関西学院大学と豊田通商“欠陥ゼロ”の6インチSiC基板を実現する革新的プロセス技術を開発
PR TIMES / 2021年3月2日 8時45分
~早期量産化を目指し、デバイスメーカーへのサンプル供給開始~
学校法人関西学院(以下、関西学院大学)と豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は、次世代パワー半導体材料SiC(炭化ケイ素:シリコンカーバイド)基板内の欠陥*を無害化する表面ナノ制御プロセス技術「Dynamic AGE-ing(R)」を開発しました。本技術はSiC基板の高品質化と生産性向上を同時に実現する革新的な技術で、このたび6インチSiC基板での性能検証を完了しました。SiC基板は、急速に電動化が進む世界の自動車産業など幅広い分野で大きな需要が見込まれており、将来の脱炭素社会に資する材料です。今後、半導体デバイスメーカーへのサンプル供給を開始し、量産ラインへの本技術の導入に向けた評価検証を進めます。併せて、普及が見込まれる大口径8インチSiC基板への適用に向けた開発も加速させます。
1.背景
SiCは、現在広く普及しているパワー半導体材料であるSi(ケイ素:シリコン)と比較して、電力ロスを大幅に低減でき、電力利用の効率化および冷却装置の小型化を可能にします。中・高耐圧デバイスを必要とする自動車、鉄道、産業機器、電力などグリーンイノベーションが進む分野で実用化が始まっており、なかでもEV・HV・FCVなど電動車からのニーズが高く、国内外の自動車産業において大きな需要拡大が見込まれます。
信頼性が高いパワー半導体を低コストで製造するには、高品質で大口径のSiC基板の安定供給が必要です。しかし、これまでのSiC基板は、機械加工で生じる結晶の歪み(加工歪み層)や内在する欠陥である基底面転位(Basal Plane Dislocation、以下、BPD)により、その上に形成されるパワー半導体の性能が大きく損なわれることが課題となっていました。
2.「Dynamic AGE-ing(R)」とは
関西学院大学(理工学部 金子忠昭教授)が豊田通商と共同で開発した独自技術「Dynamic AGE-ing(R)」は、従来の機械加工とは異なる、熱エッチングと結晶成長を統合した非接触型のナノ制御プロセス技術です。本技術は、SiC基板を超高温下の気相環境におくことで表面の原子配列を自律的に整えることにより、加工歪み層の完全除去の機能に加えて、BPDの伝播遮断による無害化を実現します(図表1参照)。「Dynamic AGE-ing(R)」の適用により、メーカーやサイズを問わずSiC基板を高品質化します。さらに基板製造工程の簡略化と歩留まりの改善により、SiC基板の生産性向上も可能にします(図表2参照)。
3.オープンイノベーションによる開発
これまでの産学連携は、「大学が基礎技術」、「メーカーが生産技術と製品・量産化の開発」とすみ分けて
研究開発を進めることが主流でした。しかし、関西学院大学と豊田通商は、関西学院大学が20年間培ったSiC関連技術と豊田通商の持つ企業ネットワークを活用し、ユーザー企業およびメーカーが広く参画できるオープンイノベーションによる技術開発とその実用化を推進しています。
4.「Dynamic AGE-ing(R)」の実用化に向けた今後の展開
関西学院大学と豊田通商は、「Dynamic AGE-ing(R)」を適用したSiC基板のサンプル供給を、2021年度上期より開始し、半導体デバイスメーカーと共同で実用化に向けた評価検証を進めていきます。今後、自動車分野を中心とした幅広いユーザー企業へ、高品質で競争力の高い6インチSiC基板を供給するため、ビジネスパートナーを広く募り、量産化の早期実現を目指します。併せて、大口径8インチSiC基板への「Dynamic AGE-ing(R)」の適用に向けた開発も加速させていきます。
*欠陥:結晶の転位の一種である基底面転位(Basal Plane Dislocation)を指します。
(図表1)「Dynamic AGE-ing(R)」の技術概要
[画像1: https://prtimes.jp/i/74855/1/resize/d74855-1-921176-0.png ]
(図表2)「Dynamic AGE-ing(R)」(以下、DA)によるBPD無害化の検証例
市販4°オフ-Si面4H-SiC基板において、DAを適用することにより、下記のメーカー、サイズで、BPDが基板全面内で1個以下になることを確認できました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/74855/1/resize/d74855-1-949655-1.png ]
DA前:X線トポグラフィ、DA後:フォトルミネッセンス(レーザーテック製 SICA-88)にて測定
[画像3: https://prtimes.jp/i/74855/1/resize/d74855-1-567581-2.png ]
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
この記事に関連するニュース
-
新たな事業の開始及び Hangzhou MDK Opto Electronics Co., Ltd.(杭州美迪凱光電科技股份有限公司)との製造委託契約締結に関するお知らせ
PR TIMES / 2024年4月25日 18時40分
-
ユーラスエナジーと仏CFAO、アフリカの再エネ事業開発を担う新会社「AEOLUS SAS」をフランスに設立
PR TIMES / 2024年4月5日 14時45分
-
4月22日(月) AndTech WEB「エポキシ樹脂の基礎と硬化剤の選定、変性・配合改質およびエレクトロニクス用途の動向 ~高速伝送通信・SiCパワーモジュール封止~」Zoomセミナーを開講予定
PR TIMES / 2024年4月2日 17時40分
-
4月18日(木) AndTech WEBオンライン「パワー半導体用SiC単結晶成長・ウェハ加工技術の開発動向」Zoomセミナーを開講予定
PR TIMES / 2024年3月30日 11時45分
-
新規事業創出の伴走サービス「アウトレ」を、豊田通商グループのITソリューション企業「豊田通商システムズ」が導入開始。
PR TIMES / 2024年3月29日 13時45分
ランキング
-
1サイゼリヤ、ギリギリ「国内黒字化」も残る難題 国内事業の利益率0.05%、値上げなしで大丈夫か
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時30分
-
2山手線沿線の再開発が進む 「新宿、渋谷、品川」駅の工事はいつ終わるのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 7時10分
-
3イトーヨーカドー、祖業のアパレル復活なるか アダストリアとの新ブランドが生んだ“相乗効果”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 10時0分
-
4アキレス、シューズの国内生産終了へ コスト増や少子化など背景
ロイター / 2024年4月25日 16時27分
-
5過度の変動望ましくない、動向注視し万全の対応行う=円安で官房長官
ロイター / 2024年4月25日 11時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください