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「人事部にはあらゆる陰口が集まってくる」業績は高いが評価されない人に欠けている"ある観点"

プレジデントオンライン / 2022年1月8日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

コロナ禍をサバイブした後も、企業の業績は回復の途上。中高年のリストラは待ったなしです。空前のリストラ時代に向けて、そのジャッジを下す「人事」は、いったい社員のどこを見て評価しているのでしょうか。人事コンサルタントの西尾太さんが解説してくれます――。

※本稿は、西尾太『人事はあなたのココを見ている!』(アルファポリス)の一部を再編集したものです。

■人事を「敵」に回しても何もいいことはない!

あなたは、現在の自分の評価やポジション、給与などに満足していますか? このような悩みはないでしょうか。

「高い業績をあげているのに、会社から評価されない」
「実力と給与が見合わない」
「自分ではなく、○○が昇進するのが納得できない」

私はこれまで1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、400社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般にたずさわってきました。そして、多くの方々からこのような不満や悩みをうかがってきました。

評価されない、給与が上がらない、昇進できない。これらのケースの場合、その理由はさまざまですが、実は多くの人が気付いていない盲点があります。

それは「人事の目を意識しているか?」ということです。評価、給与、昇進・降格を決めるのは、あなたの上司だけではありません。経営陣だけでもありません。そこには多くの場合、「人事の目」が大きく影響しています。

人事は、成果や業績だけを見ているわけではありません。勤務態度、日頃の言動、出勤時間、就業規則の遵守、会社の理念に沿った行動など、その視点は多岐にわたります。それらを経営者や管理職に伝えることが、人事の重要な役割なのです。

あなたが「思うような評価や給与を得られない」「昇進できない」といったことで悩んでいるのなら、「人事的な観点」が抜けていることに原因があるのかもしれません。

■人事は経営に近いところにいる

人事担当者や人事部門に対して、「細かいことにうるさい」「面倒くさい」「胡散くさい」「秘密を握ってそうで怖い」「何をしているのかわからない」といったイメージを持っている人は多いと思います(本当はそうとは限らないのですが……)。

しかし、たとえそう思っていたとしても、人事とはうまく付き合った方がいいでしょう。媚びを売る必要なんてありませんが、少なくとも「敵」に回すことだけは避けるべきです。

なぜなら、人事を敵に回しても何もいいことはないからです。

例えば、重要なポジションが空いて、誰かを抜擢する際には、人事がリストをつくります。その際に、たとえ営業成績はトップでも「協調性を欠く」「就業規則を守らない」「部下の育成を行わない」といった社員は、人事では「問題社員」と見なして、リストから外すことがあります。

また、人事は経営に非常に近いポジションにいるため、経営者や役員から「アイツはどうだ?」「コイツはどうなんだ?」と意見を求められる機会が多く、人事の発言は、社員の評価、給与、昇進・降格などに影響します。

そんな人事を敵に回してしまったら、あなたの将来は閉ざされてしまいます。

■人事の発言は、あなたの評価に大きく影響する

人事は、採用、配置、任免、昇降格、評価、育成、給与、厚生、労務など、非常に幅広い領域を扱っている部門です。だからこそ「何をしているのかわからない」といった印象を持たれてしまうのでしょう。

ただ、ひと言でいえば、人事とは「人」のことを考えている部門です。

営業や企画が「商品・サービス」について考えているように、経理が「お金」、法務が「法律」について考えているように、人事担当者は「人」のことだけを考えています。

一例を挙げれば、人事は直接、社員の評価はしません。しかし、評価制度を整えたり、適切な評価が行われるように、評価会議を司ったりはしています。

なぜなら、評価を通じて「人」を育てることが人事の重要なミッションだからです。

例えば、管理職の中には「部下の何をどう評価したらいいんだろう?」と頭を悩ませている人が多く、甘い評価をつける人もいれば、辛い評価をつける人もいます。そのため、管理職によって部下の評価にはバラつきがあります。

それらの評価が適切かどうかを判断するのも、人事の重要な役割です。甘い評価をつけてきた管理職には、次のような指摘をします。

「部下に『A』の評価をつけるということは、今のままでOKですよ、と伝えることです。そして『B』であれば、よくやっているけれど、もう少し改善してほしいということです。今、あなたの部下に伝えるべきメッセージはどちらでしょうか?」

最終的な評価を下すのは管理職です。しかし、このように「人事の発言」はあなたの評価に大きく影響しているのです。

■人事の悪口は、すべて聞かれている

だからこそ、人事の発言は公正であるべきです。好き嫌いで社員を評価したり、処遇を決めるようなことがあってはなりません。

そのため人事担当者の中には、公正性を疑われないように、社員と二人で飲みに行くことを避けたり、他部署の同期と会う場合も会社から離れた場所を選んだりする人もいます。私はそこまでしなくてもいいと思いますけどね。

しかし、人事も人の子です。公正であるべきと自分を戒めてはいても、個人的な感情を完全にゼロにすることは難しいと言わざるを得ません。

人事を敵に回さないためには、人事の悪口は避けましょう。部下の評価や社員研修など、人事の施策には面倒くさいと思うことも多いかもしれません。

それに対して真っ向から批判をされたり、意見を戦わせることは人事としても望むところですが、陰で悪く言っていると、信頼できない社員と判断されてしまいます。

内緒話
写真=iStock.com/alephx01
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/alephx01

人事は、社内の「人」の情報が集まる部門です。誰が誰の悪口を言っているといった情報はもちろん、社内恋愛すらも把握しています。陰で悪口を言っていると、必ず人事の耳に入ります。ほんの些細なひと言が、あなたのキャリアに大きな影響を与えてしまうことがないとは言えないのです。

■9割の会社では「好き・嫌い」が評価に大きく影響する

私が代表を務めているフォー・ノーツという会社では、さまざまな企業から評価制度の構築や見直しの相談を受けています。ご依頼を受けてお会いすると、多くの人事の方がため息混じりにこう言います。

「うちは、好き・嫌いで評価していますから……」

給与、昇進、ボーナス、異動、さらには左遷やリストラなど、会社員の人生はすべて「評価」によって決まります。

評価が高ければ、給与が上がり、昇進し、ボーナスも上がる。評価が低ければ、給与は上がらず、昇進もできず、リストラもあり得る。ビジネスパーソンにとって本来「評価」は極めて重要なものです。

にもかかわらず、何をすれば評価が上がり、評価が下がるのか。ほとんどの会社では、その基準を明らかにしていません。

総務省と経済産業省の発表によると、日本には現在約385万の企業があります。しかし、具体的かつ明確な「評価基準」を示している会社は、全体の1割程度。先進的な上場企業でようやく3分の1。それが私の実感です。

つまり9割近くの会社では、いまだに「好き・嫌い」を含む上司の個人的な主観によって社員の評価が行われているのが、日本の企業の実情なのです。たとえ評価制度がきちんと整った企業であっても、評価するのが同じ人間である以上、上司の「主観的な思い」が評価に反映されることは避けられません。

また、直属の上司が客観的に評価したとしても、経営者の「鶴のひと声」によって、その評価が変わってしまうことも少なくありません。評価や給与を上げたい、昇進したい、そう考えるなら、まずはこの現実を受け止め、自衛策を講じる必要があります。

■経営者が特に嫌うのは「評論家タイプ」

私はこれまで1万人以上の採用面接、昇格面接や管理職研修にたずさわり、評価会議などを通じて多くの経営者と接してきました。

西尾太『人事はあなたのココを見ている!』(アルファポリス)
西尾太『人事はあなたのココを見ている!』(アルファポリス)

社員を評価する上司の「好き・嫌い」は人によって異なりますが、経営者の「好き・嫌い」には、実は共通する傾向があります。

ほとんどの経営者が嫌っている社員のナンバーワン、それは「評論家タイプ」です。

評論家タイプとは、口が達者で、偉そうなことは言うものの、自分では何も行動しない社員です。彼らは、会社や組織、上司や部下、商品やサービスなどの問題点を、鋭く論理的に指摘したりします。

しかし、「だったらオマエがやれ!」と言われると、「○○部が担当すべきでしょう」「○○さんの役割でしょう」などと責任を取ることを避けようとしたり、それができないと、今度は「できない理由」を並べ立てて、決して自分でやろうとはしません。

こうした社員は、その名の通り「評論家タイプ」と呼ばれており、経営者からは特に毛嫌いされています。

また、こうした評論家タイプは、上司からは高い評価を得たとしても、経営者の判断で「低評価」に変わってしまうことが少なくありません。

一流大学を卒業し、MBAを取得している超エリートであっても、「評論家タイプ」には厳しい評価が下されます。評価とは、「成果」と「行動」によって判断されるもの。どんなに立派なことを言っても、「行動」に移さなければ、評価はされないのです。

■言い訳ばかりする「タラレバ社員」も要注意

「もっと営業が頑張っていたら、絶対に売れていたのに」
「時期さえ早ければ、この企画は成功していた」
「もっと人が足りていたら、こんな結果にはならなかった」

このように「○○していたら」と仮定の話を持ち出して、失敗の言い訳をする

「タラレバ社員」も、ほとんどの経営者が嫌っているタイプの代表格です。
「もっとスケジュールに余裕があったら……」
「もっと予算があったら……」
「もっと設備が整っていたら……」

仕事をしていれば、そう言いたくなる場面はあるものです。しかし、そうしたタラレバ発言はNGです。

「そんな条件、整うわけがないだろう!」

多くの経営者がそう叫んで、怒りを露わにする場面を私は何度も見てきました。仕事に「タラレバ」はありません。今ある状況で何とかするのが、高い評価を得ている人たちなのです。

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西尾 太(にしお・ふとし)
人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表取締役社長
「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。これまで1万人超の採用、昇進面接、管理職研修、階層別研修を行なう。パーソナリティとキャリア形成を可視化する適性検査「B-CAV test」を開発し、統計学に基づいた科学的なフィードバック体制を確立する。著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。』(労務行政研究所)などがある。

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(人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表取締役社長 西尾 太)

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