1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「管理費には気をつけたほうがいい」資産価値が"ガクンと下がる"マンションの見分け方

プレジデントオンライン / 2022年1月21日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/germi_p

マンション価格の高騰が続いている。こんな時代に、購入で失敗しないためのポイントは何か。スタイルアクト代表の沖有人さんは「売却可能なら70平方メートルの3LDKを選ぶに越したことはない。だが、それ以外にも注意すべき物件がある」という――。

■今は新築も中古も割高、失敗しやすい時だ

この10年間でマンションを買った人のほとんどが買って良かったと思っているはずだ。なぜなら、購入後、価格は高騰し、含み損を抱えている人はごくわずかと思われるからだ。しかし、コロナ禍で持ち家を検討する人が増え、コロナ特需が生まれた。在庫が少ない中、この特需で価格高騰に拍車がかかった。今、売られている新築も中古もかなり割高である。割高とは、買ったら含み損を抱える可能性が高いということにほかならない。失敗しやすい時だけに、物件選びの注意点をまとめてみた。

新築も中古も割高と書いた。適正価格があるからこそ、割高と言えるのだ。ではその適正価格とは何かというと、成約した中古価格になる。物件検索サイトで見る価格は売出価格でその10%引きが成約価格の目安となる。新築でも中古でも購入検討している物件があれば、それと同じ駅で中古マンション事例をチェックしてみなければならない。面積で割った単価とグロス価格の最高値を超えて取引することは非常に難しいと心得た方がいい。

■70m2の3LDKを選ぶに越したことはない

例えば、先日個人相談を受けた新築物件は1億2000万円だった。その駅での中古成約価格の上限は9000万円だった。この場所で1億を買う人はいないということだ。このため、単純に3000万円分の価格下落が起こる可能性が高いと伝えた。これを許容できるならいいが、そこまでの下落を考えていないなら、物件選定条件を考え直した方がいいことになる。

単価は適正だが、グロス価格が問題になるケースも注意が必要だ。通常のマンションの専有面積は70m2前後であるが、105m2なら通常の1.5倍の大きさになり、単価では適正の範囲でも、グロスでは問題になることがある。この逆もあり得て、準郊外で面積の小さい物件は買い手がいないこともある。売却可能なマンションを購入したいなら、原則として70m2の3LDKを選ぶに越したことはないのだ。理由は購入層が多いからでマッチングもしやすく、売りやすいのだ。

物件検索サイトの情報だけでは不安ならば、仲介会社の人に最寄り駅での成約事例の最高値を単価とグロス価格で教えてほしいと伝えよう。

■住宅ローン以外の維持費が高い物件は避ける

マンションを購入した後の支払総額は、住宅ローンの返済額+管理費+修繕積立金などになる。管理費は都心ほどm2単価が高くなるが、簡単な目安は物件の坪単価の10000分の1程度と同じだけのm2単価になる。例えば、8000万円、20坪(66m2)、坪単価400万円なら、m2単価400円×66m2=2万6400円ほどの管理費が目安だ。

この物件が提示する管理費が5万円ということなら、2万4000円(=5万円-2万6000円)×420カ月(35年)=990万円ほど安くしなければ売れなくなる。なぜなら、月の支払額で購入物件を検討している訳で、財布は1つだからだ。

こうした住宅ローン以外の維持費が高い物件は、隣接ホテルの利用権が付いている場合や借地権で地代が非常に高い場合などがある。実名は避けるが、購入する物件が新築だろうが、中古だろうが、毎月の支払額で物件比較することをお勧めする。

不動産を査定するイメージ
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi

■デザイナーズ物件、戸建立地の低層マンションは鬼門になる

マンションに戸建の概念を持ち込む人は多い。それをいいと思って言っているようだが、マンションと戸建は考え方が全く違うと思ってもらった方がいい。

例えば、メゾネット(2層構造)はマンションでは売れない。マンションは1フロアでフラットであることが大前提であり、これに反したら、戸建ニーズになってしまう。そうなると、立地・面積・価格は全く別の選択になる。

同様に、戸建立地における低層マンションも受けが悪い。特に世田谷区などに多い。その場所でマンションを買うくらいなら、戸建を建てると言う人が多いと考えよう。戸建の中には建売と注文があるが、設計変更できることに価値を置くなら、マンションはやめておいた方がいい。

マンションにも、「スケルトン・インフィル」という内装の自由設計を手掛けていたところもあるし(今はないはずだ)、「コーポラティブ」という土地を共同購入する形でセミオーダーな設計変更をする形態もある。どちらもコスト高であるだけでなく、自分好みの内装や仕様は売る際に苦戦を強いられる。自分の趣味は他人の趣味であると思ったら大間違いである。原則、マンションは美人投票が求められる。自分が美人と思う物件よりも、多くの人が美人と思う物件の方が売却時に売りやすいのだ。美人の基準は第一に立地になる。

■稀少性のない借地権に意味はない

通常のマンションは土地の所有権が付いている。それに対して、土地を借りる形になる借地権は評価が分かれるので注意が必要だ。単純に言って、都心は「買い」だが、郊外は絶対買ってはいけない。そもそも借地権はその土地の稀少性があり、地主が手放さない理由があるからこそ意味がある。

都心では稀少立地の借地権物件は所有権物件と同じ相場で取引されている。私はこの誰もが知っているわけではない情報をよりどころに、都心の借地権マンションで値上がり益を享受している。一方、郊外や地方の一般的な土地は借地にする意味すらない。なので、そうした物件は誰も買おうとしないので、売れなくなり、価格も大幅に下がることになる。

■資産価値が落ちない「ヴィンテージ」と「大規模開発案件」の特徴

ヴィンテージマンションは資産価値が落ちないので、「買い」だ。ただし、ヴィンテージの定義を間違ってはいけない。ヴィンテージ認定されるような物件は、誰もがうらやむ立地であることが条件になる。そうした立地のパターンは2つある。1つは駅に近く、総戸数も多い物件だ。例えば、渋谷駅直結の宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンスや表参道駅直結で建て替え計画のある南青山第一マンションズや原宿駅前のコープオリンピアという築50年以上の物件が該当する。こうした物件は建て替えされ続けて、価値を上げ続けることになる。

東京中心部の空中写真
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

2つ目のパターンは街並みのきれいな大規模再開発案件になる。広尾ガーデンヒルズはケヤキ並木や緩やかな傾斜地で総戸数1181戸の大規模な面開発になる。これ以外にも、駅前の大規模再開発はたくさんある。恵比寿駅の恵比寿ガーデンプレイス(恵比寿ガーデンテラス壱番館・この物件の居住者の平均年収は3016万円※住まいサーフィン調べ、以下同)、品川駅の品川グランドコモンズ(品川Vタワー・1548万円)、六本木駅の六本木ヒルズ、神保町駅のジェイシティ東京(東京パークタワー・1801万円)、月島駅の大川端リバーシティ(センチュリーパークタワー・1593万円)、秋葉原駅の秋葉原クロスフィールド(東京タイムズタワー・1652万円)などだ。

こうした物件の特徴は価格が下がらないこととこれに付随して住んでいる世帯の年収も高く維持されていることだ。通常の物件は1年で2%、10年で20%価格が下がるので、価格が下がった中古価格で入居してくる人が増えるほど、そのマンションの平均年収は下がる。ヴィンテージとは住んでいる人も成熟したヴィンテージなので資産価値が維持されている意味合いもある。

----------

沖 有人(おき・ゆうじん)
スタイルアクト代表
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。監査法人トーマツ系列のコンサルティング会社、不動産コンサルティング会社を経て、1998年にアトラクターズ・ラボ株式会社(現在のスタイルアクト株式会社)を設立、代表取締役に就任。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(朝日新聞出版)など多数。分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/)、独身の住まい探し情報サイト「家活」(https://iekatu.com/)を運営している。

----------

(スタイルアクト代表 沖 有人)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください