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「白米は冷まして食べる」炭水化物を最高のダイエット食材に変えるシンプルな方法【2021編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2022年6月24日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hxyume

2021年にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2021年6月24日)
健康的に痩せるにはどうすればいいのか。文教大学健康栄養学部の笠岡誠一教授は「炭水化物こそ最高のダイエット食になる。そのためには『冷ますこと』が重要だ」という――。

※本稿は、笠岡誠一『炭水化物は冷まして食べなさい。』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■炭水化物を我慢してはいけない

私たち日本人は、長年「ご飯」を主食として食べてきました。しかし近年、糖質制限ダイエットがブームとなり、糖質を含んだ「ご飯」はダイエットの大敵とされています。

そのうえ、あたかも糖質(炭水化物)そのものが「からだに悪いもの」と見なされていることに、強い危機感を覚えています。これは間違いです。

炭水化物は、「からだに悪いもの」ではなく、「からだに絶対必要なもの」。炭水化物を食べなければ、人は健康になれません。

「炭水化物を食べて健康になる」と聞いて、腑に落ちない方もいるでしょう。しかし、もしあなたが今、からだに不調や病気を抱えていたり、なかなか体重が減らなかったりと悩んでいたら、ご飯やそば、パスタやうどん、ジャガイモといった炭水化物を、たっぷり食べていないことが原因かもしれないのです。

アメリカのスコット・サロモン博士らが25年にわたって15万人に行った調査では、炭水化物(糖質)の摂取量が総カロリーの40%に達しない人たちは、死亡リスクが高まり、寿命が短縮することが示されました。

また、炭水化物の摂取を大幅に減らすと、動脈硬化のリスクが高まり、心臓病による死亡率が50%近くも増加するとの報告もあります。さらには、がんによる死亡率の増加や脳梗塞への影響も指摘されています。

このことからも、「炭水化物を食べないと危険」なことがご理解いただけるでしょう。

■炭水化物に含まれる「ハイパー食物繊維」

炭水化物が健康維持に欠かせないのは、糖質がエネルギー源になるためだけではありません。「炭水化物=糖質」と認識している人が多いですが、実は炭水化物の中には「食物繊維」がたっぷり詰まっています。

食物繊維と聞くと、野菜をイメージするかもしれません。ですが、お米は摂取している食物繊維量のうちの10パーセント以上を占めており、これは全品目の中で第1位です。グラム当たりの含有量は1位ではありませんが、主食として毎日のように食べるため、結果として、お米から食物繊維をもっとも摂取していることになります。

つまり、炭水化物を食べないことは、そのまま食物繊維不足に陥ることを意味しているのです。糖質制限中に便秘になる人が多いのはこのためです。

さらに、炭水化物には普通の食物繊維とは異なる、ハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」まで含まれています。『炭水化物は冷まして食べなさい。』の主役となる「レジスタントスターチ」については、本書で分かりやすく解説しています。

日本の料理
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

■野菜を食べるよりも、「ご飯」を食べるべき

昨今、腸の重要性は広く知られ、「腸活」という言葉も定着してきました。腸内細菌を増やす発酵食品や、食物繊維を多く含んでいる野菜を食べている人も少なくないと思います。

しかし、これだけ腸活の必要性が叫ばれていながら、日本人の食物繊維の摂取量は年々低下しています。摂取目安量は18~21g。現在の摂取量は14g程度ですから、4~7グラム程度不足していることになります。ちなみに戦後すぐ、1947年の食物繊維の摂取量は約27gでした。

野菜を積極的に食べているにもかかわらず、現代人の食物繊維量が減っているのはなぜでしょうか?

それは、食物繊維たっぷりの炭水化物を毛嫌いして、遠ざけているからにほかなりません。健康のカギを握る腸内環境を良好にするには、野菜を食べるよりも、まずは「ご飯」を食べるべきなのです。

■冷ますだけで炭水化物は「ハイパー食物繊維」に変わる

このように、炭水化物は食物繊維をたっぷり含んでいます。ですが、炭水化物のすごいところはこれだけではありません。

「レジスタントスターチ」という言葉を耳にしたことはありませんか? レジスタントスターチとは「難消化性でんぷん」のこと。文字どおり、消化しにくい(レジスタント)でんぷん(スターチ)という意味です。

レジスタントスターチが発見されたのは1980年代のことでした。その後、研究技術の進歩にともなって、レジスタントスターチには腸内環境を良好にする大切な役割があることがわかってきました。

実は、このレジスタントスターチが、炭水化物の糖質(でんぷん)の中に含まれていて、食物繊維と同じような、いやそれ以上の働きをするのです。

食物繊維は性質によって2つに分けられます。腸の善玉菌の栄養になる水溶性食物繊維と、腸にたまった有害物質を回収する不溶性食物繊維です。この2種類の食物繊維の働きを、たった1つでこなしてしまうのが、レジスタントスターチなのです。

健康な腸を持つビジネスマン
写真=iStock.com/RyanKing999
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RyanKing999

■レジスタントスターチならカロリーは半分

レジスタントスターチのすごい機能は、もうひとつあります。

通常、食物繊維は大腸と肛門をつなぐ直腸を素通りしてしまいますが、レジスタントスターチは違います。有害物質を回収しながら、善玉菌や短鎖脂肪酸を直腸までしっかりと届けることができます。短鎖脂肪酸には、粘膜を強化して免疫力をアップさせる効果があります。

直腸は大腸がんの発症がもっとも多い部位です。レジスタントスターチ以外の食物繊維をいくらたっぷり摂っていても、直腸の環境をよくしなければ、そこからさまざまな疾病が発症してしまうかもしれません。

直腸には老廃物や毒素がたまりやすいため、その環境をよくすることは、からだ全体の健康にとっても重要です。有害物質の掃除屋として非常に優秀なレジスタントスターチは、直腸まで元気にしてくれる「ハイパー食物繊維」なのです。

さらに、レジスタントスターチには不思議な特徴があります。それは、「冷ますと増える」こと。例えば、炊きたてご飯よりも、冷ましたご飯のほうが、約1.6倍もレジスタントスターチの量が増えます。

■お弁当はレンジでチンしないで食べよう

お弁当や、冷ましたご飯を電子レンジで加熱すると、冷めているときよりもレジスタントスターチの量は減ってしまいます。しかし、炊きたてのご飯よりは多くのレジスタントスターチを摂ることができます。

お弁当は冷めたまま食べるのがベストです。ただし、あたたかいものを食べたいときは、適宜電子レンジを使用するのもよいでしょう。

なぜ、昔の人はたくさんご飯を食べていたのに、やせていたのか?

それは、レジスタントスターチをたっぷり摂っていたからです。保温技術が今ほど進んでいなかった昔は、レジスタントスターチを多く含む「冷めたご飯」をたくさん食べていたのは間違いないでしょう。レジスタントスターチを十分に摂っていると、腸内環境が常に良好な状態になり、脂肪の蓄積を防ぐことができるのです。

現在、私たちはいつでもどこでも「温かいご飯」を食べられるようになりました。炊飯ジャーは常時ホカホカのご飯を用意してくれますし、冷蔵・冷凍したご飯も電子レンジで簡単に温め直すことができます。

しかし、その代償としてレジスタントスターチの摂取量が減り、また、炭水化物を遠ざける食生活によって食物繊維全般の摂取量も減ってしまいました。

その結果、腸内環境の乱れによる肥満、血液の質の悪化、免疫力の低下、生活習慣病など、全身の健康を脅かすリスクが増大しているのです。

■炭水化物を食べる量を減らしてはいけない

でも、大丈夫。やることは簡単。冷ますだけです。

笠岡誠一『炭水化物は冷まして食べなさい。』(アスコム)
笠岡誠一『炭水化物は冷まして食べなさい。』(アスコム)

本書には、いつも食べているご飯やうどん、そば、パスタ、ジャガイモなどの炭水化物を冷まして、レジスタントスターチを最大限に増やす方法を載せていますので、毎日の食事にどんどん取り入れていただけたらと思います。

また、レジスタントスターチが私たちの健康にどんなメリットをもたらしてくれるのかということも、さまざまな角度から解説しています。

私たち日本人は、数千年前からずっと炭水化物をたっぷり食べて生き延びてきました。炭水化物を食べる量を減らすようになったのは、長い歴史の中でここ数十年のことです。

時代の変化は食の変化をもたらし、食の変化は健康状態に大きな影響を与えます。本書をきっかけに、みなさんが「レジスタントスターチ生活」を始め、理想の健康と美を手にしてくださることを願っています。

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笠岡 誠一(かさおか・せいいち)
文教大学 健康栄養学部教授
1967年、広島県生まれ。食品栄養学修士(東京農業大学)。博士(農学)(愛媛大学)。山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、文教大学専任講師、アメリカ国立衛生研究所客員研究員を経て現職。専門分野は栄養生理学、食品化学。

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(文教大学 健康栄養学部教授 笠岡 誠一)

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