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「共通テスト正答率9割」医学部受験生も働く人も本番に強くなる自律神経の整え方

プレジデントオンライン / 2022年1月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Chunumunu

体を24時間調整してくれている自律神経。自律神経研究の第一人者で、トップアスリートの指導も行っている順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「整えることで、脳や体のコンディションは変わる」という。1週間後に迫った大学共通テストで正答率85~90%を目指す医学部志望者を含む大学の受験生や、多くの仕事を抱えた社会人でもできる日々の自律神経の整え方とは――。

※本稿は、『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』の一部を再編集したものです。

■ストレスフルな生活や試験本番直前に「3分間」で脳も体も絶好調に

勉強しなきゃと思っても身が入らなかったり、焦りからイライラして集中できなかったり。医学部合格を目指すハードな受験生活には、そんな迷走が起こりがちだ。その対策として知っておきたいのが、自律神経のコントロール法である。

「自律神経とは、血液の循環、呼吸、消化、体温などを24時間休みなく調整している神経のこと。勉強のパフォーマンスが落ちるのは、自律神経の働きが乱れているときです」

こう指摘するのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授だ。睡眠不足、運動不足など受験生によく見られる生活習慣やストレスは、すべて自律神経の乱れを引き起こす原因になるのだとか。

自律神経を構成するのは、心身をアクティブな状態にする交感神経と、心身をリラックスさせる副交感神経の二つ。車でいえば交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキに相当する。小林教授によれば、勉強に集中するためには、両者がうまく働き、なおかつバランスが取れた状態を保つことが肝心だという。

「自律神経のバランスが取れていると血流が安定し、細胞の一つ一つに質のよい血液が行き渡ります。すると体調が整えられて集中力が高まるうえに、脳の働きも活性化します。神経が敏感に働くので、ケアレスミスも犯しにくいんです。さらに免疫力も上がるので、受験生の大敵である風邪やインフルエンザにもかかりにくくなりますね」

大学共通テストの正答率85%~90%を目指さなければならない国公立大医学部のような難関の入試を突破するには、「やるべき勉強をやり尽くすことが不可欠」と小林教授は言うが、そのやり尽くした域に達するためにも、自律神経を整えて毎日ベストコンディションで机に向かうことが欠かせないのである。自律神経がコントロールできれば、受験当日に、極度の緊張や体調の悪さで実力を発揮できなかったという失敗も防げる。

「私はプロスポーツ選手やオリンピックに出場するようなトップアスリートの指導をしています。彼らは試合で最高のパフォーマンスができるよう自律神経をコントロールして状態を整えています。受験生はアスリートと同じです。入試はいわば試合。特に当落線上にいる受験生は、コンディションが合否を分けることもあるので、自律神経のコントロールが非常に重要になってくるのです」

入試の当日は、ほどよい緊張感を持ちながら、平常心を保つのが理想。その状態にもっていくには、日々の生活や勉強の仕方を戦略的に考える必要があるそうだ。

小林教授が挙げる入試に勝つ自律神経のコントロール法は次の七つ。簡単なことばかりなので、今日から実践して、医学部への道を切り開こう。

■【勉強(仕事)の合間にできる自律神経を整える7つの方法】

(1)背中は丸めず伸ばす

机に向かうと知らず知らずのうちに猫背になっている人は多いが、学習(仕事)効率を低下させるから要注意だ。

「背中が丸まると頸部(けいぶ)の筋肉が緊張し、脳と胴体をつなぐ神経や血管に負担がかかって自律神経に悪影響を及ぼします。血流が悪くなり脳や内臓の活動量が低下。集中力が欠けてしまうのです」(小林教授、以下同)。

改善策は意識して姿勢を正すこと。骨盤を立ててお尻を背もたれにつけるように座ると背筋が伸びやすい。勉強(仕事)中、集中できないと思ったら、天井を見上げるといい。

「顎を上げると気道が開いて呼吸が深くなります。その際、ヨガのポーズのように手のひらを上に向けるとより効果的です。隅々まで血液が流れて自律神経が安定します」

(2)食物繊維や発酵食品を食べる

自律神経と密接に関わるのが腸。腸内環境を整えると自律神経が整い、自律神経が整うと腸の働きも良くなるといった具合に相互作用があるという。

「腸内環境を整えれば便秘になりにくく、免疫力を高める効果もあります。腸は第二の脳といわれるように影響も大きいのです」

腸内環境の整備には発酵食品と食物繊維を意識して取ることが大切だ。ヨーグルトや納豆、みそなどの発酵食品は腸内に善玉菌を増やすのに活躍。食物繊維はお通じをスムーズにするだけでなく、善玉菌の働きを助ける効果も。有効なのは大根、キャベツなどに多く含まれる水溶性の食物繊維だ。また腸内環境を整えるには規則正しい食生活も重要。腸を動かすために、朝食は毎日取ろう。

ヨーグルトを木製スプーンですくう
写真=iStock.com/kaorinne
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kaorinne
(3)45分勉強して5分休憩

長時間続けて勉強すると頑張った気になるが、実はこれ、逆効果。

「ずっと同じ姿勢でいると、筋肉が硬直して血流が悪くなって自律神経が乱れます。効果的なのは、休憩を挟みながらの短時間集中スタイル。例えば、45分勉強したら5分休んで、また45分勉強する。休憩を入れると、そのつど、集中力を戻すことができます」

入試日が近づいたら、実際の試験時間に合わせて集中する時間を決めるのもいいだろう。例えば試験時間が90分なら、見直し時間を差し引いて70分勉強し5分休憩のリズムにするといい。

「休憩時間にはストレッチなどをして体を動かすと血流がよくなり、疲れが取れます。唾液にはストレスから体を守るホルモンが含まれるので、ガムをかむのもおすすめ。血流が悪くなるのを防ぐためにも、こまめに水を飲むようにしましょう」

(4)「毎日が本番だ」と思う

極度の緊張からいつもは覚えていることを忘れてしまったり、ミスを頻発したり。「本番に弱い」というのは受験でよく聞く話だ。本番で緊張しないためには、次のような方法が有効だ。

「毎日が本番のつもりで勉強して、模試も本番のつもりで臨むのです。入試日を日々の延長、単なる通過点として考えましょう」

この方法を実践するのはトップアスリートたち。練習のときから試合並みの緊張感を持つことで、本番に平常心で臨むことができる。さらに、ポイントになるのが起床時間。

「毎朝8時に起きている人が試験当日だけ6時に起きたら、自律神経のバランスが崩れて実力が出せなくなります。受験日が迫ったら、当日の起床時間にシフトしましょう」

【勉強(仕事)の合間にできる自律神経を整える方法】続き
(5)寝る前は1:2の深呼吸

自律神経を乱す大きな要因になるのが睡眠不足。

「睡眠は長さよりも質がポイント。勉強(仕事)中は交感神経が優位になるので、寝る直前まで勉強をしていると、睡眠の質が低下します。そんなときにしてほしいのが、寝る前の深呼吸。4秒ほどかけて鼻から吸ったら、8秒かけてゆっくり口から吐くというように、“1:2の長さで吸って吐く”を3分ほど繰り返してみましょう。副交感神経が働き始め、良質の睡眠を取ることができます。アスリートも実践する方法なんですよ」

(6)簡単な日記を書く

やる気が起きない、気が散って勉強がはかどらない、頭が重い、逃げ出したい……。そんな停滞期を解決するのが3行日記だ。書くのは「うまくいかなかったこと」「うまくいったこと」「明日の目標」の3項目。それぞれ1行ずつノートに書き留める。就寝前に書くことと手書きするのがポイントだ。

「自分の状況や体調などを客観視できるのが日記の利点。明日の目標まで書くことで、意識を良い方向へと導けます。手書きするのも重要で、文字の乱れは自律神経の乱れとイコール。ゆっくりと丁寧に書けば、気持ちが落ち着き、自律神経のバランスを整えられるんです。この3行日記をコツコツと毎日書き続ければ、努力を続けてきたことが目に見えるので自信にもなります」

(7)トラブルをイメージトレーニングしておく

人は想定外のことが起きると、頭が真っ白になりパニックを起こす。入試で手に負えない難問に出合ったときや、出題傾向がガラリと変わってしまったときがそれだ。交感神経の働きがピンと跳ね上がり、血圧や脈拍も急上昇。汗をかき、呼吸も浅くなり、自律神経はアクセル全開の暴走状態に陥る。こういう場面こそ、前述の1:2の呼吸法が役に立つ。

『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』
『プレジデントFamilyムック 医学部進学大百科 2022完全保存版』

「深呼吸をすることです。その際、ペンを握りしめる手を開いて上に向けるリラックスポーズをとれば、さらに効果的です」。

またパニックにならないためには、トラブルが起きることをイメージトレーニングしておくといいそうだ。

「『難問が出てきたら、途中まで解いて少しでも部分点を稼ごう』『出題形式が変わったら、時間配分を考え直そう』と、いくつかのトラブルと次にとる行動を考えておくことで、慌てずに済みます」

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小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても有名。近著に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。

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(順天堂大学医学部教授 小林 弘幸 文=上島寿子)

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