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「日本企業を苦しめるのが目的か」反日感情の政治利用をやめない文在寅大統領の無責任

プレジデントオンライン / 2021年10月14日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rex_Wholster

■ついに三菱重工業の資産の売却命令が出た

9月27日、韓国の大田(テジョン)地裁が三菱重工業の資産売却を命じる決定を下した。戦時中、日本企業に動員された韓国人の元徴用工(労働者)が損害賠償を求める「徴用工訴訟」で、資産の売却命令が出されたのは初めてだ。徴用工問題が重大な局面に入った。

名古屋の工場などに動員された元女子挺身隊の韓国人女性らが原告だ。2018年11月に大法院(韓国最高裁)で賠償を命じる判決が確定し、徴用工訴訟のきっかけのひとつとなった。同年10月には、新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じる判決も大法院で確定している。

今回、大田地裁は原告から売却命令の申請のあった三菱重工業の商標権と特許権の売却を命じた。実際の売却までの時間はかかるが、この売却が実施されれば原告側は4億ウォン(約3700万円)以上の現金を手にする。

■文在寅氏は何ひとつ具体的な解決策をとっていない

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、自らの政権を維持するために韓国国民の反日感情を高め、日韓関係を戦後最悪な状態に変えた。大法院の暴走を許し、徴用工訴訟の問題も引き起こした。それにもかかわらず、文在寅氏はこれまで何ひとつ徴用工問題の具体的解決策をとっていない。一国のトップとして実に情けない。

日本と韓国との間の損害賠償請求の問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決した」とされている。同協定は二国間の公の約束である。その約束を反故にする韓国側は間違っている。日本は徴用工訴訟での請求に応じる必要はない。韓国の司法が一方的に主張しているに過ぎないのである。

どうしても徴用工訴訟の損害賠償請求に応じる必要があると韓国側が判断するなら、韓国政府が賠償すればいいのだ。それが一番の解決策である。韓国のトップの地位にある文在寅氏が政治決断すれば、たやすいことだろう。

■「ソウル地裁判決」は政治決断を下すチャンスだった

文在寅大統領には政治決断のチャンスがあった。

たとえば、大法院判決と正反対の判断を下して注目された今年6月7日のソウル中央地裁の判決である。日本の企業に賠償を求めた元徴用工らに対し、同地裁はその訴えを却下した。却下の根拠は1965年の日韓請求権・経済協力協定だった。「訴訟を起こす権利の行使は制限される」と判断し、訴えを退けた。

国際法上、真っ当な判決だった。日本政府の主張にも近い。

このソウル地裁判決が出た時点で、文在寅氏は日韓請求権・経済協力協定を尊重する決断をすべきだった。そうすれば徴用工問題は解決していたはずだ。

今年1月18日の新年記者会見の際、文在寅氏は徴用工問題について「日本企業の資産が現金化されるのは韓国と日本にとって好ましくない」と現金化を避けたいとの意向を初めて示し、日本政府も注目していた。現金化を回避したいとの意向があるのだから、ソウル中央地裁の判決をテコに徴用工問題を解決できたはずである。

■次期大統領候補は「必ずや日本を追い越す」と言明

韓国の大統領の任期は1期5年と決められ、再選はできない。文在寅氏も来年5月で大統領職を辞することになる。今年10月10日、与党の「共に民主党」(革新)は、文在寅氏の後任を選ぶ来年3月の大統領選に向け、京畿道知事の李在明(イ・ジェミョン)氏(56)を公認候補に選出した。

韓国の李在明・京畿道知事(韓国・済州島=2021年10月1日)
写真=EPA/時事通信フォト
韓国の李在明・京畿道知事(韓国・済州島=2021年10月1日) - 写真=EPA/時事通信フォト

報道によると、李在明氏は10日に全国11カ所で行われた予備選で、得票率50.29%の過半数を獲得し、決選投票なしで大統領候補となった。弁護士出身で、城南市長を経て2018年に京畿道知事に就任した。新型コロナの感染対策で支援金支給と検査実施を掲げて人気を集めた。

選出後、李在明氏はこう力説していた。

「必ずや日本を追い越す。そして先進国に追いつき、世界をリードする韓国を作り上げる」

猛烈な反日感情の持ち主なのである。文在寅氏以上かもしれない。仮に大統領に就任した場合、確定した徴用工訴訟の大法院判決を使って日本政府を攻撃してくるに違いない。現時点で文在寅氏が徴用工問題を解決したとしても、蒸し返して日本側に損害賠償を求めてくるだろう。

11月には保守系最大野党の大統領候補も決まる。大統領選ではこの保守系候補と革新系候補の李在明氏との一騎打ちになる可能性が高い。徴用工問題など歴史問題の解決は、親日の保守系候補に期待したい。

■「韓国司法の暴挙を許すな」と産経社説

9月29日付の産経新聞の社説(主張)は「資産売却命令 韓国司法の暴挙を許すな」との見出しを掲げ、冒頭で「日本企業に実害が生じる事態が迫る、看過できない暴挙である」と指摘する。

そのうえで産経社説は訴える。

「茂木敏充外相は28日の記者会見で『極めて遺憾だ。現金化は日韓両国に深刻な状況を招く』と述べた。実際の売却までにはまだ時間がかかるとみられるが、日本政府は座視してはならない」

岸田文雄首相は韓国の文在寅政権に対して強く抗議すべきである。長い外相経験があるからことの重大性は理解しているはずだ。いまこそ韓国政府にはっきりとものを言うべきだ。

産経社説は「韓国政府への抗議は当然としても、この不当性を広く国際社会に訴えるとともに、韓国政府の具体的行動を求める厳しい措置が必要である」とも主張する。

日本政府は国連などの国際会議の場で韓国司法の理不尽な判断を訴え、日本政府の正当性を示すべきである。もちろん何ら具体的対策を示そうとしない文在寅政権の不甲斐なさを指摘し、強い対抗措置も講じたい。

■文在寅大統領には政治決断を下すだけの能力がない

産経社説は指摘する。

「日韓の賠償問題は1965年の日韓国交正常化に伴う協定で個人補償を含め解決済みだ」
「ところが韓国最高裁は、個人の請求権は消滅していないとの判断に転じ、日本企業に賠償を命じた。同種訴訟が相次ぐ要因となっている。その判決では法律に基づく徴用を『不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的不法行為』などと決めつけた」

1965年の日韓請求権・経済協力協定があるにもかかわらず、「個人の請求権は消滅していない」という韓国大法院(最高裁)の判断は歪んでいる。司法が反日感情によって判断を間違えることがあってはならないはずだ。

産経社説は主張する。

「最高裁が史実を歪め、文在寅政権も『司法の独立』などを盾に責任ある態度を取らない。まっとうな法治の国には遠く、安定した関係など築けない」

徴用工の問題を解決するには、文在寅大統領が大法院判決の非を指摘する政治決断を下し、韓国国民に理解を求める必要がある。そのうえで韓国政府が原告に賠償金を支払うべきだ。それならば日本政府も納得できる。これが政治決断というものだ。

しかし、文在寅氏にはその気がない。いや、その気がないというよりも政治決断を下すだけの力量に欠けている。問題の解決は次の大統領に託すしかないのかもしれない。

■「韓国政府は打開策を急ぐべきだ」と読売社説

10月4日付の読売新聞の社説は「韓国の不当な司法判断によって日本企業が実害を被る事態が、また一歩近づいたと言える。日韓関係のさらなる混迷を回避するため、韓国政府は打開策を急ぐべきだ」と書き出す。

日本企業が資産を失うという実害だけではなく、日本と韓国の信頼関係が大きく揺らいでしまう問題である。本来、日韓は協力して核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対抗していかなければならない。ミサイルの発射技術は向上しており、北の脅威は増している。徴用工問題で反目している場合ではない。

どうして韓国の文在寅大統領はそこを理解しようとしないのか。文在寅氏はこの夏の東京オリンピックをアメリカと北朝鮮との話し合いの場に利用しようと画策していた。朝鮮半島の南北融和を掲げ、日本との関係は二の次なのである。そんな文在寅氏に問題解決は期待できない。

■反日感情に火を点けるという文在寅大統領の政治手法

読売社説は指摘する。

「元徴用工らの主張を優先する『被害者中心主義』を唱え、司法の反日的な風潮を煽った文在寅大統領の責任は大きい。協定を土台に、日韓が経済協力や多角的な交流を積み重ねてきた歴史を軽視していたのではないか」

徴用工の問題をこじらせた責任は文在寅大統領にある。文在寅氏は、日本の存在自体を拒絶する反日種族主義(反日トライバリズム)の権化である。その政治手法は韓国国民の反日感情に火を点けて、自身に有利な政治基盤を固めていくものだ。韓国の多くの若者の支持を得て大統領に選ばれたが、若者たちもそうした政治手法の間違いに気づき始めている。

読売社説は訴える。

「元徴用工への補償が必要だと考えるならば、韓国政府が行うのが筋である。日本企業に損害が及ばないようにする解決策を、文政権が立案し、実行するしかあるまい」

沙鴎一歩も主張したが、損害賠償は韓国政府が行うべきなのだ。

最後に読売社説は「文氏の残り任期は約7カ月だ。日韓関係の重荷となる負の遺産を次期政権に残してはならない。退任まで、収拾に向けて最善を尽くしてもらいたい」と書くが、もはや文在寅氏には期待できない。

韓国では来年3月の大統領選で新しい大統領が決まる。反日感情を政治利用するような革新政党ではなく、日韓関係を正常化できる保守政党の候補が大統領に選ばれることを望む。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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