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視覚障碍と外国語に同時対応した商品パッケージを開発

PR TIMES / 2019年12月2日 14時5分

たったひとつのQRコードで情報バリアフリー化を実現

視覚障碍者が通常読むことが困難な食品や医薬品などのパッケージや説明書に書かれた情報について、QRコードを包装物の表面に印刷するだけで、手持ちのスマートフォンから簡単にコードを読取り、その端末の設定に応じた言語で説明書を音声化して読み上げる仕組みが開発された。

現在のスマートフォンには、視覚障碍者でも利用可能なアクセシビリティ機能が搭載されており、上記の方法と組み合わせることで、食品のアレルギー情報などを言語に関わらず音声対応にする事が可能になりつつある。今回、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の支援を受けて、全国規模で行われた実証実験でそのデータが明確になり、各業界の大手メーカーが採用を進めるに至ったため、その詳細を発表する。



WHOの統計では、視覚障碍を持つ人は世界人口全体の約4%にあたる2億9千万人。そのうち、点字を読める視覚障碍者の割合は全体のおおよそ10人に1人と言われている。また、点字はその仕様(6点の位置関係で表現する)において世界共通であっても、対応する音(日本語は「あ、い、う」、英語は「A、B、C」など)は言語ごとに異なるため、日本語の点字と英語の点字を混在させる事は運用上困難を伴う。(それでも、必要とされている方々がいるので、点字そのものの存在は不可欠である。)


[画像1: https://prtimes.jp/i/3003/1/resize/d3003-1-103658-0.png ]

日本がホストする2020年のパラリンピックにおいても、22競技のうち半数近くは視覚障碍者も参加する競技であり、外国人の視覚障碍者も多く来日が見込まれるが、その方々に情報を伝える手段としては、それぞれの使用言語で音声により伝達する方法が必要とされている。

また、視覚障碍における世界共通の課題のひとつが、健常者と比較して情報を取得する手段が限られてしまう事である。(特に印刷物からの情報取得に困難を伴う)この問題を解決する為には、視覚障碍者自身が情報を得やすくする為の工夫と共に、情報を出す側が、視覚障碍者に受取りやすい情報を簡易に発信できるようにする工夫が必要となる。そこで、すでに世界中で普及しているQRコードを使用し、印刷物の文字情報をそれぞれの言語で音声化させる事が出来れば、視覚障碍者が取得可能な形で情報を発信出来る割合は飛躍的に高まるのではという考えから今回の取組みはスタートした。

現在では世界人口の4割以上 が所有するようになったスマートフォンには、標準的に音声読み上げ機能が付帯している。(iPhoneでは「VoiceOver」、Androidでは「TalkBack」と呼ぶ。)つまり、視覚障碍がある人でも、スマートフォンでQRコードを読み、ブラウザで指定のページを開くことが出来れば、文字情報を音声へ変換することが可能になる。
[画像2: https://prtimes.jp/i/3003/1/resize/d3003-1-854394-1.png ]

【仕組みの説明】
現在、iPhoneやAndroid用に提供されているQRコードリーダーアプリは世界中で数百を越える種類があり、すでにLINEやWeChatなどにも組み込まれている他、iPhoneのカメラでも標準対応しているので、ほぼ世界中のあらゆる端末でQRコードは読み取り可能である。また、最新のQRコードリーダーの性能では、対象物から少し距離を取って広い範囲をカメラに収めるだけで、その一部にQRコードがあっても認識が可能となる。

[画像3: https://prtimes.jp/i/3003/1/resize/d3003-1-466238-3.jpg ]

そして、いったんQRコードを読み込んでデジタル情報としてスマートフォンに表示さえすれば、上述の機能を使って文字情報を音声化する事が可能となる。これまで、視覚障碍者支援団体と行った全国規模の試験では、視覚障碍を持つほとんどの人がコツさえつかめばQRコードを読取れる事が判明した。

また、QR Translator という多言語対応のQRコード発行システムを利用すれば、Web上からの操作で、複数言語に対応したQRコードを簡単に発行する事が出来る。 このQRコードを食品などの包装資材に印刷するだけで、QRコードを読み取った人は、自分のスマートフォンの言語設定に合わせて、原材料やアレルギーなどの音声情報を得ることが可能になる。

そして、商品パッケージなどは立体物であるため、触覚でQRコードの存在を示す以下の仕様(特許出願済み)により、全盲の消費者であってもQRコードの読取りが可能である事が上述の実証実験によって明らかになった。

QRコードの大きさは一辺10mm以上で、余白を入れた印刷幅を16mm(±1mm)とする。
QRコードの4隅の余白部分に、直径約1mmの点字上の突起(点字のJIS規格と同じ仕様)を配置する。もしくは余白部分を囲む4辺を窪地(凹)にしてQRコードの存在を明示する。
QRコードの1辺のセル数を29セル以内とする。
誤認識を防ぐため、バーコードと同じ面への印刷は避ける。その他、弱視や色弱の障碍者にとっても、QRコードは白黒のマトリックスである為、その存在が認識しやすいという利点がある。某大手メーカーでは、この方法を業界で最初に取り入れ、すでに商品化に向けての試作品製作を進めている。また、その他の業界でも、この手法によって製品情報のユニバーサル化を進めることを検討している。



[画像4: https://prtimes.jp/i/3003/1/resize/d3003-1-331013-4.png ]

【現在に至る経緯】
2016年8月に視覚障碍者の自立支援団体である神戸ライトハウスより、障碍者自身が情報を受取るためにQRコードが利用出来るのではないかという相談をQR Translatorの開発企業が受けた事がきっかけ。

その後、どのような状況で視覚障碍者が困難を感じるか、その為にどういったソリューションの提供が可能かについて議論を重ねた結果、印刷物に一定の基準でQRコードが印刷されていれば、比較的容易にそれを読取り、音声で情報を取得できるという事が判明。

この情報を元に、全国の視覚障碍者支援団体の協力を得て、より大規模の実証試験を行う為、NEDOの「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」へ応募。2017年5月の採択を経て、2019年3月まで研究を行った。
日本全国で視覚に障碍を持つ方々100名以上に参加頂いた試験によって、視覚障碍者がQRコードを利用する際の課題や、視覚障碍者でも読取りが容易なQRコードの仕様について様々なデータを収集。

この研究成果がアイ・コラボレーション神戸が主催する2018年8月の視覚障碍者向けアイデアソン・ハッカソン で共有され、日頃から視覚障碍者に易しい商品パッケージのあり方を検討していた大手メーカーが採用。現在、発売に向けた諸準備に着手している。

【新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)について】
政府の科学技術政策における執行機関として、日本の産業競争力強化の基盤となる「ナショナルプロジェクト」、市場創出・経済活性化を促進する「実用化開発」、将来の新たな産業の核となる「技術シーズの発展」の各段階における開発を支援・推進している。こういった開発で生まれた研究成果の社会還元・技術移転等を促進する為の見本市「イノベーション・ジャパン」も主催。

【神戸ライトハウスについて】
視覚障碍者の自立支援を行うNPO法人として平成13年に設立。理事長の太田勝美氏は、自身が25年前に失明した事がきっかけで、同法人を設立し、視覚障碍者に対して生活支援および社会参画促進に関する事業を行い、視覚障碍者の自立のための活動支援や訓練および交流活動を行っている。本件取り組みにおいて今年のひょうごユニバーサル社会づくり賞会長賞を受賞。

【アイ・コラボレーション神戸について】
神戸を拠点とするNPO法人で、テクノロジーによる障碍者の自立をテーマとした勉強会やワークショップを数多く主催している。特にスクリーンリーダー(コンピュータ画面の音声による自動読み上げ)等を駆使してインターネットのアクセシビリティを高める分野において多くの企業・自治体等にコンサルティングを行っている。

【株式会社PIJINについて】
多言語対応のQRコードを簡単に発行・管理できるWebシステムQR Translatorを世界で最初に開発し、日本、アメリカ、中国、EU、ロシア、韓国などで特許を取得。国内では東京都庁の展望台や京都の伏見稲荷大社などで利用されている他、有名日本酒(真澄酒造)のラベルやパリのサクレ・クール寺院でも使用されている。

【エクスポート・ジャパン株式会社について】
2000年(平成12年)設立の海外向けWebマーケティングに専門特化した会社で、月間約200万人が閲覧する国内最大級の訪日メディアである「ジャパンガイド(japan-guide.com)」の運営にも携わっている。社員は、アメリカ、フランス、中国、インドネシア等、多国籍で構成され、JICAなどの政府機関や公共交通機関の公式外国語サイトの制作と運営を担当している。

本件内容については、以下にも記載
https://www.export-japan.co.jp/blog/universal-product-package/

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