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なぜ「やることリスト」が山積みになるのか…段取り下手にこそ勧めたい"すごいノート術"

プレジデントオンライン / 2021年11月11日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rupendra Singh Rawat

やるべきことが山積みになってしまうのは、どこに問題があるのか。「思考の整理家」を名乗るコンサルタントの鈴木進介さんは「そんなときはまずノートを使って本当にやるべきことかどうかを仕分けしてみるべきだ」という――。

※本稿は、鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■行動計画も段取りもうまくできない人はどうするか

日々、やるべきことが多すぎて、結局すべてが中途半端になってしまった。TODOリストはいつも未消化のまま毎日が過ぎてしまう。私のクライアント先からもよく出てくる言葉です。Goalは明確なのに、うまく行動計画が立てられず段取りもできないという悩みは尽きないようです。

優先順位のつけ方やスケジュール管理法の書籍やセミナーが、今ちまたではあふれています。しかし、これらのノウハウを見たところで簡単には段取り上手になれないところが悩みの種です。

段取り上手になるために、大切なことは「やるべきことの仕分け作業」です。

書き出してみたTODOリストは、本当に今すべてやる必要があるのでしょうか?

本当にその仕事は優先順位が高いのでしょうか? いったんノートに書き出し、冷静に段取りを見返して欲しいのです。

■まずはTODOリストの「仕分け」が重要

なぜかというと、人間のモチベーションはTODOリストを書き出し、やるべきことが見える化されたときに、モチベーションが一番高い状態になっているからです。

「さぁ、今からがんばるぞ!」という心のささやきが生まれているのではないでしょうか。モチベーションが上がることはいいことですが、心が熱くなって冷静にやるべきことの見極めができなくなることには注意が必要です。

実は書籍『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』を執筆している最中に、私は引っ越し作業をしていました。ある引っ越し会社の動きを見ていたのですが、さすがに段取り上手です。運ぶ荷物をリストアップして、力任せに一気に運ぶということはもちろんしません。まず行ったことは、運ぶ荷物をすべてリストアップした上で、次に机上で「仕分け作業」をしていきます。

例えば「引っ越し前に運ぶものと引っ越し当日に運ぶもの」、引っ越し当日も「先に新居に入れるものとあとで入れるもの」「小さい箱と大きな箱」というように、仕分けをしておきます。これにより、当日かかった時間は2時間を切る手際の良さ。

仕事も同じことで、事前に十分な「仕分け」が求められます。本当に「今」「自分が」「100%」を目指すことは何か? ノートに書き出し、ふるいにかけていきましょう。「あれもこれも」とやみくもに手をつけていても、中途半端になってしまいます。

力の分散と意識の分散を防ぐためにも、「今、何に集中すべきなのか」的を絞るのです。

特に、やるべきことが多くて混乱してきた、一度整理したいという場合に有効です。

■3つのゴミ置き場に捨てる仕事をあぶりだす

まずは、ノートを上下に2分割してください。上部には、タイトルに「今、本当に取り組むべきことは何か?」と書きます。これにより、冷静にやるべきことの優劣を見極める気持ちのスイッチを入れます。

次に、上段の「TODOリスト」欄に、頭の中にあるやるべきことを全てリストアップします。ここまでは通常のTODOリストと同じです。

さらに、下段はさらに縦線を2本入れて3分割します。仕分けの基準である「先延ばし」「たたき台」「お任せ」欄をつくります。こうすることで、「今」「自分が」「100%」を目指すこと以外を捨てる“ゴミ置き場”とします。

3つのゴミ置き場ができたら、TODOリストの中より仕分けをして転記していきます。それでも、TODOリスト欄に残ったものだけが、「今」「自分が」「100%」やらなければいけないことになります。

最後は、残った項目を赤い丸などで図示して後は行動するだけです。

【図表1】TODOリストの仕分け方

これは、捨てる仕事をあぶりだす作業とも言えます。「仕事において大切なことは劣後順位の決定である」とは、経営学の大家、故ドラッカー博士の言葉です。優先順位の前に、捨てるべき仕事は何かという劣後順位をつけることが大事というわけです。

優先順位(着手する仕事の順番)<劣後順位(捨てる仕事の明確化)

■今やらなくてもいい「先延ばし」「たたき台」「お任せ」

仕分けの基準である1つ目の「先延ばし」という言葉は、意志が弱くて目の前のやるべきことから逃げているイメージに捉えるかもしれません。ですが、ここでは“前向きな先延ばし”と捉えます。「今やりたくない」ではなく、「必ずしも今優先的にやる必要はない」ことをページ上部のTODOリストの中から「転記」します。

例えば、緊急性も重要性も低い資料の整理などです。また、今すぐやらなくていい(よくなった)仕事で、来月開催予定の会議資料の作成や、日程調整中で相手の返事待ちの業務などです。

2つ目の「たたき台」の欄には、仕事の精度が当日中にはあまり求められていないことを書きます。

例えば、マニュアルや企画書の作成など、必ずしも当日中に100%の精度が求められていないことを書き出します。精度が30%だけでいいものは「たたき台」(ラフ案)レベルの作業として扱い、時間をかけすぎないようにすることが大切です。

3つ目の「お任せ仕事」とは、他人に任せられるか、もしくは他人の協力を得て行う仕事のことです。自分でなくてもできることに時間を割いても、あなた自身の付加価値は高まりません。それならば、他の方に任せてしまうか、協力者を探してサポートをもらいながらスピードアップをはかりましょう。

もし、途中に予定外の仕事が割り込んで入ってきた場合でも、ノートに仕分けのスペースを設けておくことで、本当に今やるべきかの判断が瞬時にできます。また、仕事だけではなくプライベートにおいてもこのスタンスは同じため、公私ともに多忙で頭が混乱してきたという場合こそ、ノートで仕分けを行ってください。

■行動できない原因は「面倒くさい」「不安」

せっかくうまく段取りができ、今何に集中すべきか明確になっても、腰が重たいという経験はありませんか?

先日、お会いしたIT系企業で営業職につく38歳の男性社員の方のお話です。

毎回、スマホのスケジュールアプリとTODOリストを駆使して上手に行動計画を立てておられました。素晴らしいなと思い、少し聞いてみたのです。「これだけしっかりと行動計画が立てられていたら、ストレスなく行動できていいですよね?」と。するとうつむき加減に「それが、そうでもないんですよ。どうも自分は計画を立てることで息切れしてしまって、結局、行動を先延ばしするクセがあるんです。それに、いまいちモチベーションも上がらなくて……」と言うではありませんか。

この方のように計画を立てただけで安心感を覚えて行動がにぶる人、段取りに自信が持てずに一歩が踏み出せない人など、着手までのハードルは予想以上に高い人が多いようです。

これまで過去15年ほどの間で、私の講演やセミナーには延べで3万人以上の方がお越しになりました。企業研修でも、300社以上で受講された方がいらっしゃいます。

これだけ多くの方に質問を繰り返してきました。「行動できない原因は何が考えられますか?」と。9割ほどの方が、「面倒くさい」「不安である」という答えでした。

答えが明確であるならば、それを解消する手段をとればいいのです。

■ジョギングを始めたい人はまず靴を履くことから

その手段とはとにかく行動までのハードルを低くすることです。赤ん坊でも乗り越えられるくらいに、目の前のやるべきことのハードルを下げるのです。これを「ベイビーステップ」と呼びます。

陸上選手の小さなハードルを越えるトレーニング
写真=iStock.com/NSimages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NSimages

もし、どのような難しいことであってもベイビーステップに変換することができれば、瞬時に「面倒くさい」「不安である」という行動の“足かせ”が外れます。

24時間以内にどんな難題だって、“着手だけ“は可能になるはずです。

例えば、あなたは英語が苦手だとしましょう。「会社から1年後には英会話をネイティブ並みにマスターしておいてほしい」と言われたら何から取り組みますか? 英会話学校に入学しますか? それとも字幕なしで洋画を観ますか? 英語が苦手な人にとってはこれでもハードルが高く感じられます。

ベイビーステップに変換すれば、「単語帳を開くだけ」という小さな一歩目の設定になります。これなら、ストレスなく始められそうではありませんか? 毎日英単語を100語覚えよう! というのではありません、気が乗らないときでもまずは単語帳を開くだけでいいのです。

毎朝、通勤前にジョギングを始めようと計画を立てたなら、ベイビーステップは「靴を履くだけ」でいいのです。物足りないくらいがちょうどいい。これを周りに発表すると笑われるレベルだけど、自分は1ミリのストレスも感じないレベルを目指してください。「もうこれ以上ハードルが下がらないよ!」というくらいに。

■ハードルを乗りこえていく習慣を身につける

実際には、着手をすると物足りなさを感じて、少しだけ行動を始めるものです。物足りないという渇望感を利用します。単語帳を開いたら3つくらいは覚えようかなと自然と体が動くものです。つまり、行動までのエンジンをどう簡単にかけるかが問われているだけなのです。

そこで、着手までのハードルを軽々と乗りこえる習慣を身につけるために、ノートを使ったトレーニングを行います。頭の中で自動的にベイビーステップに変換するクセが身につくまでだけでも結構です。

TODOリストにある項目すべてをベイビーステップに変換するのではなく、まずは1つだけ重要なものに絞って試してみましょう。おすすめは「先延ばししていること」もしくは「難題だけど重要なこと」です。

ノートはタイトルを書いた後、縦線1本補助線を引いて左右に2分割にします。左半分には、先ほどお話しした優先順位や劣後順位も意識してTODOリストを書き出します。次に、TODOリストより「先延ばししていること」もしくは「難題だけど重要なこと」1つだけを選択して丸をつけてください。

【図表2】TODOリストをベイビーステップに変換する方法

■頭でぐるぐる考えるより、ノートに書き出したほうがいい

丸をつけた項目を今度は右半分の①に当てはめて、はじめの第一歩目を考えてみます。

例えば、「英会話学校へ入学手続きをする」とします。でも、入学手続きでさえ、英語が苦手な自分は億劫だと感じ気が乗らないときもあるでしょう。そこで、さらにハードルを下げていきます。「英会話学校に入るためには、数校比較したいので資料請求をする」とします。

鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)
鈴木進介『仕事は1冊のノートで10倍差がつく』(明日香出版社)

さらにハードルを下げて、「資料請求するためには、スマホで検索画面を開く」とすればいかがでしょうか? これであれば、英会話学校の入学手続きという気が乗らないことに向けても、24時間以内にストレスなく着手できそうです。

このようにベイビーステップに変換することが慣れていないときや、難題にチャレンジするとき、あるいはどうしても気が乗らないときは、3段階くらいハードルを落とすことを考えてみてください。

「モチベーションを上げなければならない」と肩に力を入れてストレスを感じるくらいなら、淡々とノートでベイビーステップへの変換を書き出していくほうが、よほどスムーズにはじめの第一歩が踏み出せます。

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鈴木 進介(すずき・しんすけ)
コンサルタント
1974年生まれ。株式会社コンパス代表取締役。現在は「思考の整理術」を使った独自の手法で人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活動中。大学卒業後、IT系企業や商社を経て25歳で起業。著書に『1分で仕事を片づける技術』(あさ出版)など多数。 HP:http://www.suzukishinsuke.com/

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(コンサルタント 鈴木 進介)

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