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第27回慶應義塾図書館貴重書展示会 「活字文化の真髄」

PR TIMES / 2015年9月16日 11時38分

日本の古活字版と西洋初期印刷本

慶應義塾図書館が所蔵する数ある貴重書を各回テーマに沿って展示する「貴重書展示会」は、今年で27回を数え、通常は閲覧が制限される貴重書を一般の方々に無料公開する機会として、毎回多くの来場者を迎えています。



◎展示内容

今回は「活字文化」にフォーカスして、17世紀頃にほんの30年ほどで消滅してしまった和漢書の「古活字版」と、グーテンベルクの活版印刷技術以降最初期のインキュナブラと言われる「西洋初期印刷本」を中心に、貴重書コレクションから厳選して展示いたします。なお今回は、江戸時代の版木、朝鮮李朝期の木活字、グーテンベルク時代の印刷機(複製)も合わせて展示します。

(主な出展作品は次ページ以降をご参照ください)現在は、紙の本も電子技術によって印刷されているため、本来の「活字」を目にする機会がなくなってきています。かつて書物は、インクをのせた活字を紙に圧をかける活版技術によって生まれ、その紙面の文字は凸凹していました。中でも、和漢書の「古活字版」と洋書の「初期印刷本」は、このうえない美しさと完成度を誇っていて、活字印刷術の真髄は初期の時代にこそあるといえます。ぜひこの機会に、際立つ美しさを放つコレクションをご鑑賞いただくとともに、和漢書と洋書の  共演をご堪能ください。


●講演会  〔於;展示会場内 (事前申込み不要/入場無料)〕

・10日(土)14:00~ 慶應義塾大学文学部准教授 安形 麻理
   「活版印刷術の黎明-グーテンベルクとその周辺」
・10日(土)15:00~ 法政大学文学部教授    小秋元 段
   「鎌倉幕府の歴史書『吾妻鑑』の刊行と徳川家康・秀忠」
・11日(日)14:00~ 早稲田大学教育・総合科学学術院教授 雪嶋 宏一
   「ヴェネツィアからパリへ—活字で見るルネサンス文化の広がり」
・11日(日)15:00~ 慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授 高橋 智
   「活字印刷の重宝—古活字版漢籍について」

●ギャラリートーク :展示会監修者が展示品の内容、稀少性などを解説しながら会場を巡ります。
・12日(月・祝)14:00~ 慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授 高橋 智(和漢書)
・12日(月・祝)15:00~ 慶應義塾大学文学部准教授 徳永 聡子(洋書)


【主な出展作品のご紹介】
<和漢書>
■大学1巻 宋朱熹章句 慶長時代刊 1冊
[画像1: http://prtimes.jp/i/15407/1/resize/d15407-1-230747-3.jpg ]



江戸時代、『四書集注』として、朱子学(宋・朱熹の学問)による解釈の『論語』『孟子』『大学』『中庸』が漢学の必須科目として流行したが、江戸時代のテキストの先駆をなしたのが古活字版『四書』で、中世博士家が最も力を注いだ書物。その秘伝の博士家のテキストを公にしたのが古活字版で、内容的な価値はすこぶる高い。その刊行に関わった篤志家の主な人が、今関正運と下村生蔵。本版は慶長14年(1609)頃刊行と思しき今関刊本。末尾の「正雲刊」は後人の偽造。竹中重門の所持本(竹裏館文庫)。訓点の書き入れが当時の真摯な読書を思わせる。後に小汀利得(1889–1972)の小汀文庫に入った。


■群書治要50巻 唐魏徴等奉勅撰 原闕巻4・13・20 元和2年(1616)刊 銅活字 駿河版 47冊

[画像2: http://prtimes.jp/i/15407/1/resize/d15407-1-570043-4.jpg ]



本書は唐の太宗(626–649)に仕えた魏徴らが、治世に要する事例を諸書の中から選んで献納した書で、次の宋時代には亡んで伝わらなくなった。日本には古くから伝わり平安時代の写本も伝存している。こうした写本をもとに家康は初めての出版を企図、京都から職人を集め、駿府で成就した。しかし、生前には2ヶ月ほど間に合わなかった。家康の遺志は紀州徳川家に継がれ、後年、この銅活字で再び印刷、天明5年(1785)には尾張徳川家が木版(整版)で再版した。「島原秘蔵」「尚舎源忠房」「文庫」の印記は島原藩主松平忠房。


<洋書>
■「42行聖書」([マインツ: ヨハン・グーテンベルク、 1455年頃])  【零葉】
[画像3: http://prtimes.jp/i/15407/1/resize/d15407-1-491204-2.jpg ]



マインツの金細工師ヨハン・グーテンベルク(d. 1468)は可動活字を用いた印刷機の試行錯誤を繰り返し、1455年頃ついにかの有名な聖書を完成させた。「グーテンベルク聖書」、あるいは1ページ42 行で本文が組まれているため、「42行聖書」と称される。本文はウルガタ聖書に基づき、随所に写本の時代の伝統が見出される(ただし40行のページを持つ現存本もある)。特に、典礼書やミサ典書の写本を範とした大きなテクストゥラ体(ゴシック体系統)の活字は、当時のゴシック体を書くときの規則に準じ、文字の縦線をできるだけ等間隔にするための工夫がなされている。また写本にならった欄外標題や頭文字等は印刷後に手書きで施された。印刷の完成にはヨハン・フストの経済的支援を受けたといわれる。


■エウセビオス『教会史』(パリ:ロベール・エティエンヌ1世、1544年)

[画像4: http://prtimes.jp/i/15407/1/resize/d15407-1-506661-5.jpg ]



印刷者ロベール・エティエンヌ1世は1520年代からの聖書刊行で名声を高めると、国王フランソワ1世から1539年にラテン語・ヘブライ語印刷家に任命された。また1530年代には活字の改良を企画した。ここに16世紀で最も名だたる活字制作者、クロード・ギャラモン(Claude Garamont; 1480–1561)が登場する。現代にも伝わるギャラモンのローマン体はアルドのローマン体にとって代わり、やがてゴシック体の終焉へとつながった。1540年、フランソワ1世はフォンテンブローの王室図書室にあるギリシア語写本の印刷用に、新しい活字の制作を命じた。これをロベールを介して受けたギャラモンは、王に仕えるカリグラファー、アンジェロ・ヴェルゲキオ(Angelo Vergecio)の書体をもとに、きわめて壮麗なギリシア語草書体の活字と装飾頭文字を1541年に仕上げた。かの有名な「王のギリシア語活字(grec du roi)」の誕生である。この翌年、ロベールは王室印刷家となった。本書には、新たに生み出された「王のギリシア語活字」が用いられている。本文用の活字のみならず、古代ローマ風な人物や動植物があしらわれた装飾頭文字も美しく、印字面は見る者を魅了する。この装飾頭文字は16世紀最高峰であると評する声もある。


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