コンビニなら100円なのに…なぜホテルの「1500円コーヒー」に文句をいう人はいないのか
プレジデントオンライン / 2021年12月27日 9時15分
※本稿は、藤あや『ファンは少ないほうが稼げます』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。
■「これくらいもらえたら、うれしいな」が適正価格
残念なことに、日本にはまだまだ「お金」を汚れたもののように考える風潮が残っています。
テレビドラマを観ていても、お金持ちが悪い人間として描かれていたり、早くに殺されてしまったり、あるいはワイドショーでお金持ちの転落が取り沙汰され、「調子に乗っているとこういう羽目になる」というように見せられたりしています。
「悪い人」「ずるい人」「いつかしっぺ返しを食らう人」といったお金持ちのパブリックイメージは、日本人が、なかなかお金についてオープンになれないことと地続きになっているのではないでしょうか。
お金持ちになりたいはずなのに、お金持ちにどこか嫌悪感をいだいている。これでは、実際にお金が入ってくるはずがありません。世の中をめぐっているお金の流れが、自分のところではブロックされてしまうのです。
一方、「お金は苦労して得るもの」という固定観念が、「ラクに稼いではいけない」というマインドブロックにつながっている部分もあると思います。「時給などの固定給としてお金を考える」という思考グセも関係しているのかもしれません。
「自分くらいの年齢だと月給○○円くらいが相場」
「ほんの数十分でできることに対して、お金をいただくのはおかしくないのか」
こんな考えに支配されていませんか?
月給も時給も他人に決められているものです。今までアルバイトやパート、会社員として働いてきた人にとって、「自分で自分の値段を決める」というのは、存外にハードルが高いようなのです。
これに対して、起業や副業での値段の定め方自体は、実はとてもシンプルです。
「これくらいもらえたら、うれしいな」と思う値段をつければいい。これだけです。でも、マインドブロックがかかっているために、なかなか、こんなふうに素直に値段を設定できない人が多いようです。
ここまでお話ししてきたことを実践していただければ、起業や副業で年収1000万円も夢ではありません。そのレベルに向かってビジネスをすくすくと育てていくためにも、お金のマインドブロックを外してしまいましょう。
■「お手本」に会い1500円のコーヒーを味わう
お金のブロックを外す方法は、主に2つです。
1つは、実際にラクに楽しく稼いでいるお手本と接すること。実際に会いに行けたら最高ですが、そういう人のブログやSNSをたくさん見るだけでも効果があります。
ラクに楽しく稼いでいる人たちに触れるほど感化され、「お金は苦労して稼ぐもの」という思い込みが、「え、こんなふうに稼いでもいいんだ」というふうに解消されていきます。自分もラクに楽しく稼いでもいい気がしてくるでしょう。
もう1つは、モノの値段にもっと意識的になること。
たとえば、「コンビニエンスストアの100円のコーヒー」と「ホテルのラウンジの1500円のコーヒー」は、いったい何が違うのでしょうか。
この値段の差は、コーヒー豆の原価の差もあるかもしれませんが、もっと大きいのは「その場で得られる体験の差」でしょう。
ゆったりとした空間、ふかふかのソファ、行き届いたサービス。たった1杯のコーヒーにプラスされている付加価値に納得しているから、コンビニのコーヒーの15倍の値段でも払うのです。
ホテルのラウンジでコーヒーの値段を見て、最初は「高っ!」と思っても、そこで提供されている付加価値に目を向ければ、納得してお金を払うでしょう。
つまりモノの値段は、ただ単に原価、割かれた労力や時間の量だけで決まるのではなく、数字で測ることのできない価値、「ベネフィット」で決まるということ。価値に対して納得したときに、人はお金を出すのです。
これは1人で起業・副業する場合でもまったく同じです。
あなたもまた、自分が想定するお客様に対し、そういう計り知れないベネフィットを与えようとしているはずではありませんか?
モノの値段をもっと意識すれば、「自分が提供しようとしている価値」について、まず自分自身が納得できます。すると素直に「お金を受け取ってもいいんだ」と思えるようになるでしょう。
■「高いと売れない」は自分だけの思い込み
自分で値段を付けるときに「これだと高いかな?」と思ってしまうのは、「高いと売れない」と思っているから、ということもあるでしょう。相応の値段を付けたいと思っていても、「高いと売れない」という考えから、値段を下げる力が働いてしまうのです。
実は、決して「高いと売れない」わけではなく、逆に「高いからこそ売れる」場合が多いといえます。なぜなら、人には「値段に期待を寄せる」という心理があるからです。
たとえば、ティファニーのTスマイルのネックレスが1万円だったら、「お得!」と思うよりも、ちょっとがっかりして買う気が失せると思いませんか? ロレックスの時計が5000円でも同じように感じるでしょう。
ブランド物に高いお金を払うのは、その金額こそがブランドの歴史や品質の証であるという期待があるからです。「このお金を払えば、信頼できるブランドの上質な品物を身に着けられる」という期待感が、人にお金を出させるわけです。
この例からも、「高いから売れない」のではなく、「高いからこそ売れる」場合も多いことが見て取れるでしょう。
■高額商品がもたらす3つのメリット
では起業・副業の場合はどうでしょうか。「自分は一流ブランドではないし、やっぱり安いほうがいいのでは……」と思ったかもしれませんが、やはり売らんがために値段を安くするのはおすすめしません。
最初はお試しのモニター価格を付けたとしても、いずれ自分の希望に見合う価格に上げることを前提に考えてください。
自分の魅力や、自分が提供する商品のベネフィットが価値になると信じて、「これくらいもらえたら、うれしいな」という値段を付けたほうがいいのです。そういえる理由は3つです。
①一流ブランドでなくても、お客様が値段に期待する気持ちは変わらない
「これだけのお金を払うのだから、きっと素晴らしい体験になるに違いない」という期待を込めて買ってくれる人が現れるということです。
②期待を込めて買ってくれる人は、間違いなく良質なお客様
つまり、「これくらいもらえたら、うれしいな」という値段を設定することで、自分にもお客様にも心地よいビジネス空間がつくられるのです。
日ごろの感謝を込めて、あるいは新しいビジネスの小手調べとして、一時的にモニター価格を設定することはあってもいいでしょう。そういう機会をもつと実感すると思いますが、モニター価格で買ってくれるお客様よりも、正規価格で買ってくれるお客様のほうが、期待値が高いぶん、意識や意欲、商品の価値に対する納得度が高く、結果的に満足度も高くなるのです。
そして満足度が高いお客様は、高い確率でリピーターになったり、いい口コミを広げたりしてくれる。高い値段を払ってくれたお客様が、こうして、ビジネスのさらなる発展にも貢献してくれるようになるわけです。
③高い値段に見合う商品やサービスにしようという自分の意欲が高まる
自分の知識やスキルを使って、お客様の体験をどこまで高めたらいいだろうか。私の例でいうと、「ゼロスタートの人を、毎日、質の高いブログ記事を書けるようにする」というように、講座の目標設定が高くなったりするのです。
また、高いお金を払ってくれたお客様に対して、プラスアルファのサービス精神が発揮されることもあるでしょう。
たとえば、ちょっと高級感のあるホテルの会議室をセミナー会場に選んだり、すてきな小物をプレゼントしたり、といったことです。私も、高額セミナーに申し込んでくれた方には、いっとき、エルメスのノートなど「自分ではなかなか買わないけど、もらったらうれしいもの。やる気につながるもの」をプレゼントしていました。
有名ブランドやセレクトショップなどで大きな買い物をすると、すてきなノベルティがついてくることがあります。まさにそういう感じで、高い商品を買ってくれたお客様には、ちょっとした「おまけ」を添えるのもいいでしょう。
■値段を下げることは、自分の価値を下げるということ
このように、高い値段設定によって自分の意欲やサービス精神が高まることが、また顧客満足度アップにつながり、ここでもリピーターや口コミにつながっていくという好循環が生まれるのです。
値段を下げるというのは、自分の価値を下げるということです。情熱の源泉をもって、ペルソナに当てはまる人たちにベネフィットを提供しようとしている、そんなあなたの魅力が価値なのだから、自分を低く見積もらないでください。
「高いと売れない」という思い込みは、ここで消し去ってしまいましょう。
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ライフコンサルタント/ふじあやオフィス代表
1986年神奈川県生まれ。2009年青山学院大学卒業し、富士ゼロックス入社。全国5000人の営業トップとして複数回表彰を受ける。2017年コーチング業で活動を開始した後、の強みを生かし副業支援コンサルを手がける。2019年「日経doors」アンバサダー就任、公式オンラインサロン「艶めきサロン」をオープン。現在はコーチングと起業支援を掛け合わせた講座、SNS活用スクールを運営。本人の魅力を引き出しSNS集客で「ファンづくり」をする実践ノウハウに定評があり、これまでに300名以上のビジネス構築をサポートしている。
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(ライフコンサルタント/ふじあやオフィス代表 藤 あや)
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