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「これやる意味あるの?」会議でなぜか自己主張を始める"そもそもオジサン"を黙らせる必殺のひとこと

プレジデントオンライン / 2022年6月29日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/IPGGutenbergUKLtd

会議で自己主張するために「そもそもさ、それって、やる意味あるの?」と文句をつけてくる人には、どう対処すればいいか。教育コンテンツプロデューサーの犬塚壮志さんは「代案もないのに前提をひっくり返す『そもそもオジサン』の多くは、悪気がないので直そうとしない。こういう相手とは決して衝突せず、味方に引き入れるといい」という――。

■代案が出るわけでもなく、進行だけが遅れていく

「そもそもさ、それって、やる意味あるの?」

白熱した会議で皆が懸命に案を出し合っているときに、「そもそもさ~」を枕詞にして場をしらけさせる人に出くわしたことはないでしょうか? 代案を出すわけでもないのに、会議の進行を遅らせるような発言をするめんどくさい人です。

現在、私はコミュニケーションスキルを中心とした企業向けの研修講師や人材育成のコンサルティングを行っていますが、そこで特に若手の人たちからよく聞く悩みがあります。自分が一生懸命考えてきても、目上の人が会議を停滞させるような発言をしてきて、そのときに上手く切り返せないというのです。結果、会議だけでなくプロジェクトそのものが進まなくなったり、自分の案が潰されてしまったり……。

その原因となっているのが、まさに、「そもそもさ~」と枕詞をつけては水を差し、会議の進行を遅らせる人の存在です。役員や部門長などある程度のキャリアがあり、もしくは年次の高い男性に多いことから、私は「そもそもオジサン」と呼んでいます。

こういう目上の人たちに邪魔をされても、周囲の人はなかなか言い返せません。でも、心の中では、

「なんで、このタイミングでそれ言うの?」
「“そもそも”といえば議論に参加してると思ってるのかな?」

と思ってしまうことも少なくないようなのです。

そんな「そもそもオジサン」のせいで、チームや組織全体の生産性が下がってしまう状況を防ぐべく、今回は「そもそもオジサン」の発言を鮮やかに切り返すテクニックをお伝えします。

■決して衝突せず、説き伏せようとしてはいけない

「そもそもオジサン」の発言に切り返す際のポイントは、「衝突しないこと」、「説き伏せようとしないこと」、そして、「相手の口から言わせること」です。

切り返しの手法としては、「質問」を上手く使っていきます。「そもそもオジサン」には、大きく以下の3つのパターンがありますから、質問もこれらの状況に応じて使い分けます。

パターン①:会議の主導権を握りたがる「カットイン」パターン
パターン②:とにかく新しいことはやりたくない「めんどくさがり」パターン
パターン③:責任を背負いたくない「ビビり」パターン

じつは、これらのパターンの背景には、「そもそもオジサン」の本音が隠れています。「会議に参加している感を出したい」「知的に見せたい」「その案を(自分は)やりたくない」のような本音です。「そもそもさ~」以下の発言は建前として捉え、本音に対してアプローチすることが重要です。

相手にノーと言わせない質問をして、上手に切り返していきましょう。具体的な切り返しの質問例をパターン別に紹介します。

■①主導権を握りたい相手が沈黙する切り返し

まず、自分が話している途中に、「そもそも、その前提なんだけどさ~」とカットインをしてくるような場合の対処法です。このときの「そもそもオジサン」の本音は、「自分が会議に参加していることをアピールしたい」「会議の主導権を握りたい」「知的に見せたい」などです。つまり、自己主張したいのです。

このようなときは、次のような質問で切り返します。

「今の前提を仮置きして、いったん最後まで話しても良いですか? そのほうが、議論がしやすくなって、結果的にこの会議も早く終わるかと思います」

あるいは、「もし、私の前提に誤りがあるのであれば、以降の内容はすべて誤っている内容となってしまうのですが、もうこれ以上、話さなくてもいいということでしょうか? その場合、私の代わりにお話しいただけますと助かります」

つまり、自分の話を最後まで伝えきりたいという意志をアピールしつつ、話をここで止めることで、「そもそもオジサン」にとってメリットがある、もしくは、不都合なことがあることを暗に示します。

■②一番多い? 「めんどくさがり」パターンには

次に、もっとも多いであろう「めんどくさがり」パターンをみていきましょう。だいぶ話が進んでいたり、決まりかけたりしたときに、「そもそも、それってやる必要あるの?」とちゃぶ台をひっくり返してくるような場合の対処法です。このときの「そもそもオジサン」の本音は、「やるのがめんどくさい」です。自分らの案を潰しにかかってきているといえます。

このようなときは、「やらない理由」を潰すことを考えます。例えば、次のような質問で切り返します。相手に代替案を迫るのです。

「この案を実施したときのメリットは○○ですが、やらなかったときのデメリットは××となります。もしよろしければ、この○○(メリット)を確保する、もしくは、××(デメリット)を回避できる代替案を教えていただけないでしょうか?」

あるいは、「そもそも、そのリスクってどれだけあるの?」というように、リスクを盾に案を潰しにかかってくる場合は、「オレは高いリスクなんてとるのは嫌だ」といった本音が隠れています。

■話がまとまるタイミングでちゃぶ台返しする人には…

このようなときは、「リスクはどこにでもある」ことをその場で周知させた上で、次のような質問で切り返します。つまり、「やるリスク」よりも「やらないリスク」のほうが高いことを示すのです。

「これを進めなかった場合、○○なリスクが生じる可能性があることが分かっているのですが、それについてはどう対処するつもりですか?」
「リスクがゼロである企業活動はあるのでしょうか? むしろ、今回の議題では、やらないという選択肢をとることこそが機会損失でありリスクだと考えていますが、部長はどうお考えですか? ライバル企業に先んじられても良いとお考えでしょうか?」

加えて、そろそろ話がまとまりそうなタイミングで前提をひっくり返そうとしてきた場合は、次のような質問で切り返します。つまり、タイミングの異常さを論点にするのです。

「なぜ、このタイミングで必要性をご質問されたのでしょうか? これまでにも意見を出す機会はあったのに、今ご質問された理由を教えていただけないでしょうか?」

ビジネスチームで働くミーティングルーム
写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yagi-Studio

■あえて空気を読まず押し切る方法もある

さらに、「失敗されたらめんどうだな」という本音が潜んでいる場合もあります。例えば、「そもそもさ~、それって上手くいくの?」のような発言があったケースです。

このようなときは、次のように「やりたくない」と回答できない質問で切り返します。「そもそもオジサン」を巻き込んでしまうのです。「正直なところ、部長ご自身はこれをやりたいのか、やりたくないのか、どちらでしょうか? もし、本音ではやりたいと思ってくださっているのでしたら、成功確率が上がる具体的な方法をご教授いただけないでしょうか?」

あるいは、あえて空気を読まず、次のようなセリフとともにテンション高めに笑顔で切り返すのも効果的です。

「うまくいくかどうか分からないからこそ、やる価値があると思いませんか!?」

■尻込みする相手には「手柄」をほのめかす

最後に、「そもそもオジサン」が尻込みしている「ビビり」パターンについてお話しします。

「そもそもさ~、この件は誰が責任とるわけ?」のように、責任の所在に対して過敏に反応してくるような場合の対処法です。このときの「そもそもオジサン」の本音は、「オレは責任を取りたくない」です。自分の保身です。

このようなときは、「責任ある=実績になる」の構図を暗に示し、相手にインセンティブを与えてみましょう。例えば、次のように、相手が「ノー」と言いにくいような質問で切り返すのがコツです。

「今回のプロジェクトは、自社の中でこれまでにない取り組みであり、これが上手くいけば部長のご実績にしていただければと思っていたのですが。それはご迷惑になりますか?」

■悪気がない相手には「かわいらしいな」と余裕を持つ

これまでお話してきたように、「そもそもオジサン」には3パターンがありますが、実は、このいずれの場合も本人に悪気はありません。ただ、悪気がないからこそタチが悪いともいえます。無自覚にチームや組織の生産性を下げてしまっているわけですから。

ビジネス上のコミュニケーションの目的は、チームや組織の生産性を高めることです。そのため、「そもそもさ~」と突っかかってくる困った人の感情を逆撫でしないようにしたり、敵対関係をつくらないようにしたりすることが重要です。

だからこそ、「そもそもオジサン」を撃退しようと考えるのではなく、「質問」の力を借りながら、上手く仲間に引き入れるのです。

「そもそもオジサン」のような人とコミュニケーションをとることが苦手な方もいるかもしれません。ただ、「そもそもオジサン」は本音が透けて見えるぶん、私は「かわいらしいな」とすら思っています。

「そもそもさ~」発言に対する質問を生かした切り返しを、ぜひ試してみてください。

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犬塚 壮志(いぬつか・まさし)
教育コンテンツプロデューサー/士教育代表
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。大学在学中から受験指導に従事し、駿台予備学校の採用試験に25歳の若さで合格(当時、最年少)。駿台予備学校時代に開発した講座は、超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。2017年、駿台予備学校を退職。独立後は、講座開発コンサルティング・教材作成サポート・講師養成・営業代行をワンオペで請け負う「士教育」を経営する。著書に『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)、『理系読書 読書効率を最大化する超合理化サイクル』(ダイヤモンド社)がある。

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(教育コンテンツプロデューサー/士教育代表 犬塚 壮志)

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