~毛髪の悩みに希望のシグナル~日本皮膚科学会においてマイクロセンサー理論〈繊毛(せんもう)理論〉を提唱
PR TIMES / 2013年6月17日 9時27分
頭髪化粧品独自原料の発毛促進メカニズム解明にむけた研究成果
ヘアケア、スキンケアに関する研究開発、および、総合サービスを提供する株式会社サラヴィオ化粧品(本社:大分県別府市 代表取締役社長:濱田拓也)は九州工業大学・情報工学部 安永卓生教授との共同研究で単離培養した毛乳頭細胞のシグナル伝達を司る一次繊毛(せんもう)の高分解能観察、および、定量化に成功しました。
更に、発毛メカニズムにおける繊毛の新しい役割を発見、繊毛制御シグナルの同定、および、分子機構の解明にも成功し、新規発毛機構としてマイクロセンサー理論を打ち立てました。
マイクロセンサー理論に基づいた商品開発も進め、その分子機構を証明しました。
この研究成果を第112回 日本皮膚科学会総会<2013年6月14日(金)~16日(日)、パシフィコ横浜>において発表しました。
【研究の背景】
毛乳頭細胞は発毛シグナルの司令塔と言われ、常にヘアケア研究の中心的存在です。毛髪のヘアサイクル(成長期―退行期―休止期)は、毛包細胞間のシグナル伝達(細胞増殖因子などのやりとり)によって支配されています。毛乳頭細胞における発毛シグナルの送受信に深く関与しているのが繊毛であると考えられています。
サラヴィオ中央研究所では、発毛指令の立役者である毛乳頭細胞の分子機構の解明に取り組んでいます。今回、毛乳頭細胞の一次繊毛が毛母細胞(毛髪のもと)および線維芽細胞(毛髪の土台)の増殖の制御に関わることが明らかになりました。この制御に関わる増殖因子について、またミトコンドリア活性との関連についても解析を行いました。これらを総じて、マイクロセンサー理論(繊毛理論)を確立しました。さらに、マイクロセンサー理論に基づいて、当社が独自開発した化粧品原料(加水分解酵母エキス)についての機能評価も行いました。
【研究成果の概要】
(1) 単離培養した毛乳頭細胞の一次繊毛の蛍光顕微鏡観察、電子顕微鏡観察に成功
アセチル化チューブリン(繊毛マーカー)の免疫染色、および、蛍光顕微鏡観察により、培養毛乳頭細胞における一次繊毛の存在を確認しました。次いで、走査型電子顕微鏡を用いて細胞表面から飛び出した一次繊毛の姿を明確に捉えることに成功しました。
(2) 一次繊毛の長さ(繊毛長)の定量解析に成功
一次繊毛の高分解画像解析により、繊毛長を定量しました(2.2± 1.2μm)。
(3) 繊毛長の制御システムの構築
リチウムイオンを加えることで繊毛長を約3倍伸ばすことに、また、繊毛形成に必須の遺子発現を抑制することで一次繊毛をほぼ消失させることに成功しました。
この系の構築により、毛乳頭細胞の一次繊毛を介したシグナル伝達機構の解明に道が開けました。
(4) 繊毛を介したケラチノサイト(上皮系細胞)の細胞分裂増強作用を発見
繊毛長を伸ばした毛乳頭細胞の培養上澄み液にケラチノサイト(毛母細胞)の細胞増殖活性が認められました。これは、一次繊毛の伸長に依存して細胞増殖シグナルが放出され、それがケラチノサイトの細胞分裂活性を促進したことを示唆するものです。
(5) 繊毛を介した線維芽細胞(間葉系細胞)の細胞分裂増強作用を発見
上記と同様に一次繊毛を伸長させ、さらにDHT(男性ホルモン代謝物)を加えた毛乳頭細胞の培養上澄み液に線維芽細胞の細胞増殖活性が認められました。一方、繊毛形成を阻害すると線維芽細胞の増殖は抑制されました。これは、一次繊毛が線維芽細胞の増殖シグナル放出機構に関与していることを示唆しています。
(6) FGF2 (塩基性線維芽細胞増殖因子)が内在性一次繊毛伸長因子である事を発見
一次繊毛の長さを制御する生体因子の探索を行いました。その結果、FGF2 (塩基性線維芽細胞増殖因子)を毛乳頭細胞の一次繊毛の伸長因子として見出だしました。FGF2は内在性のホルモンで、これまでに細胞増殖活性や細胞内情報伝達経路に関する報告はありましたが、今回初めて一次繊毛との関係が明らかになりました。
(7) マイクロセンサー理論(繊毛理論)を確立
上記の結果に基づいて、発毛の司令塔である毛乳頭細胞の一次繊毛が毛母細胞や線維芽細胞の細胞分裂に関与しているとする「マイクロセンサー理論(繊毛理論)」を提唱しました。これまでにない視点からのアプローチで大きな注目を集めています。
(8) 加水分解酵母エキスが繊毛を伸長する事を発見
当社では新規天然成分の探索、機能解析、および、それらを用いた商品の開発を行っています。当社が開発した加水分解酵母エキスが、毛乳頭細胞の一次繊毛を伸長する外因性の因子であることが判明しました。
(9) 加水分解酵母エキスが線維状ミトコンドリアの量を増やす事を発見
加水分解酵母エキスが細胞内エネルギー産生装置であるミトコンドリアにどのような影響を及ぼすのかを調査しました。その結果、当原料の添加により、毛乳頭細胞内の線維状ミトコンドリア(運動活性が高い)の割合が増えることが判明しました。
(10) 加水分解酵母エキスがミトコンドリアを活性化することを発見
加水分解酵エキスが存在すると、毛乳頭細胞のミトコンドリアの膜電位が高まり、その結果、より多くのATP(細胞内のエネルギー)が産生されることを見出だしました。
(11) 加水分解酵母エキスがFGF10を増強する事を発見
加水分解酵母エキスがケラチノサイト(毛母細胞:毛髪のもとになる細胞)の増殖を促進するFGF-10の増加を引き起こすことが明らかになりました。
【今後の研究】
一次繊毛の機能不全は多くの疾患をもたらします。その為、一次繊毛の機能解析は、生命科学、および医学の分野において高い注目が集まっています。今後、その他のシグナル伝達因子との関係を明確にし、シグナル伝達の経路を特定することで、毛乳頭細胞からの発毛シグナルの網羅的理解を目指すと同時に、マイクロセンサー理論を発展させます。また、それらの知見に基づいた美容と健康に関する商品開発を進めていきます。
【参考資料】
<毛乳頭細胞の一次繊毛(左)と一次繊毛を介した毛母細胞の増殖促進(右)>
<加水分解酵母エキスによって増加した線維状ミトコンドリア(左)とFGF-10(右)>
<マイクロセンサー理論(繊毛理論)>
【会社概要】
名称 :株式会社サラヴィオ化粧品
所在地 :大分県別府市大字鶴見1356-6
代表者 :代表取締役社長 濱田拓也
設立 :2006年7月20日
資本金 :6,300万円
業務内容:スキンケア、ヘアケア、メークアップ
化粧品、健康食品の製造販売
URL: http://www.saravio.jp
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社サラヴィオ化粧品
担当:広報室 宮田
TEL:0977-75-8575
Email: miyata@saravio.jp
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