「TO DOリスト」を毎日書き出してはいけない…「やろうと思っていたことが全然終わらない」の根本原因
プレジデントオンライン / 2023年12月9日 13時15分
※本稿は、吉武麻子『目標や夢が達成できる 1年・1カ月・1週間・1日の時間術』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■タスク管理は毎日ではなく1週間にしたほうがいい理由
夢や目標は、細かく分解していき、現実的な計画に落とし込んでいくことで叶えることができます。
3カ月目標から1カ月目標に、そしてタスクも10日ごとの中タスクまで小さく分解したら、今度は、タスクを15分〜1時間で取り組めるくらいの大きさに分解していきましょう。自分がそのタスクを見ただけで、さっと行動に移せるくらいの大きさです。
タスクの場合は、1カ月、1週間というよりは今すぐの行動タスクに分解すると考えて大丈夫です。
タスクを毎日管理する人もいますが、私は1週間単位で管理することを勧めています。その理由は、突発的事態にも対応でき、臨機応変に、やるべきことを確実に進めることができるからです。
急な仕事が割り振られたり、顧客とのアポイントが予定変更になったり、家族の体調不良でサポートが必要になったり、予期せぬことは突然起こります。しかもその予期せぬことの多くは、緊急な対応が求められます。そうすると、予定したことをもう一度立て直す必要が出てきます。
そんな状況の中、毎日TO DOリストを書き出していると、「今日も急な対応で、リストアップしたことができなかった」と、自分を否定する不必要な時間が生まれてしまうのです。自分を落胆させるような無駄な時間は、タスクを1週間単位で管理することで省くことができます。
■急に仕事を振られてもスケジュールが破綻しないコツ
(1)優先順位の高いタスクを週の初めに終わらせる
例えば、今週の重要なタスクを月曜日から実行していったところ、水曜に急な仕事の案件を振られたとします。しかも緊急を要する仕事です。そうなったら、今週のタスクを確認します。
今週中に必ずやっておかなければいけないタスクを月曜と火曜で終わらせていれば、急な仕事を受けられると判断できます。予定していた今週の残りのタスクは、来週以降で再調整します。
つまり、1週間のタスクを書き出したときに、優先順位の高いタスクを週の初めに終わらせるようにスケジューリングするのです。
では、月曜日に急な案件が降ってきたとしたらどうでしょうか?
その場合は、まずはもともとやろうと思っていた今週のタスクの中で、今週中に必ず終わらせなければならないタスクを洗い出します。
そのタスクの最終期限と、実行にどのくらいの時間が必要か、予測時間を確認します。
そして、急な仕事の案件にどれくらい時間がかかりそうか予測を立てながら、優先順位を決めていきます。
時間が足りないと判断したら、他に任せられる人はいないかなど、対応策を考えることができます。
■1週間で動ける時間がどれだけあるか、把握できているか
(2)1週間の時間を見える化する
さて、目標や夢のために動ける時間は1週間に何時間あるでしょうか?
現実的な目標や計画を立てるためにも、まず時間がどのくらいあるのかを知ることが重要です。
理想ではなく、現実的に考えていきましょう。1日は24時間ですから、1週間=24時間×7日=168時間です。それに対して、目標や夢のために動ける時間は何時間でしょうか? まずはその時間をしっかりと認識してください。
人間にとって、時間は常にあって当たり前の存在です。1日24時間と決まってはいるものの、命ある限り、時間はいつも目の前にあります。時間は有限なのに、慌ただしい日常を送ることで精一杯だと、時間があることのありがたみをつい忘れてしまいます。
時間を見える化して、時間が限られているということを、常に自分に意識させていきましょう。
■人との約束を最優先にしてスケジュールを組まない
(3)目標や夢に向けて動ける時間をブロックする
1週間で動ける時間が見えたら、その時間を最大限活かす時間の使い方を考えていきます。
スケジュールを決めるとき、緊急性が高い今すぐやるべきことや、人との約束からスケジュールを押さえていく人がほとんどでしょう。
しかし、このスケジュールの立て方が、時間に追われる原因となります。スケジュールを立てるときは、先に「時間をブロック」することが重要です。
要するに、目標や夢のために動くといったような、緊急性は低いけれど重要度の高いタスクを、緊急なタスクになる前に、前倒しで取り組むことが大切です。そのために、その時間をブロックして死守するのです。
特に、自分との約束時間を一番後回しにしている人は要注意です。
このような人は、誰かとの約束には、必死でスケジュール調整を行います。自分が未来のために自分と約束した時間を「ここだったら空いています!」と軽々しく差し出してしまうことまであります。
それでは一向に、目標や夢を実現する日はやってきません。
未来のタスクを優先的に組み込まないと、緊急なタスクや人との約束ばかりで常に時間に追われることになります。そして、新しい挑戦もできず、目標達成率も下がります。
逆に、未来のタスクを優先的にスケジュールに組み込んでいくと、時間にゆとりが生まれます。そして確実に目標達成に向けて動けるので、達成率が上がります。
目標や夢に向けての時間を死守していきましょう。そのためにも、手帳やアプリにも予定を組み込んでください。
■達成感が次の行動のモチベーションにつながる
そもそも「計画=計画通りにいかないもの」と、認識している人が少なくありません。
しかし計画は理想で立てるものではなく、地に足ついた実行可能なものを立てていくことが重要です。なぜなら、計画通り進められたときに得られる達成感の効果が大きいからです。
人は達成感を得られると「もっと達成したい!」という意欲が湧き、それが次の行動に結びついていきます。「今日もできなかった」というネガティブなフィードバックを自分に毎日し続けるのと、「今日もできた!」とポジティブなフィードバックをし続けるのとでは、後者のほうが心地よい充実感に包まれて日々を過ごしていけることは間違いありません。それが積み重なったときの自分への影響は、とても大きくなります。
実行可能な計画を立てることを意識してください。
■何にどの程度時間がかかっているか、2週間記録してみる
(1)ログを取る
計画通りに実行できないのであれば、目標達成のために使える時間に対して、やることを詰め込みすぎている可能性が高いです。
では、そもそもなぜ、時間以上にやることを詰め込んでしまうのでしょうか。
それは、見積もり時間が甘いからです。
30分で終わると思っていたタスクに1時間かかった。1時間で終わると思っていたタスクに2時間かかった。この誤差の積み重ねが、実行不可能な計画になる原因なのです。
誤差のない見積もり時間を出すためにも、現状、何にどのくらい時間がかかっているのか、把握していく必要があります。
そこで、何にどのくらい時間がかかっているかログ(記録)を取ってみましょう。
まずは2週間、ログを取ってみてください。「毎日、すべてのタスクのログをつけなければ」と思ってしまうと窮屈になるので、気づいたときだけで大丈夫です。
■必要な所要時間を予測して結果との誤差を把握する
(2)見積もり時間を割り出す
所要時間を正確に見積もる方法は、経験しかないということも事実です。経験を重ねることで、より正確な時間を読めるようになります。とはいえ、経験を重ねることだけを、指をくわえて待っているのは時間がもったいないことです。
そこで2週間、見積もり時間を考えながらログをつけます。
まずは、「このタスクはどのくらいかかるだろう?」という予測をします。そして、実際にタスクを実行したあとに、結果時間を書き出しましょう。そうすることで、見積もり時間と結果時間の誤差を把握することができます。
もちろん、同じタスクでも状況や環境によって、時間差が生まれることもあります。だから、重要なことは完璧な見積もり時間を出すことではありません。平均値を割り出すイメージです。軌道修正ができる程度の誤差であれば問題ありません。
スケジュールを組み立てるときは、見積もり時間を立てた上で計画していくようにしましょう。
それぞれのタスクの結果時間を見ると、思っている以上に「このくらいでできるだろう」と時間を甘く見積もっていたことに気づくはずです。
見積もり時間内に終わらなかった場合は、次回設定する際に、不足した時間も組み込みます。そして、「実行→結果時間のチェック→見積もり時間の修正」を繰り返していきます。このようにして、見積もり時間の精度を上げていきましょう。
見積もり時間を設定するメリットには、「見積もり時間内に終わらせる」という意識が働くため、集中力が持続するということもあげられます。
■遅れを取り戻すための時間を必ず確保しておく
(3)バッファ時間をスケジューリングする
ほぼ正確な見積もり時間を出せるようになってきたら、念には念を入れて、さらに実行可能な計画に近づけるため、バッファも併せてスケジュールに組み込んでいきます。
バッファは「緩衝材」という意味で、ビジネスシーンでは「余白時間」といった意味で使われます。緊急の要件やトラブル対応など、何かあったときに対応できる時間のことです。
このバッファを最初からスケジュールに組み込むことで、遅れやスケジュールを取り戻すことができ、場合によっては前倒しで計画を進めることができます。
バッファの設定方法は複数あります。どこに組み込むのが自分にとって適しているのか、まずは試してみましょう。
(例) 見積もり時間30分のタスク+10分のバッファ時間
9時~9時40分のスケジュールに組み込む。実行する際は30分でタイマーをセットする
パターン(2) 1日の最後にバッファ時間を設ける
(例) 終業時間1時間前の17時~18時は誰ともアポイントを入れない
18時に退社できるように、この1時間で今日の終わらなかった業務を終わらせる
パターン(3) 1週間の最後にバッファ時間を設ける
(例) 金曜日を丸々バッファとして何もスケジュールを入れない
フリーランスで働いている人におすすめ。月~木曜日で仕事を進め、終わらなかったことを金曜日で調整する
バッファ時間は、締切間際に慌てないようにするだけでなく、スケジュール調整、新たなアイディアの創出、心のゆとりを生むことにまで貢献してくれます。
バッファを上手に利用することは、目標達成に欠かせないスキルです。
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タイムコーディネーター
TIME COORDINATE代表取締役。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして働く。帰国後、「タイムコーディネート術」を考案し、「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネーター養成講座」を開講。監修を務める『時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本』(朝日新聞出版)はシリーズ100万部を突破。
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(タイムコーディネーター 吉武 麻子)
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