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「悪気はないけど、どうにもうざい」昔のことを蒸し返す母親を一発で黙らせる"ある方法"

プレジデントオンライン / 2021年11月12日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Cunaplus_M.Faba

昔のことを蒸し返してあれこれ言う母親や姑には、どう対処すればいいのか。脳科学・AI研究者の黒川伊保子さんは「彼女たちに悪気はなく、ただ世話を焼きたいだけ。こちらから一つだけ頼みごとをすれば満足してくれる」という――。

※本稿は、黒川伊保子『母のトリセツ』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

■蒸し返し癖は女性脳の大事な機能

長く生きた女には、蒸し返す癖がある。

あれは、本当に厄介である。

親戚には、必ず、このタイプのおばさんがいる。お正月に母が筑前煮を出すと必ず、「あなたがお嫁に来てすぐのころ、こんにゃくに味が染みない、どうしたらいい? って、駆け込んできたわよね。田舎育ちでうぶだったから」と蒸し返す祖母。都会育ちで、自分に絶対の自信がある人で、本人には悪気はないのだろうけど、ことばに毒がある。母はきっとそのたびに、あのとき頼らなければよかった、と悲しかったに違いない。私も、私の小さい時の所業を何十年経っても蒸し返す、母の旧知の友人が苦手だった。

長く生きた女たちのそんな癖に、誰でもうんざりさせられた経験があるから、大人になったら、母親や叔母ひいては姑に、先の蒸し返しのネタ=弱みを握らせたくないのだと思う。

素直に頼れない。その原因の一端を担っているのは「長く生きた女たちの、蒸し返し癖」である。

この蒸し返し癖、実は、女性脳の大事な機能でもある。「過去の経験を瞬時に引き出して、子どもを守る」母性の基本機能だからだ。つまり、女らしい人ほど、蒸し返す。「悪気がなくて、おせっかいで、蒸し返す」のが、女性脳の本質と言っていい。そうでないと子どもが無事に育たないからね。

長く生きた女たちのおせっかいと蒸し返し癖は、人類が続く限り、永遠に消えない。母や姑がうざいのは、人類普遍の真理と言っていい。というわけで、「よかれと思って、悪気のない、けど、どうにもうざい」母や姑にどう対処するか、である。

これはもう、率直に、NOと言うしかない。

「今は、放っておいてもらえるのがありがたい」と。

■一つだけ、頼みごとをする

ことが起こり始めたら、できるだけ早く(早いほうが傷が少ない)、あっさりと「お母さん、お願い、今は放っておいて」と言えばいい。「静かにしていたいから」「仕事(勉強)に専念したいから」「考え事をしたいから」

本当の理由は、「母親の相手をする時間(気力)がない」「母親の顔を見ると気が滅入る」なんだけど、原因まで正直に言う必要はない。放っておいてほしい気持ちだけを正直に、理由はあくまでも「ほかに専念したいことがあって、残念ながら」を装ってあげてね。

そして、一つだけ、頼みごとをするといい。「明日の朝、モーニングコールかけてくれる?」「母さんの味噌汁が飲みたいな。それだけお願い」「スポーツドリンク、買ってきてくれる? 悪いけど、それだけお願い」

世話をしたい! これは、長く生きてきた女たちの本能であり、悲願なのである。お腹のすいた子が「食べたい!」と腹の底から思うように、アスリートが「勝ちたい!」と腹の底から思うように、母たちも「世話したい!」と腹の底から思う。

うざいのはわかるが、一つだけ「餌」を投げてほしい。しかも、それが母親の得意技(「母さんの味噌汁」「母さんのおかゆ」「母さんのアイロン」)なら、なおいい。母親の満足度が高くなる。

つわりや病み上がりに、母や姑が押しかけて来るのなら、「来ないで」と言うよりは、「一つだけ、頼みごと」をして退散させるほうが楽だ。「来ないで」と言ってしまうと、心配する電話やメールの回数が増えるので、これも厄介だから。

■息子の嫁がかわいくて、かまい倒していた

姑の場合は、夫から言ってもらうといい。

娘がいない私は、とにかくおよめちゃんがかわいくて、当初はかまい倒してしまったらしい(あまり自覚がないのだけど)。およめちゃんが、私が愛してやまない社交ダンスにはまってくれたのも一因で、ドレスも靴も買ってあげたい、パーティにも連れまわしたい、と盛り上がっちゃったのである。

社交ダンスの男女
写真=iStock.com/sportpoint
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sportpoint

一緒にドレスを選んで、お化粧の算段をして(「あいちゃん、このドレスに、このアイシャドウはどう?」「アイライナーはもっと黒いほうがいいよ、お母さん」とか)、連れ立ってパーティに行けば、若くて美人なおよめちゃんは華やかに目立つ。お揃いのドレスなんか着た日には、みんなに羨ましがってもらえたし。

なにより、ダンスの才能がずば抜けていた。これに、およめちゃんの高校時代からの親友も加わって(彼女がまたダンスの才能が素晴らしい)、我が家は一気に華やいだ。娘たちのかわいいこと、かわいいこと。息子もかわいくてたまらないけど、娘のそれはまた別である。

あるとき、娘のいる友人が「娘もかわいいけど、嫁もかわいい。そのかわいさはまた別なの。愛してやまない息子を愛してくれる人、同志感というのかしら、それがある」と語ったが、私も、およめちゃんにそれを感じる。

■嫁姑の「適正の距離感」は夫(息子)によってつくられる

私は、息子を「世界一」だと思っているが、さすがに、他の人がそう思っているとは思っていない。しかし、およめちゃんはそう思ってくれる、唯一の同志だ。「お母さん、ゆうさんのハイネックセーター姿、かっこいいよ、見てみて」なんて言ってくれて、二人で「ほんと、カッコイイ」と、息子に見惚れる。

息子は、母親と妻に、「カッコイイ」の「カワイイ」のと、やいのやいの言われる暮らしで難儀だろうけど、生まれつきそうなので(黒川の両親にも、私の両親にも唯一の孫だったので、二人の祖母と母親からやいのやいの言われて育った)、けっこう平常心でやりすごしてくれる。

黒川伊保子『母のトリセツ』(扶桑社新書)
黒川伊保子『母のトリセツ』(扶桑社新書)

そんなわけで、娘のかわいさと、嫁の同志感が一気にやってきて、私は夢中になっちゃったのである。

そこへ、息子の釘が刺さった。

「あいちゃんはね、母に誘われると断れないんだよ。で、ちょっと無理して、それが後でストレスになっちゃう。楽しいこととはいえ、あまり誘わないで。彼女が自発的に行きたいと言ったときだけにしてあげて」
「あいちゃんはね、自分のペースでやりたいんだよ。失敗したって、それも楽しいわけ。言いたいことがあるだろうけど、口を出さないで、見守ってあげてね」

言ってくれて、本当に良かった。

それを言ってくれなかったら、「適正の距離感」がつかめなかった。

およめちゃんは、私の秘書もしてくれているので、私たちは、公私ともにスケジュールを知り尽くしている。「仕事が忙しくて」という言い訳もできないし、「気が乗らないとき」に逃げ場がなかったのである。追い詰めちゃって、かわいそうなことをした。

彼女と私は、ダンスに対するスタンスが少し違う。彼女は華やかな雰囲気を愛し、私はがんがん踊りたい。今では、私のダンスライフと、およめちゃんのダンスライフは6割がた別物で、およめちゃんの親友とのほうが、一緒にパーティに行く回数が多い。「娘さん?」「およめさん?」と聞かれて、「いえ、およめちゃんの高校時代の同級生」と答えると、たいていの人はびっくりする(微笑)。

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黒川 伊保子(くろかわ・いほこ)
脳科学・AI研究者
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。近著に『共感障害』(新潮社)、『人間のトリセツ~人工知能への手紙』(ちくま新書)、『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(講談社)など多数。

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(脳科学・AI研究者 黒川 伊保子)

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