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「女性のほうが長生きなのに年金は月7万円も少ない」長いおひとり老後に備えるたった一つの方法

プレジデントオンライン / 2022年1月14日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

男性と同等に稼げていれば、老後に関しても男性と同じレベルの備えでよいと考えている女性は多いのではないでしょうか。しかし日本の平均寿命から考えれば、女性の老後は男性よりも長いものです。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「女性のほうが長生きするうえに、年金は少なくなりがちです。老後のために真剣に備える必要があります」と警鐘を鳴らします――。

■独身でも既婚でも女性の老後生活は厳しい

男性はもちろん女性も、ご自分の老後の生活のことを、心配している方が多いと思います。しかし、具体的に、どんな備えをしているのでしょうか。

じつは、女性の老後生活は、真剣に備えておかないと、かなり厳しい状態になるということです。最初から脅すようなことを言って申し訳ないのですが、これは事実です。

なぜ、女性の老後生活が厳しくなるのかを簡単に説明すると、次のようなストーリーになります。

女性は、男性に比べて平均的に給与が低いというデータがあります。給与が平均以上の場合でも、出産・子育てなどで休職期間などがあるケースでは、働いている期間が短いのが一般的です。その場合、結果的に、厚生年金の受給額が少なくなりやすいのです。

夫婦での老後生活は、夫の年金との合算になるので生活費はなんとか確保できます。しかし、夫が死亡すると、遺族厚生年金があるとはいっても、年金の受給額は半分以下になります。一人暮らしの期間が長くなり、認知症のリスクも出るので、介護費用がかかります。

一方、独身の場合でも課題はあります。老後生活は夫の年金がないため、一人分になるのは当然ですが、なおかつ長生きの場合、血縁者が少ないため、要介護になる前から介護付き施設を選ぶ可能性も高まります。そうすると、日々の支出は割高になり、寿命とお財布との戦いになることもあります。

いずれにせよ、女性の老後生活は、経済的に厳しいと言わざるをえません。

■年金が少なく、長生きをするので、ダブルで不利?

まず、女性の年金額は、一般的に低いということを説明しておく必要があります。

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和元年)」を見ると、厚生年金の平均月額受給額は、男性:17万1305円、女性:10万8813円です(2020年のデータはコロナ禍で影響があるので、2019年のデータを使用しました)。厚生年金の受給額を見るとなんと7万円近い差になっています。

なぜかというと、女性の方は平均賃金が低く、就労期間も短くなってしまうことが大きな要因でしょう。これだけでも、女性の場合は不利ですが、さらに男性より長生きをする確率が高いので、ダブルで不利になります。

■最後は一人の老後生活になる可能性が高い

平均寿命を考えると、男性は81.64歳、女性は87.74歳です。女性の方が6年以上の差をつけて長生きです。女性は90歳まで生きるのが当たり前になってきました。ご夫婦の場合を考えると、最後は女性が一人暮らしになるという可能性がとても高いというのがわかります。

それでは一人暮らしの場合、どのくらいのお金が必要なのでしょうか。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2019年」によると、高齢単身無職世帯の1カ月の支出は平均15万1800円です。月額約15万円、だとすると年間180万円の支出になります。もし、夫が亡くなった後6年間長生きをするとしたら、一人暮らしの費用は180万円×6年=1080万円のお金が必要です。

公園を歩いている年配の女性
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

■遺族厚生年金があっても、受給額は半分に!

「でも、遺族年金があるじゃないの! 夫が死んでも年金は減らないのでは?」

なんて、甘い考えをしていると、イタい目に遭うことになります。遺族年金の計算方法は、

①夫の厚生年金の4分の3
②夫の厚生年金と妻の厚生年金の半分ずつ
③妻の厚生年金

この3つのうちの最も高い金額が選ばれるのです。

ちょっとこの説明では、イメージができませんね。

具体的な例を出して、説明をしましょう。

■共働き夫婦の遺族厚生年金は、雀の涙ほど

いまは、共働きの夫婦が多くなっています。夫婦とも会社員・公務員の場合には、二人とも厚生年金を受け取ることができます。その場合、夫が死んだときの遺族年金はどのくらい受け取れるでしょう。厚生年金の受給額によって、遺族年金が変わってきます。

まず、夫の方が厚生年金の受給額が多い場合のケースについて考えましょう。

65歳以上の夫の年金受給額 基礎年金:6万円+厚生年金:14万円=20万円
65歳以上の妻の年金受給額 基礎年金:6万円+厚生年金:10万円=16万円

①厚生年金14万円×4分の3=10.5万円
②夫の7万円+5万円=12万円
③妻の10万円

妻が受け取れる遺族厚生年金は12万円です。しかし妻の厚生年金が10万円あるので、その分が引かれます。結果、夫の遺族厚生年金は2万円で、妻の基礎年金6万円、厚生年金10万円と合わせて月額18万円になります。

もし、夫が企業年金を受け取っていた場合は、企業年金もなくなります。遺族年金を期待していた人には、ガックリな数字かもしれません。

■妻の年金が多い場合は、遺族厚生年金はゼロになる

次に、妻の方の年金受給額が多いケースを計算してみましょう(なんとなく結果は、わかってきたと思いますが……)。

夫の年金は、基礎年金:6万円+厚生年金:12万円=18万円
妻の年金は、基礎年金:6万円+厚生年金:14万円=20万円

①厚生年金12万円×4分の3=9万円
②夫の6万円+7万円=13万円
③妻の14万円

ということで妻の厚生年金がいちばん多くなります。結果、夫の遺族厚生年金はゼロということになります。妻の年金分だけになり、月額20万円で暮らすことになります。

専業主婦の場合には、妻の厚生年金が少ないので、夫の遺族厚生年金を受け取ることができます。とは言っても4割以上の減収になるでしょう。

■認知症になったら介護費用で負担増

共働きの場合には、遺族厚生年金には期待できないし、収入が半減するということがわかると思います。

では、一人暮らしになった時の生活はどうなるのかというと、高齢単身無職世帯の月額支出が15万円かかるというデータがあります。もともと独身の人もこちらに該当します。

上記の例では、月額18万円、20万円ということなので、生活がまったくできないというわけではありません。しかし、いずれにしても収入(年金)は半減するわけです。ですから、それまでより切り詰めた生活をしなければならないでしょう。

相続財産が多かったとか、老後資金が多く残っている場合ならば、取り崩しながら生活をすることもできます。しかし夫の介護などで老後資金が減ってしまった場合には、さらに厳しくなるということになりかねません。

さらに追い打ちをかけるようで申し訳ないのですが、認知症の問題があります。認知症の発症率は高齢女性の方が高く、85~89歳では約半数の48.5%、90歳以上では71.8%が発症するというデータがあります。

認知症になると、避けられないのが介護です。生活費にプラスで介護費用もかかります。公的介護保険があるので、原則、1割負担でさまざまな介護サービスを受けるとことができる。とはいってもやはり負担は増えます。

生命保険文化センターの調べによると介護にかかる総費用は約500万円以上です。介護期間は平均で5年1カ月、認知症の場合はこれより長くなることも多いです。もし介護施設に入ることになったらさらに費用負担が重くなることが考えられます。

■公的年金の増額で老後生活をエンジョイする

女性の場合、男性より平均的に長生きなので老後生活において不利になります。だからこそ、それに備えておくことがとても重要です。

まずは老後資金の増額ということで、iDeCoへの加入です。すでにiDeCoに加入している人は、限度額いっぱいまで引き上げるのもいいでしょう。また、企業年金がありiDeCoへの追加の申し込みが難しい場合は、つみたてNISAを利用するのもいいです。

私のオススメの備えは、公的年金の増額という方法です。公的年金は一生涯受け取ることができるので長生きに対抗できる資金なのです。

公的年金を増額するやり方は、いくつかあります。

まず、厚生年金に加入しながら長く働くことで、年金の増額になります。厚生年金は70歳まで加入することができるので、働いている間は厚生年金が増額されます。フリーランスの人は、国民年金に加入していると思います。国民年金に上乗せする制度で、付加年金があります。付加年金は毎月400円を上乗せして納めれば、年金の受給額を増やせます。もっと増やしたい場合は、国民年金基金に加入するという方法があります。国民年金基金は、終身タイプを選ぶことができるので、長生きに対応できる資金を作ることができます。

また、年金の繰り下げ受給をしても受給額を増やすことができます。1年間繰り下げ受給をすると年8.4%の増額になります。70歳まで繰り下げると42%の増額になります。さらに2022年4月からは75歳まで繰り下げることができるようになるので、75歳まで繰り下げると84%の増額です。年金受給額が倍近くなるということです。

年金受給額をアップさせて、長生きに備え、豊かな老後生活をエンジョイしてください。

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長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員
お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『かんたん!書き込み式 保険払いすぎ見直しBOOK』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、などがある。

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(ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員 長尾 義弘)

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