「ごめんですむなら警察いらない」は絶対ダメ…一流はできている「謝罪を受けとめる」6つのステップ
プレジデントオンライン / 2024年9月22日 10時15分
■謝られ上手は謝り上手
本稿では、「ごめんなさい」を言う側ではなく言われる側の技術について、つまり「人から謝られる技術」についてお話ししていきます。
私たちの日常では、自分が「ごめんなさい」を伝える立場になるときもあれば、相手の「ごめんなさい」を受けとる立場になるときもありますよね。実は、「ごめんなさい」を受けとる立場にも技術があるのです。
「謝られ上手は、謝り上手」
これは私の造語ですが、相手の「ごめんなさい」を上手に受けとることができるようになると、身近な人との関係性を、さらによくしていける可能性が広がります。
「ごめんなさい」の片道切符を「往復切符」にするイメージを持ってもらえるとわかりやすいかもしれません。
最初にお伝えしておくと、「ごめんなさい」を受けとる技術は、「ごめんなさい」を伝える技術と、とてもよく似ています。ほとんど同じと言っていい要素もあるし、なかには自分が謝るより難しい要素もありますが、人に謝る技術、人から謝られる技術、その両方を身につけることができると、「ごめんなさい」の循環が起こります。
■もっと上手に謝れるようになる
ちょっと想像してみてください。
あなたが、これまでに学んだことを使って、だれかに「ごめんなさい」を伝えたとします。
きっと、あなたは、相手から「いいよ」「わかった」「もう大丈夫」といったポジティブな反応が返ってくることを期待しますよね。
ですが、現実には「許せない」「あなたはわかってない」「『ごめん』のひと言じゃすまない」といったネガティブな反応が返ってくることもあるでしょう。
そのときに、「なぜ、こんなことになるのか」「なぜ、相手は『ごめんなさい』を素直に受けとってくれないのか」といった相手の事情を理解しておくと、つまり、人から謝られる技術を身につけておくと、あなたはもっと上手に「ごめんなさい」を伝えられるようになります。
「ごめんなさい」を受けとる立場から、「こういうときに、人はどんな言葉をかけてほしいのか」を想像できるようになるので、相手も自分も幸せになれる会話が積みあがっていくのです。
これが「ごめんなさい」の循環です。
■謝られたときの対応をわかっていない
アメリカに住む友人は、「日本人は、すぐに謝る」と言います。
たしかに、上司にミスを指摘されれば「すみません」と言うし、スーパーで欲しい商品が売り切れだったら店員さんは「申し訳ありません」と返してくれるでしょう。
そういう意味で、私たちは「すぐに謝る民族」ではありますが、反対に、だれかに謝られる局面において、あなたは普段、どんな反応をしているでしょうか。
おそらく、はっきりと「こんなふうに対応することにしている」「こう返すようにしている」と答えられる方は少ないのではないでしょうか。
私たちは、よく謝っているにもかかわらず、いざ自分が謝られたときには、どうすればいいのか、よくわかっていないのです。
その結果、多くの人が「ごめんなさい」を言われたときに、よろしくない対応をしてしまっています。
■「謝ったら負け」と考えてしまうワケ
その典型例が「ごめんですむなら警察はいらない」という言葉です。
「ごめんなさい」を言ってきた相手に追いうちをかける決まり文句で、あなたも子どものころに一度は使ったことがあるかもしれません。
大人になっても、似たようなことを私たちは言っています。
「謝るなら最初からやるな(言うな)」
「謝るくらいなら、ちゃんとやれ」がそれです。
よく耳にするフレーズですが、言われたほうは、それ以上なにも言えなくなってしまいます。
場合によっては、相手が頭を下げてきたのをこれ幸いと、優位なポジションに立とうとしたり、偉そうな態度をとったり、いつまでもチクチク責めたり、自分の思い通りに相手を動かそうとしたりします。
そうなると、謝罪する立場としては、「謝ったら、ろくなことにならない」「謝ったら負け」という後ろ向きな学習をしてしまいます。
身近な人との関係で、こんなことが起こると不幸ですよね。
人から謝られる技術を学んで、この流れをとめてみませんか。
■不器用な「ごめんなさい」にイラッとしたら…
それでは、人から謝られる技術について具体的に学んでいきましょう。
「ごめんなさい」を言われる立場になったときに心得ておきたい大前提は、相手の謝り方は十中八九、かなり下手ということです。
言い方が雑だったり、言い訳や反論が多かったり、「そっちこそ謝るべき」と言ってきたり、顔がこわかったり、逆ギレしてきたり……。謝ることに技術があるのを知っているあなたからすると、「そんな『ごめんなさい』はダメだ!」と一刀両断したくなるような謝り方だと思います。
そんなふうに相手の不器用な「ごめんなさい」にイラッとしたときは、この対話のそもそもの目的を思い出してみてください。
そう、「ごめんなさい」をきっかけにした対話の目的は、相手との関係をより深めていくことでした。そのために、「ごめんなさい」の技術をまだ知らない相手を、あなたが少しだけリードしてあげていただけないでしょうか。私からのお願いです(笑)。
■6ステップの人から謝られる技術
ただし、「これからも関係を続けていきたい」と思う人にだけで大丈夫です。あなたにとって大切な人だからこそ、ここまでやるわけです。
「この関係は切れてもいい」「そこまで大切な人ではない」という人には、「ああ、そういう人なのね」と思って、そっと、その場をあとにする……。
というのは言いすぎかもしれませんが、「そう感じたんだね」といった中立的な承認の言葉を伝えつつ、「少し考えさせてほしいから、また話そう」といった言いまわしで間接的に話を打ち切る意向を伝えてもいいかもしれません。
こういったタイミングは人間関係を整理する絶好のチャンスです。
「これからも本当に、この人との関係を続けていきたいか」を自問してみてください。
人から謝られる技術には、次の6つのステップがあります。
ステップ2 「この話をしたい」と提案する
ステップ3 不快感を伝える
ステップ4 相手のフルストーリーを聞く
ステップ5 許可を得てから思いを伝える
ステップ6 最後の確認をする
本書で学んだ「ごめんなさい」を伝える技術には全部で7つのステップがありましたが、今回の人から謝られる技術は、それより1ステップ少なくなっています。
ですが、油断大敵です。
「ごめんなさい」を伝える技術と比べて心理的負担は半分ですが、包容力は2倍必要と見積もっておくといいかもしれません。
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否定しない専門家/コーチ
2 万人以上を指導したコーチ。リーダー育成家。ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。これまでに大手企業などで2万人以上のリーダーに指導してきた。否定しないコミュニケーション術をまとめた『否定しない習慣』(フォレスト出版)が14万部を超えるベストセラーになる。このほか『できる上司は会話が9割』『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』『できるリーダーになれる人は、どっち?』(いずれも三笠書房)、『いまを抜け出す「すごい問いかけ」』(青春出版社)など著書多数。
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(否定しない専門家/コーチ 林 健太郎)
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