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「NISA口座を持つ日本人は2割に満たず、うち4割が稼働していない」超初心者に勧めるロボアドという秘密兵器

プレジデントオンライン / 2023年12月10日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

新NISAのスタートを控え、金融業界がにぎわっている。ところが、NISA口座は約1900万口座で、うち4割は稼働していない。大多数の人がいまだNISA未利用なのだ。ファイナンシャル・プランナーの山口京子さんは「超初心者は最初の段階でつまずいて“投資迷子”になってしまう人が多い。そういう人は、“お任せ”で運用できるロボアドバイザーの利用も選択肢に入れてほしい」という──。

■新NISAに挫折する人の2つの理由

新NISAスタートのカウントダウンが始まっている。

全国各地のマネーセミナーは満員御礼、金融機関も千載一遇のチャンスとばかりに、顧客獲得作戦を繰り広げている。1人生涯1800万円まで非課税で運用できる新NISAは、一般的な生活者が老後のお金を準備するのに十分で、利用しない手はない。

しかし、だれでも気軽に新NISAが始められるかというと、楽観視はできない。なぜなら、多くの人が、次の5つのプロセスのどこかで挫折しているからだ。

①NISA制度について理解する
②どの金融機関にするか選ぶ
③投資額を決める
④投資する対象を選ぶ
⑤いつ買うか決める

とくに②、④のハードルが高い。

■何をしたらいいのかわからない「投資迷子」

現行NISAの口座数は1941万口座(*1)。20代から80代の人口がおよそ1億人なので、NISAをやっている人は、まだ2割弱! その中で、昨年一度も買付がなかった口座はおよそ4割もある(*2)

*1 金融庁NISA口座の利用状況調査(2023年6月末時点)
*2 金融庁NISA口座の利用状況調査(2022年12月末時点〈確報値〉)

日本中、口座が開けない、開いたけど買えない「投資迷子」であふれているといっていい。

「投資を始めるなら、きちんと勉強してからにしましょう」。一見正しいこのアドバイスは、投資初心者の投資デビューを遅らせる一因になっている。

多くの初心者が、ネットにあふれる情報をハシゴして、わけが分からなくなり挫折してしまう。投資迷子は、正解を求めるあまり、正解が見つけられないというジレンマに陥っている。投資でいちばん難しいのは、「始めること」なのだ。

「結局、どこで何を買ったらいいのか?」この答えがわかれば、投資迷子も投資デビューができる。

■超初心者の大問題「何を買ったらいいのかまったくわからない」

新NISAの制度の詳細については、日本証券業協会の「証券知識普及プロジェクト」マスコットキャラクター“とうしくん”が出てくるかわいいサイト「みんなにいいさ!NISAがいいさ‼」、投資信託協会の「新しいNISAの話」が正確でわかりやすいので、そちらに譲りたい。

「何を買ったらいいのか?」の結論を急ごう。

「そんなもん、株でもETF(上場投資信託)でも投資信託でも、好きなもん買ったらいい!」と答えるのはかなりの投資上級者だ。

初心者は、口座開設時の「特定口座源泉徴収あり」という文字を見ただけでも、気がなえる。株も国内外の株だけでおよそ9000銘柄、投資信託は5800本。ここから自分に合った投資先を選ぶのは難しい。

そもそも、「投資信託って何?」「債券? 初めて聞きました」という人も多い。「金融用語も知らない人が投資をやるべきではない」という脅(おど)し文句に、腰が引けるのもわかる。

■投資の悩みを「1分」で解決できる

安心してほしい。「難しそう」と感じるのは、あなただけではない。数ある銀行、証券会社などから1社を選び、さらに自分に合った金融商品を選ぶなんて無理! という人のほうが世の中の大多数だ。

いまはとてもいい時代になった。一昔前なら、「勉強して投資をするのが当たり前」だったが、そんな「投資迷子」でも、すぐに投資が始められるようになっている。ロボアドバイザー(通称ロボアド)というサービスがあり、自分の年齢や、投資に対する質問に答えるだけで、AIが最適な商品の資産配分をパッケージにして提案してくれる。所要時間およそ1分。

ご丁寧に、世界中の株だけでなく、債券や、金、不動産などにも投資してくれる。たとえ年間1%の手数料を払ったとしても、自分の代わりに、メンテナンスをしてくれて放置できるのはありがたい! という人に大人気だ。

最大手の「ウェルスナビ」だけで利用者は38万人いる。2年以上継続している人の9割は、損益がプラス。中程度のリスク許容度の人なら、7年で約1.5倍に資産を増やしている。

普通預金に預けっぱなしの人が、何の勉強もいらず、メンテナンスもしてくれて自分の資産を1.5倍にでき、1%程度の手数料なら安いものだ。「38万人の投資迷子」を救ったと考えれば、その功績は大きい。

■「ロボアド」でお任せ投資ができる会社

ウェルスナビ以外にも、ロボアドにお任せ投資できる会社がある。主なものを紹介しよう。

■ウェルスナビ(WealthNavi)
業界最大手。銀行やANA、JALとの提携で、優待やマイルが貯まる特典がある。通常1%の手数料が、新NISAのつみたて投資枠は手数料が無料になるので、リスク許容度によりトータルで0.63%~0.67%の手数料になる。
■SUSTEN(サステン)
残高に対しての手数料ではなく、成果(リターン)に応じて成果報酬を払う仕組みは良心的。12月中には、取り扱いの3つのファンドのうち1つは無料化されるので、利用者の負担はさらに減る。NISA口座の残高に対して年率0.1%相当をキャッシュバックする予定。
■楽天証券「らくらく投資」
楽天証券のスマホ専用サービス「らくらく投資」。楽天ポイントや楽天キャッシュ(電子マネー)、クレジットカードが使えて、迷うことなく投資デビューできる。
■THEO(テオ)
NISAには対応していないが、業界二番手のTHEO(テオ)は、iDeCo(*3)でも利用できる。3年以上の利用で9割の人がプラスの収益になっていて、運用資産額に応じたdポイントやJALのマイルがもらえる。

*3 個人型確定拠出年金(こじんがたかくていきょしゅつねんきん)/投資した額が所得から引かれるので、税金が安くなる。NISAのように、儲かった部分に課税されない。60歳まで下ろせない代わりに、受け取るときも税金の優遇がある。

どの会社も、最初に自分に合ったプランを決める質問があり、そのプランを選ぶとどうなるのか将来のシミュレーションもあるので、投資をしたときの結果がイメージしやすい(図表1)。

【図表1】資産運用のシミュレーション
画像提供=ウェルスナビ
ロボアドサービスを提供する各社とも将来のシミュレーションなど情報が充実している(画像はウェルスナビ) - 画像提供=ウェルスナビ

■4社の特徴を比較する

紹介した4社の特徴をまとめたものが図表2だ。参考にしてほしい。

【図表2】ロボアドサービス提供4社の特徴比較
筆者作成
4社のサービスの特徴一覧 - 筆者作成

*4 WealthNavi for AEON CARD、WealthNavi for イオン銀行2つの提携サービスのみ
*5 THEO+[テオプラス]は1万円で運用スタート。THEO[テオ]は10万円以上の入金で運用スタート。

■ロボアドバイザーは「損」をしないのか?

紹介したすべてのロボアドサービスは、株だけでなく、債券や不動産などに投資をするパッケージ商品をすすめてくれる。株だけに投資するのに比べて、値動きは穏やかになる。

「投資迷子」が最も気にするのは、とりわけ「損するかどうか?」だろう。「損をする」と、「値下がり」することの意味の違いを押さえておきたい。

「損をする」とは、そこで投資資産を売却したときに投資した金額より下がっていること。「値下がり」は、値動きの途中で、投資した商品の価格が下がっていること。値下がりしたときに売却すると、そこで損をする。当たり前だ。

では、売却しないで持っていたらどうなるだろう?

値下がりしてその後、元本まで回復しなくても損しない方法があることも知っておいてもらいたい。どんなケースか見てみよう。

■嫌われ者の商品でも利益が出る商品に変わる「つみたて投資」

価格が1万円のときにある商品への投資を始めて、図表3のような値動きをして、5000円で売ったときのケースを考えてみよう。この商品は、私がセミナーで話をすると、全国どの地域でもとても評判が悪い、「嫌われ者の商品」だ。

【図表3】「嫌われ者の商品」の値動きイメージ
筆者作成
価格が1万円のときにある商品に投資を始めて、5000円のときに売ると…… - 筆者作成

しかし、この「嫌われ者の商品」でも、2倍にお金を増やす方法がある、といったら驚かれるだろうか。

その方法とは専門用語で、「つみたて投資」という。もっと難しい専門用語で「ドルコスト平均法」という。

といっても、ドルを買うわけではないし、積み立てをするのに特別なコストもかからないし、平均を出さなくていいので、超初心者の投資迷子は、「ドルなんとか~」という難しい名前は忘れてしまっていい。

■「りんご」で考えると、つみたて投資の本質が理解できる

つみたて投資とは、毎月、積立定期預金のように、決まったお金でコツコツと、買い付けることをいう。

もし、一括で投資していたら、1万円が5000円になったので、投資したお金は半分になってしまう。ここは異論がないと思う。

つみたて投資を、めちゃくちゃ簡単に説明すると、毎月おこづかいでりんごを買って、貯まったりんごを売る投資法だと考えてもらえば、非常にわかりやすくなるはずだ。

図表4を参考に、毎月、1万円でりんごが「何個」買えるか考えてみてほしい。

【図表4】毎月1万円でりんごが「何個」買えるか
筆者作成
「りんご」に置き換えて考えると、「つみたて投資」がよくわかる - 筆者作成

図表4で、3カ月間で買ったりんごの数は、12個だ。あなたが12個持っているりんごを、1個5000円の価格になったときに売るとする。すると、5000円×12個で、6万円になる。

毎月りんごを買ったときに使ったおこづかいはどうか。1万円×3カ月で3万円だ。

元は3万円だったはずのおこづかいが6万円に増えたのはどうしてだろう? 実はここが、日本の投資教育で語られていないけれど、いちばん大事なところだ。投資を始める前にぜひ覚えてほしい。

■なぜ値下がりしても損をしないのか?

これは、ロボアドの商品に限った話ではない。投資信託でも、持株会でも、純金でも、毎月つみたてする商品ならすべて同じように説明できる。

投資初心者に限らず、上級者でも、「投資というのは、安く買って、高く売って儲けるものだ」と思っている。もちろん正しい。ただこれは、一括投資の場合だ。

iDeCoやNISAという制度を作って国がおすすめしているのは、「長期・分散・つみたて投資」であって、NISAなど「つみたてNISA」という制度をわざわざ作ったくらいだ。それが、今度はさらに「つみたて投資枠」と銘打ち、投資額と内容をバージョンアップさせているのが新NISAだ。

スマートフォンを使用した節約のイメージ
写真=iStock.com/champpixs
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/champpixs

■こんなに違う「一括投資」と「つみたて投資」の結果

同じ商品に投資をしても、一括投資とつみたて投資では、結果が違う。

先ほどの例だと、3万円一括投資をした場合、半値になったところで売ったら1万5000円だが、つみたて投資だと6万円になった。

それは、一括投資は、りんごの価格と運命共同体なのに対し、つみたて投資の場合は、りんごの数を貯めて売る投資法なので、りんごの数が多ければ多いほど有利になるからだ。

皮肉なことに、自分が保有するりんごの数を増やすには、市場が大暴落したほうがいい。りんごが大豊作で、値段が大幅に下がったときのことを想像してみてほしい。同じおこづかいで、りんごの数をずっとたくさん買えるようになることが理解できるはずだ。

だから、もともと1万円の価格だったりんごが、1000円になったときに“爆買い”した図表4のケースでは、その後、値段が1万円までは戻らず、5000円で売却したにもかかわらず、5000円×12個で、自分の投資額に対して2倍の金額になったのだ。

■ロボアドを「使ってはいけない」人

気をつけたほうがいいのは、右肩下がりでりんごの価格が戻らないケースだ。

山口京子『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)
山口京子『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)

値下がりし続けるりんごは買ってはいけない。しかし、この先も値下がりし続けるのかどうかはよくわからない。ここで超初心者の投資迷子にはロボアドが強い味方になってくれる。

ロボアドの場合、世界中の株や債券や不動産に投資をしている。世界中の会社が倒産し、不動産の空室だらけになり、世界中の国が財政破綻(はたん)するなら、値段はどこまでも下がり続けることになる。

そんな世の中になると未来に悲観的な人は、ロボアドだろうがなんだろうが、そもそも投資をしてはいけない。あえて言うなら、金の延べ棒でも自宅に持っておくほうがずっといい。

一方、これからもっと安心、便利な世の中になるだろうと、明るい未来を信じられるならば、コツコツとつみたて投資をすることをおすすめする。そのとき、ロボアドは初めて投資をスタートするあなたの強い味方になってくれる。

■つみたて投資をする際は積極的にリスクを取る

ロボアドを利用する際、いずれの会社のサービスでもあなたの投資志向を質問される。

そこで、「あまりリスクを取りたくない」と答えると債券の割合が多いコースになることが多い。債券ばかりだと、値動きがないばかりか、時間がたっても資産価額がなかなか上昇していかないケースもあるので、要注意だ。

下落もチャンスだとわかれば、積極的にリスクを取って株の割合を多くしてつみたて投資をしたい。

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山口 京子(やまぐち・きょうこ)
ファイナンシャル・プランナー
大学在学中より、テレビ・ラジオ番組に出演。卒業後はフリーアナウンサーとなる。2000年にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。証券外務員、各種保険募集人、宅地建物取引士等資格も取得し、完全顧客主義のアドバイスを提供しながら、メディア出演、セミナー講師、執筆活動と幅広く活躍。『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)はじめ著書多数。

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(ファイナンシャル・プランナー 山口 京子)

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