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「ダラダラ会議がキビキビに変わる」ムダ時間を確実に削る100円で買える"あるアイテム"

プレジデントオンライン / 2021年12月2日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Blue Planet Studio

会議の生産性を高めるにはどうすればいいのか。働き方改革の支援を行うクロスリバー代表の越川慎司さんは「100円ショップで買えるあるアイテムを使うだけで、会議時間を確実に短くすることができる」という――。

※本稿は、越川慎司『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■議事録は会議後ではなく、リアルタイムで作る

会議での意見や決定事項をまとめて議事録を作成するケースは多いです。議事録は参加できなかったメンバーと共有したり、参加したメンバーに備忘録として渡すことを目的としています。

その議事録をリアルタイムで共有すると、効果を高められます。たとえば、NotionやMiroなどのデジタルノートも同時に共有して、説明資料と議事録を同時に画面表示すれば「これまでにどのような点を説明したのか」「どのような質問が出たのか」といった流れを把握できます。途中から会議に参加したメンバーも、流れが見えて議論に参加しやすくなります。

デジタルノートのリアルタイム共有によって会議の流れが見えるようになれば、途中からでも迷うことなく会議に参加できます。

議事録は通常、会議後に参加者に確認をし合ってまとめることが多いはずです。しかしリアルタイムで議事録を共有していれば、参加者が適時修正していくのを認めることで、会議が終わった時点で議事録を完成させることもできるのです。

■ファイルごとにいちいち保存すると検索しづらい

実際に18社で議事録のリアルタイム共有を実施したところ、議事録の作成時間を最大70%減らせたという結果が出ました。また、議事録をリアルタイムに共有したことによって、“内職”する人も2割ほど減ったという効果も出ました。

議論の流れを可視化して、まとめの時間を省略することになる議事録のリアルタイム共有は、多くの企業において効果があることが確認できています。

NotionやMiroなどのデジタルノートをクラウドで共有し、参加者にURLを配布しておくのが有効です。そうすれば、議事録を作成している状況を追うことができ、かつ情報の追加や修正もすぐに行えます。クラウドで保存しておけば検索も容易になります。エクセルやワードに議事録をとって、1ファイルごとに保存していくやり方では、過去の情報検索に時間がかかります。クラウドのデジタルノートにすべて保存しておけば、横断的な検索が可能になるので、探す時間を年間約20時間も短縮できます。

■会議の目的は「アイデア出し」と「決定」で分ける

「何かいいアイデアを出して」と主催者が指示し、参加者が恐る恐る意見を出すと、「それは間に合わないですね」「それは予算がないからできないですね」などと頭ごなしにダメ出しをしていくパターンがよく見られます。当然、避けるべき状況です。

アイデア出し=ブレインストーミングでは、アイデアをたくさん出していくことが目的なので、途中で決めることを混合させるのは避けるべきです。

ブレインストーミングと決定会議を同時に行うとアウトプットが出なくなる、ということもよく理解しておくべきです。

そこで、「ブレインストーミングと決定会議の時間を分ける」というチャレンジをしました。

ブレインストーミングでは、決定をしないでアイデアの量を増やすことを追求します。逆に決定会議では意思決定者が必ず参加するようにして、「決め方を決めて、決める」というルールを徹底しました。

このようにアイデアを出す会議と決める会議を分けたことにより、社内会議を全体で11%も減らすことができたのです。

また、時間やアジェンダを分けて「決めることをしないブレインストーミング」を行ったところ、参加者の85%が満足と答えました。「アイデアを出したけれどつぶされた」という経験のある人がいかに多いかがわかります。

決定をしないブレインストーミングで出されるアイデアの量は、それまでの1.7倍になったという結果も出ました。

■「ダメ出しをしない」と決めるとアイデアが2倍に

活躍社員は、会議をファシリテーションするときに「良いアイデアを出してください」とは決して言いません。ブレインストーミングはアイデアの量を出すことが重要であり、大量のアイデアの中に「良いアイデア」が潜んでいることを知っているからです。活躍社員は「なんでもいいからアイデアを出してください」と参加者の精神的なハードルを下げて、出されるアイデアの量を追求します。

ブレインストーミングで「良いアイデアを出してください」という発言を禁止する行動実験も行いました。18社が約2週間取り組んだところ、出されたアイデアの数はそれまでに比べて1.5倍に増えました。また、「ブレインストーミングでは意思決定しない、ダメ出しをしない」というルールも加えると、2.1倍にまで増えています。

ブレインストーミングでは、心理的安全性を確保して、なんでもいいからアイデアをたくさん出していくのがいい、という空気を作るのが重要であることがわかります。

■ブレインストーミングはオンラインよりも対面で

テレワーク中でもブレインストーミングを行うことはできます。オンライン会議サービスを使って、アイデア出しをすることもできます。しかし、集合対面型のブレインストーミングとオンライン型のブレインストーミングで比較したところでは、集合対面型のほうがアイデアの量が1.3倍になることがわかりました。

メンバーが実際に目の前にいれば、その場の空気が読みやすいので、和気藹々(あいあい)とアイデアを出せる空気が作りやすいのです。

プレゼンテーション
写真=iStock.com/SetsukoN
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SetsukoN

オンライン型のブレインストーミングでは、おかしなアイデアを口にして恥ずかしい思いをしたくない、という心理状態が強いこともわかりました。意見を出すことで周りにドン引きされたり、奇抜なアイデアを出してバカにされたりすることを避けたいと思っているのです。

また、デジタルホワイトボードのツールも便利なのですが、ブレインストーミングではホワイトボードや付箋(ふせん)紙を使って意見を出したり、つなげていったりすることが効果的であることもわかりました。

これからはハイブリッドワーク時代です。出勤とテレワークが混在する環境になります。対面のほうが心理的安全性は確保しやすいということもふまえて、「出勤したときには何をやるべきか」を考えておくのがいいでしょう。出勤時に適している会議の1つがブレインストーミングであるわけです。

こうしたことも考慮したうえで、有意義なブレインストーミングを実行してください。

■役職者がダラダラと話す会議は満足度が下がる

時間管理はファシリテーターの役割です。時間内にアジェンダをすべてこなし、未決事項をなくさなければなりません。

時間管理で重要なのは、発言時間を絞っていくことです。とくに会議の前半で、役職者が1人で長く話してしまうと、他の参加者も続けて長く話しやすい傾向があります。参加者があまり発言しない会議では、司会者が一方的に話すことが多くなっているものです。相手の反応が見えにくいオンライン会議では、特定の人物の発言が長くなり、会議が時間内に終わらないケースが増えてしまいます。

計9000時間の会議を記録して分析したところ、特定の1人が会議時間の50%以上も話している会議では参加者の満足度が低下傾向になり、会議後の行動意欲度もきわめて低くなることがわかりました。

特定の人による独演会状態になるわけですから、決めるべきことも決まらず、決定数も減少傾向になります。参加者からの発言数は30%以上減ることがわかりました。

ファシリテーターとしては、時間内にアジェンダをこなさなければならないのですから、暴走する人がいれば、なんとかして止めなければなりません。

■誰でも時間内に話を終える100円アイテムとは

効果的だったのが100円ショップでも売っているキッチンタイマーを活用する方法です。会議が終わる15分前にタイマーをセットして、音が参加者にはっきりと聞こえるように設定します。集合対面型の会議でもオンライン会議でも、どちらでも有効です。

タイマーの音が聞こえれば、ずっと話し続ける人を止めることができます。役職者の長い話を止めるのはなかなか難しいものですが、タイマーの音が鳴れば、役職者が自分で話を止めやすいことが確認できました。

越川慎司『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』(KADOKAWA)
越川慎司『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか 17万人のAI分析でわかった新しい成功法則』(KADOKAWA)

残り15分になれば、どのアジェンダが残されていて、最終的に何を決めなければならないかを考えて、参加者全員が最後のエネルギーを振り絞ります。

スマートフォンのタイマーアプリでもいいのですが、キッチンタイマーのほうが音の響きが良く、長話を止めてくれる効果が絶大でした。

すべての社内会議室にキッチンタイマーを置いた通信会社では、1カ月の総会議時間が8%ほど減ったという結果も出ました。

100円のタイマー1つで特定参加者の暴走を止めて、会議を時間内に終えられるようになるなら、費用対効果はきわめて高いといえます。

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約2万人が受講し満足度は98%を越える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『』(KADOKAWA)がある。

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(株式会社クロスリバー代表、株式会社キャスター執行役員 越川 慎司)

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