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「必ず男子を生まなくてはならない」悠仁さまの"将来のお相手探し"が大苦戦必至である理由

プレジデントオンライン / 2021年12月6日 8時15分

「第12回子どもノンフィクション文学賞」表彰式にオンラインで出席された秋篠宮家の長男悠仁さま=2021年3月20日 - 写真=時事通信フォト

16年ほど前に政府で本格化していた皇室典範改正の動きは、秋篠宮家長男の悠仁さま誕生とともに止まってしまった。今や、天皇陛下の次の世代で皇位継承権を持っているのは悠仁さまだけだ。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんは「このままでは皇室には、悠仁親王殿下だけが残ることになってしまう」と危惧する――。

※本稿は、高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■「必ず男子を1人以上生まなければならない」

私は何度でも言う。今の制度のままなら、皇室にはやがて悠仁(ひさひと)親王殿下たったお一方だけが残ることになってしまう。

そのことが、あらかじめはっきりと分かっている場合、畏れ多いが、悠仁殿下と結婚したいと考える国民女性がはたして現れるか、どうか。

しかも、必ず「男子」を1人以上生まなければ、長い歴史をもつ皇室を“自分のせいで”滅ぼしてしまうことになるという、“およそ想像を絶する重圧”がかかるとしたら。

内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持するが、配偶者や生まれてくる子は国民とする「一代限りの女性宮家」などという、政治的妥協の産物としか思えないような、残酷な制度を内親王方に“押し付け”た場合でも、悠仁殿下のご結婚相手が必ず「男子」を生まなければならない事情は、何ら改善されない。何故なら、それらの宮家がいくつかあったとしても、次の代には途絶えてしまうからだ。

どれだけお子様に恵まれても、それらの宮家からは、皇位継承資格者がただのお一方も現れない。ならば、悠仁殿下のご結婚相手が「男子」を生むしかない。

そんな条件のもとでは、悠仁殿下のご結婚は極端に困難になってしまう。普通の想像力があれば、そう考えるしかないだろう。

そしてもし、万が一にも悠仁殿下がご生涯、独身を通されるような事態になれば、皇室の歴史はそこで終わる。

それ以前に、不測の事故など決してあってはならないことでも、危機管理の観点から当然、織り込んでおくべき事柄だ。現に、いずれも幸い大事には至らなかったものの、平成28年(2016年)11月に、悠仁殿下が乗られたワゴン車が、中央道相模湖IC付近で渋滞の最後尾に追突する事故があり、さらに同31年(2019年)4月には、刃物を持った不審人物が悠仁殿下を狙って、お茶の水女子大学附属中学校に侵入する事件すら、起きている。しかし、政府も有識者会議も、そのような危険性からなるべく目をそらそうとしているようにしか見えない。

あまりにも無責任ではないか。

(母方から天皇の血筋を受け継ぐ)「女系天皇」を認めることは、もっと先延ばしできると錯覚していないか。

■女性宮家の夫や子どもが直面する困難

しかし、女系天皇を認めなければ、制度としての整合性から、女性宮家の継承もできない。一代限りの宮家にならざるをえない。ご結婚相手は、皇族にもなれないのに、憲法が国民に保障したはずの自由も権利も、法的根拠もなく大幅に制限される可能性すらある。わが子は皇室の中で生まれたはずなのに、本人の結婚と共にか、それとも一定年齢に達したらか、どちらにしても皇籍を離れて、皇室にそのままとどまることはできない。

その子は、皇位継承資格者でも、その配偶者でもない。皇位の世襲継承にかかわりのない立場だから、いつまでも税金で生活を続けるわけにはいかないからだ。

わが子が、そんな宿命を背負うことがあらかじめ分かっている以上、そのような結婚を望む国民男性がはたしてどれだけいるだろうか。

ご結婚後、共に国民として暮らすのであれば、もちろん話は別だ。共に力を合わせて、国民として自由な生活を追求できる。しかし、妻は皇族なのに自分は“自由を奪われた”国民。わが子は先のような境遇を避けられない。となれば、結婚に二の足を踏んだとしても、誰も責められないはずだ。

■「皇位の安定継承」にはほど遠い

つまり、「女系」継承の容認を先延ばしすると、「女性宮家」は必然的に“一代限り”になり、それはご結婚のハードルが極めて高い「野蛮な」制度になる他ない、ということだ。もしめでたくご結婚の上、お子様に恵まれられても、先に述べた通り、実にお気の毒な状態になるし、そのような犠牲を払われても、皇位の安定継承には“1ミリ”の寄与にもならない。

有識者会議の議事録を拝見すると「時間軸」という便利な言葉が多用されている。自分たちの保身のためとまでは言わないが、彼らが“火中の栗”と思い込んでいる「女系」容認には手をつけずに先延ばしをして、何となく“やっている”感をかもし出せるような、目先だけの「皇族数の確保」対策をとりあえず打ち出そうというニュアンスで、使われているようだ。しかし、そこに手をつけなければ、目先の対策自体が機能しない。

「女系天皇」は時間軸の“先”にあるテーマではない。もし「女性宮家」という制度を採用するのであれば、“同時に”セットで取り上げなければならない。

皇居
写真=iStock.com/brize99
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/brize99

■憲法違反の可能性もある「旧宮家案」

旧宮家案の問題性についても、これまで述べていない点について、言及しておこう。このプランが憲法の禁じる「門地による差別」に当たり、“国民平等”の原則に違反するとの指摘があるが、このことがもつ深刻な意味について、もう少し掘り下げておきたい。

昭和天皇、上皇陛下、そして今の天皇陛下の、長年にわたる「国民に寄り添われる」ご努力のつみ重ねによって、今や圧倒的多数の国民が、天皇・皇室の存在を受け入れ、素直な敬愛の念を抱いている。それが実情だろう。

しかし以前は、数自体はさほど多くなくても、強硬な反天皇論者がいたし、一部には反天皇感情のようなものも、わだかまっていた。昭和から平成への時代の変わり目と、平成から令和へのそれでは、基調となるムード自体が大きく変わった。

昭和の時代には、昭和天皇の“戦争責任”をめぐる論理以前の怨念のようなものが、長く尾を引いた(昭和天皇の戦争責任をめぐる論理的・実証的解明については、大原康男氏「『天皇の戦争責任』覚え書」参照)。しかし、昭和天皇と上皇陛下ご自身が自ら進んで、むしろ背負われる必要のない「責任」まで、懸命に背負い続けてこられたそのお姿によって、そうした感情はほぼ過去のものになった。

しかし、「平等」という普遍的な価値と、天皇・皇室という日本独自の存在との関係については、さまざまな批判的観点を生み出しかねない素地が、今も完全に消え去ってはいないように思える。

■旧宮家案は「パンドラの箱」

私自身は、自由・平等という価値があまねく人々に保障されるためには、少なくとも現在および予想しうる将来の世界においては、国家統治のあり方が健全に保たれることが、前提として欠かせないと考えている。その前提を支える条件は、国によってさまざまだろう。わが国の場合は、天皇・皇室こそがとりわけ重要な役割を果たされているのではないか。そのように考えているので、天皇・皇室の存在を単純に平等の敵対物と見るような、硬直した旧式の考え方には賛同できない。

高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)
高森明勅『「女性天皇」の成立』(幻冬舎新書)

しかし、経済格差の拡大に歯止めがかからず、社会の各方面に不遇感やいわゆる“上級国民”への反発などが蓄積している時代傾向の中で、天皇・皇室を「平等」理念の対極にある存在と捉える見方が、もはや二度と現れないと決めてかかることはできない。

しかし、これに対しては、自由・平等の法的な意味での最後の“拠り所”と言うべき憲法それ自体が、天皇・皇室と国民の間に厳格な線引きをして、国民には「法の下の平等」を保障しながら(“国民平等”の原則)、天皇・皇室はその保障に欠かせない公的秩序の枢軸として、カテゴリー的に区別している――というクリアな説明ができる。

ところが、もし家柄・血筋を理由として、国民であるはずの旧宮家系の人々だけが皇室との養子縁組をできるという特権的な扱いを受けた場合、その“線引き”が崩れてしまいかねないだろう。すでに触れたように、旧宮家系の人々と、それ以外にも多く国民の中に存在する「皇統に属する男系の男子」との間の線引きも、どうなるか気がかりだ。そこの線引き自体が“差別”とも言いうるし、逆に線引きをしなければ、皇室と国民の線引きがとめどなく崩れてしまう危険性がある。

従って、旧宮家案は憲法違反と見なさざるをえないだけでなく、天皇・皇室と「平等」理念とのあやうい均衡を破る、「パンドラの箱」になりかねない。

よもや、政府がまともに取り上げることはあるまいが、くれぐれも警戒を怠ってはならないだろう。

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高森 明勅(たかもり・あきのり)
神道学者、皇室研究者
1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録」

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(神道学者、皇室研究者 高森 明勅)

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