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「値下がりリスク大」買いたくなるが絶対買ってはいけないマンションの間取りワースト2

プレジデントオンライン / 2021年10月21日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/goto-photo

資産性の高いマンションは、どうすれば見つかるのか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「マンションの資産性は売りやすさで決まる。間取りなら3LDKが最も下がりにくい。それ以外にも資産性に影響するポイントがある」という――。

■マンションの資産性は「売りやすさ」で決まる

「値下がりしにくい」ことを「資産性がある」と言う。「資産性」という言葉は私が広めたと言っても過言ではない。2012年の初めての著書『マンションは10年で買い替えなさい』はその資産性の法則性を解き明かし、ベストセラーになった。マンションの資産性には7つの法則性があり、それに従えば誰もが資産性の高いマンションを選ぶことができる。それでも迷う人には、住まいサーフィンという無料会員制サイトで全マンションの資産性を開示している。会員が含み益を出す確率は99%以上で、その含み益の平均は2500万円を超えている。

それ以来、資産性は重要なマンション選びの最大の基準になった。分譲マンションの大手連合であるメジャー7のアンケート調査結果によると、物件選びの基準で1位は資産性となっている(メジャー7「新築分譲マンション購入に際しての意識調査 2019年」)。

その資産性は流動性で決まる。流動性とは「売りやすい」ということだ。通常、相場並みの価格設定にすれば、中古マンションは3カ月以内にほぼ買い手が決まる。3カ月で決まらないと不動産仲介会社との契約が一旦切れる区切りのため、その後は値下げされるケースが多くなる。一定期間で売買を成立させるには、ターゲット層が少ないのが最も困る。「内覧する人の数×成約率」からして、前者が少ないのが致命傷だからだ。

■売れやすくて、成約価格が下がりにくいのは3LDK

その意味で、間取り別に売れやすくて、売出価格に対して成約価格が下がりにくいのは昔から決まっている。それは、3LDKだ。3LDKは今でも自宅用に売られるマンションの7割を占める。それだけ売れるということは、買い手も同様にいるということだ。

マンションの買い手はファミリー世帯が多い。子どもが1人で3人世帯、子どもが2人で4人世帯なので、3LDKの3部屋はそうしたファミリー世帯には必須なのだ。その次に資産性があるのが、2LDKになる。子どもがいない世帯が増えた結果である。その次が4LDKと1LDKといったところだ。しかし、多様化している住宅ニーズの中、その間に大差がある訳ではない。やや売りにくいがゆえに、どちらかというと3LDKを買う方が無難で、売る際にはやや有利と覚えておくといい。

■1LDKなら山手線内側・徒歩4分までが推奨立地

間取りタイプが違えば、面積帯も異なる。3LDKならば70m2前後で、2LDKならば60m2前後、1LDKなら50m2前後が分譲マンションでは一般的だ。2021年から住宅ローン控除の対象面積が50m2から40m2に引き下げられたが、2020年までは減税対象ではないために売りづらかった。それゆえ、50m2未満はあまり作られることもなかったのだ。

1LDKのようなコンパクトタイプなら、立地を間違うと資産価値の目減りが早くなってしまう。住まい手が1~2人なので、駅から離れると途端に売りにくくなる。このタイプは山手線内側の駅で、徒歩4分までが推奨立地となる。徒歩5分以上になると1分離れるごとに価格の下落率が大きくなっていくことは覚えておいた方がいい。

山手線
写真=iStock.com/Laser1987
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Laser1987

■20年前のマンションは面積が広かった

間取りと面積の関係は単価水準によって変わってきた歴史がある。単価が安い時は同じ間取りでも面積は広くなるし、現在のように単価が高い時には面積は小さくなるものだ。今から20年ほど前の2001~04年は近年では最も単価が安かった時代で、3LDKが75m2程度あった。そのため、今、中古を検討する人には築20年まで検索範囲に入れるように指示しているほどだ。

リビングも居室も広くて、水周りも余裕があった。水周りで分かりやすいサイズ感はお風呂に出る。縦横の長さで1814(「いちはちいちよん」と読み、1.8m×1.4mを示す)が目安で、余裕があると2016とかになり、1612などは狭くなる。

今は、3LDKで70m2あればいいが、たいてい60m2台になってしまっている。こうなると、すべてが小さめということになる。

コロナ禍で、部屋数を増やす傾向が強くなっている。それはリモートワークスペースなどの確保をしたいがためだ。だが、面積は狭い。そのため、4LDKを求める人はマンションではなく、戸建てを検討する人が増えた。実際、新築分譲戸建ては4LDKが主力商品なので、飛ぶように売れている。この意味でも80m2台以上の4LDKのマンションは不人気で、同じ面積でも3LDKにした方が売れるという実績がある。5LDKは言わずもがなである。

■「メゾネット」「半地下住戸」を買ってはいけない

これ以外にも買ってはいけない間取りがある。私は住まいサーフィンで「沖レク」という動画で10時間以上マンションの買い方・売り方などの指南をしているが、そこで反響がいいのが、このネタだ。

まず、メゾネットは買ってはいけない。メゾネットとは2階建てだ。マンションの専有部に階段があると売れなくなる。そんな物件を買う人は戸建てを買っているからだ。買い手が皆無に近いと思った方がいい。レアだから好きな人がいるのではないか、なんて夢にも思わない方がいい。この手の間取りは、都心・駅近のマンション立地ではなく、郊外・駅遠の戸建て立地に多い。そもそも、戸建て立地でのマンションは値下がりしやすいので、避けるのが基本中の基本である。

次に、よく問い合わせを受けるのが、半地下住戸だ。半地下住戸ができるのには訳がある。それは事業主側の理由で、建築基準法での高さ規制から、1階分の高さを低くして、半地下まで作って販売戸数を増やそうとするのだ。そんな半地下は価格が安い。だから飛びつく人が出るのだが、これは新築の時だけだ。新築の時は物件が竣工(しゅんこう)しておらず、実物を見られずに図面で買うことになるが、中古は違う。実物を見ると、安かろうが買いたくない人が続出するだけなのだ。半地下はリビングからの眺めが壁になる。地下の分、道路面より下なので、壁になるのだ。大雨が降ったら水没リスクはあるし、日照条件も悪い。無条件に半地下住戸は買わない方がいい。

雨と傘
写真=iStock.com/Julia_Sudnitskaya
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Julia_Sudnitskaya

逆に受けがいい間取りを1つ挙げておこう。それは、ルーフバルコニーだ。これは半地下と逆で見ると欲しくなるものということだ。

■売る際のリスクを低減するには「内覧」が一番

分譲マンションの間取りは比較的画一的であまりヴァリエーションがないが、中には変わった間取りもある。廊下が無かったり、タワーマンションのように開口部が広かったり、天井高が低かったり、居室がサービスルーム扱いであったりと、細かいことを言ったらいろいろある。売る際のリスクを低減したいのであれば、実物を内覧することに限る。幸い、最近は新築も竣工売りが増えて実物が見られる。

なぜそんなことを言うのかというと、人間は印象に左右されやすいものだからだ。タワーマンションを揶揄する人がいるが、その眺望は圧巻で、売買に大きな影響を与えることは変えがたい事実である。この他、内装は白系の方が広く見えるとか、北向きでも明るければ大丈夫だとか、どれも印象が決め手となっていることは否定できない。だからこそ、実物の印象が資産価値を決めると考えてもらって結構だ。人間は印象にとらわれてしまう生き物なのである。

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沖 有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。監査法人トーマツ系列のコンサルティング会社、不動産コンサルティング会社を経て、1998年にアトラクターズ・ラボ株式会社(現在のスタイルアクト株式会社)を設立、代表取締役に就任。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)など多数。分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)、独身の住まい探し情報サイト「家活」(https://iekatu.com/)を運営している。

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(スタイルアクト代表 沖 有人)

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