは何らかの判断を下し、行動を起こさなくてはなりません。正解がない事態でも、できうる限りの最適解を導くためにはさまざまな条件を総合的に判断するバランス感覚が必要になると思います。そしてその決断が不完全であることに耐え、よりよい解決法を探してゆく忍耐力も必要です。単純に白黒をつけないで「不十分な決断」に耐えながら、より適切な答えを求めることがこれからの社会では必要になると思います。

A2:生活力を身につけること。友人とともに学んだり遊んだりする経験を積むこと。読書をすること。
『プレデントFamily2021年春号』
『プレデントFamily2021年春号』

日々の生活において年齢相応の生活力を身につける過程で、手先の器用さ、段取り力、コミュニケーション力が磨かれてゆくはずです。また、友人との交流や学習は他者への想像力を育て、視野を広げてくれます。バランスのとれた判断力も育てられるでしょう。そして読書を通して、日常を俯ふ瞰かん的に捉える力を身につけることができます。現実と理念は不可分なのではないでしょうか?

【学校が注目している卒業生】

菊川 怜 タレント

[推薦の理由]毅然と行動しているところ。

[在学中の様子]活発ではつらつとした生徒でした。

■●女子学院中学校・高等学校学院長 鵜﨑 創さん

A1:探し求める力。

どのような環境に置かれても、その中で自らに与えられた場を見いだし、使命感を持って行動することができるようになることが大切です。社会や組織の歯車となって、言われたことを淡々と繰り返すのではなく、目的意識を持って、なすべきことを常に探し続けることができるようになれたらよいと思います。コロナ禍の経験からも学んだように、変化する社会を生き抜くためには、望みどおりにならないことがあっても、あきらめるのではなく挑戦し、自分自身にできることを探し求める力が必要です。

A2:考える機会を大切にする。

探し求めた先に何があるのか。与えられた答えではなく、自らつかんだ答えに出合ったときの喜びは格別です。多少時間はかかっても、自ら探す時間を与えてやってください。ただし、見つけた答えが好ましいものではなかったときには、何がよくないのか共に考える機会を持つとよいでしょう。この話し合いの中から、思考力、想像力が育っていきます。

■●ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン マイケル・ファーリー氏

A1:人、コミュニティー、そして自然とのつながりを理解し、共同する力。

私たちハロウスクールは英国で生まれ450年の歴史を持ちます。教育のビジョンは常に、未来のさらに先を見据えて作られ続けています。その中でも「勇気」「高潔」「謙虚」「盟友」、これら4つの価値観は、リーダーの持つべき特質として、ハロウの教育に深く取り入れられています。若者が成人期に成長し、世界的な危機がまた起きた際に、その問題を解決する立場となったときに、これらの4つの価値観は、必要不可欠な力であり、問題を乗り越える役に立つでしょう。これらの力に加え、テクノロジーを正しく使いこなす力が必要なことはいうまでもないことでしょう。そこには、テクノロジーから距離をおくことができる力も含まれています。人と直接過ごす時間は、子供たちが深い絆を築くためにも大切な時間であり、この時間の積み重ねが「仲間意識」へとつながるのです。

A2:自然の中で思い切り遊ばせてください。

子供たちに必要になる力である、コミュニケーション、コラボレーション、異文化理解、レジリエンス、そして自律の力を家庭で育成することは可能です。たとえば、市内または自然の中へ家族で1日自転車遠征に出るとか、一晩キャンプしてみる(裏庭でしたっていいでしょう)、キャンプファイヤーで夕食を作ったり、公園で葉や木の実を拾ってきて創作したり、少し手を伸ばして、珍しいペット(カブトムシ、トカゲ、ヘビ)を飼うこともできます。これらの経験で、子供が大人とコミュニケーションを取り、協力し、新しい知識を習得し、経験を広げるだけでも大きな学びとなるのです。

【学校が注目している卒業生】

樹 グローバル企業 管理職の候補

[推薦の理由]ハロウバンコク校を卒業し、エジンバラ大学で国際関係論を学んだ日本人の卒業生です。彼はハロウに入学したとき、スポーツにしか興味のない生徒でしたが、ハロウの先生方の指導や、さまざまな仲間との出会いが、彼の視野と世界を広げていきました。現在は、フォーチュントップ200にランクインしているグローバル企業の人事部門で働き、管理職の候補として日々さまざまなことに挑戦しています。彼は、ハロウの教育から得た仲間意識と、共同する力を実践し、グローバル企業で、多様なバックグラウンドと価値観を持つ同僚と働いています。

サニー 建築家

[推薦の理由]ハロウ香港校の卒業生で、シンガポールで働く29歳の建築家です。熱心で、いつも人の助けになり、常に挑戦する学生として覚えています。彼女は数学と科学を非常に得意としましたが、同時にファッション、アート、デザインへの情熱がありました。進路としては創造性と学問的才能の両方を活かせる「建築」の世界に進みました。彼女はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで訓練を受け、さらに専門的な訓練のためにアメリカに移住しました。世界的にも有名な建築関係の大企業に就職し、病院、ホテル、学校の建築を手がけています。

(プレジデントFamily編集部 構成=松本史)

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