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利回り80~100%の物件と匹敵する魅力…沖縄で見つけた着実に借地料が値上がりしている「レア物件」の正体

プレジデントオンライン / 2024年8月31日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka-omi

安全確実に利益を得られる投資先とはどのようなものか。投資家の永野彰一さんは「僕は日本各地を駆け回り、沖縄の地主さんと打ち解けた結果、米軍基地や自衛隊施設が使用している『軍用地』の投資案件の紹介を受けた。軍用地投資は、国が借り手となるため、安定的な収入が見込めるほか、地主に支払われる『借地料』は毎年1%くらいのペースで膨らみ続ける。沖縄の軍用地は安定的な利益が見込めるため、その権利を手放す人は少なく、投資の世界では『レア物件』とされている」という――。

※本稿は、永野彰一『一生お金に困らない島投資の始め方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■沖縄の地主さんたちの飲み会でヤギ汁を何杯もおかわり

僕の島投資は「沖縄はなぜ物件の値段が下がらないのか?」という素朴な疑問を起点に始まりましたが、沖縄の地域コミュニティとの関わりの中で、「これが島投資の最高峰かもしれない!」と思えるような「お宝案件」と出会っています。

島外の人が「獣臭がする」と敬遠しがちな「ヒージャー汁」(ヤギ汁)を、僕が何杯もお代わりすることを面白がってくれて、いろいろと興味深い話を聞かせてくれたことがありました。その地元の人たちとの宴会の場で、ある相談を持ちかけられたことが、お宝と遭遇したきっかけです。

僕は昨年、沖縄を拠点にして、島投資の調査や物件探しを進めていました。

1カ月の半分以上は沖縄に滞在する日が続きましたから、地元の不動産会社を通じて格安の家を手に入れ、沖縄ナンバーのクルマも購入して、あちこちの島を目まぐるしく駆け回っていました。

そんなある日、不動産会社の人から、「明日、地主さんたちの飲み会があるんだけど、顔を出してみる?」と誘いを受けたのです。

それが、「ヒージャー汁」(ヤギ汁)の店でした。

「行きます、絶対に行きます!」と即答した僕は、嘉手納基地のロゴが入ったエアベースTシャツを着てヤギ汁店に向かい、「すいません、どうも」などと言いながら、誰よりも早く、ヤギ汁を何杯もおかわりしました。

■「永野クンは、ホントに沖縄が好きそうだね」

これは後でわかったことですが、ヤギ汁というのは、地元の人間として認めるかどうかを判別する「踏み絵」のような意味合いがあるようで、沖縄に家やクルマを持っていることよりも、ヤギ汁を「美味いです!」と猛スピードで食べまくったことが、仲間に入れてもらえるきっかけになったようです。

僕がヤギ汁をおかわりする様子を見て、嬉しそうに笑っていた年配の地主さんから、「すごいね、キミ。ホントは沖縄の人なんじゃないの?」と言われて、「これだけヤギ汁が好きで、沖縄が好きということは、先祖はたぶん沖縄だと思います」と答えると、地元の地主さんたちが喜んでくれて、すっかり打ち解けることができました。

この宴会の途中で、ある地主さんから、こんな話を持ちかけられました。

「永野クンは、ホントに沖縄が好きそうだから、珍しい土地があるんだけど、興味があるなら譲ってもいいよ」

僕は初めて存在を知ったのですが、地主さんがいう珍しい土地とは、「軍用地」のことだったのです。

■国が借り手となるため、安定的な収入が見込める

沖縄の人であれば誰でも知っているようですが、沖縄県外の人で「軍用地」の存在をご存知の方は、それほど多くないと思います。

軍用地とは、米軍基地や自衛隊施設が使用している土地のことを指します。

日本には、沖縄の他にも、長崎・佐世保海軍基地や、山口・岩国海兵隊基地、神奈川・横須賀海軍基地など、各地に軍用地がありますが、その大半が元々は日本軍が使用していた国有地だったのに対して、沖縄にある米軍専用施設群の土地の多くは、国が個人所有の土地を借り上げて、米軍に提供しているものです。

国は土地の所有者(地主)に対して、毎年「借地料」を支払っており、その総額は年間900億円に達しているといいます。

借地料は、毎年、国の防衛施設局と沖縄県軍用地主連合会との話し合いによって決定され、借地単価に応じて支払われますが、その金額は毎年1%くらいのペースで膨らみ続けているのが現実だそうです。

僕に話を持ちかけてくれた地主さんは、自宅を建て替えることになり、急にお金が必要になったため、「軍用地を現金で買う気はないか?」と問いかけてきたのです。

軍用地というものが民間レベルで売買できることにビックリしましたが、詳しく話を聞いてみると、いろいろと興味深い案件であることがわかってきました。

普天間飛行場
写真=iStock.com/sunrising4725
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sunrising4725

■軍用地投資における4つのメリット

僕が注目した軍用地の利点は、次の4つです。

①借り手が国(防衛施設局)のため、安定的な収入が得られる
②借地料は毎年、着実に値上がりしている
③長期的な収益が見込める
④沖縄の金融機関では、軍用地の担保価値を高く評価している

沖縄の不動産会社の話によると、軍用地の価格は、一般的な土地のように、「坪単価×坪数」で計算するのではなく、「年間借地料×倍率」という特殊な計算方法によって算出されるといいます。

倍率とは、軍用地の場所によって決められる係数のようなもので、米軍から返還の見込みの少ないエリアは倍数が高くなり、返還が予定されていたり、借地料が上がらないエリアの場合は低くなるのが一般的だそうです。

地主さんたちの話を総合すると、「軍用地の利回りは2~3%前後だろう」ということですから、僕がやっている山投資や家投資の「利回り80%から100%以上」と比べると格段に低くなりますが、安定的で着実に借地料が値上がりしていることは、他にはない一番の魅力です。

僕は地主さんに、「すごく興味があります。もう少しだけ考えさせてください」とお願いして、軍用地の情報を調べることにしたのです。

■手放す人が少ないため「レア物件」と考えられている

沖縄の不動産会社や、実際に軍用地を持っている地主さんたちに話を聞いて回ると、軍用地の輪郭が徐々に浮かび上がってきました。

注目ポイントを整理すると、次の5つとなります。

【注目ポイント①】軍用地を買っても、立ち入りや活用はできない

日本にある軍用地の約75%が沖縄に集中しており、その大半を米軍基地が占めています。

米軍基地内は立ち入りができませんから、軍用地を買っても、それを何かの目的に活用することはできません。

警告看板が設置された米軍基地のフェンス
写真=iStock.com/powerofforever
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/powerofforever

基本的には、毎年、少しずつ上昇している借地料が利益となります。

【注目ポイント②】利益が見込めるため、手放す人が少ない

沖縄の軍用地は安定的な利益が見込めるため、その権利を手放す人は少なく、投資の世界では「レア物件」とされています。

軍用地を手放すのは、マイホームの建築や子どもの学費など、急に現金が必要になったケースに限られるため、基本的にはローンではなく現金での売買となります。

【注目ポイント③】軍用地には軍事とは無関係な土地もある

沖縄の軍用地の多くは米軍基地や施設内の土地ですが、自衛隊の施設として使われている土地も対象になっており、「那覇空港用地」のような表向きは軍事とは関係のない土地も軍用地に含まれることがわかりました。

【注目ポイント④】借地料は地目により単価が決められている

国が地主に支払う借地料は、「山林」や「原野」、「宅地」などの地目によって決まっています。

宅地の場合も「宅地見込地1」とか「宅地見込地2」などと段階が分かれており、地目や段階に従って単価が決められ、「単価×面積」という計算によって借地料が支払われているようです。

【注目ポイント⑤】伸びシロが大きい「宅地見込地」が一番人気

「宅地」と「宅地見込地」というのは、地目としては同じですが、借地料は宅地の方が高くなり、宅地見込地は低くなります。

この違いが、売買されるときには大きな差となって現れます。

軍用地の価格は、「年間借地料×倍率」という計算で決まりますから、借地料の安い宅地見込地の方が価格が安いため、将来的に宅地に格上げされれば、値上げ率は格段に高くなります。

安い価格で手に入り、伸びシロが大きいという理由で、宅地見込地が一番人気となっているといいます。

沖縄の軍用地というのは、ある意味では、第二次世界大戦の「爪痕」といえるものですが、島投資の視点で見ると、地域や土地が限定的だからこそ高値で売買され、それを持ち続けている間は借地料が支払われる……など、非常に魅力的な要素であることは間違いありません。

沖縄に昔から住んでいる地主さんが、「キミなら売ってもいいよ」というのですから、僕には断る理由がありません。

ごく自然に、「この話に乗らない手はないな」という結論に達しました。

■利回りが低くても、高い価値を生み出す理由

結論から先にお伝えすると、僕は地主さんに連絡を取って、「軍用地を譲ってください」と伝えました。

その一方で、他にも軍用地が売り出されていないかを徹底的にリサーチして、これまでに複数の軍用地を手に入れています。

現在も新たな軍用地を求めて、沖縄中の地主さんを訪ね歩いています。

僕がどんな軍用地をいくらで購入したか……については、売り主さんに迷惑がかかることもありますから、ここでお伝えすることは差し控えます。

島投資の一つとはいえ、軍用地案件ですから、「軍事機密」ということでお許しいただきたいと思います。

手に入れた軍用地がどんな利益を生み出してくれるのか、この先の展開を楽しみにしていますが、僕は大好きな沖縄という島で「軍用地」と出会ったことで、投資家として、新たな視点を手に入れることができたように思います。

永野彰一『一生お金に困らない島投資の始め方』(クロスメディア・パブリッシング)
永野彰一『一生お金に困らない島投資の始め方』(クロスメディア・パブリッシング)

これまでは、どんなリスクを取ってでも、利回りを上げることばかりを優先的に考えていましたが、「利回りが低くても、安定性があれば、高い価値を生み出す可能性がある」ということに初めて気づいたのです。

これまでのように、不安定な「ハイリスク・ハイリターン」ばかりを狙うのではなく、安定的な「ローリスク・ローリターン」を狙うことの意味や意義が、投資家としての僕の腹にストンと落ちたように思います。

軍用地との出会いで得られた新たな視点を、山投資や家投資、島投資でどのように活かせばいいのか?

僕は次の一手を模索しながら、今日も日本各地を駆け回っているのです。

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永野 彰一(ながの・しょういち)
投資家・事業家
1990年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。14歳の時に取得した「乙種第4類危険物取扱者」を手始めに、100を超える資格を高校在学中の2年間に取得。最年少取得記録を多数保有している。プロの雀士でもある。現在は不動産投資家として活動し、全国に数百の山を所有。「山王」と呼ばれている。テレビ東京『日経スペシャル ガイアの夜明け』などメディアにも多数出演。

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(投資家・事業家 永野 彰一)

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