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「食パン1枚より、バターたっぷりツナサンド」医師が教える"本当に太らない食べ方"

プレジデントオンライン / 2022年5月22日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/YelenaYemchuk

美味しいものを食べたい、でも太りたくない。痩せたい……。二律背反な願望をどうにかする方法はないものか。近刊『医者が教える最強の解毒術』が話題の糖尿病専門医・牧田善二さんは「ほとんどの人が“糖質中毒”。糖質の過剰摂取だから太るのです。でもミートファーストを実践すれば、“太らない食事”は実現可能」と語る──。

■本来の目的から外れた「人間にとっての食事」

私たちは毎日、朝昼晩と食事を摂ります。人間に限らず、すべての動物は何らかの形で捕食を行っています。

ただ、野生の動物の場合、それは生きるためのエネルギーを得る行為であり、必要以上には食べません。だから、百獣の王といわれるライオンでも、太った個体はいません。

一方、人間にとって食事は、本来の目的を外れ楽しみの要素が大きくなっており、「美味しいものを食べているときが一番幸せ」という人もたくさんいます。そのため、満腹でも食べてしまうということが起きます。

とくに、肥満の原因である糖質は過剰摂取に陥りやすく、「デザートは別腹」「シメの麺類は欠かせない」というのは、その典型例です。

■「太りたくはないけれど食べたい」…

地球上には飢餓に苦しむ人々もいる反面、多くの国や地域で肥満が激増しており、日本も例外ではありません。

肥満は、外見が冴えないというだけでなく、あらゆる病気の原因となります。健康診断でメタボを厳しく指摘されるのは、肥満を放置していれば命を脅かす病気にかかりやすくなるからです。

もっとも、情報が行き届いた現代社会では、多くの人が肥満の害を知っています。それにもかかわらず、「メガ盛り」などと表現される健康度外視の食べ物も増えています。

「太りたくはないけれど食べたい」は、現代人に共通の願いといっていいでしょう。

■「血糖値を上げない食事」で人間の夢が実現

では、「太りたくはないけれど食べたい」は無理な欲求なのでしょうか。

そんなことはありません。食べる内容や食べ方についての知識さえあれば、お腹いっぱい美味しいものを食べて太らずにいることは可能です。実践する賢い人たちがたくさんいます。あなたも、今日からその一人になりましょう。

具体的には、のちほど説明する「血糖値を上げない食事」を心がければOK

私たちは血糖値が上がるから太り、いろいろな病気にかかります。単純に量をたくさん食べたから太るのではありません。ましてや、カロリーは関係ありません。

■「血糖値を上げない食事」は効果抜群

血糖値を上げない食事は、肥満防止以外にも多くの利点があります。

まず、「AGE」という老化促進物質を増やさずに済みます。AGEは血管、内臓、骨、皮膚など体中のタンパク質を変性させます。その結果、心筋梗塞、脳卒中、がん、腎臓病、認知症……などを引き起こすだけでなく、シミやシワを増やします。

つまり、健康にも美容にも、血糖値を上げない食事が寄与するわけです。

さらに、糖質中毒に陥ることを防ぎます。

血糖値が大きく上がるような食事には糖質がたくさん含まれています。そして、糖質をたくさん摂っていると、脳が中毒に陥って「もっと糖質を、もっと糖質を」と欲するようになります。それは、薬物やニコチンの中毒とまったく同じメカニズムです。

■太っている人は「糖質中毒」

実は、太っている人は、たいていが糖質中毒です。彼らはみんな健康のために痩せたいと思っています。でも、中毒状態のために糖質摂取がやめられないのです。意志が弱くて食べてしまっているわけではありません。

牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)
牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)

では、どんな食べ物が血糖値を上げるのでしょうか。それは、消化の過程でブドウ糖に分解される糖質です。砂糖はもちろん、ご飯やパンなど「炭水化物」と呼ばれるものも糖質です。

中でも一番悪いのは、清涼飲料水、缶コーヒー、ジュースなど液体の糖質です。液体の糖質は噛んで消化する時間が必要なく、あっという間に血液中に吸収され、血糖値をドカンと上げます。血糖値が上がれば、それだけ太ります。

次に、砂糖の入った甘い食べ物です。和菓子やケーキ類のほか、甘いパンもここに含まれます。

■精製された炭水化物の摂り方は要注意

そして、白いご飯や白いパン、うどんなど、精製された炭水化物です。炭水化物は消化の過程ですべてブドウ糖に分解されてしまいますから、白いご飯を食べるのは、砂糖をなめているのと同じなのです。

だから、炭水化物は量をたくさん摂らないようにし、ご飯なら玄米や五穀米、パンや麺類なら全粒粉からつくられたものを選んでください。というのも、そこには食物繊維が含まれているので血糖値の上がり方が緩やかになるからです。

一方で、糖質が少ない食べ物に関しては、太ることはないので大いに楽しんでOKです。糖質が少ない食べ物の代表は、野菜、肉、魚、卵、豆腐などです。

一部、カボチャやジャガイモなど、野菜の中には糖質が多いものもあり、これらを食べると太ります。しかし、脂ののった肉や魚はいくら食べても太りません。カロリーは高くても、ほとんど糖質が含まれていないから太りようがないのです。

さらに、こうしたものを一緒に摂ることで、同じ炭水化物を食べても、血糖値の上げ方を緩やかにし、肥満を防ぐことができます。

■炭水化物の消化を邪魔する食品を一緒に摂る

たとえば、1枚の食パンを食べるとしましょう。このパンだけを食べるのと、バターをたっぷり塗ってツナや卵を挟んで食べるのでは、カロリーは後者のほうが高くなります。ところが、後者のほうが太らないのです。

ただの食パンよりは、バターたっぷり具もたっぷりのほうが美味しくてお腹がいっぱいになります。それなのに太らないのはどうしてでしょう。

食パンだけなら消化も簡単で、分解されたブドウ糖はすぐに血中に吸収されます。そして血糖値が急激に上がります。しかし、バターの脂質や具のタンパク質が一緒だと、炭水化物の消化に時間がかかり、なかなか血糖値が上がらないのです。

つまり、同じ炭水化物を食べるなら、その消化を邪魔するものを一緒に摂ったほうがいいわけです。

■ベジファーストからミートファーストへ

一緒に食べるものとして、これまでは野菜が最も推奨されました。野菜の食物繊維が炭水化物の消化を邪魔するので、たしかに野菜を一緒に食べるのはいいことです。

ところが、2017年に、野菜よりも肉や魚などのタンパク質がさらに適しているという報告がなされました。タンパク質も食物繊維と同様に炭水化物の消化の邪魔をするのに加えて、タンパク質には「インクレチン」という血糖値の上昇を抑制するホルモンが含まれているからです。

これによって、それまでの「ベジタブルファースト」から「ミートファースト」へと、認識が変わってきました。

■「ミート」にも優先順位とNGとがある

ただし、ミートファーストの中にも優先順位があります。脂肪たっぷりの肉でも太ることはありませんが、その種類によって健康への影響が違うことが最新の研究でわかっています。中でも気になるのが、今、日本人に激増している大腸がんとの関わりです。

まず、ハムやソーセージなどの加工肉や牛肉をたくさん食べると、とくに女性で大腸がんの危険性が増すことが指摘されています。

そもそも、たいていの加工肉には、発がん性が明らかになっている亜硝酸塩という添加物が使われています。牛肉は加工肉よりずっとましですが、リスクは上がります。また、アメリカ産の牛肉は、飼育ホルモンや抗生剤を与えられていた可能性があり、完全に安全とは言い切れません。

こうしたことから、加工肉は一切やめ、牛肉はたまにごちそうとして食べるくらいがいいでしょう。

■鶏肉中心に、料理法は「茹でる・煮る」

一方、男女ともに悪影響が見られないのが鶏肉です。次いで豚肉となります。これが、今の段階で最も信頼すべき最新の研究データです。肉好きな人は、鶏肉を中心に食べるようにしてください。

また、調理法によっても食の安全性に差が出ます。高温で調理するほど、老化促進物質AGEが増えてしまうので、揚げるよりは茹でる・煮るといった方法を選ぶとベターです。

もちろん、魚には魚の、野菜には野菜の良さがありますから、いろいろなものをバランス良く食べましょう。ただ、ご飯やパン、麺類といった炭水化物は少なめにしてください。食べるとしたら、単体ではなく、肉や魚、野菜と一緒に食べましょう。

鶏肉料理
写真=iStock.com/kaorinne
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kaorinne

■太らないためには「量の我慢」より「内容の工夫」

太らないために必要なのは、「量の我慢」ではありません。「内容の工夫」です。それを知れば、「太りたくはないけれど食べたい」は簡単に叶います。

今回の太らない食事の新常識のように、今、世の中には多くの間違った医療情報が発信されてしまっている現実があります。

そこで、データをもとに、より信憑性の高い健康情報を詳しく解説すべく、YouTubeチャンネル「AGE牧田クリニックチャンネル」を開設しました。

老化の原因であるAGE研究のスペシャリストである私が、今日から実践できる、具体的な方法と最新情報を語りますので、ご興味のある方はぜひこちらもご高覧ください。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。 2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。 著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。

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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

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