「あらゆる手段を活用せよ」40代の転職で使える"ビジネスSNS"の名前
プレジデントオンライン / 2021年7月15日 11時15分
大手メーカーの営業部で20年働いていますが、畑違いの部門へ異動の内示がありました。自分としては引き続き営業の仕事をしたいので、転職を考え始めています。
まずは友達から勧められた、求人に強いと言われるビジネスSNSに登録してみたのですが、どう活用したらいいのか、そもそも使った方がいいのかどうかもよくわかりません。活用法のコツなどありましたら教えてください。また、ビジネスSNSだけでなく、転職サイトやエージェントにも登録してみた方がいいのでしょうか。(42歳・メーカー勤務)
■リンクトインやウォンテッドリー、どう違う
現在、ビジネスSNSといわれているものにはLinkedIn(リンクトイン)やWantedly(ウォンテッドリー)などがあります。リンクトインはアメリカ発のSNSで、機能的にはツイッターやフェイスブックと似ていますが、ビジネスネットワークの構築や転職・採用など、ビジネス向け機能に特化しているのが特徴。企業向けの採用機能もあり、海外も含めて多くの企業が人材獲得に活用しています。
一方、ウォンテッドリーは求人情報サイトの側面が強く、転職先探しはもちろん、企業の募集に対してエントリーすることもできます。また、仕事でつちかった人脈をこのSNS上で管理することも可能です。
もうひとつ、転職に関する情報収集ツールとしてはツイッターも人気。近年は、ツイッターの投稿をもとに企業と転職希望者をマッチングするようなサービスも出てきており、こうした機能は今後も拡大していくのではと思います。
さて、今回のご相談内容についてですが、現在42歳ということなので、転職活動に際してはできる限り多くの媒体を活用することをおすすめします。一般的に、転職市場では35歳を超えると採用されづらくなるもの。年齢という不利な部分を補うには、可能な限り情報を集めて数多く応募することが重要です。
■ビジネスSNS、3つの使い方
その意味では、通常の転職サイトやエージェントはもちろん、ビジネスSNSもぜひ活用してください。効率のよい転職活動を可能にする新たなツールが登場しているわけですから、使わないのは機会損失でしかありません。
ビジネスSNSの使い方としては、主に3つが挙げられると思います。1つめは情報を読むだけで自ら発信はしない、いわゆる「ROM専」。ROMは“Read Only Member”の略です。発信しなくてはSNSを使う意味がないと思うかもしれませんが、読むだけでも情報収集になるので、ROM専でも使わないよりは使ったほうが断然いいといえるでしょう。
2つめは、セミナーや勉強会などの情報を集めて参加していくような使い方。得た情報を自分の成長や交流拡大につなげていけるので、その中で転職のチャンスを得られる可能性もあります。
3つめは、自ら積極的に情報を発信して交流を広げていく使い方です。こうすると社外にネットワークが広がりやすく、自然と視野も開かれていきます。3つの中でいちばん上級者的な使い方ではありますが、たとえ小さなことでも、発信し続ければセルフブランディングにつながるもの。こうした自己開示ができる人には、それに合った情報が集まりやすくなりますから、結果として企業から声がかかることもあるかもしれません。
■やらないよりやった方がいい
いずれの使い方をするにしても、35歳以上で転職活動をするなら、ビジネスSNSはやらないよりやったほうがいいと断言できます。お金もかからないので、「転職を成功させるために」などと肩ひじ張らず、自分の情報感度を高めるためと考えて気軽に始めてみてください。
では、今回のご相談の場合はどのSNSが適しているのか。優先順位をつけるなら、私はリンクトイン、ウォンテッドリー、ツイッターの順になるかと思います。
ウォンテッドリーは主に20~30代の若者がよく使っていて、ベンチャーへの転職に強いと言われているため、今回のご相談内容にはマッチしないでしょう。ツイッターは情報収集には便利ですが、転職情報という面では先の2つの方がアクセスしやすい感があります。
■履歴書代わりにも使える
リンクトインは今年に入って急速に注目度が高まっており、私の周りにも実際にこれで転職した人もいます。以前は外資系や金融業界での転職に強かったのですが、最近はほかの企業や人材も続々と参加。履歴書代わりに使っている人も多く、ホワイトカラーの職探しなら、ほぼすべての業種で役に立つようになっています。
また、企業の人事担当者や中小エージェントの間でも、優秀な人材が見つかるツールとして評価が高まっています。ほかにも採用側のメリットとして、無料で求人ができる、アメリカ発のSNSのため英語に強い人材を見つけやすい、リファレンスチェックが簡単にできるといったことが言われています。
リファレンスチェックとは、人事担当者やエージェントが採用候補者の前職での勤務状況や、人柄を把握するために行うもの。一般的には前職の上司などに問い合わせて、こうした事柄を聞き取っていきます。
つまり第三者の証言をもとに候補者を評価するわけですが、その人がリンクトインに登録していれば、プロフィールやフォロワー、投稿などが評価のもとになることも。候補者のビジネス上のつながりが可視化されている上、どんなスキルを持っていて誰が推薦しているか、普段どんな会話をする人なのかといったことまでわかるからです。ある意味、職務経歴書やリファレンスチェックよりも「その人のリアルがわかる」と言えるでしょう。
■転職サイトやエージェントとあわせて活用を
ただし、リンクトインは転職専門のサービスではありません。メインとなる価値はあくまでも交流や情報収集であって、「そこから転職につながる可能性もある」ぐらいに捉えておいたほうがいいと思います。すぐに結果が出るものではないので、転職を急ぐ場合は転職専門サイトを使うのがおすすめです。
転職専門サイトやエージェントは、それに特化しているだけあって情報量も豊富。登録企業も採用だけを目的にしているので、選考も結果もSNSよりスピーディーです。それでも、35歳以上で転職活動をするなら、私は両方を同時に使っていったほうがいいと思います。
自分のペースでゆっくり活動したい、それほど多くの情報はいらないという人ならビジネスSNSは不要かもしれません。でもその分、納得のいく転職ができるのは先になるかもしれず、市場の傾向から言えば、転職は年齢が上がるほど決まりづらくなっていきます。
情報の流通量を増やし、選択肢を増やしていけば転職成功の可能性も高まっていきます。転職サイトや転職エージェント、ビジネスSNSなど使えるものはできる限り使って、その可能性を高めていただければと思います。
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転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役
1988年、リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立、成長企業のための「社長の右腕」次世代リーダー採用支援サービスを開始。35歳からの転職支援サービス「Career Release 40」、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を運営している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』『35歳からの後悔しない転職ノート』『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』など。
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(転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役 黒田 真行 構成=辻村洋子)
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