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中学受験の入塾テストで上位クラスに入る子が、低学年のときにやっていること

プレジデントオンライン / 2021年10月10日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/twinsterphoto

中学受験塾の入塾テストで上位クラスに入る子は、低学年のときにどんなことをやっているのか。プロ家庭教師集団・名門指導会代表の西村則康さんは「低学年のうちから塾に通わせればいいわけではない。鉛筆の正しい持ち方を身につけさせるなど、勉強する準備をしておくことが重要だ」という――。

※本稿は、プレジデントFamilyムック『中学受験大百科 2021年完全保存版』の一部を再編集したものです。

■低学年のうちに学力の土台をつくろう

中学受験準備の低年齢化が進んでいる。

塾によっては小学校の低学年で満席となっている校舎もあるという。プロ家庭教師集団・名門指導会代表の西村則康さんのもとには、低学年や未就学の子供を持つ保護者から「いつから塾に入れたほうがいいか」といった質問が寄せられるそうだ。実際、何年生から中学受験の勉強を始めるとスムーズだろうか。

「新小学4年生から、つまり3年生の2月から塾に入るので十分です。大手塾は低学年用のカリキュラムを作っていますが、本格的な中学受験のカリキュラムが始まるのは3年生の2月から。低学年から始めないと遅れるということはありません」

ただしその入塾前に、学力の土台となる力をつくっておくことが必要だと西村さんは言う。では低学年のうちにつくっておきたい学力の土台とはどういったものだろう。西村さんは“実体験”と“算数と国語の基礎学力”だと話す。

「中学受験は親世代のときとは違い、知識や解法を暗記するだけではなく、学んだ知識や解き方を“どのように活かせるか“を考える力が問われるようになっています。大学入学共通テストで『思考力』『判断力』『表現力』が重視されることに先行して、中学入試問題は変化しています。そのため、試行錯誤したり、いろいろな人と話したりした実体験が重要になっています。

実体験が豊富なら新しい知識を学んだときに『なるほど!』という納得感が生まれやすくなるのです。算数や理科、社会で生活に密着した場面が題材になり、知識をどう使うかといった問題が増えています。こうした力が育っていないと高学年で成績が伸び悩みます。また、算数の計算や国語の漢字も少しだけ予習しておくといいでしょう」

■中学受験に挑む子はテストで100点ばかりの精鋭たち

準備を始める前に、保護者に中学受験の現状を知っておいてほしいと西村さんは言う。それは、中学受験をする子供たちの学力レベルが非常に高いことだ。

「ちょっと頑張れば偏差値60を取れると思っていたり、偏差値50を切るとがっかりしてしまったりする親御さんは結構います。しかし、中学受験をするのは学校のテストで常に100点を取れる子が多い。ほとんどが90点以上を取る子供たちです。そんな子たちの母集団の中で偏差値を取るのは非常に大変なことはわかっておいてほしい。

ある推定では中学受験の偏差値60は、高校受験では73ほどの超難関レベルに相当するといわれています。模試の中でもハイレベルで知られるサピックスの模試では偏差値50が高校受験における70以上です。つまり、中学受験で偏差値50というのは、かなりの学力があるということです」

入塾後、期待していた偏差値が出ず不安になってしまう保護者は多い。西村さんが「低学年から塾に行かせる必要はない」と考える理由の一つは偏差値や順位が出ることで右往左往してしまう親が多いことだ。

「はっきり数字で表れるので、子供よりも保護者が気にして不安になってしまう。でも低学年の模試と入試では問題がまったく違いますし、偏差値も別物だと思ったほうがいい。塾によっては4年生からは満席で入れないところもあるようですが、早くから親御さんがお子さんの偏差値に一喜一憂してしまうことでお子さんが勉強嫌いになるリスクもあるのです」

■多彩な遊びとお手伝いをさせよう

では、中学受験に不可欠な学力の土台とはどのように育まれるのだろうか。西村さんは、子供がいろいろな実体験で得た感覚が学力の土台になるという。

「『ホールケーキを3人や5人で等分に切り分けるのは難しい』とか、『10円玉を100枚集めたら千円札1枚と同じ』など、食事や買い物といった生活の場面で得られる感覚です。この感覚が身についている子は、問題文を読んで答えるときにも、単に数字を処理するのではなく、頭の中に具体的なイメージをつくりあげられます」

この感覚があるかないかで、学習の理解の深さは違ってくるそうだ。とはいえ毎日、習い事や体験講座に連れて行くというのではなく、日常の何でもない体験にヒントがある。たとえば遊びに目を向けてみよう。

「工作や折り紙、お絵描きなら空間認識力や線対称や点対称といった図形の勉強につながります。トランプをすれば数字にも親しめるし、戦略を考えると論理力もつきます。たとえば神経衰弱なら、裏返したカードの数字と場所を覚えておく必要があるので、短期記憶が鍛えられますよね。この短期記憶はテスト問題に出てきた数字や言葉を解答用紙に書き写すといったときにも役立つ大事な力です」

母と娘が折り紙で遊ぶ
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

また外遊びのかけっこなら「速く走れば短い時間でゴールする」「目的地までに何通りもルートがある」といったことが自然と身につく。

ゲームをしたりテレビを見たりすることも悪いことではないが、そればかりでは、経験の幅は広がらない。

「低学年はまだ親と一緒に何かをやるのが楽しい年頃。放っておくとスマホやゲームばかりやってしまうという子は、親ができる範囲でボードゲームやキャッチボールに誘ったり、工作を一緒にやったりするといいでしょう」

さらに西村さんは、家事の手伝いもすすめる。

「忙しいと子供にやらせるより自分がやったほうが楽と感じる親御さんは多いかもしれませんが、お手伝いこそ物事の段取りを考えたり、優先順位を判断したりする力が身につくいい機会です。お手伝いの方法や習慣を子供に身につけさせるまでは大変かもしれませんが、子供が家事の戦力になると親は助かりますよね。玄関の靴を揃える、朝起きたらカーテンを開けるといった簡単なところから子供にまかせてみるといいですよ」

■計算と漢字の練習はやっておこう

低学年からやっておくべき計算と漢字の予習とは、どういうものなのか。目安としては3年生の秋までに1年半先の4年生の分野まで終わらせておくと、入塾テストにも入塾後の受験勉強にもいい効果がある。

「入塾テストの算数では図形の問題はあまり難しいものは出ませんが、かっこがある四則計算など4年生で習う分野が出題されます。それに塾に入ってしまうと丁寧に算数の計算を勉強する余裕はないので、入塾前に予習しておくといいですよ。漢字も同様で、4年生で習う漢字は読みと書きの両方を予習しておきましょう」

1年半も先取りというと大変そうだが、市販のドリルで「4年生の計算」「4年生の漢字」といったものをやるという程度で十分だそうだ。

また計算はただ単に正解を早く出せるだけではなく、計算の意味も理解しておくことが肝心だ。

「『100は25が4つ集まっている』『15分が4つで60分になる』といった“数のイメージ”を身につけておいてほしいのです。『□×8=48』といった虫食い算をやるのもいいでしょう。クイズのように『答えが27になる九九はどれだろう?』とか『4にいくつ足したら13になるかな?』とお子さんに質問してもいいですね」

■鉛筆の正しい持ち方をマスターさせよう

また、西村さんは鉛筆の正しい持ち方を入塾前に身につけさせてほしいとアドバイスする。

鉛筆の持ち方を練習する親子
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yamasan

「あまり注目している人はいませんが、鉛筆の持ち方は大事です。私がお子さんの勉強を見るときにまず確認するのは鉛筆の持ち方です」

鉛筆を持つ手の親指が人さし指の上に重なり、鉛筆が垂直に立つような持ち方をしている子は多い。この持ち方では字がきれいに書けないばかりか疲れやすく、それがミスの原因にもなる。

「持ち方を直すと、書くスピードはもちろん、算数で図を描く際にも真っ直ぐに線を引けるようになります。矯正するのには数カ月かかることもあるので、入塾前にはやっておきましょう」

■「てにをは」を意識した会話をしよう

入塾テストの国語では課題文を読んで設問に答える文章読解問題が出る塾もある。こうした国語の文章への対策は日常会話で十分できると西村さんは言う。

「国語の文章読解力は、質問されたことに適切に答えるといったやりとりで育ちます。『今日何したの?』といった漠然とした質問ではなく、『今日の社会の授業で先生はどんな面白い話をしてくれたの?』といった、子供が何を聞かれているのかわかりやすい質問をしましょう。そして大人の発話を短くすれば、子供は自然とたくさん話してくれるようになります。『黙っていなさい』と言われるようなおしゃべりな子ほど国語が得意です。子供が安心して言いたいことを発信できる環境をつくってやるといいです」

居間で話している若い日本人家族
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

さらに子供と会話をする際には、「“てにをは”を意識して話すと、助詞の理解も進む」と西村さんは言う。

「今日、お昼何食べた?」ではなく「今日お昼ご飯食べたの?」というように。“てにをは“を省略していると思い当たる方はぜひ試してみよう。

■入塾テスト対策は少し早めに準備しよう

3年生の秋から冬にかけて各塾は新4年生の入塾テストを開始する。西村さんは3年生の4月頃から準備をして「入塾テストで高得点をとって上位クラスで入塾すること」をすすめている。

「どの塾も上位クラスにいい先生を配置しています。ハイレベルの塾に下位で入るよりも、少し塾のレベルを下げて上位クラスに入るほうがおすすめです」

では入塾テスト前に具体的にどんな準備をしておけばいいのだろう。

「3年生の1学期に、参考書の『小学3・4年自由自在』の国語と算数から、3年生のところを解き、学校では習わない応用問題に慣れておきましょう。直前には私が大手塾の入塾テストを分析して作った問題集『中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ』を解くのもおすすめです」

4年生から本格的な塾通いが始まると当然、宿題もすることになる。そうなると家での学習習慣を身につけておくことが大切になる。塾が始まって自然に習慣を身につけられる子もいるが、心配な場合は3年生から1日約30分の学習習慣をつけておこう。

「入塾前に毎日30分勉強できるなら、塾が始まって1時間と時間が延びても対応できるでしょう。学校の宿題と市販のドリルを合わせて30分机に向かう習慣をつけられるといいですね」

■親の心構えがもっとも大事

一方で、西村さんは、こうした子供の準備と同時に「受験を始める親の覚悟」が必要だと語る。

「子供は大人のように、目標に向けて計画通りに物事を進めることはできません。それを織り込んで受験をサポートすることを家族で話し合うことが必要です。子供が『毎日勉強する』と言っても、『(そのときは)毎日勉強する(気分だった)』というようにかっこの言葉が隠れていると思ったほうがいい」

いざ塾が始まると、思うように成績が上がらなかったり、子供が勉強を嫌がったりすることもあるだろう。

「そんな成績ならやめてしまえ」と叱るなど親がカッとなってしまう場面は少なくない。

「残念ながら、こうしたやりとりが頻発している家庭のお子さんの成績は上がりません。特に、親がクラスを上げることを目的にすると、子供は萎縮してしまいます。結果ではなく、過程を認めてやることが大事。計画の一部しかできなくても、少しでもやったことは前進している証拠。『やっているときの集中力はすごかった』などと褒めましょう。こうした積み重ねで親の意見にも耳を傾けてみようという気になるものです」

中学受験はやり方次第で、深い思考力、論理力、工夫する力や諦めない心など、その先の人生に役立つ力が育てられる貴重な機会になる。

「親御さんには『うちの子は大丈夫』といった根拠のない信頼を持ち続けてほしい。そのほうがお子さんはのびのび勉強に打ち込めます」

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加藤 紀子(かとう・のりこ)
フリーランスライター
ライター。子育てが一段落してから教育関係の取材・執筆を本格的に開始。教育専門家に取材したことから得た知見や、国内外の最新研究から得た子育てのコツを盛り込んだ初の著書『子育てベスト100』は現在17万部のベストセラーに。1男1女の母。

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(フリーランスライター 加藤 紀子)

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