体重が減らない原因は"動物歩き"にあった…「やせる3拍子ウォーク」3つのポイント
プレジデントオンライン / 2021年11月27日 12時15分
■6万人以上の歩き方を見て感じていること
これまで20年にわたってウォーキングの指導をしてきましたが、6万人以上の歩き方を見て感じていることがあります。脚と脊椎を垂直に立てて歩く「直立二足歩行」ができるのが人間だけなのなら、きちんと歩けていない「動物歩き」の人がなんと多いのか、ということです。
「動物歩き」は3タイプに分かれます。
腰の反った反り腰と猫背で歩く「ペリカン」タイプは、接客業や人前に出る仕事の人に多いです。凛とした見た目を意識する一方で低姿勢も意識するせいかもしれません。
このタイプは歩く時に、歩隔(左右の足の間の幅)を開くことでバランスをとりながら進む傾向があります。反り腰のせいで腰痛、お腹ぽっこりに、肩を丸めて歩くせいで肩こりにもなりやすいです。
猫背のカーブが腰まで続き、上半身全体が丸まっているのは「ペンギン」タイプ。膝を曲げたまま狭い歩幅で、「顔から歩く」のが特徴です。デスクワークや年配の男性に多いのは、若い頃より脚力、背筋が弱り、上半身が丸まりやすいからでしょう。ペタペタと狭い歩幅で揺れながら歩くのが特徴で、首の痛みや肩こり、膝痛を抱えていることが多いタイプです。女性の場合、いわゆる貧乳、垂れ尻に悩む人が多いのも、この歩き方です。
骨盤が前傾しながら胸を張り、反り腰なのは「ゴリラ」タイプ。このタイプは足を上げずに歩くのが特徴で、歩幅ではなく歩隔(両足の間の横幅)が広がりやすい傾向があります。役職者や中間管理職に多い歩き方ですが、これは大きな会場で話す機会が多くなるため、良い姿勢を取ろうとするせいでしょう。一方で挨拶やデスクワークの機会も多く、背中が丸まりやすいのだと考えられます。
このタイプはヒールを履いて足速に歩く女性にも多く、腰痛に悩む人も多いです。また、あごが上がっているため、偉そうにしていると思われやすいので注意が必要です。
3つのタイプのうち、最も改善しやすいのはペンギンタイプです。全身を正面から見れば自分の姿勢に気づきやすいので、気づいたら胸を張る(胸筋を広げる)習慣をつけやすいからです。反対にゴリラタイプは、一見良い姿勢に見えることや腰痛があることから、直すのに時間がかかります。腹筋を鍛えながら改善するのがおすすめです。
■まずは「正しく立つ」ことから始める
自分がどのように歩いているのか分からないという人も多いと思います。まず、歩幅が狭く、すり足の人はペンギンタイプ。歩く時に「シュシュッ」と擦れた足音がしたり、よくつまずいたりする人もこのタイプです。
壁に背中をつけて真っ直ぐ立つ「壁立ち」をした時に、腰と壁の間にスペースがない、肩と壁との間が4センチ以上空いている、頭がついていないといった状態であれば、ペンギンタイプの可能性が大きいです。
ゴリラタイプは、歩く時に前のめりになっているのに、下腹がぽっこり前に出た状態になりやすいのが特徴です。また、壁立ちをした時、壁と背中の間に握りこぶしが入り、まだ余裕があります。ペリカンは壁立ちした時、ペンギン、ゴリラどちらの状態も当てはまります。
では、動物歩きを直して、背筋を伸ばした正しい歩き方をするにはどうすればいいのでしょうか?
それは、正しく立つことから始まります。まず、足指とかかとを地面にしっかりつけたら、お尻の穴を締め、おへそが縦長になるようなイメージで重心を上に引き上げましょう。続いて肩甲骨をギュッと寄せますが、肩の力は抜きます。鏡を見て、あごは上げすぎず、引きすぎず、目線は前に。正面から見て肩の高さを揃っていること、横から見て耳、肩、腰骨、くるぶしが一直線になっていること、下腹部が出ていないことをチェックできたら完成です。
■歩き方でもっとも大事なのは「歩幅」
正しく立つことができたら次は歩き方ですが、実は正しい歩き方をする上で最も意識したいのは「歩幅」なのです。
これは筋力の低下を防ぎ、健康的に歩く上でも重要なポイントとなります。歩幅を広げて大股歩きになることで早歩きになるため、有酸素運動の効果をより得られるからです。歩幅が狭くなるのは“歩行の老化現象”で、その反面、歩隔が広くなっていきます。
専門学的には健康的に正しく歩くための理想歩幅は身長の45%とされていますが、それではすぐに計算できないので、私は適正歩幅を「身長マイナス100センチ」としています。しかし、6万人以上の歩き方を見てきた経験上、9割以上の人が適正歩幅より狭い歩幅で歩いています。
ただし、いきなり適正歩幅で歩くと、負荷がかかりすぎてすぐに疲れてしまい、長続きしないので、リズムにのってスイスイ歩けるように考案したメソッドが「やせる3拍子ウォーク」です。
■やせる歩き方をかなえる3つのポイント
「やせる3拍子ウォーク」の基本は3つあります。
1つ目は、3歩目だけ手の人差し指1本分(約8センチ)歩幅を広げること。
これによって適正歩幅に近づきます。さらにうしろ足で地面をぎゅっと蹴ることで、歩幅が広がりやすくなります。「タン・タン・ターン」のリズムにのると歩きやすいです。
2つ目は、腕を真後ろに引くことです。こうすることで歩幅が広げやすくなるだけでなく、肩甲骨あたりにある「褐色脂肪細胞」に刺激が伝わり、体を燃焼させなさいという信号が出されるので、やせることにもつながります。
3つ目は、1本線上を歩くことです。「目の前にまっすぐな5センチ幅の1本線がある」とイメージして歩き、3歩目だけ線上を外股ぎみに歩きます。こうすることで、内股気味に歩いた時よりもお尻の穴が締まりやすくなります。また着地する時はひざを伸ばしたまま1本線上にかかとを着地させましょう。スーツ姿の男性の場合はより太い1本線をイメージして、歩隔を5センチ幅で着地すると、颯爽としたかっこいい印象になります。
■負荷が上がり消費カロリーが増える
この「やせる3拍子ウォーク」をマスターすることで、無理なく正しい歩き方ができるようになるだけでなく、やせたり、体を引き締めたりする効果も期待できます。
これは歩幅を広げて早歩きすることによって体のさまざまな筋肉への負荷が大きくなり、カロリー消費も増えるからです。特に3歩目の歩幅を広げる時に後ろ足で地面を蹴る動作や腕を真後ろに引く動作によって、お尻や脚、腕の筋肉が鍛えられます。また、1本線上にかかとを着地することで体感が鍛えられます。
実際、私の指導した受講生でペリカンタイプの歩き方だった40代の女性は、1本線上をきれいに歩けるようになり、4カ月で体重が5.6キロ、ウエストも6.5センチもダウンしました。ペンギンタイプの30代女性は歩幅を意識することで、歩き方が変わっただけでなく、悩みだったO脚が解消。ゴリラタイプの50代女性は、へそまわりが9.7センチも細くなりました。さらに体脂肪が0.7%減ったのに対して筋肉量は0.3キロ増え、本人も驚いていました。
正しい姿勢で歩くと知的でかっこよく見えるのはもちろん、体に負担がなく楽に歩くことができるようになります。これは歩くことが苦にならなくなる、つまり運動を生活の中に取り入れやすくなるということです。やせたい、健康になりたいと思ったら、過度な食事制限の前に歩き方を見直すことから始めましょう。
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ウォーキングスペシャリスト
一般社団法人「日本DF WALK協会」代表。証券会社勤務を経て、結婚。出産後、専業主婦から『VERY』『Como』『VOCE』『Domani』などの人気雑誌で読者モデルとして活躍し、プロのモデルに。モデルとしての活動をきっかけにウォーキングに興味を持ち、研究を重ね、ウォーキングスクールを始める。著書に『やせる3拍子ウォーク』(ダイヤモンド社)がある。
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(ウォーキングスペシャリスト 山口 マユウ)
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