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経済活動の再開には有用だが…「ワクチンパスポート」の日本導入で想定される"あるトラブル"

プレジデントオンライン / 2021年9月22日 12時15分

ワクチンパスポートのイメージイラストが表示されたスマートフォン - 写真=NurPhoto via AFP/時事通信フォト

ワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」の導入が各国で進んでいる。だが、先行するヨーロッパでは反発デモも起きている。ロンドン在住のジャーナリスト、木村正人さんは「ワクチンパスポートを導入しても接種率は必ずしも向上しない。ワクチンへの信頼度を下げないためにも、拙速な議論は避けるべきだ」という――。

■ワクチンパスポートの議論は接種が行き渡ってからすべきだった

新型コロナウイルスのワクチン接種が進むにつれ、日本でもワクチン接種証明書(パスポート)を巡る議論が政治の場でも活発に取り上げられるようになってきた。日本よりワクチン接種が進む欧州ではすでにスポーツ観戦や演劇鑑賞、ナイトクラブ入場だけでなくレストラン入店でも利用されているが、導入前後にはさまざまな議論が巻き起こっている

コロナ対策が後手、後手に回った揚げ句の東京五輪・パラリンピック強行で、毎日新聞の8月28日の世論調査では、菅義偉政権の支持率は26%と最低を更新、不支持率は66%と過去最悪となった。菅首相は8月25日の記者会見で「9月12日の緊急事態宣言の期限について判断した先には接種証明書の積極的な活用の方法を含め、飲食店の利用、旅行、イベントなど、日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討する」と発言した。

加藤勝信官房長官も翌26日の記者会見で「接種の強制、接種の有無にかかる不当な差別的扱いがないよう留意しながら基本的な考え方を示す。国内で接種の事実を証明する際には接種済証を用意していただくことが可能だ。接種証明書は海外渡航向けとして各市町村にお願いをしている。年内にデジタル化できるよう検討を急いでいる」と付け加えた。スマホアプリを活用する電子証明書の発行を視野に入れている。

日本のワクチン接種は進んだとはいえ、他の主要な民主主義9カ国や中国に比べるとまだまだ遅れている(図表1)。接種が十分に進まない段階で政府が接種証明書を議論することは「接種の強制」(加藤官房長官)ととられる恐れが大きい。

【図表1】人口100人当たりのワクチン接種回数
Our World in Dataの現在の数値を見る

十分なコロナ病床が確保できず、救急患者の搬送先が決まらない救急搬送困難事案が全国で週3000件を突破し、コロナ感染の疑い事例がその半数近くを占めている。入院・療養先調整中の感染者が3万2000人を超える中、接種証明書の議論に「ワクチンの展開とコロナ病床の拡充が先決」と憤りを覚えた有権者も少なくないはずだ。

自民党総裁選や総選挙を控えていた菅首相としては何とか有権者にコロナ危機の出口が近づいていることを印象付け、支持率の回復につなげたいという思惑があったのだろう。

物事には順序とタイミングがあるのだが、再選が危うくなっていた菅首相の目は完全に曇り、墓穴を掘ってしまった。結局、自民党総裁選への出馬を見送り、退陣に追い込まれた。リーダーが変わっても変わらなくても、ワクチン接種がさらに進めば、状況は改善する。その時に備えて水面下でワクチンパスポートの功罪を議論しておく必要がある。実際にワクチンパスポートが利用されている欧州の状況はどうなのか。

■ウィンブルドンで濃厚接触、10日間の自宅隔離

世界に先駆け、ワクチンの集団予防接種が始まったイギリスで暮らす筆者は2月11日と4月22日の2回、英アストラゼネカ製ワクチンを接種してもらった。接種カードには名前とワクチン名、出荷番号、接種日が2回分、手書きで記入されている。原則無償で医療を受けられるNHS(国民医療サービス)のコンピューターシステムにも同時に入力される。

NHSのコロナワクチン接種カード
筆者撮影
NHSのコロナワクチン接種カード - 筆者撮影

この接種カードを“免疫パスポート”として使おうという議論は集団予防接種が始まった昨年12月当初からあった。しかしマイケル・ゴーブ内閣府担当相は「どうか先走らないで。今のところ“免疫パスポート”は計画していない」と確実にワクチンを展開することを最優先にする方針を明確にし、先走るメディアに釘をさした。

筆者が実際に接種カードを“免疫パスポート”代わりに使ったのは7月8日、テニスのウィンブルドン選手権女子シングルス準決勝を妻と一緒にセンターコートで観戦した時だ。会場に入る際、マスクを着用し、接種カード(または48時間以内の迅速検査による陰性証明)と身分証明書を係員に提示しなければならなかった。

ウィンブルドン選手権女子シングルス準決勝
筆者撮影
ウィンブルドン選手権女子シングルス準決勝が行われたセンターコート - 筆者撮影

スマホにNHSの接触追跡アプリを入れておくと感染者と2メートル以内の距離で15分以上接した濃厚接触者には10日間自主隔離するようにとの通知が届く。筆者には観戦翌日の9日、自主隔離の通知が届いた。

接触追跡アプリ画面
接触追跡アプリに届いた自主隔離10日間のアラート(筆者がスクリーンショット)

他者との濃厚接触の機会はセンターコートで観戦した時とフードコーナー近くのベンチに座ってハンバーガーを食べた時の2回しかなかった。屋外で対面して座っていたわけでもない。自宅に置いてあった迅速検査を2回したが、いずれも陰性。自主隔離中の外出は違法なので10日間、妻と2人で自宅にこもったが、何も起きなかった。

こうしたガイドラインはサッカーのUEFA欧州選手権決勝(ユーロ2020、1年延期して開催)にも適用された。ウィンブルドン選手権やユーロ2020の機会を利用して正常化に向けた大規模イベントの実験が行われたのだ。

イギリスではデルタ(インド変異)株による感染拡大で筆者と同じように10日間自主隔離の通知を受け取った人が大量に発生していた。通知がスマホに届くと「ピン!」と音が鳴り、数十万人が自宅待機となり「ピンデミック」と呼ばれる大騒ぎになった。それだけ感染が広がっていた証左なのだが、7月19日には飲食店の屋内営業は着席限定や、屋内の集まりは6人までといった法定のコロナ規制が全面撤廃され、公共交通機関でのマスク着用は自主判断に委ねられるなど正常化に踏み切った。ワクチンの2回接種者については接触追跡アプリによる10日間自主隔離ルールも8月16日に解除された。

■イギリスではパスポート導入も強制力はない

8月28日には、妻と2人で英作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーの新作オリジナル・ミュージカル『シンデレラ』を鑑賞しに出掛けた。あまり家に閉じこもってばかりいると、インフルエンザなどコロナ以外の感染症への耐性が弱まってしまうからだ。劇場に入場するにはNHSが発行する「COVIDパス」(QRコード)が必要と案内には書かれていた。

ストレージの容量が大きい筆者のスマホには新しいNHSアプリをダウンロードでき、期限が1カ月のCOVIDパスを簡単に入手できた。問題はスマホのストレージ容量が小さく、NHSアプリを入れる空き容量のない妻だった。アプリが使えないので代わりにオンラインでNHSのウェブサイトに接続し、QRコードをプリントアウトした。

COVIDパス画面
NHSが発行するCOVIDパス(筆者がスクリーンショット)

COVIDパスはQRコードで2回接種、48時間以内の陰性、自然感染による免疫獲得(陽性判明から半年間)を証明する仕組みだ。NHSのコンピューターシステムに記録されたワクチン接種など個人の医療データをスマホのアプリを通じて活用する。今回のコロナ危機で医療費を効率的に使うためNHSのオンライン医療やデジタル化は一気に加速した。

今のところイギリスでは民間企業や業者はナイトクラブや音楽会場など混雑した屋内、ビジネスイベントやフェスティバル、音楽、スポーツ観戦など屋内外の大規模イベントでCOVIDパスの提示を入場者に求めることができる。しかし、あくまでも「任意」であり「お願い」がベースになっている。

実際に劇場に行ってみると拍子抜けした。チケットさえ見せれば入場でき、COVIDパスは不要だったのだ。政府が奨励するCOVIDパスは現時点では強制力がなく、入場を拒否した場合、高額チケットの払い戻しなどの問題が生じる恐れがある。こうした混乱を避けるため劇場側はウェブサイトや電子メールではCOVIDパスの用意を呼びかけながら実際には提示を求めないことにしたのかもしれない。

■接種率を上げるための「アメ」も

英政府は当初、この10月からナイトクラブや混雑した屋内施設への入場にワクチンパスポートの提示を通じてワクチン接種を義務付ける方針だった。2万人以上のスポーツ会場での接種証明も義務化する方針を表明していたが、業界だけでなく、与党・保守党内からも「接種の有無で差別されたと訴えられる恐れがある」といった強硬な反対論が浮上した結果、最後の最後で棚上げされた。ワクチンパスポートを通じた接種義務付けについても見送られた格好だ。

しかし、この冬医療が再びひっ迫すれば、非常手段としてワクチンパスポート導入という選択肢は残されている。

毎回数万人を動員するサッカーのイングランドプレミアリーグでは各クラブで対応が分かれた。チェルシーがいち早くCOVIDパスの義務化に踏み切った一方で、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルはプレミアリーグのガイドラインに従い、無作為にCOVIDパスの提示を求めている。リバプールはすべてのサポーターにキックオフの24時間前までに迅速検査を受けることを勧めている。

英政府はまた、配車大手ウーバーや飲食宅配デリバルー、カーシェアリングなどモビリティサービスを提供するボルトと提携し、接種者に割引サービスを利用できるようにする方針も発表している。若者の接種率を上げるための「アメ」だ。サジド・ジャビド保健相は「ワクチンは命や地域社会を守るだけでなく、日常生活を取り戻してくれる。企業が健康データを保有することはない」と強調した。

■ワクチンパスポートはデジタル格差を広げる恐れも

イギリスでは欧州連合(EU)離脱やコロナ危機をきっかけにスコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各自治政府がイングランド(中央政府)とは異なるコロナ対策をとる傾向が強まった。特に2回目のスコットランド独立住民投票を目指すニコラ・スタージョン自治政府首相は、ボリス・ジョンソン英首相への対抗意識をあらわにする。

9月1日、スタージョン首相は感染拡大を抑えるため、10月からナイトクラブや屋内外の大規模イベントへの入場にはワクチンパスポートを必要とする方針を打ち出した。ナイトクラブや大人向け娯楽施設、500人以上の観客が集まる屋内の非着席型ライブイベント、4000人以上の観客を収容する非着席式の屋外ライブイベント、1万人以上が参加するあらゆるイベントが対象になる。

スタージョン氏率いるスコットランド民族党(SNP)と連立を組むスコットランド緑の党は「ワクチン接種をまだ済ませていない人への差別を深めることになる。障害や基礎疾患のある人、ワクチン接種の証明書を入手できない可能性のある南半球の途上国の人々に悪影響を与えないようにすることが不可欠だ」と配慮を求めた上で最終的に賛成に回った。

スコットランド緑の党が指摘するように、ワクチン接種が進まない途上国はまだたくさん残っており、ワクチンパスポートは南北格差をさらに広げ、固定化させてしまう。ロンドンで暮らす筆者もCOVIDパスの義務化に備え妻のスマホをグレードアップしたが、無駄な買い物に終わるかもしれない。デジタル化されたワクチンパスポートは日常生活や社会経済活動でのデジタルデバイドを広げる恐れは払拭できない。

■ワクチンパスポートを導入したEU各国ではデモも発生

EUの執行機関である欧州委員会は6月、EU共通の枠組みである「EUデジタルCOVID証明書」を管理するシステム「EUゲートウェイ」を構築し、7月から本格的な運用を開始した。EU市民はCOVID証明書を提示すれば移動時の検査や自主隔離を免除され、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスを含めた計31カ国間を円滑に移動できるようになった。

EUを離脱したイギリスをどう扱うかはEU加盟国によってバラツキがある。ワクチンパスポートにはどうしても感染症対策の基本である隔離、つまり「排除の論理」が働いてしまうのだ。

EUのCOVID証明書のQRコードには氏名、生年月日、ワクチン接種、コロナからの回復、検査結果、病院や検査機関名などのデータが含まれている。ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は「COVID証明書は欧州の人々の生活を便利にする。仕事や観光のためEU域内や海外を安全に移動できるようにすることが目的だ。安全で開かれた欧州の象徴だ」と胸を張った。本格運用開始までにすでに2億枚以上のCOVID証明書が発行された。

欧州で最初にコロナ危機に見舞われたイタリアは8月6日以降、国内の飲食店、イベント、文化施設、展示会、会議に入場する際、COVID証明書の所持を義務付けた。半数以上のイタリア人がCOVID証明書を支持し、ビジネスオーナーはより厳しい措置の導入を回避するためのツールとしてCOVID証明書を歓迎している。マリオ・ドラギ伊首相はワクチン接種の義務化を支持した。

スペインでも7月22日、ガリシア自治州で国内では初めてカフェやバー、レストランの店内に入るためのCOVID証明書の提示を義務付けた。感染率の高い自治体の住民も地元のバーやレストランに入るためには2回接種済みか、陰性の検査結果を示さなければならなくなった。オーストリア、ポルトガル、アイルランドなど多くのEU加盟国がCOVID証明書を日常生活の中に取り入れている。

しかしCOVID証明書を使ってワクチンの接種を事実上、強制する動きに反発も強まっている。

フランスは7月21日から、50人以上を受け入れる美術館、博物館、映画館、劇場、スポーツ施設を利用する18歳以上を対象に接種や陰性、コロナからの回復を証明する独自の「公衆衛生パス」の提示を義務付けた。法案の違憲審査を担う憲法会議は8月5日、強制に近い形で接種を課す政府法案について一部を除き合憲と判断、9日からレストランや見本市会場、長距離の公共交通機関の利用の際に「公衆衛生パス」の提示が義務付けられた。

ワクチン懐疑派や反対派が自分たちを歴史的に迫害されたユダヤ人と同一視して「黄色いダビデの星」を身につけ、エマニュエル・マクロン仏大統領の「健康独裁」に反対、全国的に抗議デモを繰り広げ、参加者は20万人を超えた。ドイツではヒッピーやネオナチ、左派や陰謀論「Qアノン」の信奉者が「コロナ独裁」に反対する草の根運動を展開した。イタリアやギリシャでもワクチン接種の実質的な強制に反対するデモは広がった。

ワクチンパスポートに反対する声はワクチン信頼度が低い国ほど強くなる。世界経済フォーラムの調査では日本におけるコロナワクチンへの信頼度は60%(図表2)と、フランスを除く他の先進国に比べてそれほど高くない。ワクチンパスポートの議論を拙速に始めると、自公政権は三度、左派メディアやワクチン懐疑主義者の餌食になる恐れがある。

【図表2】ワクチンへの信頼度

日本はまず、コロナ病床の柔軟な拡充とワクチン接種を最優先にすべきだろう。そもそも高齢者が多い日本ではデジタル化が大幅に遅れており、ワクチンパスポートを国内で導入する際の大きなハードルになる。しかし国際的な経済活動を再開するためにはワクチンパスポートが必須の課題になるのは間違いない。

■「強制や制裁はワクチン懐疑者の不信感をさらに強める」

ワクチンパスポートを事実上、導入した大規模イベントはどういう結果を招いたのか。サッカーのユーロ2020では6万人以上を収容した決勝でスタジアムや周辺にいた2295人がすでに感染していたとみられ、3404人がイベント時に感染した疑いがあるという調査結果が英政府から発表された。ウェンブリー・スタジアムでユーロ2020を観戦した人の中から9402人の陽性者が確認された。テニスのウィンブルドン選手権では延べ約30万人を動員したものの、感染者は881人にとどまった。8月中旬、英南西部コーンウォールで開催された音楽とサーフィンのイベントで参加者の約1割に当たる約4700人が感染した可能性があることも分かった。

ワクチンで死亡や重症化リスクを劇的に下げられても感染を完全には防ぐことはできない。2回目の接種から6カ月以上が経過すれば免疫は低下する。

ワクチン忌避やニセ情報の解消に取り組む「ワクチン信頼プロジェクト」の共同ディレクターを務めるロンドン大学衛生熱帯医学大学院のポーリーン・パターソン准教授はこんな例え話をする。「もし青い錠剤をのむように勧められ、のまないと友だちと出かけてはいけないと言われたら、あなたは青い錠剤を今まで以上に信頼するだろうか、それとも信頼しないだろうか」

青い錠剤を与える医師
写真=iStock.com/nito100
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nito100

「ワクチンを接種していない人をナイトクラブやイベントから排除することはワクチン接種率を高める方法にはならない。ワクチン接種をためらう人たちの不安を和らげるどころか、逆に固定化させてしまう危険性がある。われわれのプロジェクトで1万7000人を対象に調査した結果、ワクチンパスポートはワクチンを接種するかどうか迷っている人の気持ちを後退させてしまう可能性があることが浮き彫りになった」

パターソン准教授は「ワクチンを接種しないという選択をした人に社会的・経済的制裁を加えることで接種を促進しようとすると、逆にワクチンに対するためらいや不信感が増してしまう。雇用主からワクチン接種を迫られていると感じている医療・福祉従事者でさえ、ワクチンを接種する可能性は下がるという結果が出ている。ワクチンパスポートは偏見や隔離を助長する危険性があり、長期的な感染症予防を妨げる恐れがある」と指摘する。

■包摂の視点で透明性のある議論を

日本では戦後、感染症による犠牲者が多数発生し、百日咳、腸チフスなど12疾病を対象に罰則付きの接種が義務付けられた。しかし予防接種による健康被害が社会問題化し、1976年に罰則なしの義務接種に移行した。予防接種禍訴訟で国の敗訴が相次ぎ、94年の改正予防接種法で義務規定は努力義務規定となり、予防接種行政は「社会防衛」から「個人防衛」に軸足を移した。努力義務は義務とは異なり、本人が納得した上で接種を判断する。

その後遺症で日本は「ワクチン後進国」になり、2013年、子宮頸がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンの悪影響の恐れが報じられた結果、70%の接種率が1%に低下する“事件”が起きた。この結果、少なくとも2万4600件の子宮頸がん症例と5000人の死亡が多く発生する恐れがあるという研究結果も報告されている。背景には厚生労働省の予防接種行政が透明性や説明責任を欠いてきたという暗い歴史がある。

コロナワクチンでもごくまれに出る深刻な副反応で死亡に至るケースがある。「悪魔のくじ引き」と呼ばれるワクチン接種をワクチンパスポートによって事実上、強制することは倫理上の問題を呼び起こす恐れがある。「排除の論理」ではなく「包摂の視点」からワクチンパスポートを公に議論しないとワクチンへの信頼度を逆に低下させてしまう恐れがある。

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木村 正人(きむら・まさと)
在ロンドン国際ジャーナリスト
京都大学法学部卒。元産経新聞ロンドン支局長。元慶應大学法科大学院非常勤講師。大阪府警担当キャップ、東京の政治部・外信部デスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。

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(在ロンドン国際ジャーナリスト 木村 正人)

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