「BTSの誰が好き?」全く興味のない質問に対する"最強の切り返しフレーズ"
プレジデントオンライン / 2021年7月25日 8時15分
■「好きじゃない」けれど、どう返せばいいかわからない
「阿隅さん、BTSのメンバーでは誰が好き?」
女子会の話題の鉄板ネタと言えば、今も昔も「アイドル」ではないでしょうか。少し前なら「嵐なら誰が好き?」だったかと思いますが、最近この話題でよく出てくるのはBTSでしょうか。
BTSは韓国の7人組男性ヒップホップグループで、新曲のミュージックビデオ再生回数が3日で1億回を超えるほど、世界的な人気を博しています。
ただ、そう尋ねられたときに、自分がBTSのファンでない場合、返答に窮しかねません。
BTSのファンかどうかはさておき、こうした「別に好きじゃないときにどうやって返したら感じが悪くないか」というコミュニケーションの悩みは、友人関係、職場の人づきあいでも、あるのではないでしょうか。特に、女性の場合、ご近所づきあい、ママ友同士など、気を遣う場面は多いもの。交渉や折衝など仕事上のやりとりなら、Yes、Noを明確に伝えるのは当然。むしろ、ちょっとした会話や雑談レベルの方が、実はモノのいい方が難しいものです。
■タイプ別 切り返し必勝3パターン
しかし、結果を出せるビジネスパーソンを目指すなら、仕事のスキルを磨くことに加え、人間関係を円滑にするためのコミュニケーション能力も身につけたいところです。
そこで、「知っているけど、別に……」「特に好きでもない……」という場面に出くわした時に、場の空気を悪くせず会話を続ける方法をご提案します。今回は、「友人」との会話の場面という設定ですが、職場やお客様先でも「同意はできないけど、場の空気を悪くしたくない」という際の参考にもどうぞ。
返答の仕方は、あなた自身の性格に合わせるのがベター。以下の3タイプのうち、自分に近いものを選んでみてください。
1.こだわりが少ないタイプ
2.こだわりがあるタイプ
3.盛り上げたいタイプ
では、順に説明していきましょう。
■「こだわりが少ないタイプ」は逆質問で相手に話させる
友人は「当然、あなたも好きだよね」という前提で話題を振ってきます。あなたに同意、共感を求める友人に、「ごめん、あんまり好きじゃないんだ……」とは言いにくいものです。
もし、あなたが、好きでも嫌いでもなく、それほどこだわりが強いタイプでなければ、友人に合わせて会話を楽しむことが一番。
ですので、「逆質問をして相手に話をさせる」のがよいでしょう。
友人は、自分が好きなタレントについて語りたい、この話題で盛り上がりたいから話を振っています。もしかしたら、あなたの好みは二の次かも知れません。
ぜひ、友人にどんどん話をさせて喜ばせてあげましょう。
友人「メンバーの中で誰が好き?」
自分「そうそう、流行ってるよね。A子さんは誰が好きなの?」
友人「私は、○○のファンなの」
自分「そうなんだ、私ちょっと乗り遅れてて……(と少々自嘲めいた感じで、スマホを取り出して画像検索)、あ、この人ね、カッコイイね。どんなところが好きなの?」
と話に乗りながら聴き役に徹してみましょう。
誰でも、自分の興味のあることに関心を示してくれると、嬉しいものです。また、人は自分が知っていることは、教えたくなる性質です。
きっと、友人は自分が好きなアイドルに関心を示して知りたがっているあなたの態度に嬉しくなって、どんどん教えてくれるはず。
それに、大好きな彼や尊敬する先輩が好きな映画や音楽は、自分も詳しくなって一緒に会話をしたい、と思いますよね。大切な友人なら、こうして一緒に楽しむのも悪くなさそうです。
■「こだわりが強いタイプ」はYes、but法で感じ良く主張
次に、あなた自身にこだわりや主張があり、「自分はあまり好きじゃない」「自分はむしろ、こんな対象が好き」というのを伝えたいときにはどうしたらいいかを考えてみましょう。
場の空気を壊したくないのであえば、まずは友人の話をひとしきり聞く。そのあとで、自分の主張をするという流れがおすすめ。これをYes、but法といいます。
友人「メンバーの中で誰が好き?」
自分「A子さんは、誰が好きなの?」
と、ひとしきり話を聞いた後で、
自分「いやあ、○○の魅力は、語りつくせないね(笑)。そうそう、私、女性ボーカリストが好きなんだよね。A子さんはどう?」
という流れで主張をするのです。
このYes、but法を使えば、まずは、「友人が好きな対象の話」を受け入れ、その上で「自分の好きな対象の話」をするので、相手にも快く聴いてもらいやすくなります。
コミュニケーションには「返報性の法則」というものがあります。相手にして欲しいことがあれば、自分が先に行う。会話でも、自分が主張したいときこそ、先に相手の話題に乗る。主張したい場面での良好な関係づくりのコツです。
■「もしかして、あまり好きじゃない?」と聞かれたら共感で切り返そう
こだわりがあるタイプでは、Yes、but法に加えて、こんなテクニックがあるとさらにスムーズになります。
・「さすがに話題を変えたい」とき
万が一、友人が自己中心的なタイプで、周りの空気を察することなく一人でしゃべり続け、暴走するタイプの場合におすすめなのが、「~と言えば」というフレーズでさりげなく話題を変える方法です。
たとえば、「BTSと言えば、韓国料理の美味しいお店、駅前にオープンしたの、知ってる?」というように連想ゲームのように関連する話題に展開していくのです。
ただし、この場合でも、最低2往復以上は、会話のキャッチボールをして、友人が振ってきた話題にしっかりお付き合いをしてから「~と言えば」と展開するのが会話のマナーです。
・「もしかして、あまり好きじゃないの?」と突っ込まれたとき
勘がいい友人ならあなたの様子を見て、「答えにくそう」と気づき、さりげなく話題を変えてくれるもの。ところが、ストレートな性格の相手だと「もしかして、あまり好きじゃないの?」と聞いてくることもあります。そんな風に突っ込まれた場合、どうしますか。
「いいと思うけど、ここがさあ」とつい言いたくなりますが、“評価”はNG。これでは自分の価値観を押し付けて上から目線になってしまいます。職場でも「いいと思うけど、ここが気に入らないんだよね」とやたらと自分の価値観を押し付けてくる上司に、カチンときたことはありませんか。
友人は、あなたが嫌いな理由を聞きたいのではなく、自分が好きな気持ちに“共感”をしてほしい。いいよね、といって一緒に盛り上がりたいのです。
この例でいけば、BTSをあなたが、好きか、嫌いかではなく、BTSの良さはわからなくても、メンバーの○○を好きなA子さんの心情を理解しようとすればいいと思います。
答え方としては、
「私はともかく、○○に夢中なA子さんの気持ち、わかるよ、伝わってくるよ」
という共感の言葉と、
「A子さんが○○を好きなくらい、私は、▼▼(BTS以外の対象者)が好きなんだよね」
等というようにお互いを尊重する会話のパターンをおすすめします。
■「盛り上げたいタイプ」は明石家さんま風に反論を呼び水にする
もし、あなたが場を盛り上げたいと思うタイプの人で、しかも尋ねてきた友人との距離感も近いなら、明石家さんまさんのように、あえて反論を呼び水にして会話を盛り上げるのはいかがでしょうか。
ただし、これは話術の上級者向きです。
明石家さんまさんは、トーク番組で若手タレントさんが印象に残るように、会話のきっかけをつくり、チャンスを与えています。そのきっかけのひとつが、「そんなに好きなの? へえ、良さがさっぱりわからんな~、何がいいの?」とあえて反論をして、若手タレントから「こんなところが好きなんです!」と偏愛トークを引き出す話術。人は自分の好きなことを否定されると、強く相手を説得したいという気持ちになります。その心理を刺激することで相手の熱量も増し、会話が盛り上がります。
友人「メンバーの中で誰が好き?」
自分「A子さん、○○のファンなんだ。BTSのファンのこと、アーミーっていうんだよね。グラミー賞すごいよね」
など、関連する話をしてから
「いやあ、でもね、○○のどこが、そんなにいいのか正直わからないな~。どんなところが良いの?」
というようにわざと反論をして、友人にたっぷり主張させてあげるのです。
■最後は必ず「ありがとう」で締めくくる
ただし、これはあくまで、会話による社交術。決して、ディスカッションにならないファシリテーションスキルが必要です。
最後は、「ありがとう。これだけ魅力を教えてもらったら私も興味が出てきた。YouTube見てみるわ」とあなたが伝えることで、その場が心地よい雰囲気に包まれるところに着地してください。
そもそも、あなたが、場の雰囲気を壊して「空気が読めない人」になりたくないと思っているのは、集団生活におけるコミュニケーションを大切にしている証拠。他人の立場や心情に配慮しながら行動できる人です。どうぞ自信をもってください。
ぜひ、会話を感じよく仕切って、仕事ができるビジネスパーソンを目指しましょう。
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WACHIKAコミュニケーションズ代表
青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ
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(WACHIKAコミュニケーションズ代表 阿隅 和美)
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